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不死の軍団と破滅の王
不死者転生30 代償
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「こ、、、これは、、、」
500名はいるはずの精鋭部隊による出迎えを受けるはずだった。だが、目の前に広がるこの光景は何だ?
首のない小鬼の群れが兵士だったモノに群がり、完全装備のスケルトンが我が兵士達の、、、亡骸に刃を立てる。かろうじて生き抵抗する兵士も散見されるが、飲み込まれるようにアンデットに埋もれ血の花が咲く。もはや戦闘ではない。数の暴力に押し潰されるだけの、虐殺ではないか。
(なぜだ?!不死者は、、魔人は死んだ。配下のアンデットが統率の取れた戦闘などできるはずが、、、、)
「扉をふさげ!!」
グレゴリーの叫びに素早く反応し扉を開けて閉じる。
「グ、グレゴリー!!どうなっている?!」
「フォルネウス様、、わかりませぬ。魔人は確かに討伐したのです!!とにかく、援軍が来るまで耐えましょう!お前達!一階はこの扉以外に侵入経路はない!なんとしても死守せよ!!」
「「ハッ!」」
兵士たちは手際良く扉の前にバリケードを構築すると、2名は扉の両側に控え、残りがバリケードの影に控える。いつ、、、この扉を破ろうと攻撃が加えられるか、、、。鼓動が激しく高鳴り、緊張と恐怖で気が狂れそうになる心を鉄の精神力で押さえつける。パニックを起こせばひとたまりもないのだから。
全員、息を潜めただ一点、、、扉を凝視する。まだ、、まだ攻撃はない。張り詰めた空気の中、額を流れる汗の動きでさえら気取られそうな気がしてくる。
「グレゴリー、、どうなっている?!」
震えるフォルネウスの掠れた声。
「わかりません、他に不死者はいないはずです。奴らは不死者同士では群れない。」
「では、この惨状をどう説明するのだ?」
「わかりません。わかりませんが、、、或いは不死者でさえ使役するより高位の魔人がいるのかもしれません。どちらにしても、今この瞬間を生き抜くより他ないのです。」
恐怖を抑え込み生への渇望を映すその瞳は諦めていない。フォルネウスはそれを感じ取り、、、深く深呼吸をする。
「大丈夫だ、お前達を信じている。すまなかった。」
「いえ、自分よりパニックになってる奴を見ると落ち着くというやつです。」
不敬なその冗談が今は有難いとさえおもえる。
「街から救援は来るのか?」
「失敗した時の為に手配はしております。精鋭部隊500が壊滅したと、、考えると五分五分ですな。」
事前に副長とした取り決めでは、救出が困難と判断した場合は街の為に見捨て防御を固めるよう命令している。この状況が救出困難と判断されるか、、全体の戦局がここからではわからない。塔は激戦区になると予想されるから、、、あの惨状が運良くここだけではあるなら、望みはある。
「そうか、五分五分か。すがるには心許ないが、それでも希望があるなら」
「ええ、、我々にできる事をしましょう。」
ザザッ
(なんだ?!)
….ザザッ
(確かに、、聞こえる!)
微かなその音に意識を向ける。小々波のような音が迫っている。聞き逃しそうなその音は、今や全員が聞き取れている。塔の周囲を移動するその音が扉の前で止める。
メキッ
扉の木が軋む、、なんだ?!何がいる?!
腰の高さほどの場所から亀裂が入り、、黒い何かが見えたと思った瞬間、鉄砲水のように黒い何かが勢いよく侵入し扉の前に溜まっていく。
水溜りのようであったそれから突起がうまれ、人の背丈程の高さまでまだ蠢くように成長すると次第に人の形を模した何かが立っていた。その間、ほんの10秒程だろうか?
あんな、、、存在は知らない。魔人、、なのか?余りの出来事に誰1人動くことができずにいた。人の形をした黒い何かはゆっくりと扉の兵士に振り向くと覆い被さるように重なり、、兵士を飲み込む。
飲み込まれた兵士が暴れ争おうと一瞬もがくが次の瞬間にはまた黒い人影がそこに立っていた。誰も動けなかった、理解を越えたそれを前に思考することさえできず、、扉側の兵士が異変に気づく。仲間の兵士がいた場所に、、、彼の骨?が散らばっていた。
「ひっ!!」
叫び声と同時に全員がその視線の先にある骨と血溜まりに気づく。
「く、、、喰われた、、?くっ、扉は完全には破壊されていない!応戦しろ!」
う、うぉおお!!自らを鼓舞する為の気合を吐きだし、残った兵士が一斉に刃を突き立てる!
何の抵抗もないかのように突き刺さり、切り裂いた、、が変化はない。それどころか、何事もなかったように振り向くと1人、また1人と飲み込まれた血肉の花を咲かせる。あまりに一方的に蹂躙され残るはフォルネウスとグレゴリーのみ。
物理的な攻撃は意味をなさない、、どう戦えばいい?!奴の動き自体は早くない。扉を開き外に活路を見出すか?
いや、無駄だ、、、だが、、どうすれば??
グレゴリーはフォルネウスを守るように前に立ちはだかり心許ない刃で牽制する。
「お前は、、何者なんだ?!」
問いかけた音は虚しく闇に飲み込まれる。次の瞬間には死ぬかもしれない、、永遠とも一瞬とも思える対峙は以外にも黒い人形が扉に向かう事で破綻する。
(ま、まずい!扉を開けられ、、)
黒い人型の手が扉に触れると不愉快な音と共に闇が扉を包み込み、、、そこにあったはずの木製の扉がなくなっていた。一瞬で扉さえも食らったというのか?
再び剣戟と憎悪と絶望に満ちた地獄の扉が開かれた、、はずだった。だが、先ほど垣間見えた地獄の風景はそこになく、静寂が包み込む闇が広がっていた。
もう、なんの理解も追いつかない。思考は進めず、、絶望が心に染み渡るのをただ感じた。月明かりが舞台照明のように入り口を照らすと、滅したはずの不死者達がそこにはいた。
「目覚めたいか?だが、まだだ。終わらない悪夢がある事を教えてあげよう。」
闇の水面のような全てを深く深く沈めるその瞳には、何が映っているのだろう?
500名はいるはずの精鋭部隊による出迎えを受けるはずだった。だが、目の前に広がるこの光景は何だ?
首のない小鬼の群れが兵士だったモノに群がり、完全装備のスケルトンが我が兵士達の、、、亡骸に刃を立てる。かろうじて生き抵抗する兵士も散見されるが、飲み込まれるようにアンデットに埋もれ血の花が咲く。もはや戦闘ではない。数の暴力に押し潰されるだけの、虐殺ではないか。
(なぜだ?!不死者は、、魔人は死んだ。配下のアンデットが統率の取れた戦闘などできるはずが、、、、)
「扉をふさげ!!」
グレゴリーの叫びに素早く反応し扉を開けて閉じる。
「グ、グレゴリー!!どうなっている?!」
「フォルネウス様、、わかりませぬ。魔人は確かに討伐したのです!!とにかく、援軍が来るまで耐えましょう!お前達!一階はこの扉以外に侵入経路はない!なんとしても死守せよ!!」
「「ハッ!」」
兵士たちは手際良く扉の前にバリケードを構築すると、2名は扉の両側に控え、残りがバリケードの影に控える。いつ、、、この扉を破ろうと攻撃が加えられるか、、、。鼓動が激しく高鳴り、緊張と恐怖で気が狂れそうになる心を鉄の精神力で押さえつける。パニックを起こせばひとたまりもないのだから。
全員、息を潜めただ一点、、、扉を凝視する。まだ、、まだ攻撃はない。張り詰めた空気の中、額を流れる汗の動きでさえら気取られそうな気がしてくる。
「グレゴリー、、どうなっている?!」
震えるフォルネウスの掠れた声。
「わかりません、他に不死者はいないはずです。奴らは不死者同士では群れない。」
「では、この惨状をどう説明するのだ?」
「わかりません。わかりませんが、、、或いは不死者でさえ使役するより高位の魔人がいるのかもしれません。どちらにしても、今この瞬間を生き抜くより他ないのです。」
恐怖を抑え込み生への渇望を映すその瞳は諦めていない。フォルネウスはそれを感じ取り、、、深く深呼吸をする。
「大丈夫だ、お前達を信じている。すまなかった。」
「いえ、自分よりパニックになってる奴を見ると落ち着くというやつです。」
不敬なその冗談が今は有難いとさえおもえる。
「街から救援は来るのか?」
「失敗した時の為に手配はしております。精鋭部隊500が壊滅したと、、考えると五分五分ですな。」
事前に副長とした取り決めでは、救出が困難と判断した場合は街の為に見捨て防御を固めるよう命令している。この状況が救出困難と判断されるか、、全体の戦局がここからではわからない。塔は激戦区になると予想されるから、、、あの惨状が運良くここだけではあるなら、望みはある。
「そうか、五分五分か。すがるには心許ないが、それでも希望があるなら」
「ええ、、我々にできる事をしましょう。」
ザザッ
(なんだ?!)
….ザザッ
(確かに、、聞こえる!)
微かなその音に意識を向ける。小々波のような音が迫っている。聞き逃しそうなその音は、今や全員が聞き取れている。塔の周囲を移動するその音が扉の前で止める。
メキッ
扉の木が軋む、、なんだ?!何がいる?!
腰の高さほどの場所から亀裂が入り、、黒い何かが見えたと思った瞬間、鉄砲水のように黒い何かが勢いよく侵入し扉の前に溜まっていく。
水溜りのようであったそれから突起がうまれ、人の背丈程の高さまでまだ蠢くように成長すると次第に人の形を模した何かが立っていた。その間、ほんの10秒程だろうか?
あんな、、、存在は知らない。魔人、、なのか?余りの出来事に誰1人動くことができずにいた。人の形をした黒い何かはゆっくりと扉の兵士に振り向くと覆い被さるように重なり、、兵士を飲み込む。
飲み込まれた兵士が暴れ争おうと一瞬もがくが次の瞬間にはまた黒い人影がそこに立っていた。誰も動けなかった、理解を越えたそれを前に思考することさえできず、、扉側の兵士が異変に気づく。仲間の兵士がいた場所に、、、彼の骨?が散らばっていた。
「ひっ!!」
叫び声と同時に全員がその視線の先にある骨と血溜まりに気づく。
「く、、、喰われた、、?くっ、扉は完全には破壊されていない!応戦しろ!」
う、うぉおお!!自らを鼓舞する為の気合を吐きだし、残った兵士が一斉に刃を突き立てる!
何の抵抗もないかのように突き刺さり、切り裂いた、、が変化はない。それどころか、何事もなかったように振り向くと1人、また1人と飲み込まれた血肉の花を咲かせる。あまりに一方的に蹂躙され残るはフォルネウスとグレゴリーのみ。
物理的な攻撃は意味をなさない、、どう戦えばいい?!奴の動き自体は早くない。扉を開き外に活路を見出すか?
いや、無駄だ、、、だが、、どうすれば??
グレゴリーはフォルネウスを守るように前に立ちはだかり心許ない刃で牽制する。
「お前は、、何者なんだ?!」
問いかけた音は虚しく闇に飲み込まれる。次の瞬間には死ぬかもしれない、、永遠とも一瞬とも思える対峙は以外にも黒い人形が扉に向かう事で破綻する。
(ま、まずい!扉を開けられ、、)
黒い人型の手が扉に触れると不愉快な音と共に闇が扉を包み込み、、、そこにあったはずの木製の扉がなくなっていた。一瞬で扉さえも食らったというのか?
再び剣戟と憎悪と絶望に満ちた地獄の扉が開かれた、、はずだった。だが、先ほど垣間見えた地獄の風景はそこになく、静寂が包み込む闇が広がっていた。
もう、なんの理解も追いつかない。思考は進めず、、絶望が心に染み渡るのをただ感じた。月明かりが舞台照明のように入り口を照らすと、滅したはずの不死者達がそこにはいた。
「目覚めたいか?だが、まだだ。終わらない悪夢がある事を教えてあげよう。」
闇の水面のような全てを深く深く沈めるその瞳には、何が映っているのだろう?
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