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不死の軍団と破滅の王
不死者転生25 フォルネウスの決断1
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「ストラス殿、こちらが例の中和剤となります。実験に一粒使いますので、本物の場合は残り6錠は必要なので予備を除いてお渡しできるのは2錠のみ。こちらで解析出来ますかな?」
ストラスと呼ばれた老人はブエルで最高の錬金術師であり、まさにこの瘴気中和剤を完成させようとしている人物だ。研究以外に興味がなく冗談も言わないような偏屈なのでグレゴリーにとっては余り関わりたくない退屈な人種だ。
「不死者がもたらした中和剤、、か。これが本物ならぜ友好的に接したいもんじゃわい。」
「ご冗談を、、、。」
「冗談なものか。失われた製法が得られるのだぞ?その価値がわからんとは、、お主にも有用性くらいは理解できるじゃろ?」
「瘴気の権化たる不死者が我々にそんなものを伝えるとは思えませんな。」
「さよう。なればこそ、その真偽もそうじゃが、、、目的が知りたいの。まぁ良いわ。まずは実証じゃな。」
「確かに実証するのが早いでしょうな。早速始めましょう。」
グレゴリーは右手を上げ合図を送る。
防壁の上には死刑囚が2名。手を縄で縛られて目隠しされた状態で立たされている。合図を確認した兵士が、1人の死刑囚に錠剤を飲ませ、飲みこんだ事を確認する両名が舌を噛まないように猿轡をかませる。そして、準備okと合図を送る。
グレゴリーはそれを確認した後、「やれ」と挙げた右手を下ろすと死刑囚2人は城壁から蹴落とされ吊るされる。防壁の外側部分は浄化されないエリアになるため、このまま吊るしておけば中和剤の真偽を手っ取り早く確認することができる。
既に夕方、後2時間もすれば日が沈み闇の眷属の時間になる。少なくとも2日間は安全なはずだ。もちろん、あの内容が確かなら、だ。
結果が出るまで4時間、その間偏屈爺いと同じ空間とは、、拷問ではないだろうか?
2時間後、一旦吊るしていた死刑囚を引き上げるとストラスが診断を始める。
「ふむ、、驚いたな。いや、これは、、、まいった。」
「どうされたので?」
「見ろ。中和剤をとっておらぬ方は瘴気に侵されて既に事切れておる。後で解剖するが、、既に末端組織が腐りかけておる。」
ストラスはそう言って指先や耳、鼻などを調べているが、確かに血の気は失せた末端は既に腐りかけているようにみえる。
「対して、こやつは衰弱はみられるが瘴気による症状は出ておらん。おい、意識はあるか??」
そう言って頬を軽く叩くと死刑囚は薄らと目を開け
「た、、助けてください。」
「ほらの?意識は、、ハッキリしておるの。効果時間の4時間まで念のため経過を見るかの。」
助けて、、と嘆く哀れな死刑囚は再び壁に吊るされる。
「グレゴリーよ。4時間後、あやつが問題なく生きておれば状態を確認する為に早急に解剖したい。引き上げたらすぐに始めるから準備しておいてくれるか?」
これだ、、死刑囚とは言え、実験の為に生きたまま解剖するのだろう。こういう所が好かんのだ。
「ふぅ、わかりました。部下に用意させましょう。」
「すまんの。ワシは受け取った薬の成分分析をするでな。2時間後に呼びに来てくれるか?」
「承知しました。部下を2時間後にやります。」
その返事に満足そうに頷くとグレゴリーは研究設備のある自宅まで戻っていった。
瘴気の中で2時間か。その事実だけで、少なくとも瘴気を中和する機能があるのはわかる。また、あのじーさんが実験を離れるという事は、効果検証はもう十分と判断した、という事だ。副作用や何らかの不利益がないか。この辺りはストラス爺の報告待ちになる。
既に日は落ち、壁の向こう側は闇に包まれている。塔が健在なら、この闇の中に不浄の存在はいなかったはずだ。それが、今や何処に何がどれだけいるのか、、、。
グレゴリーは防壁を登ると眼下に広がる闇を見渡す。もし、、本当にこの街が既に包囲されているというなら、、我々に取れる選択肢はあるのだろうか?
闇を見つめていると吸い込まれそうな、迫ってきそうな錯覚を覚える。
ふと、、、視線を感じた。どこだ?!
ッ!
目があった瞬間、背筋が凍りつくような感覚に襲われる。なんだ、、、赤い、、瞳?
一瞬雲の切れ間から差した月明かりに浮かんだ。若い、、女性だ。真っ赤な血のような赤い瞳が確かにオレを見ていた。
赤い瞳、、瘴気の中で、、魔人だ。
赤い瞳の魔人、、吸血鬼か!
魔人は不死者だけではないのか?とにかくすぐにフォルネウス様にお伝えしなければ!!
「副長!!」
「はっ!」
「あの闇の中に魔人らしき存在が一瞬見えた。厳戒態勢下だが私はフォルネウス様にご報告しなければならない。この場の指揮を任せるから、何かあればすぐに知らせるようにり」
「はっ!お任せください!」
ストラスと呼ばれた老人はブエルで最高の錬金術師であり、まさにこの瘴気中和剤を完成させようとしている人物だ。研究以外に興味がなく冗談も言わないような偏屈なのでグレゴリーにとっては余り関わりたくない退屈な人種だ。
「不死者がもたらした中和剤、、か。これが本物ならぜ友好的に接したいもんじゃわい。」
「ご冗談を、、、。」
「冗談なものか。失われた製法が得られるのだぞ?その価値がわからんとは、、お主にも有用性くらいは理解できるじゃろ?」
「瘴気の権化たる不死者が我々にそんなものを伝えるとは思えませんな。」
「さよう。なればこそ、その真偽もそうじゃが、、、目的が知りたいの。まぁ良いわ。まずは実証じゃな。」
「確かに実証するのが早いでしょうな。早速始めましょう。」
グレゴリーは右手を上げ合図を送る。
防壁の上には死刑囚が2名。手を縄で縛られて目隠しされた状態で立たされている。合図を確認した兵士が、1人の死刑囚に錠剤を飲ませ、飲みこんだ事を確認する両名が舌を噛まないように猿轡をかませる。そして、準備okと合図を送る。
グレゴリーはそれを確認した後、「やれ」と挙げた右手を下ろすと死刑囚2人は城壁から蹴落とされ吊るされる。防壁の外側部分は浄化されないエリアになるため、このまま吊るしておけば中和剤の真偽を手っ取り早く確認することができる。
既に夕方、後2時間もすれば日が沈み闇の眷属の時間になる。少なくとも2日間は安全なはずだ。もちろん、あの内容が確かなら、だ。
結果が出るまで4時間、その間偏屈爺いと同じ空間とは、、拷問ではないだろうか?
2時間後、一旦吊るしていた死刑囚を引き上げるとストラスが診断を始める。
「ふむ、、驚いたな。いや、これは、、、まいった。」
「どうされたので?」
「見ろ。中和剤をとっておらぬ方は瘴気に侵されて既に事切れておる。後で解剖するが、、既に末端組織が腐りかけておる。」
ストラスはそう言って指先や耳、鼻などを調べているが、確かに血の気は失せた末端は既に腐りかけているようにみえる。
「対して、こやつは衰弱はみられるが瘴気による症状は出ておらん。おい、意識はあるか??」
そう言って頬を軽く叩くと死刑囚は薄らと目を開け
「た、、助けてください。」
「ほらの?意識は、、ハッキリしておるの。効果時間の4時間まで念のため経過を見るかの。」
助けて、、と嘆く哀れな死刑囚は再び壁に吊るされる。
「グレゴリーよ。4時間後、あやつが問題なく生きておれば状態を確認する為に早急に解剖したい。引き上げたらすぐに始めるから準備しておいてくれるか?」
これだ、、死刑囚とは言え、実験の為に生きたまま解剖するのだろう。こういう所が好かんのだ。
「ふぅ、わかりました。部下に用意させましょう。」
「すまんの。ワシは受け取った薬の成分分析をするでな。2時間後に呼びに来てくれるか?」
「承知しました。部下を2時間後にやります。」
その返事に満足そうに頷くとグレゴリーは研究設備のある自宅まで戻っていった。
瘴気の中で2時間か。その事実だけで、少なくとも瘴気を中和する機能があるのはわかる。また、あのじーさんが実験を離れるという事は、効果検証はもう十分と判断した、という事だ。副作用や何らかの不利益がないか。この辺りはストラス爺の報告待ちになる。
既に日は落ち、壁の向こう側は闇に包まれている。塔が健在なら、この闇の中に不浄の存在はいなかったはずだ。それが、今や何処に何がどれだけいるのか、、、。
グレゴリーは防壁を登ると眼下に広がる闇を見渡す。もし、、本当にこの街が既に包囲されているというなら、、我々に取れる選択肢はあるのだろうか?
闇を見つめていると吸い込まれそうな、迫ってきそうな錯覚を覚える。
ふと、、、視線を感じた。どこだ?!
ッ!
目があった瞬間、背筋が凍りつくような感覚に襲われる。なんだ、、、赤い、、瞳?
一瞬雲の切れ間から差した月明かりに浮かんだ。若い、、女性だ。真っ赤な血のような赤い瞳が確かにオレを見ていた。
赤い瞳、、瘴気の中で、、魔人だ。
赤い瞳の魔人、、吸血鬼か!
魔人は不死者だけではないのか?とにかくすぐにフォルネウス様にお伝えしなければ!!
「副長!!」
「はっ!」
「あの闇の中に魔人らしき存在が一瞬見えた。厳戒態勢下だが私はフォルネウス様にご報告しなければならない。この場の指揮を任せるから、何かあればすぐに知らせるようにり」
「はっ!お任せください!」
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