25 / 81
【ヤマト辺境伯】
しおりを挟む
ゴブリン討伐から数日が過ぎた。俺の希望もあって、ゴブリン討伐の最功労者はやはりこの人、街の盟主であり人格者であるウォーレン大魔導士となる。ウォーレン大魔導士が弟子二人を引き連れ、大魔法でゴブリンの軍勢の大半を殲滅後、その配下が残りのゴブリンを一掃し、ゴブリンの襲撃に終止符を打ったと街の中で評判になっている。まぁ、嘘ではないからいいんじゃない。そんな師匠より、呼び出しがあったので本日は師匠の屋敷に来ている。
「ゴブリン討伐、お疲れ様。街はお祭り騒ぎですねー。」
「そりゃそうだろう。ゴブリンとは言え、10万規模の大軍勢が襲ってきて、それを怪我人一人出さずに討伐してしまったんだから。本当に君と言う奴は…」
「まぁまぁ、いい事じゃないですか(笑)。それで、御用とは何ですか?」
「うん。以前から、ヤマト辺境伯がタカミに興味を持っていてね。今回の件を報告したら是非、タカミに会って褒美を取らせたいって言いだしてね。3日後、ヤマト辺境伯の屋敷に行くので同行してもらおうと思ったのと、防壁の上で話した、中央帝都にある魔術学園についてもう一度話をしたくてね。」
「魔術学園ですか。とても興味があるご提案ですが、我が家にはそこまで余裕が無くて…」
「その魔術学園なんだけどね、特待生の枠があるんだよ。これに合格できれば、学費が全額免除になる。私は、タカミのその素晴らしい才能を眠らせたくないんだ。君は、本当に大賢者になれる人物だ。魔術学園にはこの世界の魔法の歴史から今に至るまでの英知が集結している。そこで学ぶ事の意義を考えてほしい。」
師匠がここまでぐいぐい来るのは珍しい。それほど優秀な学校なんだろう。魔法は使えるが正直、学術的な知識は乏しい。一応、師匠の部屋にあった本は暗記しているが…
「特待生ですか。どんな試験があるんですか?」
「テストの内容としては、実技とペーパーと面接と推薦状で判断されるかな。」
ふむ、やはりペーパーはあるよな。後問題は面接かな。俺は平民だからその辺も厳しいんじゃなかな。
「正直、自信ないですね。確かに魔法は使えますが知識は乏しいですから。それに僕の身分は平民です。いくら身分は関係ないと言っても特待生にするには身分も必要なんじゃないですか?」
「うん。確かに身分は大きいね。でも、君の能力は身分じゃ計れないけどね。推薦は、私がするから問題ないよ。ペーパーも私が話をしている限り問題無いと思う。君は、ここの書籍をほぼ読破しているしね。試験までまだ半年以上あるし、とりあえず受けるだけ受けてみるのをお勧めするよ。」
師匠は一冊の本を俺に手渡す。
「これは?」
「この本は、過去のペーパーで出題された物をまとめた本だよ。ちょっと見てみるといい。」
俺は、速読を用いてペラペラと読んでいく。確かに、ほとんどが知っている内容だ。
「なるほど、こんなような問題が出題されているんですね。ほぼ分かりますね。しかし、分からに物もそれなりにありました。」
「それなら、帝都の中央図書館に行くといい。帝都の図書館ならかなりの数の書物がある。読み切れないほどにね。興味があるなら図書館の閲覧許可をもらえるように手配してあげるよ。」
それはとても有難い!入試云々では無く、普通に利用したい!
「それは、すごく嬉しいです。では、家族に相談してみます。」
「うん、君なら必ず特待生になれると思う。是非、前向きに考えてほしい。それと、3日後にヤマト辺境伯の所に行きます。ヤマト卿から是非タカミも連れてくるように言われているんだ。だから、3日後のヤマト辺境伯訪問の際には同行をお願いしたい。いいかい?」
「はい。分かりました。それでは、3日後の朝に再度伺います。
本日、師匠と共にヤマト辺境伯の所へ行く。ヤマト辺境伯の所に行くことを両親に話すと急いで正装を用意してくれた。馬子にも衣装とはこの事かな。ばっちり正装して、俺は師匠の元に向かった。
「おはようございます。」
「おはよう。ん。今日はなんだか決まっているね。ぷぷ」
笑っているし。確かに俺に正装は似合わないと思っているけど…
「いやいや、悪い悪い。いつもと全然違うからちょっと面白くなっちゃってね。」
「まあ、うん。大丈夫!いい男だ!かっこいいよ。」
なんか、取って付けたように言われた。もういいよ…
「さて、それでは行こうか。」
「はい。よろしくお願いします。」
俺達は、馬車に乗りヤマト辺境伯のお屋敷に向かった。貴族の居住区を通り約30分程度で到着した。門を抜け、更に馬車を走らせる。おいおい、ここ敷地内なのか…。馬車に揺れ更に15分ほどでとても大きなお屋敷の前に到着する。俺は、馬車を降り、周りを見渡す。目の前には豪壮なお屋敷と庭園があり、お屋敷の前に広がる庭園の中央には多きな噴水がある。手入れするのも大変だと思われる庭園の中央に大きな噴水があり、その周りを遊歩道と花壇で囲まれ、ところどころに彫刻が飾られている。まさにお貴族様のお屋敷という感じだ。俺が見惚れていると師匠から声がかかる。
「ほら、行きますよ。」
俺は、師匠に続き屋敷の前に行く。扉の前に紳士風の人がいる。多分、執事の人だろう。その執事らしき人が師匠に声をかけた。
「ウォーレン様、お待ちしておりました。主人が応接間にてお待ちです。どうぞこちらへ。」
「うん。ありがとう。じゃあ、行こうか。」
俺は師匠に続き廊下を歩いていく。廊下も広く、彫刻や絵画が飾ってある。いくつかの部屋?を超えてひと際広い部屋に通された。室内にも多くの美術品が飾られ、立派なソファーとテーブルがある。
「ご主人様、ウォーレン氏をお連れいたしました。」
そう言うと執事は扉の所に向かい、直立不動で立っている。奥には、黒髪をオールバックにし、口ひげを生やし、スラっとしたダンディーなイケメンがいる。年は見た目で40前後だと思う。
「ヤマト辺境伯殿、お久しぶりです。」
「うむ。ウォーレンも元気そうで何よりだ。ん?その子が、君が言っていた子かな?」
辺境伯は俺を見ると師匠に問いかける。
「はい。彼は、タカミ。私のとても優秀な弟子です。この度のゴブリン討伐に際しては、彼がほぼ一人で討伐しました。実力は折り紙付きです。」
「初めまして。ヤマト辺境伯様。ただいま紹介にあずかったタカミ・エドワードです。」
一応、貴族式の挨拶をしてみる。ってゆうか、した事ないからこれでいいか分からないけど。
「タカミ君か。私がバルケッタ・フィアット・ヤマトだ。君の事はウォーレンからよく聞かされているよ。ウォーレンに並ぶ魔導士だそうじゃないか。」
侯爵がビックリする事を言ったきた。
「な、何をおっしゃいますか。そんな。恐れ多いです。私なんか、まだまだこれから勉強しようと思っているくらいです」
俺は、とっさに両手で“違う違う“をしてしまった。
「そんな、謙遜しなくていいんだよ。ゴブリン討伐の際に大魔法を使ったって言うじゃないか。」
うーん、俺的にはそんなに大魔法じゃないんだけど。でも、俺、人である自信が無いからいっか。
「そうそう!それでだ。今回、ゴブリン軍討伐の功労として君に報奨金を出すことにした。受け取ってくれ。」
侯爵が手を“パンパン”とすると執事の人が袋をもってやってきた。
「受け取ってくれ。街や人が全くの無傷で済んだんだ。これでも安いと思っているが。」
俺に袋を差し出す。俺は、師匠を見た。すると師匠も頷く。
「それでは有難く頂戴いたします。ヤマト卿、ありがとうございます。」
「うむ。それと、何か私に出来ることは無いか?私に出来る事であれば力を貸そう。」
侯爵がとんでもない事を言い出した。
「い、いえ。滅相もございません。十分でございます。逆に私がヤマト卿のお力になりたい
位です。」
またもや、とっさに両手で“違う違う“をやってしまった。
「ははは。君は面白いな。まぁ、後でもいい。何かあったら、言ってくれ。」
すると部屋をノックする音が聞こえた。
「お父様、シルビアでございます。」
「うん。入っておいで。」
扉が開き、黒髪の美しいブラウンの目をした、可愛らしい女の子が入ってきた。年は、10歳前後かな。俺と同じくらいに見えるけど。お嬢様らしい可愛い服がとても似合っている。
「この子は、シルビア。私の娘だ。よろしく頼むよ。」
「シルビア・フィアット・ヤマトです。どうぞお見知りおきを。」
優雅な挨拶を俺と師匠にする。
「ウォーレン大魔導士の弟子のタカミ・エドワードです。よろしくお願いします。」
「まぁ、あなたがタカミ様ですのね。ウォーレン様からよくお話を聞きますわ。」
師匠、この人は、一体何を言っているのだろう。
「あれ、今日は、奥様はいらっしゃらないのですか?」
「うむ。今日は、ここ数日調子が悪くてな。今、寝室で休んでいるよ。」
「あら、それはいけませんね。お腹に子供がいるから心配ですね。」
どうやら、侯爵の奥さんは妊娠中のようだ。
「うむ。専属の回復師に見せておるがな、休んでいれば良くなると言っておるが、あまり良くならないんだよ。」
「そうなんですね。それは心配ですわね。」
師匠が心配そうにしている。仲がいいのかな?
「それよりもタカミ様、わたくしに魔術を教えてくださいませんか?」
シルビアが横から“ぴょこ”と出て口を挟む。
「え。魔術をですか。それなら私の師匠であるウォーレン師匠の方がいいかと思いますが。」
「その、ウォーレン様がタカミ様に教えてもらうと言いよって言ってました。」
俺は、師匠を見ると、師匠は視線を反らす。うーん、この人は何をさせたいんだ。
「そんな、私もまだまだ未じゅ…」
自分が話をしている最中、突然、ドアが“バン”と開いた。可愛らしいメイド服を着た女性が息を切らせ入ってくる。
「なんだね。騒々しい。今、来客中だぞ!」
「そ、それが、ご主人様、奥様が、奥様が…!!」
メイドは言葉を失っている。
「家内がどうかしたのか!?」
「はい。今、回復師様が治療に当たっているのですが、大変な苦しみようで…」
「すぐ行く!」
侯爵は、走って出て行く。師匠が後を追ったので、俺もそれについて行く。
「ゴブリン討伐、お疲れ様。街はお祭り騒ぎですねー。」
「そりゃそうだろう。ゴブリンとは言え、10万規模の大軍勢が襲ってきて、それを怪我人一人出さずに討伐してしまったんだから。本当に君と言う奴は…」
「まぁまぁ、いい事じゃないですか(笑)。それで、御用とは何ですか?」
「うん。以前から、ヤマト辺境伯がタカミに興味を持っていてね。今回の件を報告したら是非、タカミに会って褒美を取らせたいって言いだしてね。3日後、ヤマト辺境伯の屋敷に行くので同行してもらおうと思ったのと、防壁の上で話した、中央帝都にある魔術学園についてもう一度話をしたくてね。」
「魔術学園ですか。とても興味があるご提案ですが、我が家にはそこまで余裕が無くて…」
「その魔術学園なんだけどね、特待生の枠があるんだよ。これに合格できれば、学費が全額免除になる。私は、タカミのその素晴らしい才能を眠らせたくないんだ。君は、本当に大賢者になれる人物だ。魔術学園にはこの世界の魔法の歴史から今に至るまでの英知が集結している。そこで学ぶ事の意義を考えてほしい。」
師匠がここまでぐいぐい来るのは珍しい。それほど優秀な学校なんだろう。魔法は使えるが正直、学術的な知識は乏しい。一応、師匠の部屋にあった本は暗記しているが…
「特待生ですか。どんな試験があるんですか?」
「テストの内容としては、実技とペーパーと面接と推薦状で判断されるかな。」
ふむ、やはりペーパーはあるよな。後問題は面接かな。俺は平民だからその辺も厳しいんじゃなかな。
「正直、自信ないですね。確かに魔法は使えますが知識は乏しいですから。それに僕の身分は平民です。いくら身分は関係ないと言っても特待生にするには身分も必要なんじゃないですか?」
「うん。確かに身分は大きいね。でも、君の能力は身分じゃ計れないけどね。推薦は、私がするから問題ないよ。ペーパーも私が話をしている限り問題無いと思う。君は、ここの書籍をほぼ読破しているしね。試験までまだ半年以上あるし、とりあえず受けるだけ受けてみるのをお勧めするよ。」
師匠は一冊の本を俺に手渡す。
「これは?」
「この本は、過去のペーパーで出題された物をまとめた本だよ。ちょっと見てみるといい。」
俺は、速読を用いてペラペラと読んでいく。確かに、ほとんどが知っている内容だ。
「なるほど、こんなような問題が出題されているんですね。ほぼ分かりますね。しかし、分からに物もそれなりにありました。」
「それなら、帝都の中央図書館に行くといい。帝都の図書館ならかなりの数の書物がある。読み切れないほどにね。興味があるなら図書館の閲覧許可をもらえるように手配してあげるよ。」
それはとても有難い!入試云々では無く、普通に利用したい!
「それは、すごく嬉しいです。では、家族に相談してみます。」
「うん、君なら必ず特待生になれると思う。是非、前向きに考えてほしい。それと、3日後にヤマト辺境伯の所に行きます。ヤマト卿から是非タカミも連れてくるように言われているんだ。だから、3日後のヤマト辺境伯訪問の際には同行をお願いしたい。いいかい?」
「はい。分かりました。それでは、3日後の朝に再度伺います。
本日、師匠と共にヤマト辺境伯の所へ行く。ヤマト辺境伯の所に行くことを両親に話すと急いで正装を用意してくれた。馬子にも衣装とはこの事かな。ばっちり正装して、俺は師匠の元に向かった。
「おはようございます。」
「おはよう。ん。今日はなんだか決まっているね。ぷぷ」
笑っているし。確かに俺に正装は似合わないと思っているけど…
「いやいや、悪い悪い。いつもと全然違うからちょっと面白くなっちゃってね。」
「まあ、うん。大丈夫!いい男だ!かっこいいよ。」
なんか、取って付けたように言われた。もういいよ…
「さて、それでは行こうか。」
「はい。よろしくお願いします。」
俺達は、馬車に乗りヤマト辺境伯のお屋敷に向かった。貴族の居住区を通り約30分程度で到着した。門を抜け、更に馬車を走らせる。おいおい、ここ敷地内なのか…。馬車に揺れ更に15分ほどでとても大きなお屋敷の前に到着する。俺は、馬車を降り、周りを見渡す。目の前には豪壮なお屋敷と庭園があり、お屋敷の前に広がる庭園の中央には多きな噴水がある。手入れするのも大変だと思われる庭園の中央に大きな噴水があり、その周りを遊歩道と花壇で囲まれ、ところどころに彫刻が飾られている。まさにお貴族様のお屋敷という感じだ。俺が見惚れていると師匠から声がかかる。
「ほら、行きますよ。」
俺は、師匠に続き屋敷の前に行く。扉の前に紳士風の人がいる。多分、執事の人だろう。その執事らしき人が師匠に声をかけた。
「ウォーレン様、お待ちしておりました。主人が応接間にてお待ちです。どうぞこちらへ。」
「うん。ありがとう。じゃあ、行こうか。」
俺は師匠に続き廊下を歩いていく。廊下も広く、彫刻や絵画が飾ってある。いくつかの部屋?を超えてひと際広い部屋に通された。室内にも多くの美術品が飾られ、立派なソファーとテーブルがある。
「ご主人様、ウォーレン氏をお連れいたしました。」
そう言うと執事は扉の所に向かい、直立不動で立っている。奥には、黒髪をオールバックにし、口ひげを生やし、スラっとしたダンディーなイケメンがいる。年は見た目で40前後だと思う。
「ヤマト辺境伯殿、お久しぶりです。」
「うむ。ウォーレンも元気そうで何よりだ。ん?その子が、君が言っていた子かな?」
辺境伯は俺を見ると師匠に問いかける。
「はい。彼は、タカミ。私のとても優秀な弟子です。この度のゴブリン討伐に際しては、彼がほぼ一人で討伐しました。実力は折り紙付きです。」
「初めまして。ヤマト辺境伯様。ただいま紹介にあずかったタカミ・エドワードです。」
一応、貴族式の挨拶をしてみる。ってゆうか、した事ないからこれでいいか分からないけど。
「タカミ君か。私がバルケッタ・フィアット・ヤマトだ。君の事はウォーレンからよく聞かされているよ。ウォーレンに並ぶ魔導士だそうじゃないか。」
侯爵がビックリする事を言ったきた。
「な、何をおっしゃいますか。そんな。恐れ多いです。私なんか、まだまだこれから勉強しようと思っているくらいです」
俺は、とっさに両手で“違う違う“をしてしまった。
「そんな、謙遜しなくていいんだよ。ゴブリン討伐の際に大魔法を使ったって言うじゃないか。」
うーん、俺的にはそんなに大魔法じゃないんだけど。でも、俺、人である自信が無いからいっか。
「そうそう!それでだ。今回、ゴブリン軍討伐の功労として君に報奨金を出すことにした。受け取ってくれ。」
侯爵が手を“パンパン”とすると執事の人が袋をもってやってきた。
「受け取ってくれ。街や人が全くの無傷で済んだんだ。これでも安いと思っているが。」
俺に袋を差し出す。俺は、師匠を見た。すると師匠も頷く。
「それでは有難く頂戴いたします。ヤマト卿、ありがとうございます。」
「うむ。それと、何か私に出来ることは無いか?私に出来る事であれば力を貸そう。」
侯爵がとんでもない事を言い出した。
「い、いえ。滅相もございません。十分でございます。逆に私がヤマト卿のお力になりたい
位です。」
またもや、とっさに両手で“違う違う“をやってしまった。
「ははは。君は面白いな。まぁ、後でもいい。何かあったら、言ってくれ。」
すると部屋をノックする音が聞こえた。
「お父様、シルビアでございます。」
「うん。入っておいで。」
扉が開き、黒髪の美しいブラウンの目をした、可愛らしい女の子が入ってきた。年は、10歳前後かな。俺と同じくらいに見えるけど。お嬢様らしい可愛い服がとても似合っている。
「この子は、シルビア。私の娘だ。よろしく頼むよ。」
「シルビア・フィアット・ヤマトです。どうぞお見知りおきを。」
優雅な挨拶を俺と師匠にする。
「ウォーレン大魔導士の弟子のタカミ・エドワードです。よろしくお願いします。」
「まぁ、あなたがタカミ様ですのね。ウォーレン様からよくお話を聞きますわ。」
師匠、この人は、一体何を言っているのだろう。
「あれ、今日は、奥様はいらっしゃらないのですか?」
「うむ。今日は、ここ数日調子が悪くてな。今、寝室で休んでいるよ。」
「あら、それはいけませんね。お腹に子供がいるから心配ですね。」
どうやら、侯爵の奥さんは妊娠中のようだ。
「うむ。専属の回復師に見せておるがな、休んでいれば良くなると言っておるが、あまり良くならないんだよ。」
「そうなんですね。それは心配ですわね。」
師匠が心配そうにしている。仲がいいのかな?
「それよりもタカミ様、わたくしに魔術を教えてくださいませんか?」
シルビアが横から“ぴょこ”と出て口を挟む。
「え。魔術をですか。それなら私の師匠であるウォーレン師匠の方がいいかと思いますが。」
「その、ウォーレン様がタカミ様に教えてもらうと言いよって言ってました。」
俺は、師匠を見ると、師匠は視線を反らす。うーん、この人は何をさせたいんだ。
「そんな、私もまだまだ未じゅ…」
自分が話をしている最中、突然、ドアが“バン”と開いた。可愛らしいメイド服を着た女性が息を切らせ入ってくる。
「なんだね。騒々しい。今、来客中だぞ!」
「そ、それが、ご主人様、奥様が、奥様が…!!」
メイドは言葉を失っている。
「家内がどうかしたのか!?」
「はい。今、回復師様が治療に当たっているのですが、大変な苦しみようで…」
「すぐ行く!」
侯爵は、走って出て行く。師匠が後を追ったので、俺もそれについて行く。
15
お気に入りに追加
725
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる