不死者転生 -救いのない物語- 転生した不死者は生きる為に侵略し美しい眷属を従える

ボロン

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ファンタジーの世界

不死者転生60 違和感

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「…以上になります。」

教会を使った布教活動は順調そのもの。
なまじ瘴気なんてものがあるせいで、この世界では不可解なものは全て神や魔物など、スピリチュアルな何かに関連すると誰もが納得し、探求を諦める。

人を中心に亜人種など含め真っ当な命を持つ存在を仮に光とするなら、我々は闇だ。
闇の眷属にとって瘴気は生きるために必要な栄養素とするなら、光の眷属には毒でしかない。
瘴気溜まりをせっせと作ってきたが、森から離れれば離れるほど維持できない事がわかってきた。
どんなに凄惨な死を撒き散らしたとしても、数日で浄化されてしまうのだ。

人は我らに比べれば弱く儚い。特に文明が未発達なこの世界では個人の経験が十分に蓄積する頃には後継へ託すために、それ以上に洗練されることがない。対して、、我々も似たようなものだが高位な存在は少数とは言え寿命らしい寿命がない。それだけで知識、経験の差は計り知れない。
また、眷属は上位者に絶対服従であり、非常に強力な統率された軍となる。

なぜ、これ程に弱い光の眷属が駆逐されないか?
単純だ。
セーフティゾーンと呼ぶべき広大な領土を持っているからだ。

だから、瘴気を生み出すように思想を歪め悲惨を撒き散らす事で我らの領域を拡げようと試行錯誤している。

のだが、、、ふと、違和感を感じた。

なんだ?

この違和感は見過ごしてはいけない。魂が警鐘を鳴らす。

「ご主人様?」

様子を伺うアリア、だが今は無視だ。

なんだ、、、思考のどの部分で違和感を感じた?なぞるように記憶を辿る。

、、、これだ。我々の生存圏を拡げる、それ自体に違和感を覚えたのだ。

我々?我々とはなんだ?

「ご主人様。どうなされたのですか?」

アリアを見る。普段と変わらぬその姿、その瞳の奥に無機質な意志を感じる。上位者にとって下位の眷属は完全に隷属した存在だ。アリアから俺以外の意志を感じるなど本来あり得ない。

確かめねば、、アリアの首を掴み強引に引き寄せ瞳を覗き込む。普段とは違う敵意にも似た視線に晒されたアリアは恐怖に打ち震えているのがわかる。怯えきったその瞳の奥にはやはり氷よりも冷たい何かがある。

これは、、、肉体に起因しない何かだ。別の次元、、魂にこびりついている。今の今まで気付かないなどあるだろうか?

我々?、、我々とはなんだ?

、、、先程の思考、あれは俺の立場での言葉だったろうか?より上位の存在から見た、、、そうだ、俺だけが隷属していないなど言えるだろうか?

そもそも、生残る事が目的地だった。死にたくない、それだけが俺の望みだ。生きるだけではなく安全を確保する為に力も欲した。それも確かだ。
だけど、、、今のこの状況はじゃないか?

恐怖に震えていたはずのアリアが俺の腕を掴んだ事で思考は中断された。

主人に眷属が抗うなど、、、ッ!!

俺を見るアリアの瞳に恐怖はない。先ほどまでの震えも止まっている。掴まれた腕に爪が食い込む。

これは、、、アリアではない。

アリアの頸椎を握り潰すつもりで力を入れ、、、、つぶれた感触を確認すると思い切り壁に叩きつける。

壁が崩れる程の衝撃。まして、投げる前に頚椎も潰されている。

にも関わらず、それは何事もなかったように起き上がる。

それは支えを失ってだらしなくうなだれた首を自ら引きちぎると肉が盛り上がるように別の何かを形成し始めた。

一つの大きな瞳、皮膚は重度の熱傷を受けたようにただれ、ウジのような何かが際限なく皮膚を食い破りボトボトと足下に落ち続ける。そのウジは床に当たると潰れ弾け瘴気の霧にその姿を変える。

本来は口があるべき場所に女性器のような割れ目があり、、、そこからは絶えずドス黒い血液が流れ出ている。

趣味が悪いな、、、。

初めて見るそれは、だが何なのかをおれは知っていた。

「、、、邪神」

そう呟くと、それは嬉しそうに笑った気がした。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

朱麗
2021.07.31 朱麗

面白いです。
お気に入りに追加するのにアプリ入れるぐらいに。
応援してます(*^^*)

2021.08.01 ボロン

初めまして。
感想ありがとうございます!!
初感想がこんな嬉しいコメントで感激です!

時間がなくて更新できていなくてすみません。
随時更新できるようにしますので、引き続きよろしくお願いします!!

解除

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