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【一時帰還】
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急成長した俺達は、一抹の不安を抱えながらティナ、ナディア、ノアと一緒に冒険者ギルドに向かう。ノアは、いつもの様に鳥に偽装し、俺の肩に乗っかっている。まぁ、一応、元おっさんだったし、その時期は乗り越えたので何とかなると思うが・・・”ボッチ、なめるなよ!”そうこうしている間に冒険者ギルドに到着した。そして、受付のテスラに話しかけた。
「こんにちは。タカミです。」
「あ、タカミさん、お待ちしておりましたよ。昨日はどうでしたか?」
テスラが俺を出迎えてくれる。
「はい、一応、制圧しましたよ。もう、あのお屋敷は問題無いです。ただ、話し合いの結果、リッチと十数体の霊と一緒に住むことになりました。あそこの持ち主は、”元”魔導騎士団団長のオッティーさんだったんですね。」
「え!浄化出来たんですか?」
「出来ましたよ。とりあえず、マミー数体とホーンデビル4体、リッチ、レッサーデーモンと戦いました。すべて制圧ですね。」
「え!!リッチとレッサーデーモンとアークデーモンですか!?」
「ええ、はい。」
「そんな高位なアンデットと悪魔がいたんですね。っていうか、それを浄化したんですか!!!!!!」
「で、あそこの物件、貰っちゃってもいいんですよね。」
「え、ええ。報酬がそうなっていますから。ですが、タカミさんは冒険者では無いのでどのように対応するか、ギルドマスターと相談してきます。」
テスラは、”パタパタ”と走って、ギルドマスターの所に行った。暫くして、マッチョで無精ひげを生やした30代後半くらいの人物と一緒にテスラが戻ってきた。
「君がタカミ君か。随分、頑張ったみたいだね。」
「いえ、それほどでも。」
「私が中央帝都冒険者ギルドギルドマスターのホープだ。よろしく頼む。で、早速だが、あの屋敷の浄化を行ったそうだが、詳しく話を聞かてもらえないか?」
いいタイミングだ!オッティーさんとボルボの汚名を返上させるため、ギルドマスターと話をしたいと思っていたところだった。それを向こうから聞いて来てくれた。
「はい、その事なんですが・・・」
俺は、事の顛末をギルドマスターのホープに話した。
「わっはっはっは!!なるほど!あそこでエクソシストや冒険者を追い返していたのはリッチになったオッティー様だったと。そして、オッティー様とボルボ様の逸話はでたらめで、首謀者はルーディー魔導騎士団長だった。作り話にしては上出来だ!!」
ホープは、俺の話を一向に信じようとしない。
「では、本人たちに直接聞きますか?」
「わっはっは!!いいだろう。どれ、オッティー様とボルボ様をお連れになるといい。わっはっは!!」
相変わらず、信じて無さそうだ。ちょっと、感じ悪いな。
「では、本人たちを呼びます。ここで呼んでもいいのですが大騒ぎになりませんか??それとも個室に行きますか? 」
ホープは少し考え、
「では、私の部屋に行こうか。テスラ、君も同席しなさい。」
「はい。」
俺達は、冒険者ギルドの奥にあるギルドマスターの部屋に移動した。
「それでは、本人たちを呼びます。いいですね。」
「おう、やってくれ。」
ホープは、”やれやれ”をしながらぶっきら棒に答える。
《召喚 ボルボ及びオッティー》
「主君様、お呼びでござるか?」
「主君様、どのような御用でございますか?」
一部の空間が割れそこから、ボルボとリッチになったオッティーが現れる。
「うん、ギルドマスターが君らを呼べと言うので呼んだんだ。昨日の顛末をギルドマスターのモンテカル殿に話をして欲しい。」
「畏まりました(ござる)」
「な、な、なんだ!!何が起こったんだ?」
「彼らは、俺の従属になんですよ。それで召喚の魔法で呼びました。」
「こ、このリッチがオッティー様だと!!ばかばかしい。」
オッティーが鋭い瞳でモンテカルを凝視する。モンテカルは、目の奥が鋭く光っているオッティーを見返すがすぐ目を反らす。目を反らした先にモンテカルは何かを見つけた。
「そ、それは・・・」
オッティーは何か紋章が付いたネックレスを身に付けている。
「うむ。お主には、これが何なのか分かるようじゃな。そう、魔導騎士団団長の証だ。」
ぼるぼも”ドン”と剣をモンテカルの前に出す。
「某の相棒、妖刀ムラサメでござる。」
モンテカルはビビりながら”恐る恐る”そのネックレスとムラサメを見ている。
「た、確かに、本物です。ですが、なぜ、あなた方の様なお方がこのような青年の従属なのですか?」
「馬鹿を申すでないでござる。我が主君は、我々より遥かに超越した方でござる。貴様は某の主君を侮辱するでござるか?」
「我が主君は、我等の外に聖獣様たちも従属としておるのじゃ。主君がその気になれば帝都など一瞬で灰塵化するぞい。」
「聖獣様を!!ほ、本当なのか?」
「まぁ、そうですね。」
「是非、会わせて貰えないだろうか?」
「うーん、余りナディア達を見世物にしたくないんだけどな。まぁ、ここはクッコロさんとオッティーの汚名返上の為だ。ナディア、ノア、元の姿に戻って。」
「しょうがないのう。とくと見よ。妾の妖艶な姿を」
「ご主人、分かりましたわ。人間、私の姿を拝めるなんて幸運ね。」
ナディアとノアが九尾狐とフェニックスの姿に戻る。
「聖獣 九尾狐とフェニックス!!」
モンテカルは、もう何が何だか分からなくなっている様子だ。テスラも同様だ。暫くすると、モンテカルは落ち着きを取り戻し、話始めた。
「今の話が本当であれば、大問題ですね。しかし、その問題は、王国をあげての問題になると思われます。普通に話をしてももみ消されてしまうのが関の山です。魔法相に掛け合ってみるのはどうなんですか?」
「いや、それは無駄でござる。某がクーデターとして取り扱われたのは、魔法相にオッティーの話をしに行ったからでござる。あそこを担当しておる貴族もルーディーの息がかかっていたでござる。もし、話をするのならば国王に直接話をするのが早いでござるが、某は城には入れぬゆえ、お手上げでござるよ。」
「国王に直接か・・・冒険者ギルドは常に中立を保っています。なので王都の政治に介入する事はありません。んー…、中々難しい問題ですな。あ!?そうだ!いい方法があるぞ!タカミ、お前にそれだけの実力があるなら、来月開催される武闘大会に出場してみるといい。確か、優勝者には、国王自ら賞金と優勝の証を授与される。その時に、話をしてみるのはどうだろう。冒険者ギルドとして“難攻不落の屋敷の攻略”という事で推薦する事は出来るぞ。」
「うーん、あまり目立つことはしたくないんだけど・・・まぁ、クッコロさんとオッティーの汚名返上のため一肌脱ぎますか。」
「では、テスラ。タカミを冒険者ギルドの推薦枠として武闘大会への出場の手続きとオッティー様の屋敷の所有手続きをやってくれ。」
「はい、畏まりました。それでは、タカミさん、再度受付に来てください。」
オッティーとボルボの召喚の召喚を解き、ナディアは人化し、ノアは小鳥となって俺の肩に留まる。俺達は、冒険者ギルドのマスターの部屋を退出し、受付へと向かった。
「タカミさん、それではこれとこの書類に記載をお願いします。」
武闘大会の申込書と屋敷の所有権の移管手続きをする。
「はい、以上で手続きは完了です。今日からあそこのお屋敷で暮らすことが出来ます。また、何かありましたら冒険者ギルドへお越しください。」
「分かりました。ありがとうございます。」
俺達は、一旦、屋敷に戻る。なぜなら、ちょっと行きたい所があった。
「ちょっと、出かけてくる。」
「タカミ、どこ行くの?」
「うん、ちょっとヤマトの街まで。師匠の事が気になってね。ちょっと、診察してくる。ティナはナディアと魔法の鍛錬をしてて。」
「わかった。行ってらっしゃい。」
「あら、新しい街に行くのかしら?私はついて行ってよろしいかしら?」
「うん、ノアは新しい仲間だから師匠にも紹介しよう。じゃあ、一緒においで。」
ノアは小鳥になり、俺の肩に留まる。俺は、ゲートを開きヤマトの師匠の家の前に繋げた。俺は、屋敷をノックする。すると、執事のアコードさんが出てきた。
「はい、どなたでございますか?」
「えっと、タカミです。師匠いますか?」
「えーと、どちらのタカミ様でいらっしゃいますか?」
「え?タカミ=エドワードだけど。アコードさん、どうしちゃったんですか?」
「あの、申し上げにくいのですがタカミ様を語らない方がいいですよ。あなたは、タカミ様をご存じないとお見受けいたしました。」
「え!!!俺、タカミですよ。何が・・・あ!」
そうだ、今の俺はほぼ大人になっているんだった。
「あー、話せば長くなりますが、とりあえず、ご説明するので師匠にこれを見せてきてください。」
俺は、師匠から卒業の証としてもらった竜の細工入りのネックレスをアコードに渡す。アコードは、屋敷に戻って行った。数分後、アコードと共に師匠がやって来る。
「君は、本当にタカミなのかい?」
「そうですよ。タカミです。今、中央帝都に居ましたが、師匠の病気が気になって診察に帰って来たんです。俺、責任を取って最後まで治すって師匠と約束したじゃないですか。」
「た、確かに言っている事の辻褄はあっているけど、その恰好はどうしたんだい。」
「ここだと目立つので中で話すのじゃダメですか?」
「あぁ、君がタカミなら全く問題無いのだが・・・」
師匠は俺をよく見て、少し考え込み俺を屋敷に入れてくれる。
「分かった。確かに、タカミの面影がある。君の言う事を信用しよう。取敢えず、入りたまえ。」
俺は、アコードさんと師匠に連れられ、応接間に行く。そして、師匠はソファーに座り、アコードさんは入口に立った。俺もソファーに座る。
「さて、説明してもらおうか。」
「はい、その前に紹介したい人?がいます。ノア!」
俺の肩に留まっていた小鳥がパタパタと床に降りる。
「変化を解いてくれ。」
ノアは、変化を解き、フェニックスの姿へと戻る。それを見ている師匠は顔色を変えない。アコードさんも表情は変わっていないが顔色が少し青気味だ。
「えっと、フェニックスのノアです。帝都に向かっている最中に出会い、従属になってもらいました。その時、ノアの”ユニークスキル”である”不老不死”が自分にも発現してしまいまして・・・、不老不死は、その人の一番いい状態の年齢のまま年を取る事も老いる事も病気になる事もないそうです。つまり、俺は、まだ子供だったので”不老不死”の”ユニークスキル”のせいで急成長してしまったんです。」
「ふ、ふぇ、フェニックスだって!伝説の聖獣ではないか!それを従属にするなんて・・・まぁ、タカミならあり得るか。なんせ、聖獣九尾様を従属にするほどだからな。なるほど、君がタカミだと言う事は分かった。流石に驚いたぞ。私も、フェニックスと相対するなんて思わなかったぞ。」
「初めまして。フェニックスのノアです。これからお見知りおきを」
「は、はい。私はウォーレン・ランバートと申します。フェニックス殿に大変失礼を働きましたこと、お詫び申し上げます。」
「師匠、固いよ・・・」
「何を言っているんだい!当然ではないか!ふぇ、フェニックス殿であるぞ!」
「ウォーレン様、ノアとお呼びくださいませ。ご主人のお師匠様なのですね。どうぞよろしくお願い致しますわ。」
「は、はい。ノア殿。」
「ノアですわ。ご主人のお師匠様」
こんな師匠は見たことが無い。マジで驚いているんだろうな。なんか、今までは余裕のある素敵で奇麗な女性って感じだったのだが。そんな事を考えていると、師匠は大きく深呼吸をした。
「すまない。少し取り乱した。タカミ、君はいつも私の想像の上を行くな。大抵の事では驚かない様にしていたが、流石に驚いたぞ。アコード。君も肩の力を抜きたまえ。彼は、間違いなくタカミだ。こんなことをやってのけるのは彼しかいない。」
「そ、そ、そうでございましたか。タカミ様、先ほどのご無礼をお許し下さい。」
「何言っているんですか。執事として当然の対応だったと思います。俺こそ、こんな姿でいきなり訪問してすみません。」
俺は、師匠とアコードに深々と頭を下げる。
「もういいよ。タカミ。驚いたけど、私の事が気になって来てくれたんだろ。すごく嬉しいし、感謝している。」
「ノア、もう戻っていいぞ。」
ノアは小鳥になり、俺の肩に留まる。
「しかし、九尾様といい、フェニックス様といい、君は一体何をしでかしているんだ?」
「あの…従属はもう2人います。今度、機会があったご紹介しますね。」
とりあえず、オッティーの事は今は黙っていよう。驚きすぎて病気が再発したら困る。
「あと2人もいるのかい。君って奴は・・・」
「すみません・・・」
「いや、別に悪い事をしているわけでは無いのだから謝らなくてもいいのだが、こっちの心臓が持たないよ。」
「おっしゃる通りで…」
「でも、教え子が立派になるのは師匠としては嬉しい。1ヶ月ぶりなだけだが、十数年ぶりの再会の様に思えるよ。」
「ですよね。でも、師匠はお変わりなくて安心しました。」
「1ヶ月だけだからな。私は君と違ってそんなに劇的な変化は無いよ。」
あ、これは皮肉かな(苦笑)
「師匠、それよりもお身体の方は如何ですか?」
「うん、特に何も変わった所は無いかな。食欲も安定している。」
「それは良かった。ちょっと、診たいので部屋を移しませんか?」
「あ、あぁ、そ、そうしようか。」
師匠は、ちょっと戸惑ったような感じだ。俺はそれをスルーし、師匠の部屋に行く。ノアは、応接間でお茶とお菓子を美味しそうに食べている。俺は、空間収納から白衣を取り出し、”バサ”っと着る。
「それでは、診察をします。脱いでくれますか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。心の準備をさせてくれ。」
師匠は、何度か深呼吸をする。そして、服を脱ぎだした。そして、ベッドに横になる。
《アナライズ》
俺は、師匠の状態をモニターする。すべては正常値に収まっていた。
《スキャン》
俺は、手をかざし、頭から足先までスキャンして再発、転移が無いか確認する。胸の所を念入りにスキャンしていると師匠がビクッと動く。
「師匠、動かないで!」
「す、すまん。」
その結果、特に再発も転移も無いようだ。全身の数値も確認するがこれと言って気になる所は無い。全くの健康体である。
「うん。良かった。完治しています。最後にこれを飲んでください。」
俺は、掌よりちょっと小さい小瓶を師匠に手渡す。師匠はそれを一気に飲み干した。
「これで、完治です。これからは再発も病気もしません。良かった。」
「で、君は今、私に何を飲ませたんだい?」
「それは、フェニックスの血です。これを飲むと病気にかからないのです。病気の予防薬と思ってください。ちょっとだけ、副作用がありますが。」
「待て待て!!そんな高価な物を私に飲ませたのか!?」
「へ。俺にとっては師匠の身体の方が大事です。それに沢山ありますから気にしないでください。」
「そう言う問題じゃないだろう。フェニックスの血と言ったら大貴族がかなりの大枚をはたいてまで欲しがるものじゃいか。」
「そうなんですが、俺にとって大枚の大金貨より師匠の身体の方が大切ですから。」
「本当に君って奴は・・・、で、副作用って何だい。」
「はい、二つあります。一つは、俺と同じようにその人が一番いい状態の時になるので、多分、師匠の場合は多少若返ります。2つ目は、寿命が100年延びます。なので今日から100年後まで寿命は来ません。寿命が来ると、なんの前触れもなく死が訪れます。ただし、今日から100年後なのでそれまでに準備してください。」
「普通は、100歳まで生きるか分からないのにな。なるほど。分かった。そ、それでだ。こ、子供は作れるのか?」
「もちろん。そう言う事は問題なく出来ますよ。師匠は子供が欲しいのですか?」
「ば、ば、馬鹿者!例えだ。例え。そ、そりゃ、まぁ、欲しいと言えば、欲しいかもだが・・・」
師匠がなんか”ゴニョゴニョ”言っている。
「え?なんですか?」
「何でもない!と、とにかくありがとう。君のお蔭で命拾いをした。」
「何を言っているのですか!師匠を守るのが弟子の務めです!!」
「そ、そうか。分かった。ありがとう。」
なんか、師匠が嬉しそうな表情になった。俺、なんか変な事言ったか?それは、そうとよく見ると師匠は裸のままだ。
「ご、ごめんんさい!裸のままでしたね。ふ、服を着てください。このままだと目の毒です。師匠の奇麗な肌を見ているとなんか大変なんです。」
俺は、目を手で隠すが、指の間から思いっきり見える。
「な!そ、そうか。では、服を着るとしよう。」
師匠は服を着始めた。
「なんで見ているんだい。」
「み、見ていません。手で目を隠しています。」
「思いっきり見えているぞ。前にも言ったが、私だって恥ずかしいのだぞ。あっちを向いてくれないか?」
「それは、難しい相談です。なので、はやく服を着てください。」
「君は、何を言っているのか分かっているのかい。」
「良く分かっていません(;’∀’)」
「前もちょっと思っていたんだが、君はエッチだな。」
「はい、最近、自信が付いてきました。」
「君は何を言っているのか分かっているのかい?」
「良く分かってません(;’∀’)」
よくわからないやり取りをしながら師匠は服を着る。いつみても師匠の身体は凄く美しい。芸術だ!爆発なのだ!俺が爆発する(謎)。師匠は服を着終わり、いつもの様に俺の前に座る。
「君って奴は・・・回復師として治癒をしてもらっている時はあんなに頼もしいのに・・・」
「うーん、おかしいな。診察している時は、そんな事無いんですが、師匠の身体が奇麗すぎるんですよ。もう、爆発です(謎)」
「もういいよ。分かった、分かった。ところで、帝都での生活はどうなんだい?」
「そうですね。昨日、ついたばかりなので、まだこれからって感じですね。」
「一ヶ月か。結構かかったね。」
「ははは・・・、結構、寄り道したもんで・・・(;’∀’)、とりあえず、帝都の冒険者ギルドに行き図書館の閲覧許可証を発行してもらいました。これから、読めるだけ読もうと思っています。」
「まぁ、半年間だけだから読める数はそんなにないだろうが、魔法学園に入る程度なら読み切れると思う。頑張りたまえ。」
「ありがとうございます。頑張ります。それでは、俺は中央に戻ります。」
「そうなのか?折角、戻って来たんだ。両親に挨拶していきたまえよ。」
「あー、そうですね。大丈夫かな・・・」
「どんな姿でも、親なら大丈夫だろう。ちゃんとわかってくれるよ。」
俺は、師匠に促され、両親に挨拶しに行くことにした。師匠と話をしている最中に、
”コンコン”
ドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ!」
「ご主人様、ご来客があります。ご用が済み次第、応接間にお越しください。」
アコードさんが来客を知らせに来た。俺と師匠は応接間に戻る。ドアの向こうには、ヤマト侯爵の執事であるパーキンさんがいる。
「こんにちは。タカミです。」
「あ、タカミさん、お待ちしておりましたよ。昨日はどうでしたか?」
テスラが俺を出迎えてくれる。
「はい、一応、制圧しましたよ。もう、あのお屋敷は問題無いです。ただ、話し合いの結果、リッチと十数体の霊と一緒に住むことになりました。あそこの持ち主は、”元”魔導騎士団団長のオッティーさんだったんですね。」
「え!浄化出来たんですか?」
「出来ましたよ。とりあえず、マミー数体とホーンデビル4体、リッチ、レッサーデーモンと戦いました。すべて制圧ですね。」
「え!!リッチとレッサーデーモンとアークデーモンですか!?」
「ええ、はい。」
「そんな高位なアンデットと悪魔がいたんですね。っていうか、それを浄化したんですか!!!!!!」
「で、あそこの物件、貰っちゃってもいいんですよね。」
「え、ええ。報酬がそうなっていますから。ですが、タカミさんは冒険者では無いのでどのように対応するか、ギルドマスターと相談してきます。」
テスラは、”パタパタ”と走って、ギルドマスターの所に行った。暫くして、マッチョで無精ひげを生やした30代後半くらいの人物と一緒にテスラが戻ってきた。
「君がタカミ君か。随分、頑張ったみたいだね。」
「いえ、それほどでも。」
「私が中央帝都冒険者ギルドギルドマスターのホープだ。よろしく頼む。で、早速だが、あの屋敷の浄化を行ったそうだが、詳しく話を聞かてもらえないか?」
いいタイミングだ!オッティーさんとボルボの汚名を返上させるため、ギルドマスターと話をしたいと思っていたところだった。それを向こうから聞いて来てくれた。
「はい、その事なんですが・・・」
俺は、事の顛末をギルドマスターのホープに話した。
「わっはっはっは!!なるほど!あそこでエクソシストや冒険者を追い返していたのはリッチになったオッティー様だったと。そして、オッティー様とボルボ様の逸話はでたらめで、首謀者はルーディー魔導騎士団長だった。作り話にしては上出来だ!!」
ホープは、俺の話を一向に信じようとしない。
「では、本人たちに直接聞きますか?」
「わっはっは!!いいだろう。どれ、オッティー様とボルボ様をお連れになるといい。わっはっは!!」
相変わらず、信じて無さそうだ。ちょっと、感じ悪いな。
「では、本人たちを呼びます。ここで呼んでもいいのですが大騒ぎになりませんか??それとも個室に行きますか? 」
ホープは少し考え、
「では、私の部屋に行こうか。テスラ、君も同席しなさい。」
「はい。」
俺達は、冒険者ギルドの奥にあるギルドマスターの部屋に移動した。
「それでは、本人たちを呼びます。いいですね。」
「おう、やってくれ。」
ホープは、”やれやれ”をしながらぶっきら棒に答える。
《召喚 ボルボ及びオッティー》
「主君様、お呼びでござるか?」
「主君様、どのような御用でございますか?」
一部の空間が割れそこから、ボルボとリッチになったオッティーが現れる。
「うん、ギルドマスターが君らを呼べと言うので呼んだんだ。昨日の顛末をギルドマスターのモンテカル殿に話をして欲しい。」
「畏まりました(ござる)」
「な、な、なんだ!!何が起こったんだ?」
「彼らは、俺の従属になんですよ。それで召喚の魔法で呼びました。」
「こ、このリッチがオッティー様だと!!ばかばかしい。」
オッティーが鋭い瞳でモンテカルを凝視する。モンテカルは、目の奥が鋭く光っているオッティーを見返すがすぐ目を反らす。目を反らした先にモンテカルは何かを見つけた。
「そ、それは・・・」
オッティーは何か紋章が付いたネックレスを身に付けている。
「うむ。お主には、これが何なのか分かるようじゃな。そう、魔導騎士団団長の証だ。」
ぼるぼも”ドン”と剣をモンテカルの前に出す。
「某の相棒、妖刀ムラサメでござる。」
モンテカルはビビりながら”恐る恐る”そのネックレスとムラサメを見ている。
「た、確かに、本物です。ですが、なぜ、あなた方の様なお方がこのような青年の従属なのですか?」
「馬鹿を申すでないでござる。我が主君は、我々より遥かに超越した方でござる。貴様は某の主君を侮辱するでござるか?」
「我が主君は、我等の外に聖獣様たちも従属としておるのじゃ。主君がその気になれば帝都など一瞬で灰塵化するぞい。」
「聖獣様を!!ほ、本当なのか?」
「まぁ、そうですね。」
「是非、会わせて貰えないだろうか?」
「うーん、余りナディア達を見世物にしたくないんだけどな。まぁ、ここはクッコロさんとオッティーの汚名返上の為だ。ナディア、ノア、元の姿に戻って。」
「しょうがないのう。とくと見よ。妾の妖艶な姿を」
「ご主人、分かりましたわ。人間、私の姿を拝めるなんて幸運ね。」
ナディアとノアが九尾狐とフェニックスの姿に戻る。
「聖獣 九尾狐とフェニックス!!」
モンテカルは、もう何が何だか分からなくなっている様子だ。テスラも同様だ。暫くすると、モンテカルは落ち着きを取り戻し、話始めた。
「今の話が本当であれば、大問題ですね。しかし、その問題は、王国をあげての問題になると思われます。普通に話をしてももみ消されてしまうのが関の山です。魔法相に掛け合ってみるのはどうなんですか?」
「いや、それは無駄でござる。某がクーデターとして取り扱われたのは、魔法相にオッティーの話をしに行ったからでござる。あそこを担当しておる貴族もルーディーの息がかかっていたでござる。もし、話をするのならば国王に直接話をするのが早いでござるが、某は城には入れぬゆえ、お手上げでござるよ。」
「国王に直接か・・・冒険者ギルドは常に中立を保っています。なので王都の政治に介入する事はありません。んー…、中々難しい問題ですな。あ!?そうだ!いい方法があるぞ!タカミ、お前にそれだけの実力があるなら、来月開催される武闘大会に出場してみるといい。確か、優勝者には、国王自ら賞金と優勝の証を授与される。その時に、話をしてみるのはどうだろう。冒険者ギルドとして“難攻不落の屋敷の攻略”という事で推薦する事は出来るぞ。」
「うーん、あまり目立つことはしたくないんだけど・・・まぁ、クッコロさんとオッティーの汚名返上のため一肌脱ぎますか。」
「では、テスラ。タカミを冒険者ギルドの推薦枠として武闘大会への出場の手続きとオッティー様の屋敷の所有手続きをやってくれ。」
「はい、畏まりました。それでは、タカミさん、再度受付に来てください。」
オッティーとボルボの召喚の召喚を解き、ナディアは人化し、ノアは小鳥となって俺の肩に留まる。俺達は、冒険者ギルドのマスターの部屋を退出し、受付へと向かった。
「タカミさん、それではこれとこの書類に記載をお願いします。」
武闘大会の申込書と屋敷の所有権の移管手続きをする。
「はい、以上で手続きは完了です。今日からあそこのお屋敷で暮らすことが出来ます。また、何かありましたら冒険者ギルドへお越しください。」
「分かりました。ありがとうございます。」
俺達は、一旦、屋敷に戻る。なぜなら、ちょっと行きたい所があった。
「ちょっと、出かけてくる。」
「タカミ、どこ行くの?」
「うん、ちょっとヤマトの街まで。師匠の事が気になってね。ちょっと、診察してくる。ティナはナディアと魔法の鍛錬をしてて。」
「わかった。行ってらっしゃい。」
「あら、新しい街に行くのかしら?私はついて行ってよろしいかしら?」
「うん、ノアは新しい仲間だから師匠にも紹介しよう。じゃあ、一緒においで。」
ノアは小鳥になり、俺の肩に留まる。俺は、ゲートを開きヤマトの師匠の家の前に繋げた。俺は、屋敷をノックする。すると、執事のアコードさんが出てきた。
「はい、どなたでございますか?」
「えっと、タカミです。師匠いますか?」
「えーと、どちらのタカミ様でいらっしゃいますか?」
「え?タカミ=エドワードだけど。アコードさん、どうしちゃったんですか?」
「あの、申し上げにくいのですがタカミ様を語らない方がいいですよ。あなたは、タカミ様をご存じないとお見受けいたしました。」
「え!!!俺、タカミですよ。何が・・・あ!」
そうだ、今の俺はほぼ大人になっているんだった。
「あー、話せば長くなりますが、とりあえず、ご説明するので師匠にこれを見せてきてください。」
俺は、師匠から卒業の証としてもらった竜の細工入りのネックレスをアコードに渡す。アコードは、屋敷に戻って行った。数分後、アコードと共に師匠がやって来る。
「君は、本当にタカミなのかい?」
「そうですよ。タカミです。今、中央帝都に居ましたが、師匠の病気が気になって診察に帰って来たんです。俺、責任を取って最後まで治すって師匠と約束したじゃないですか。」
「た、確かに言っている事の辻褄はあっているけど、その恰好はどうしたんだい。」
「ここだと目立つので中で話すのじゃダメですか?」
「あぁ、君がタカミなら全く問題無いのだが・・・」
師匠は俺をよく見て、少し考え込み俺を屋敷に入れてくれる。
「分かった。確かに、タカミの面影がある。君の言う事を信用しよう。取敢えず、入りたまえ。」
俺は、アコードさんと師匠に連れられ、応接間に行く。そして、師匠はソファーに座り、アコードさんは入口に立った。俺もソファーに座る。
「さて、説明してもらおうか。」
「はい、その前に紹介したい人?がいます。ノア!」
俺の肩に留まっていた小鳥がパタパタと床に降りる。
「変化を解いてくれ。」
ノアは、変化を解き、フェニックスの姿へと戻る。それを見ている師匠は顔色を変えない。アコードさんも表情は変わっていないが顔色が少し青気味だ。
「えっと、フェニックスのノアです。帝都に向かっている最中に出会い、従属になってもらいました。その時、ノアの”ユニークスキル”である”不老不死”が自分にも発現してしまいまして・・・、不老不死は、その人の一番いい状態の年齢のまま年を取る事も老いる事も病気になる事もないそうです。つまり、俺は、まだ子供だったので”不老不死”の”ユニークスキル”のせいで急成長してしまったんです。」
「ふ、ふぇ、フェニックスだって!伝説の聖獣ではないか!それを従属にするなんて・・・まぁ、タカミならあり得るか。なんせ、聖獣九尾様を従属にするほどだからな。なるほど、君がタカミだと言う事は分かった。流石に驚いたぞ。私も、フェニックスと相対するなんて思わなかったぞ。」
「初めまして。フェニックスのノアです。これからお見知りおきを」
「は、はい。私はウォーレン・ランバートと申します。フェニックス殿に大変失礼を働きましたこと、お詫び申し上げます。」
「師匠、固いよ・・・」
「何を言っているんだい!当然ではないか!ふぇ、フェニックス殿であるぞ!」
「ウォーレン様、ノアとお呼びくださいませ。ご主人のお師匠様なのですね。どうぞよろしくお願い致しますわ。」
「は、はい。ノア殿。」
「ノアですわ。ご主人のお師匠様」
こんな師匠は見たことが無い。マジで驚いているんだろうな。なんか、今までは余裕のある素敵で奇麗な女性って感じだったのだが。そんな事を考えていると、師匠は大きく深呼吸をした。
「すまない。少し取り乱した。タカミ、君はいつも私の想像の上を行くな。大抵の事では驚かない様にしていたが、流石に驚いたぞ。アコード。君も肩の力を抜きたまえ。彼は、間違いなくタカミだ。こんなことをやってのけるのは彼しかいない。」
「そ、そ、そうでございましたか。タカミ様、先ほどのご無礼をお許し下さい。」
「何言っているんですか。執事として当然の対応だったと思います。俺こそ、こんな姿でいきなり訪問してすみません。」
俺は、師匠とアコードに深々と頭を下げる。
「もういいよ。タカミ。驚いたけど、私の事が気になって来てくれたんだろ。すごく嬉しいし、感謝している。」
「ノア、もう戻っていいぞ。」
ノアは小鳥になり、俺の肩に留まる。
「しかし、九尾様といい、フェニックス様といい、君は一体何をしでかしているんだ?」
「あの…従属はもう2人います。今度、機会があったご紹介しますね。」
とりあえず、オッティーの事は今は黙っていよう。驚きすぎて病気が再発したら困る。
「あと2人もいるのかい。君って奴は・・・」
「すみません・・・」
「いや、別に悪い事をしているわけでは無いのだから謝らなくてもいいのだが、こっちの心臓が持たないよ。」
「おっしゃる通りで…」
「でも、教え子が立派になるのは師匠としては嬉しい。1ヶ月ぶりなだけだが、十数年ぶりの再会の様に思えるよ。」
「ですよね。でも、師匠はお変わりなくて安心しました。」
「1ヶ月だけだからな。私は君と違ってそんなに劇的な変化は無いよ。」
あ、これは皮肉かな(苦笑)
「師匠、それよりもお身体の方は如何ですか?」
「うん、特に何も変わった所は無いかな。食欲も安定している。」
「それは良かった。ちょっと、診たいので部屋を移しませんか?」
「あ、あぁ、そ、そうしようか。」
師匠は、ちょっと戸惑ったような感じだ。俺はそれをスルーし、師匠の部屋に行く。ノアは、応接間でお茶とお菓子を美味しそうに食べている。俺は、空間収納から白衣を取り出し、”バサ”っと着る。
「それでは、診察をします。脱いでくれますか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。心の準備をさせてくれ。」
師匠は、何度か深呼吸をする。そして、服を脱ぎだした。そして、ベッドに横になる。
《アナライズ》
俺は、師匠の状態をモニターする。すべては正常値に収まっていた。
《スキャン》
俺は、手をかざし、頭から足先までスキャンして再発、転移が無いか確認する。胸の所を念入りにスキャンしていると師匠がビクッと動く。
「師匠、動かないで!」
「す、すまん。」
その結果、特に再発も転移も無いようだ。全身の数値も確認するがこれと言って気になる所は無い。全くの健康体である。
「うん。良かった。完治しています。最後にこれを飲んでください。」
俺は、掌よりちょっと小さい小瓶を師匠に手渡す。師匠はそれを一気に飲み干した。
「これで、完治です。これからは再発も病気もしません。良かった。」
「で、君は今、私に何を飲ませたんだい?」
「それは、フェニックスの血です。これを飲むと病気にかからないのです。病気の予防薬と思ってください。ちょっとだけ、副作用がありますが。」
「待て待て!!そんな高価な物を私に飲ませたのか!?」
「へ。俺にとっては師匠の身体の方が大事です。それに沢山ありますから気にしないでください。」
「そう言う問題じゃないだろう。フェニックスの血と言ったら大貴族がかなりの大枚をはたいてまで欲しがるものじゃいか。」
「そうなんですが、俺にとって大枚の大金貨より師匠の身体の方が大切ですから。」
「本当に君って奴は・・・、で、副作用って何だい。」
「はい、二つあります。一つは、俺と同じようにその人が一番いい状態の時になるので、多分、師匠の場合は多少若返ります。2つ目は、寿命が100年延びます。なので今日から100年後まで寿命は来ません。寿命が来ると、なんの前触れもなく死が訪れます。ただし、今日から100年後なのでそれまでに準備してください。」
「普通は、100歳まで生きるか分からないのにな。なるほど。分かった。そ、それでだ。こ、子供は作れるのか?」
「もちろん。そう言う事は問題なく出来ますよ。師匠は子供が欲しいのですか?」
「ば、ば、馬鹿者!例えだ。例え。そ、そりゃ、まぁ、欲しいと言えば、欲しいかもだが・・・」
師匠がなんか”ゴニョゴニョ”言っている。
「え?なんですか?」
「何でもない!と、とにかくありがとう。君のお蔭で命拾いをした。」
「何を言っているのですか!師匠を守るのが弟子の務めです!!」
「そ、そうか。分かった。ありがとう。」
なんか、師匠が嬉しそうな表情になった。俺、なんか変な事言ったか?それは、そうとよく見ると師匠は裸のままだ。
「ご、ごめんんさい!裸のままでしたね。ふ、服を着てください。このままだと目の毒です。師匠の奇麗な肌を見ているとなんか大変なんです。」
俺は、目を手で隠すが、指の間から思いっきり見える。
「な!そ、そうか。では、服を着るとしよう。」
師匠は服を着始めた。
「なんで見ているんだい。」
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「思いっきり見えているぞ。前にも言ったが、私だって恥ずかしいのだぞ。あっちを向いてくれないか?」
「それは、難しい相談です。なので、はやく服を着てください。」
「君は、何を言っているのか分かっているのかい。」
「良く分かっていません(;’∀’)」
「前もちょっと思っていたんだが、君はエッチだな。」
「はい、最近、自信が付いてきました。」
「君は何を言っているのか分かっているのかい?」
「良く分かってません(;’∀’)」
よくわからないやり取りをしながら師匠は服を着る。いつみても師匠の身体は凄く美しい。芸術だ!爆発なのだ!俺が爆発する(謎)。師匠は服を着終わり、いつもの様に俺の前に座る。
「君って奴は・・・回復師として治癒をしてもらっている時はあんなに頼もしいのに・・・」
「うーん、おかしいな。診察している時は、そんな事無いんですが、師匠の身体が奇麗すぎるんですよ。もう、爆発です(謎)」
「もういいよ。分かった、分かった。ところで、帝都での生活はどうなんだい?」
「そうですね。昨日、ついたばかりなので、まだこれからって感じですね。」
「一ヶ月か。結構かかったね。」
「ははは・・・、結構、寄り道したもんで・・・(;’∀’)、とりあえず、帝都の冒険者ギルドに行き図書館の閲覧許可証を発行してもらいました。これから、読めるだけ読もうと思っています。」
「まぁ、半年間だけだから読める数はそんなにないだろうが、魔法学園に入る程度なら読み切れると思う。頑張りたまえ。」
「ありがとうございます。頑張ります。それでは、俺は中央に戻ります。」
「そうなのか?折角、戻って来たんだ。両親に挨拶していきたまえよ。」
「あー、そうですね。大丈夫かな・・・」
「どんな姿でも、親なら大丈夫だろう。ちゃんとわかってくれるよ。」
俺は、師匠に促され、両親に挨拶しに行くことにした。師匠と話をしている最中に、
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「ご主人様、ご来客があります。ご用が済み次第、応接間にお越しください。」
アコードさんが来客を知らせに来た。俺と師匠は応接間に戻る。ドアの向こうには、ヤマト侯爵の執事であるパーキンさんがいる。
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