元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ

文字の大きさ
上 下
42 / 81

【キャラバン】

しおりを挟む
 俺達は、順調に旅をしている。馬車を走らせ、移り変わる景色を楽しみながら旅を続ける。ティナは、見る物、体験する物が新鮮らしく相変わらずいつもはしゃいでいる。そんなティナをナディアが相手をし、お互い楽しみながら旅をしている。ウィステリアの街を出て数日が経った頃、商人の一団、つまりキャラバンがいた。俺達は通り過ぎ際にキャラバンに挨拶をするとある商人に呼び止められた。

「兄さん達、どこへ向かっているんだい?」

「はい、ドアマンドへ向かう途中です。地図を見る限りだとまだ結構ありそうなので出来るだけ先に進もうかと思いまして。」

「君達は、この街道は初めてのようだね。この先から、”夜の帳”というかなり大規模な盗賊団の縄張りなんだよ。だから、商人は、大体この辺りからキャラバンを結成して進むんだ。悪い事は言わないから、君らも我々のキャラバンに参加した方がいいよ。」

 商人は、親切に盗賊団の事を教えてくれる。

「我々もまだ遭遇したことは無いのだが、規模的には100名以上からなる盗賊団らしい。中央帝都から討伐部隊も結成され、治安の維持に努めているのだが如何せん数が多い。中には手練れの盗賊もいるらしいので、かなり厄介と言う話を聞いたことがある。」

「その盗賊団に遭遇するとどうなるんですか?」

「まぁ、身ぐるみ剥がされるのは当然のことだが、女、子供は奴隷として売られるだろうね。男は皆殺しって聞いた。いくらキャラバンを結成したところで身の安全が保障されるかは分からないが、襲われにくくなるのは間違いないだろう。」

「なるほどですね。どおする?キャラバンに参加する?」

「ティナは、アルファードに任せる。」

「妾もじゃ。」

 まぁ、そう言うと思っていたけどね。正直、盗賊なんて俺達だけでも追っ払う事は出来ると思うが、ここはキャラバンを経験するのにいいのかもしれない。それに、今後の事も考え、商人と繋がりを作るもの悪くない。

「色々教えていただきありがとうございました。是非、キャラバンに参加させていただきたいと思います。どのようにすればいいですか?」

「それは、よかった。こっちもキャラバンが大きくなればそれだけ安心だからね。そうそう、私の名前は、サーブ。よろしく頼むよ。」

「はい。私がアルフォード、こっちの子がティナ、こちらの女性がナディアです。よろしくお願いします。」

「では、早速だけど、奥の赤いテントでキャラバンの加入の受付をしているよ。必要事項を記入し、護衛費を支払えば終わりだ。もし、字が書けないようであれば代筆もしてくれる。」

「ありがとうございます。行ってきます。」

 俺達は、馬車を停めると赤いテントに向かい申し込みをする。俺達がゴールドランクの冒険者であると分かると、費用は必要ないから有事の際の護衛をお願いされた。報酬については、有事の際にどれだけ貢献できたかによる出来高制との事。その他、キャラバンの説明を受け、受託した。

「ティナ、ナディア、今日からキャラバンの人達と一緒だから、簡易拠点を使わずにテントを使うよ。」

「うん。分かった。テントはテントで楽しみ。」

「了解じゃ。でも、流石商人のキャラバンじゃのう。出店も沢山出ておる。後でちと見に行ってきてもいいかの?」

「勿論。良かったら、ティナも行っておいで」

「アルファードは行かないの?」

「んー。俺は、ご飯の支度をしないといけないからね。今日は、BBQにしようと思ってるよ。」

「やった!アルファードが作るBBQすごく美味しいし、楽しいから好き!」

「いいの!BBQ。妾は肉多めがいいのじゃ!」

「了解です。じゃあ、馬車に戻って準備をするね。二人は、キャラバンを見て回るといい」

「うん。行ってきます。」

「行って来るのじゃ。」

 俺は、二人と別れ馬車に戻り、馬の世話をする。馬の世話が終わり、続いてBBQの準備をしていると、サーブがやって来た。

「おや、夕食の準備ですか?」

「はい。折角の野外ですのでBBQにしようと思ってます。」

「BBQ?」

「はい。こうやって野菜や肉を串にさして焼いて食べたり、網に食材を乗せて焼いて食べるんです。食材だけで食べてもいいし、各種調味料を使ってもいい。色々な食べ方があるんです。それに、大勢でBBQをすると楽しいですよ。食べながら飲み、語り、歌い、何でもありです。」

「おお!それは、楽しそうですね。良かったら、我々も参加させてもらえませんか?」

「いいですねー。食材を持ち寄って食べるのもBBQの醍醐味ですから。」

 サーブは、自分達の仲間も一緒にBBQに参加したいと言い出した。俺的には、今後の事を考えると商人との付き合いも欲しいと思っていたのでとても喜ばしい申し出である。俺は、土魔法で大きめに焼場を作り、炭に火を起こし、食材を並べる。ここで、今後、売り出しを考えていた「マヨネーズ」の登場させた。飲み物も用意し、いつでもBBQが始められる。サーブも仲間と共に飲み物や食材を持ってやって来た。

「お!こりゃ、美味そうだ!結構、色々な食材が揃ってるな!」

「ええ、街で買ったり、農家の人から買ったり、森で狩ったり、色々食材はありますよ。」

「お!そりゃ、楽しみだ!如何せん、旅の間は保存食がほとんどだからな。しかし、あの馬車によくそんなに荷物が詰めるな。馬の水や餌で結構、一杯にならないか?」

「あぁ、俺にはそんなに大きな馬車は必要としません。だって、ほら」

 俺は、空間収納から肉の塊を取り出す。それを見た商人達はすごい驚きようだ。

「!!!!」

「これは、アイテムボックスか!?初めて見たぞ!」

「まあ、アイテムボックスとは少し違いますけどね。似たようなもんです。」

「こりゃー、凄い!いい物を見せてもらった。」

 俺は、商人達に取り囲まれた。

「さて、自己紹介をしたいのだが。」

 サーブは、俺達と商人達に向かって話し始めた。

「俺は、サーブ。旅の行商人をやっている。主に地方の調味料や食材を仕入れて売っている。特に店は構えてないな。」

 俺達の番が回ってきた。

「俺は、アルファードです。こっちの子がティナ。こちらの女性がナディア。俺達も中央帝都に向かう旅の途中です。ゴールドラングの冒険者をやっています。よろしくお願いします。」

 次々と商人達は自己紹介していく。サーブが色んな商人にBBQに参加しないか声をかけてくれたらしい。約8組の商人たちがBBQに参加してくれた。

「俺は、ヒルマンだ。ドアマンドで商店をやっている。ウィステリアで仕入れをしてその帰りだ。主に武器や防具を扱っている。武器や防具に装着する素材も売っているぞ!ドアマンドに着いたら寄ってみてくれ。」

「俺は、ニーヴァ。ウィステリアから中央帝都に向かっています。中央帝都で物流の全般を取り仕切るので良い商品がございましたら是非うちにお持ち込みください。」

 自己紹介も終わり、BBQが始まる。皆は各々食材に手を伸ばし、自分達で焼いて食べる。その際に、俺は”マヨ”を売り込んだ。

「お!こりゃ旨い!これは、何て言う調味料なんですか?」

 サーブが俺に尋ねてくる。

「これは、マヨネーズと言う調味料なんです。肉、魚、野菜、穀物、すべての食材に合わすことが出来ます。また、調味料同士、混ぜ合わせてもいいですねー」

「ほぉー。確かにこれは旨い!」

 その他の商人達もマヨに食いついてきた。

「これは、どこで仕入れたのですか?」

「これは、自分達で作っているんですよ。今度、大量に作って売り出そうと思っています。」

「それはいい!その際は、是非、うちで取り扱わせてくださいよ。」

 ニーヴァが中央帝都の物流として取り扱ってくれるそうだ。商人達は、「マヨ」の将来性を大きくかってくれている。やはり、どこの世界でも「マヨ」は人気者だ。

「そうですね。その際は、お願いします。」

 俺は、商人達に宣伝して周る。お金もあるし、マヨ工場を作って売りに出そうと思う。でも、俺、商人じゃないから物流なんて全然分かんないけどね。ナディアは、マヨを売り込みながら、商人達と飲んでいる。ティナもティナの周りにいる従者の人と楽しそうに話をしている。皆、各々BBQを楽しんでいるようだ。そして、夜も更けていき、段々人が減る。ナディアは相変わらずだが、ティナは片づけを手伝ってくれる。ある程度、片付けが終わった所で、俺達はテントに戻り就寝した。この日は、特に盗賊の襲来とかは無い、平和な時間が過ぎた。

 翌日、俺達は、ゴールド冒険者であると言う事でキャラバンの先頭を任された。キャラバンの一行は、時折出現する小型の魔物を冒険者達が一掃し、順調に旅を続けていた。昼食を食べ終え、一行が進行の準備をしている一体の巨大なロックゴーレムが現れた。全長5mもあり、その巨大な身体から繰り出される鉄拳は人など簡単に肉片にしてしまう。冒険者達が集まり、ロックゴーレムに攻撃を仕掛ける。しかし、その固い岩の身体には剣や下位魔法などでは全くびくともしない。それもそうだ。ロックゴーレムと言ったら、通常ダンジョンの守護者にもなる魔物である。

「皆、下がってください。」

 俺は、前衛で戦っている冒険者を下げさせる。そして

《ブラストウィンド》

 ”どばーん”

 風の砲撃がロックゴーレムの胸に風穴を開ける。

《アイスレイン》

 風穴の空いたロックゴーレムに氷の矢の雨が降り注ぎロックゴーレムに突き刺さっていく。そして、ロックゴーレムは、ばらばらになり、絶命する。俺は、ロックゴーレムの魔石と身体の一部にあるミスリル鉱石を拾い、キャラバンに戻る。

「おお!すげー!なんて魔法だ!あのロックゴーレムがあっという間に倒されたぞ!」

「おいおい、ロックゴーレムを倒せる奴がここにいるなんて驚きだよ。流石、冒険者ギルドのゴールドランクだ。」

 冒険者達が”ワイワイ”騒いでいる。バラバラになったロックゴーレムに冒険者達が集まり、”記念”とか言ってロックゴーレムの身体の一部を持って帰る者も出た。残りはただの岩なのに・・・
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...