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侯爵は、走って出て行く。師匠が後を追ったので、俺もそれについて行く。
「エヴァ!大丈夫か!おい、何をしている。こんなに苦しがっているではないか!」
侯爵は、専属の回復師に問いただす。
「はい。全力をもって治癒していますが一向に回復せず…」
回復師は、お腹に手を当てヒールをかけている。これ、結構やばそうだな。
「師匠。もしよろしければ僕が診ましょうか?」
俺は、師匠に提案する。すると、師匠は頷く。
「侯爵様、タカミに奥様の様子を診せたいのですがよろしいですか?」
すると、回復術士が怒鳴る。
「そんな子供に見せても治るものか!そこでだまって見ておれ!」
なんか、むかつく。
「侯爵様!一刻を争いますよ。」
師匠が声を荒げる。
「わ、わかった。おい、そこをどいてタカミに変われ。」
伯爵は、回復術士をどかすと俺の目を見て
「エヴァの事、よろしく頼む!」
と懇願する。
「任せてください。」
俺は、エヴァの元に行く。そして、お腹を触る。
「今、妊娠何週目ですか?」
「何週…、妊娠が分かってから133日目だ。」
妊娠19週か。まだ、子供は未熟過ぎて産めないな。
「分かりました。すみません。男性は、外に出ていてもらっていいですか?」
「わかった。後はよろしく頼む。」
俺は、侯爵と回復師を外に出す。
「師匠、手伝ってもらっていいですか?シルビアは心配だったらそこにいていいよ。でも、見たくなかったら外出ていて。」
俺は、オペするための空間を作る
《メディカルルーム》
3*3mの光の空間ができ、その中をクリーンルームにする。空間収納からオペセットを取り出し、広げ、準備をする。そして、空間収納から白衣を取り出し、“バサッ”と着る。師匠にも白衣を渡し着てもらう。
「タカミ、これは?」
「はい、雑菌等を取り除いた奇麗な診察用の服です。服の上からでいいので来てください。」
師匠は服の上から白衣を着ると光の空間に入ってくる。
「僕は、お腹の上まで服をまくり上げますので、師匠は、下半身を脱がせてください。」
俺は、てきぱきと処置を始める。師匠は、少しためらいながら下半身を脱がせていく。
「タカミ、脱がせたよ。」
「脱がせた下着を診せてください。」
俺は、下着をみておりものの様子を観察する。うん。なるほどね。感染症に間違いなさそうだな。
「では、師匠は、両足をカエルの様に開いて固定していて下さい。」
俺は師匠に指示を出し、処置にかかる。
「必要ないと思いますが一応、麻酔します。それでは、処置を始めます。」
《アネスシージャ》
《スキャン》
俺は手をお腹の上部から下腹部まで手を当て、身体の中を見る。うん。やはり、子宮に炎症が見られるな。そのまま、下にずらし手を局部の少し上に当てる。うん。ちょっとやばいな。
「エヴァさんは、子宮頚管無力症で胎胞脱出を起こしています。子宮口が約2㎝ほど開いてる。このままでは、早産してしまいますので、まずは、ここを処置します。」
防御結界で膣を広げ、ライトで中を照らす。間認識を用いて胎胞脱出している部分を膣から空気の棒を作り出して、軽く押し戻す。そして、これ以上、下がらない様にシールで子宮口を塞ぐ。
《プロテクション》
《ライト》
《エアロッド》
《シール》
とりあえず、これで子供が落ちることは無いかな。後は、膣内洗浄をしとくか。空間収納より生食を取り出し、シリンジで膣内を洗浄する。そして、下半身の魔法を解除する。
次は子宮の炎症の確認だな。
《スキャン》
俺は、子宮の内部をスキャンしていく。子供は元気なようだ。しかし、脱落膜と絨毛膜、羊膜の一部に炎症が起こっている
「エヴァさんの子宮は、絨毛膜羊膜炎を起こしてまいすね。このままだと子供に影響が出ます。次はここを処置します。その前に、細菌のチェックをします。」
《アナライズ》
目の前に感染した細菌の一覧と細菌数が表示される。これはすごい!ん?淋菌。こいつは…
「うん。思った通り、細菌に感染していますね。処置します。」
《キュアバクテリア》
ターゲットのスキルを用いて指定した細菌を取り除いていく。
「細菌を取り除いたので炎症を抑え、子宮を回復させます。」
《キュア》
《ヒール》
「少し、ホルモンや酵素、体内環境が崩れているのでバランスを正常に戻します。」
《ホメオスタシス》
子宮の収縮が収まる。エヴァも楽になるだろう。
これで一通りの処置は済んだかな。
《キュア》
「これで終わりです。奇麗な服に着替えさせて、安静にしてください。」
廊下にで待っている侯爵様に奥様の無事を伝える。隣にいた回復師が“ワナワナ”してたのは言うまでもない。
「エヴァー!無事でよかった!!お腹の子も無事で本当に良かった…」
侯爵は、精根尽きたように両膝をついた。俺は、侯爵様に手を貸す。そして、
「師匠。おかげで無事に終わりました。ありがとうございます。」
手伝いをしてくれた師匠に頭を下げる。すると、師匠は俺を抱きしめ、小さく
「ありがとう」
と言った。
少しして、エヴァが目を覚ます。
「身体の調子はどうですか?」
「はい。今は何とも無いです。私と子供は助かったのですか?」
「はい。助かりましたよ。お腹の子も無事です。良かったですね。」
エヴァは、スーッと涙を流す。
「誰かは分かりませんが、私“達“を助けてくださり、本当にありがとうございました。」
すると、師匠が俺の横に来る。
「ウォーレン。」
師匠は頷くと、
「エヴァ、この子がいつも話していた“愛弟子“のタカミだよ。」
お。なんか、いい感じに評価が上がっている。
「初めまして、ウォーレン大魔導士の弟子 タカミ・エドワードです。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。」
俺と師匠は笑顔でエヴァに挨拶をした。
応接間に戻り、今回の処置の説明をした。本当は処置する前に説明なんだけどね…
「えっと、この度の病気は絨毛膜羊膜炎という病気です。症状としては、発熱やおりものの増加があります。従来、おりものはチーズの様な匂いなのですが、菌に感染すると生臭い魚の様な匂いになります。この状態だと子宮内膜炎起こしている可能性があります。女性はストレスや不摂生からなる事が多いので注意して下さい。で、これが妊婦で発症し、ほって置くと子宮口が開き、脱落膜が飛び出し、破水してしまい早産となってしまいます。もし、赤ちゃんが今、生まれてしまうと今の日数では赤ちゃんとても未熟な状態なので、自力で生きられません。なので、もう少しお母さんのお腹の中で成長してから出てもらいましょう。」
皆様が目を丸くしている。分かったよー。俺は、絵を描きながら説明する。
「お母さんのお腹の中は、こういう風になっています。」
子宮、子宮口、赤ちゃん、脱落膜、絨毛膜、羊膜と順番に書く。
「そして、ここから赤ちゃんが出ます。しかし、本来はまだ、ここの子宮口と呼ばれる部分は閉じているんです。しかし、奥様は、病気のせいで“これ位”子宮口が開いちゃっていました。」
俺は、指でどれくらい開いていたか示した。
「ここが開いてしますと、ここから脱落膜が外に出て破水して早産になってしまいます。そこで、少し脱落膜を押し戻し、魔法で固定しました。そして、次にへその緒に繋がっているここの部分に炎症、つまり菌が感染していました。なので、ここを処置しました。あのまま放置しておくと菌がどんどん増えて子供にも感染してしまします。こうなったら、もう、お手上げです。その前に、処置できました。しかし、感染を起こしたことで身体の防御が働き、身体は子供を産もうとしちゃいます。今度は、それを調整して抑えました。こんな感じです。」
俺は出来るだけ優しく説明したつもりだが、皆様は目を丸くしています。まぁ、助かったからいいよね。
「タカミ!すごい!!」
シルビアが抱き付いてきた。そしてぼろぼろ泣いてる。
「お母さまを、そして赤ちゃんを守ってくれて本当にありがとう。」
「いえ、当然の事をしたまでですよ。」
「いや、普通だったらエヴァも子供もどうなっていたか…下手したら母子ともに…」
侯爵も泣いている。それを見て俺は“オロオロ”する。そりゃそうでしょ。そんな俺の頭に師匠は手を乗せ撫でてくれる。伯爵は落ち着きを取り戻し、俺に礼を言う
「タカミには、本当に感謝している。街の事といい、妻やお腹の子の事といい、感謝してもしきれぬ。今後、どんな事があろうと私はタカミの力になる。何なりと言ってくれ!」
侯爵は、俺の両手を掴みそこに頭を付ける。
「あ、あの、わ、分かりました。では、その節はお世話になります。」
なんか、意味わかんない事を言っている?俺
「君のする事にはもう驚か無いと決めていたのに完敗だ。はっきり言って驚いた。君の知識は一体どうなっているんだい。」
「うーん、どうなってるんでしょうね。あははは」
笑ってごまかすしかない。ってゆうか、ずっとシルビアが俺の腕に引っ付いている。
「あのぉー、シルビアお嬢様。そろそろよろしいでしょうか。」
「タカミ!是非、私に魔術を教えて頂戴!」
えー!マジっすか。
「うん。君の実力はすごく分かった。良かったら、少しの間でいいからシルビアの専属魔導士になってもらえないか?」
「えええええ!し、師匠―。」
「いいじゃないか。教えるのも勉強の一つだよ。いい勉強になるし、中央帝都に行くための資金も集まるじゃないか。」
あー、そう言えば、そうだった。でも、ティナやナディアと冒険者もやりたいし。
「ま、毎日でなければいいかな…」
「私は毎日がいい。ここに住めばいいじゃない!」
こらこら、無茶を言いなさんな。お嬢様。
「いいじゃないか。折角、専属魔導士になってくれると言っているんだ。少しは我慢しなさい。」
侯爵がお嬢様を宥めてくれる。
「分かりましたわ。お父様…。」
「では、一日置きでいいですか?」
「えー。」
「シルビア!」
「はい…。」
なんか、ちょっとシュンとしてる。元気なお嬢様も可愛いけど、シュンとしてる顔も可愛いな。たまには虐めよう。
「そうそう。お給料は、月に大金貨1枚でどうだい?」
「えええええ!そ、そんなに頂けるんですか!!」
なんか、すごい大盤振る舞いだ!俺は、両手を上げて驚いてしまった。
「では、タカミ。明後日からよろしく頼むよ。」
「わ、分かりました。伯爵様。」
俺は、お辞儀をする。あ、そうだ。ちょっと確認したい事があったんだ。
「あの。奥様なんですが、出来れば安静にしていてください。僕が来た時、様子を見ますがそれまでベッドから出ない様にお願いします。それと、侯爵様お話があります。二人になれますか?」
「ふむ。なんだ。では、向こうの誰もいない部屋に移ろう。」
侯爵に誰もいない部屋に案内してもらい事の経緯を説明する。
「奥様は絨毛膜羊膜炎という病気を患っていたのは説明した通りです。これは、細菌による感染が原因です。今の奥様はきちんと処置しましたので問題ないですが、伯爵様に問題があるかもしれません。大変失礼なのを承知で、確認したい事があるのですが、ズボンを下ろしてもらってよろしいですか?」
「な、何を無礼な。なぜ私が…」
やっぱ、なんか怪しいな。そう言う事だろう。
「僕ならすぐ治せますよ。」
・・・
「あっという間に治りますよ。」
・・・
「勿論、誰にも言いません!」
「ほ、本当か!よし、ちょっと診てくれ。」
そう言って、伯爵はズボンを下ろし、“物”を出す。あー、やっぱりね。
《アナライズ》
《キュアバクテリア》
《ヒール》
侯爵様の“物”が奇麗に治る。やっぱ、男がやる事はどこの世界でも一緒か(笑)
「えっと、今ので分かる通り、原因は侯爵様です。多分、感染したのは約1ヶ月ほど前だと思いますよ。奥様と“した”時に移ったと思います。その前に奥様が発症してなかったって事は“移された”って事なんです。」
侯爵様は、黙っている。
「まだ、子供ですが、僕も男です。気持ちは分かります。出来れば、相手も治癒しないと他の人に移してしまう、若しくは、“また貰う”事になりますよ。それで聞いているのです。勿論、この事は他言しません。」
侯爵は、俺の手を握り、
「男と男の約束だぞ!他言無用だからな。特に、妻とシルビア」
あー、あー、しっかり知られたく無い人の名前まで出ちゃったよ。
「分かりました。で、どうしますか?彼女も治しますか?」
「ああ。よろしく頼む。」
「相手はどなたですか?」
「あの時、我々を呼びに来たメイドだ。」
「…、なるほど」
「移された人に心当たりは?」
……移されたのは、まぁ、街の娼婦か。まぁ、それはしょうが無いとして、そのメイドを呼んでもらう。女性は、気付かない事があるから誰かに移してないかな。
「すみません。男性は出てもらっていいですか?」
侯爵様を部屋の外に出す。そして、そのメイドさんを治療した。そのメイドさんに誰かに移してないか確認する。そのメイドさんは、侯爵様が初めてだったらしく、侯爵様一筋だそうだ。真偽のスキルで本当である事が分かったので、治療はここまでで終わった。
帰り際に、侯爵に他言無用と再度念をおされ、金貨1枚貰った。皆さんも、性病には気を付けようね。
========タカミのワンポイント========
異常細菌が頸管に沿って感染して行き赤ちゃんや羊水を包む卵膜にまで達すると『絨毛膜羊膜炎』と呼ばれ様々な病態を引き起こします。また分娩時に赤ちゃんに産道感染を起こし肺炎や髄膜炎などを起こすことがあります。すべての細菌が悪さをするわけではなく、絨毛膜羊膜炎を引き起こす細菌は約20種で特殊な病原体も含まれ、また産道感染で問題となるB群溶連菌(GBS)は早産の危険因子にはならないという報告も多くあります。絨毛膜羊膜炎はサイトカインという炎症を起こす物質などが子宮を収縮させるプロスタグランジンをつくり、これらが作用して子宮を収縮させるとともに頸管を熟化、すなわち柔らかく、短く、子宮の出口を拡げお産のときと同じような状態にして行きます。また炎症を起こした組織には好中球という白血球の一種が集まりエラスターゼという酵素を放出します。このエラスターゼが卵膜のコラーゲンを溶かすことにより卵膜が破れ破水してしまいます。このような病態が重なって早産に至ります。妊婦における細菌性腟症の頻度は10~30%とされ、細菌性腟症では早産や低出生体重児出産となる頻度が40%増加し、前期破水の頻度が10%増すといわれています。しかし絨毛膜羊膜炎となっても無症状のことが多いため早産の予知が難しい一因となっています。症状としてはおりものの増加や悪臭、子宮の圧痛や発熱です。
治療は腟内の消毒や抗生物質の投与、ウリナスタチンという炎症を抑える作用のある薬剤の投与がありますが、炎症が拡がれば赤ちゃんに影響が及ぶ前に娩出させることもあります。妊娠中は規則正しい生活習慣を心がけ、免疫力が低下することのないようにからだを健康に保つことが唯一の予防策といえるでしょう。
今回は、性病を絡ませたかったので淋病を題材にしました。淋病は、7割に自覚症状がない感染症ですが、出産時に赤ちゃんに感染すると新生児結膜炎を起こして失明することもあるので注意が必要です。
「エヴァ!大丈夫か!おい、何をしている。こんなに苦しがっているではないか!」
侯爵は、専属の回復師に問いただす。
「はい。全力をもって治癒していますが一向に回復せず…」
回復師は、お腹に手を当てヒールをかけている。これ、結構やばそうだな。
「師匠。もしよろしければ僕が診ましょうか?」
俺は、師匠に提案する。すると、師匠は頷く。
「侯爵様、タカミに奥様の様子を診せたいのですがよろしいですか?」
すると、回復術士が怒鳴る。
「そんな子供に見せても治るものか!そこでだまって見ておれ!」
なんか、むかつく。
「侯爵様!一刻を争いますよ。」
師匠が声を荒げる。
「わ、わかった。おい、そこをどいてタカミに変われ。」
伯爵は、回復術士をどかすと俺の目を見て
「エヴァの事、よろしく頼む!」
と懇願する。
「任せてください。」
俺は、エヴァの元に行く。そして、お腹を触る。
「今、妊娠何週目ですか?」
「何週…、妊娠が分かってから133日目だ。」
妊娠19週か。まだ、子供は未熟過ぎて産めないな。
「分かりました。すみません。男性は、外に出ていてもらっていいですか?」
「わかった。後はよろしく頼む。」
俺は、侯爵と回復師を外に出す。
「師匠、手伝ってもらっていいですか?シルビアは心配だったらそこにいていいよ。でも、見たくなかったら外出ていて。」
俺は、オペするための空間を作る
《メディカルルーム》
3*3mの光の空間ができ、その中をクリーンルームにする。空間収納からオペセットを取り出し、広げ、準備をする。そして、空間収納から白衣を取り出し、“バサッ”と着る。師匠にも白衣を渡し着てもらう。
「タカミ、これは?」
「はい、雑菌等を取り除いた奇麗な診察用の服です。服の上からでいいので来てください。」
師匠は服の上から白衣を着ると光の空間に入ってくる。
「僕は、お腹の上まで服をまくり上げますので、師匠は、下半身を脱がせてください。」
俺は、てきぱきと処置を始める。師匠は、少しためらいながら下半身を脱がせていく。
「タカミ、脱がせたよ。」
「脱がせた下着を診せてください。」
俺は、下着をみておりものの様子を観察する。うん。なるほどね。感染症に間違いなさそうだな。
「では、師匠は、両足をカエルの様に開いて固定していて下さい。」
俺は師匠に指示を出し、処置にかかる。
「必要ないと思いますが一応、麻酔します。それでは、処置を始めます。」
《アネスシージャ》
《スキャン》
俺は手をお腹の上部から下腹部まで手を当て、身体の中を見る。うん。やはり、子宮に炎症が見られるな。そのまま、下にずらし手を局部の少し上に当てる。うん。ちょっとやばいな。
「エヴァさんは、子宮頚管無力症で胎胞脱出を起こしています。子宮口が約2㎝ほど開いてる。このままでは、早産してしまいますので、まずは、ここを処置します。」
防御結界で膣を広げ、ライトで中を照らす。間認識を用いて胎胞脱出している部分を膣から空気の棒を作り出して、軽く押し戻す。そして、これ以上、下がらない様にシールで子宮口を塞ぐ。
《プロテクション》
《ライト》
《エアロッド》
《シール》
とりあえず、これで子供が落ちることは無いかな。後は、膣内洗浄をしとくか。空間収納より生食を取り出し、シリンジで膣内を洗浄する。そして、下半身の魔法を解除する。
次は子宮の炎症の確認だな。
《スキャン》
俺は、子宮の内部をスキャンしていく。子供は元気なようだ。しかし、脱落膜と絨毛膜、羊膜の一部に炎症が起こっている
「エヴァさんの子宮は、絨毛膜羊膜炎を起こしてまいすね。このままだと子供に影響が出ます。次はここを処置します。その前に、細菌のチェックをします。」
《アナライズ》
目の前に感染した細菌の一覧と細菌数が表示される。これはすごい!ん?淋菌。こいつは…
「うん。思った通り、細菌に感染していますね。処置します。」
《キュアバクテリア》
ターゲットのスキルを用いて指定した細菌を取り除いていく。
「細菌を取り除いたので炎症を抑え、子宮を回復させます。」
《キュア》
《ヒール》
「少し、ホルモンや酵素、体内環境が崩れているのでバランスを正常に戻します。」
《ホメオスタシス》
子宮の収縮が収まる。エヴァも楽になるだろう。
これで一通りの処置は済んだかな。
《キュア》
「これで終わりです。奇麗な服に着替えさせて、安静にしてください。」
廊下にで待っている侯爵様に奥様の無事を伝える。隣にいた回復師が“ワナワナ”してたのは言うまでもない。
「エヴァー!無事でよかった!!お腹の子も無事で本当に良かった…」
侯爵は、精根尽きたように両膝をついた。俺は、侯爵様に手を貸す。そして、
「師匠。おかげで無事に終わりました。ありがとうございます。」
手伝いをしてくれた師匠に頭を下げる。すると、師匠は俺を抱きしめ、小さく
「ありがとう」
と言った。
少しして、エヴァが目を覚ます。
「身体の調子はどうですか?」
「はい。今は何とも無いです。私と子供は助かったのですか?」
「はい。助かりましたよ。お腹の子も無事です。良かったですね。」
エヴァは、スーッと涙を流す。
「誰かは分かりませんが、私“達“を助けてくださり、本当にありがとうございました。」
すると、師匠が俺の横に来る。
「ウォーレン。」
師匠は頷くと、
「エヴァ、この子がいつも話していた“愛弟子“のタカミだよ。」
お。なんか、いい感じに評価が上がっている。
「初めまして、ウォーレン大魔導士の弟子 タカミ・エドワードです。ご挨拶が遅れて申し訳ございません。」
俺と師匠は笑顔でエヴァに挨拶をした。
応接間に戻り、今回の処置の説明をした。本当は処置する前に説明なんだけどね…
「えっと、この度の病気は絨毛膜羊膜炎という病気です。症状としては、発熱やおりものの増加があります。従来、おりものはチーズの様な匂いなのですが、菌に感染すると生臭い魚の様な匂いになります。この状態だと子宮内膜炎起こしている可能性があります。女性はストレスや不摂生からなる事が多いので注意して下さい。で、これが妊婦で発症し、ほって置くと子宮口が開き、脱落膜が飛び出し、破水してしまい早産となってしまいます。もし、赤ちゃんが今、生まれてしまうと今の日数では赤ちゃんとても未熟な状態なので、自力で生きられません。なので、もう少しお母さんのお腹の中で成長してから出てもらいましょう。」
皆様が目を丸くしている。分かったよー。俺は、絵を描きながら説明する。
「お母さんのお腹の中は、こういう風になっています。」
子宮、子宮口、赤ちゃん、脱落膜、絨毛膜、羊膜と順番に書く。
「そして、ここから赤ちゃんが出ます。しかし、本来はまだ、ここの子宮口と呼ばれる部分は閉じているんです。しかし、奥様は、病気のせいで“これ位”子宮口が開いちゃっていました。」
俺は、指でどれくらい開いていたか示した。
「ここが開いてしますと、ここから脱落膜が外に出て破水して早産になってしまいます。そこで、少し脱落膜を押し戻し、魔法で固定しました。そして、次にへその緒に繋がっているここの部分に炎症、つまり菌が感染していました。なので、ここを処置しました。あのまま放置しておくと菌がどんどん増えて子供にも感染してしまします。こうなったら、もう、お手上げです。その前に、処置できました。しかし、感染を起こしたことで身体の防御が働き、身体は子供を産もうとしちゃいます。今度は、それを調整して抑えました。こんな感じです。」
俺は出来るだけ優しく説明したつもりだが、皆様は目を丸くしています。まぁ、助かったからいいよね。
「タカミ!すごい!!」
シルビアが抱き付いてきた。そしてぼろぼろ泣いてる。
「お母さまを、そして赤ちゃんを守ってくれて本当にありがとう。」
「いえ、当然の事をしたまでですよ。」
「いや、普通だったらエヴァも子供もどうなっていたか…下手したら母子ともに…」
侯爵も泣いている。それを見て俺は“オロオロ”する。そりゃそうでしょ。そんな俺の頭に師匠は手を乗せ撫でてくれる。伯爵は落ち着きを取り戻し、俺に礼を言う
「タカミには、本当に感謝している。街の事といい、妻やお腹の子の事といい、感謝してもしきれぬ。今後、どんな事があろうと私はタカミの力になる。何なりと言ってくれ!」
侯爵は、俺の両手を掴みそこに頭を付ける。
「あ、あの、わ、分かりました。では、その節はお世話になります。」
なんか、意味わかんない事を言っている?俺
「君のする事にはもう驚か無いと決めていたのに完敗だ。はっきり言って驚いた。君の知識は一体どうなっているんだい。」
「うーん、どうなってるんでしょうね。あははは」
笑ってごまかすしかない。ってゆうか、ずっとシルビアが俺の腕に引っ付いている。
「あのぉー、シルビアお嬢様。そろそろよろしいでしょうか。」
「タカミ!是非、私に魔術を教えて頂戴!」
えー!マジっすか。
「うん。君の実力はすごく分かった。良かったら、少しの間でいいからシルビアの専属魔導士になってもらえないか?」
「えええええ!し、師匠―。」
「いいじゃないか。教えるのも勉強の一つだよ。いい勉強になるし、中央帝都に行くための資金も集まるじゃないか。」
あー、そう言えば、そうだった。でも、ティナやナディアと冒険者もやりたいし。
「ま、毎日でなければいいかな…」
「私は毎日がいい。ここに住めばいいじゃない!」
こらこら、無茶を言いなさんな。お嬢様。
「いいじゃないか。折角、専属魔導士になってくれると言っているんだ。少しは我慢しなさい。」
侯爵がお嬢様を宥めてくれる。
「分かりましたわ。お父様…。」
「では、一日置きでいいですか?」
「えー。」
「シルビア!」
「はい…。」
なんか、ちょっとシュンとしてる。元気なお嬢様も可愛いけど、シュンとしてる顔も可愛いな。たまには虐めよう。
「そうそう。お給料は、月に大金貨1枚でどうだい?」
「えええええ!そ、そんなに頂けるんですか!!」
なんか、すごい大盤振る舞いだ!俺は、両手を上げて驚いてしまった。
「では、タカミ。明後日からよろしく頼むよ。」
「わ、分かりました。伯爵様。」
俺は、お辞儀をする。あ、そうだ。ちょっと確認したい事があったんだ。
「あの。奥様なんですが、出来れば安静にしていてください。僕が来た時、様子を見ますがそれまでベッドから出ない様にお願いします。それと、侯爵様お話があります。二人になれますか?」
「ふむ。なんだ。では、向こうの誰もいない部屋に移ろう。」
侯爵に誰もいない部屋に案内してもらい事の経緯を説明する。
「奥様は絨毛膜羊膜炎という病気を患っていたのは説明した通りです。これは、細菌による感染が原因です。今の奥様はきちんと処置しましたので問題ないですが、伯爵様に問題があるかもしれません。大変失礼なのを承知で、確認したい事があるのですが、ズボンを下ろしてもらってよろしいですか?」
「な、何を無礼な。なぜ私が…」
やっぱ、なんか怪しいな。そう言う事だろう。
「僕ならすぐ治せますよ。」
・・・
「あっという間に治りますよ。」
・・・
「勿論、誰にも言いません!」
「ほ、本当か!よし、ちょっと診てくれ。」
そう言って、伯爵はズボンを下ろし、“物”を出す。あー、やっぱりね。
《アナライズ》
《キュアバクテリア》
《ヒール》
侯爵様の“物”が奇麗に治る。やっぱ、男がやる事はどこの世界でも一緒か(笑)
「えっと、今ので分かる通り、原因は侯爵様です。多分、感染したのは約1ヶ月ほど前だと思いますよ。奥様と“した”時に移ったと思います。その前に奥様が発症してなかったって事は“移された”って事なんです。」
侯爵様は、黙っている。
「まだ、子供ですが、僕も男です。気持ちは分かります。出来れば、相手も治癒しないと他の人に移してしまう、若しくは、“また貰う”事になりますよ。それで聞いているのです。勿論、この事は他言しません。」
侯爵は、俺の手を握り、
「男と男の約束だぞ!他言無用だからな。特に、妻とシルビア」
あー、あー、しっかり知られたく無い人の名前まで出ちゃったよ。
「分かりました。で、どうしますか?彼女も治しますか?」
「ああ。よろしく頼む。」
「相手はどなたですか?」
「あの時、我々を呼びに来たメイドだ。」
「…、なるほど」
「移された人に心当たりは?」
……移されたのは、まぁ、街の娼婦か。まぁ、それはしょうが無いとして、そのメイドを呼んでもらう。女性は、気付かない事があるから誰かに移してないかな。
「すみません。男性は出てもらっていいですか?」
侯爵様を部屋の外に出す。そして、そのメイドさんを治療した。そのメイドさんに誰かに移してないか確認する。そのメイドさんは、侯爵様が初めてだったらしく、侯爵様一筋だそうだ。真偽のスキルで本当である事が分かったので、治療はここまでで終わった。
帰り際に、侯爵に他言無用と再度念をおされ、金貨1枚貰った。皆さんも、性病には気を付けようね。
========タカミのワンポイント========
異常細菌が頸管に沿って感染して行き赤ちゃんや羊水を包む卵膜にまで達すると『絨毛膜羊膜炎』と呼ばれ様々な病態を引き起こします。また分娩時に赤ちゃんに産道感染を起こし肺炎や髄膜炎などを起こすことがあります。すべての細菌が悪さをするわけではなく、絨毛膜羊膜炎を引き起こす細菌は約20種で特殊な病原体も含まれ、また産道感染で問題となるB群溶連菌(GBS)は早産の危険因子にはならないという報告も多くあります。絨毛膜羊膜炎はサイトカインという炎症を起こす物質などが子宮を収縮させるプロスタグランジンをつくり、これらが作用して子宮を収縮させるとともに頸管を熟化、すなわち柔らかく、短く、子宮の出口を拡げお産のときと同じような状態にして行きます。また炎症を起こした組織には好中球という白血球の一種が集まりエラスターゼという酵素を放出します。このエラスターゼが卵膜のコラーゲンを溶かすことにより卵膜が破れ破水してしまいます。このような病態が重なって早産に至ります。妊婦における細菌性腟症の頻度は10~30%とされ、細菌性腟症では早産や低出生体重児出産となる頻度が40%増加し、前期破水の頻度が10%増すといわれています。しかし絨毛膜羊膜炎となっても無症状のことが多いため早産の予知が難しい一因となっています。症状としてはおりものの増加や悪臭、子宮の圧痛や発熱です。
治療は腟内の消毒や抗生物質の投与、ウリナスタチンという炎症を抑える作用のある薬剤の投与がありますが、炎症が拡がれば赤ちゃんに影響が及ぶ前に娩出させることもあります。妊娠中は規則正しい生活習慣を心がけ、免疫力が低下することのないようにからだを健康に保つことが唯一の予防策といえるでしょう。
今回は、性病を絡ませたかったので淋病を題材にしました。淋病は、7割に自覚症状がない感染症ですが、出産時に赤ちゃんに感染すると新生児結膜炎を起こして失明することもあるので注意が必要です。
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旧タイトルに、もどしました。
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まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
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※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
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近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
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