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転生したら不死者でした
不死者転生4 実験と検証
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洞窟を出てから3日、戦士の説明によると呪われた古都に辿り着けるのは更に1週間はかかるそうだ。
体力の活性魔法と称して洗脳状況の確認を行なっている。脳に残した瘴気は日に日に弱まるようで、1週間もすれば自力で正気に戻る可能性がありそうだ。
古都についたら、次は使い魔の作成実験を行うつもりでいる。オレ1人では何かあった際に生き延びるのは難しくなるだろう。転生したことはもう受け入れているが、転生早々死にたくないし、次また転生できたとして記憶を引き継げるのかもわからない。
オレが転生したことに意味はあるんだろうか?多分、、、ないだろう。「意味は求めるものではなく、求められるもの」といったV.E.フランクルの言葉を思い出す。
不死者としての生を受けたのだ。終わる時は殺される時。逆に言えば、死の恐怖からわかりやすく解放される方法がわかっている。時間は永遠とも言える程ある、身の振り方は自然と見えて来る、そんな気がしている。
使い魔候補の戦士は、夜目が効かないため、移動に時間がかかる。安全に、確実に進めているのは土地勘のある彼のおかげでもある。
最初の実験体の彼は、、、最初の捨て駒にもなるだろう。大雑把で良くも悪くもさっぱりした性格の男だ。人間であったなら良い関係を築けたかもしれない。
古都周辺は濃い瘴気により昼間でも薄暗く、分厚い雲に覆われている。食物や動物も汚染されている為に人が口にできる食糧はないらしい。生きていく上では好都合だが、しかし、、、やはり仲間が欲しい。
使い魔とはどの程度の能力があるのだろう。
「もうすぐ古都につくのだろう?気をつけるべき事はあるのか?」
「そうだな、、俺もお前と一緒で初めて踏み入る領域だから確かな事は言えない。だが、傭兵仲間のディルを覚えているか?あいつは、一度国の瘴気調査の護衛として周辺までは行った事があるらしい。」
「国の調査機関?」
「ああ、俺はあれだ、、、バカだからよ、詳しい事はそもそも聞いてないんだ。興味もなかったしな。
瘴気自体は俺らにとって害悪でしかないだろ?瘴気を浄化する為の研究だって話だ。」
「国の機関とはいえ、確か軍が中心だったらしくてな。あいつらは戦力強化の為なら犯罪奴隷とはいえ、、、胸糞悪りぃ実験をしてたろ?
素直に浄化実験なんかしないぜ?どうせ禁忌に触れるような、、、瘴気を使った実験をしてんだろうぜ。」
興味深い話だ。
瘴気を使った実験、、、その詳細がわかれば俺の役に立つだろう。とはいえ、今何かできることなんてないわけだが、気になるのは国軍という純粋な武力が近くにいる可能性がある、ということだ。
魔都を拠点にゆっくり瘴気を理解していこうと思っていたが、下手するとオレが実験台になる可能性もあるわけだ。魔都に辿り着けば安全だと思っていたが、そういう訳には行かないのかもしれない。
「軍の奴らは、、魔都にいると思うか?」
「瘴気が濃すぎて無理だろうな。ディルのやつが行ったのは5年前って話だから、、もし、研究を続けているなら、森の何処かに拠点を築いているかもしれないぜ?
なんせ、この辺りは瘴気に溢れているからな。小鬼だけならともかく、何が出てくるかわからん。俺らも周辺を警戒しながらだな、、命あっての物種だ。慎重に行こうぜ。」
豪快な性格のわりに、真剣な戦士の顔を見るに確かに油断ならない場所なのだろう。オレにとっては同族がいるかもしれないエリアだ。友好的とは限らない。
そもそも不死者は単独行動らしいから、馴れ合うような性質は持っていないだろう。それに不死者以外の魔物、、瘴気由来の存在もいるのだ。それらがオレに友好的とは考えないでおこう。魔都に入る前に、周辺を調査してセーフエリアを見つけておくべきだろうな。
「そうだな。それなら、魔都直前でセーフエリアになりそうなポイントを探そう。いきなり侵入しても何がいるかわからないからな。少し遠目からでも観察したい。」
そうだな、と戦士は頷き歩を進める。
あれから更に1時間ほど移動したろうか?オレにとっては目に見えて瘴気が濃くなってきたのがわかる。戦士に目をやると、瘴気の影響からか少し苦しそうな、、、酸素が薄いかのように呼吸が荒くなっているのがわかる。
周辺の瘴気濃度が濃くなるにつれ、使い魔を作れるのではないか?という気がしてきた。やり方も本能が教えてくれるだろう。誰かに教わりもしないのに複雑な巣を作れる蜘蛛のように。
戦士とも、、お別れの時間が近づいている。
深く暗い森の中、突然目の前に開けた空間が現れた。
本来は、教会でもあったのかもしれない。朽ち果てた建物の基礎、形跡が残っている。どうやら、この世界、少くとも魔都は石の文化のようだ。基礎と辛うじて残っている壁や、支柱の残骸は削り出した石を組み合わせて造っている。ヨーロッパのように地震が少ない地域なのだろう。時の流れに身を任せて風化している。
古都内部はどうなっているのだろう?流石に、ここまで風化していなければいいのだが、拠点とする上で利用できる建物があればいいが、、できれば屋根付きで。
瘴気がこれだけ増えていれば、色々と試せる事も多いだろう。教会を拠点にして瘴気の実験を行うことにした。幸い、教会には地下牢があったらしく(どの世界の宗教も闇があるものなんだろうな・・・)、地下牢の入り口は固く閉ざされていただけあって、魔物の類も動物さえも見当たらない。
戦士を伴い、地下牢を確認したが、使えそうなものは流石に残っていなかった。看守の詰所と思われる部屋をメインに使うことにした。牢屋自体は経年劣化が激しく、、、使い物になりそうにないな。錆がひどい。
これからのステップを考えてみよう。まず、教会跡を中心としたセーフゾーンの確保が最優先だ。オレは、どうやら瘴気を糧にしているようで、栄養補給も必要なさそうだ。瘴気の中にいるだけでエネルギーが補給されている事がわかる。
問題は、、戦士だ。この土地の食物、動物は瘴気に適応したのだろう。戦士が口にできるものはない。つまり、、、塩分も取れない環境なのだから、数日で死ぬだろう。それまでに活用方法を決める必要がある。
次いで、安全確保のためにはやはり使い魔の使役だろう。斥候・警戒網の構築には小動物を使えればいい。盾役として、戦士だな。そして、、、ここは教会だ、近くに墓地などの跡地があるのではないだろうか?
所謂、スケルトンを作れないかと考えている。骨だけで動くってのが現実味ないんだけど、、、異世界ならなんとかなるか??
そもそも、死体に瘴気を入れることで使い魔になるとして、肉体は腐らないのだろうか??ベースは有機物になるのだから、可能性は高い気がするんだよな。。
戦士、、できれば腐らないで欲しい。。。小鬼はまだ見た事がないが、瘴気が濃いだけに、近くにいる可能性が高いと考えると、小鬼を見つけるのを優先してもいいな。
斥候役の小動物を確保できたら、周辺探索だ。魔都に入りたい気持ちもあるが、教会跡地は人が近づくにはギリギリのエリアだと思われる。
つまり、国軍との接触リスクがあると考えて動いた方がいいだろう。備えあれば憂いなしだ。着実に手駒を増やし、安全を確保しよう。
瘴気に当てられて休んでいる戦士を見るとかなり憔悴しているのだろう。壁を背に座る姿には力がない。時間がない、、、。オレは戦士にしばらくここで休むように伝えると外へ出た。
さて、、生命探知が扱えるだろうか?
身体の内部にある瘴気に意識を向けると血液のように循環しているのがわかる。
探索魔法か。精神力を飛ばすことで探知を発動していると考えると、自分の身体を無視して間隔が拡がるイメジだろう。
まずは循環する瘴気の流れを意識し全体を掴むように集中する。循環する瘴気の一部が身体の外で漏れ拡がるように流れの一部を操作する。
すると僅かに知覚できる境界線が拡がっているのがわかる。よし!このまま、、、さらに速く、均一に範囲を拡げていく。かなりの集中力を要するが、、これならいけるだろう。
集中して瘴気を拡げ続ける。教会跡地内に自分の瘴気がうっすらと満ちている。生き物を探知する、というよりも動くものの気配を感じる事ができるようだ。
完全に停止しているような存在や、命無き存在はこれには引っ掛からないな、、、生きていれば鼓動でさえ感じ取れるだろう。
オレは目標を定めて意識を集中する。
、、鼠だろうか?物陰に隠れている。
数は、、大きいものが1体、小さな反応が6体感じられる。母と子と行ったところだろう。数としても申し分ない。オレは素早く狙いを定め物陰に隠れていた生き物(やはり鼠のようだ)の大きな反応を視認すると手早く掴みとった。
オスかメスかはわからないが大人の個体で間違いない。子供の個体はまだ逃げる事もできないようで、小さく固まっている。全て回収すると地下牢へと戻ることにした。
捕まえた6体で行う実験は以下の通りだ。
5匹の子供達の内、4匹で以下の実験を行う。
・生体の状態:大量の瘴気を馴染ませ生きたまま使い魔になるかを実験
・生体の状態:大量の瘴気でまず脳を調整し、身体面に影響がない範囲で脳を破壊し、使い魔に変わるか実験
・死体:死亡後に使い魔になるかを実験
・死体:死後、ある程度身体を破損させた状態で実験
親鼠と子供1体は、今回は使わない。まず、生死の違いでどうなるかを確認したいのと、状態によりどの程度のものが出来るのかを確認する必要がある。
休んでいる戦士は既に意識を消失しつつあるように見える。人型の使い魔は貴重になるだろう。この実験は速く終わらして、どの状態が最適か答えを見つけなければいけない。
オレは、まず生体に大量の瘴気を注ぐことで、生きたまま使い魔になるかを実験することにした。このエリアで生きていた生き物だ。瘴気に対する耐性を持っているようで一定以上の瘴気が身体に溜まるのを防ぐようにできているようだ。何か特定の臓器なりが発達したのだろうか?この辺りはまた別の機会に調べてみよう。
逃げられないように身体を拘束すると、一定量の瘴気を馴染ませ始める。成否に関わるかわからないが、目的意識を明確に持って注いだ方がいいだろう。
生きたまま使い魔になった姿を想像する。オレの意思を読み指示された通りに動く姿をイメージしながら注ぎ続ける。
身体が小さい分、影響が出るのも早かった。まず瘴気自体が毒になると考えて問題なさそうだ。濃度を増していく瘴気に侵され、小さな身体の小さな細胞が破壊されていくのが伝わってくる。
心臓が悲鳴をあげている。血管は腐ったゴムだ、弾力を失い、それでも瘴気に動かされた血圧に耐えられず小さなものから裂けていくのがわかる。実験は失敗するだろう。それでも瘴気を注ぐ。
・・・今や完全に肉体は死んでしまった。生体のまま、、少くともこのサイズの生き物が使い魔になることはなさそうだ。
失敗した場合は、瘴気により破損した死体、を前提に使い魔化を進めることに決めていた。攻撃していた瘴気は死体になってからむしろ回復を促すように細胞に弾力を与え始めた。
裂けた血管の傷を覆い修復していくのがわかる。傷を完全に癒した瘴気は更なる変質を促すようだ。細胞が異質に変化していくのがわかる。通常の細胞から、瘴気を物質化したものに置き換わっていく。
元々の性質を取り込んだ後、溜まった瘴気が喰うようにして侵食し、その側から物質となった瘴気が取り変わっていく。
侵食し侵略する動きは加速度的に進んでいく。ここまでくれば、瘴気を注ぐ必要もなさそうだ。観察を続けると全ての細胞が入れ替わり、鼠の形をした瘴気の塊、、使い魔が出来上がっていた。どの程度自由に動かせるかはわかあらないが、、、次の実験に取り掛かろう。
次は、まず脳を破壊する。使い魔の知能が脳の欠損とどの程度リンクするのかを知るための実験だ。生命活動に関係しないと思われる脳の領域に意識を集中する。
そして、破壊する意思を持った瘴気を一気に浸透させた。鼠はビクンッと動いた後、狙い通り植物状態になったようだ。さて、、ここからは先ほどと同じだ。瘴気を浸透させ殺した後、そのまま使い魔へ変換してく。特に問題も起きず全ての細胞が瘴気に入れ替わり、2代目の実験も終わった。能力テストは全部終わってからだな。
次は死体に対しての実験だ。無駄に苦しませる事はない。2匹を掴むと1匹は綺麗な状態にするため、窒息させて終わらせた。1匹は破損させる必要がある。使い魔が瘴気でできていることを考えると臓器の破損はあまり意味がないかもしれないが、、、オレは仰向けにした後、腹部へ内臓が損傷し絶命するに十分な衝撃を与えた。ついで、片足を潰し、片手は千切って捨てた。念の為、脳も物理的に欠損させる。
用意した2つの死体に対して、瘴気を注いでいく。綺麗な死体はなんの抵抗もないかのように注いだ側から瘴気にいれ変わるのがわかる。瘴気は生きる意思に対して攻撃し、死に対しては物質的な恩理を持って応える、といったところか。
破損した死体も同様に抵抗なく瘴気に変わるようだ。破損箇所はその過程で修復され傷のない状態の使い魔へと変貌させていた。完全に材料をなくしていた脳の一部と片腕は、まるで細胞の記憶でも読み取って再現したかのように綺麗に修復されている。
死体に適応した場合は、生前の姿にまで修復した上で使い魔になる事がわかった。、、、骨だけの場合はどうなるんだろう?まぁ、それは次の実験で良い。
一通り使い魔化の実験は終わり、死体であればある程度の損壊は無視して使い魔になることはわかった。次は状態による能力の差異を検証する。
4体の使い魔は、見た目は全て一緒だ。そして、意識を向けるてわかったのだが、具体的な命令を下す(声にする必要はない)ことで、想定した通りの動きをさせる事ができた。これは、全ての使い魔に共通で個々の違いはないように思われる。
次に抽象的な命令に対する反応だが、これは非常に興味深い結果となった。脳を破壊されている2体は、抽象的な命令は理解できていないようで、反応を示さなかったのだ。
対して、脳が破損していなかった2体は“それれぞれが考えたように異なる反応を示しながら”動いているのがわかる。
知能は低いから、高度なことはできないがこれは大きな発見だったといっていい。人に行う場合、これで“思考力”を持った使い魔になるのは間違いないだろう。
さて、、、気になる点が1つある。脳を破壊していない場合、能動的に命令を実行してくれるだろう。それは意識や感情があると言う事だろうか?思考力がある、というだけだろうか?
イメージ的には使い魔なら裏切りはない、と思うが、、、、。意識がある場合、どこまで積極的に行動するのかは本体の資質に依ることにならないだろうか?
趣味趣向まで再現される可能性もある。変に個性を持った使い魔というのは使いにくいし、好みで協調性まで変わる可能性がある。求めているのは自己犠牲を厭わない完璧に制御された存在だ。脳の状態に依存する以上は、新鮮な状態が望ましい訳で、、、今は検証する時間がない。
オレはイラつきながら戦士に目をやる。地下とはいえ、ここは瘴気に満ちている。残り時間はどの程度だろうか?衰弱死を待った場合、瘴気による脳へのダメージも影響してくるだろうか?今やれることをやるしかない。
戦士に近づくと無言で頭に手をやる。今からやる洗脳の目的は、絶対的な忠誠をもたせる事が目的だ。オレはいつもの手順で瘴気を注ぎながら、戦士の人格、性格の矯正(従順で余計なことを考えない)を試みる。
次いで、生まれた時からオレに仕える事を定められ、今までその為だけに生きてきた。主人の利益こそが自分の求める全てであり、人でありながら、人に仇なす異教の徒。不死者の殉教者、そう深く深く刻み込むように暗示をかけていく。
生きている状態で暗示の効果を確認する必要がある。オレは瘴気に当てられて虚な戦士の意識が回復するのを待つ間、残っていた2匹を使い魔にした。
ただ、、、実質的に使えるのは1体だけだ。子供の使い魔は、筋力などが強化されているとは言え、運動能力は乏しいように感じられた。幼すぎたのだ。
親鼠の使い魔に命令して、周囲の警戒にあたらせる事にした。といっても余り期待はできないだろうな、、、まぁいい。外へ解き放し、1時間おきに報告するように指示を出す。報告はオレに向けて意識を向けるだけでいい。使い魔の記憶を読み取り見る事ができる。逆にいうと報告がなければ、外敵にやられたということだ。
さて、、、戦士は思った以上に役立ってくれている。この世界の常識も含めてわからない事だらけのオレに今後も尽してくれるだろう。そんなことを考えながら、意識を取り戻した戦士といくつかのやりとりを行った。
洗脳効果は期待通りだ。既に何度も洗脳しているせいで、脳に障害が起きていたら困るが、、、まぁ、今更だな。瘴気で心臓を締め上げる。血液の流れを止める。
この魔都の片隅、辺境の教会で不幸な冒険者は人知れず生まれ変わろうとしていた。
□□後書き□□
ちらっと出てきたフランクルはウィーン第三学派と言われるロゴセラピーの提唱者でユダヤ人です。第二次世界大戦のアウシュビッツの生き残りで、自身の体験をもとにし「生きる意味」を見つめた医師で著書はとても前向きで人生賛歌ともいえる素晴らしい内容ですので、興味ある方は調べてみてください。
今作は善悪に囚われず、残酷な世界をテーマにした作品なので次回作を、書く時は暖かさ全開の作品を書くかもしれません。清濁併せ呑むような深い物語がそのうち書けるといいな、、。
これから、少しずつ物語が進み始めます。これまで、読んでくださりありがとうございます!
次の話が気になって読みたい!と思っていただけるような作品作りができるように頑張りますので、ぜひ応援よろしくお願いします!
ブクマや評価いただけると、モチベーション爆上がりで作品作りが楽しくなるので、ぜひ!!!
引き続き、不死者転生(ふしてん)を宜しくお願いします!
体力の活性魔法と称して洗脳状況の確認を行なっている。脳に残した瘴気は日に日に弱まるようで、1週間もすれば自力で正気に戻る可能性がありそうだ。
古都についたら、次は使い魔の作成実験を行うつもりでいる。オレ1人では何かあった際に生き延びるのは難しくなるだろう。転生したことはもう受け入れているが、転生早々死にたくないし、次また転生できたとして記憶を引き継げるのかもわからない。
オレが転生したことに意味はあるんだろうか?多分、、、ないだろう。「意味は求めるものではなく、求められるもの」といったV.E.フランクルの言葉を思い出す。
不死者としての生を受けたのだ。終わる時は殺される時。逆に言えば、死の恐怖からわかりやすく解放される方法がわかっている。時間は永遠とも言える程ある、身の振り方は自然と見えて来る、そんな気がしている。
使い魔候補の戦士は、夜目が効かないため、移動に時間がかかる。安全に、確実に進めているのは土地勘のある彼のおかげでもある。
最初の実験体の彼は、、、最初の捨て駒にもなるだろう。大雑把で良くも悪くもさっぱりした性格の男だ。人間であったなら良い関係を築けたかもしれない。
古都周辺は濃い瘴気により昼間でも薄暗く、分厚い雲に覆われている。食物や動物も汚染されている為に人が口にできる食糧はないらしい。生きていく上では好都合だが、しかし、、、やはり仲間が欲しい。
使い魔とはどの程度の能力があるのだろう。
「もうすぐ古都につくのだろう?気をつけるべき事はあるのか?」
「そうだな、、俺もお前と一緒で初めて踏み入る領域だから確かな事は言えない。だが、傭兵仲間のディルを覚えているか?あいつは、一度国の瘴気調査の護衛として周辺までは行った事があるらしい。」
「国の調査機関?」
「ああ、俺はあれだ、、、バカだからよ、詳しい事はそもそも聞いてないんだ。興味もなかったしな。
瘴気自体は俺らにとって害悪でしかないだろ?瘴気を浄化する為の研究だって話だ。」
「国の機関とはいえ、確か軍が中心だったらしくてな。あいつらは戦力強化の為なら犯罪奴隷とはいえ、、、胸糞悪りぃ実験をしてたろ?
素直に浄化実験なんかしないぜ?どうせ禁忌に触れるような、、、瘴気を使った実験をしてんだろうぜ。」
興味深い話だ。
瘴気を使った実験、、、その詳細がわかれば俺の役に立つだろう。とはいえ、今何かできることなんてないわけだが、気になるのは国軍という純粋な武力が近くにいる可能性がある、ということだ。
魔都を拠点にゆっくり瘴気を理解していこうと思っていたが、下手するとオレが実験台になる可能性もあるわけだ。魔都に辿り着けば安全だと思っていたが、そういう訳には行かないのかもしれない。
「軍の奴らは、、魔都にいると思うか?」
「瘴気が濃すぎて無理だろうな。ディルのやつが行ったのは5年前って話だから、、もし、研究を続けているなら、森の何処かに拠点を築いているかもしれないぜ?
なんせ、この辺りは瘴気に溢れているからな。小鬼だけならともかく、何が出てくるかわからん。俺らも周辺を警戒しながらだな、、命あっての物種だ。慎重に行こうぜ。」
豪快な性格のわりに、真剣な戦士の顔を見るに確かに油断ならない場所なのだろう。オレにとっては同族がいるかもしれないエリアだ。友好的とは限らない。
そもそも不死者は単独行動らしいから、馴れ合うような性質は持っていないだろう。それに不死者以外の魔物、、瘴気由来の存在もいるのだ。それらがオレに友好的とは考えないでおこう。魔都に入る前に、周辺を調査してセーフエリアを見つけておくべきだろうな。
「そうだな。それなら、魔都直前でセーフエリアになりそうなポイントを探そう。いきなり侵入しても何がいるかわからないからな。少し遠目からでも観察したい。」
そうだな、と戦士は頷き歩を進める。
あれから更に1時間ほど移動したろうか?オレにとっては目に見えて瘴気が濃くなってきたのがわかる。戦士に目をやると、瘴気の影響からか少し苦しそうな、、、酸素が薄いかのように呼吸が荒くなっているのがわかる。
周辺の瘴気濃度が濃くなるにつれ、使い魔を作れるのではないか?という気がしてきた。やり方も本能が教えてくれるだろう。誰かに教わりもしないのに複雑な巣を作れる蜘蛛のように。
戦士とも、、お別れの時間が近づいている。
深く暗い森の中、突然目の前に開けた空間が現れた。
本来は、教会でもあったのかもしれない。朽ち果てた建物の基礎、形跡が残っている。どうやら、この世界、少くとも魔都は石の文化のようだ。基礎と辛うじて残っている壁や、支柱の残骸は削り出した石を組み合わせて造っている。ヨーロッパのように地震が少ない地域なのだろう。時の流れに身を任せて風化している。
古都内部はどうなっているのだろう?流石に、ここまで風化していなければいいのだが、拠点とする上で利用できる建物があればいいが、、できれば屋根付きで。
瘴気がこれだけ増えていれば、色々と試せる事も多いだろう。教会を拠点にして瘴気の実験を行うことにした。幸い、教会には地下牢があったらしく(どの世界の宗教も闇があるものなんだろうな・・・)、地下牢の入り口は固く閉ざされていただけあって、魔物の類も動物さえも見当たらない。
戦士を伴い、地下牢を確認したが、使えそうなものは流石に残っていなかった。看守の詰所と思われる部屋をメインに使うことにした。牢屋自体は経年劣化が激しく、、、使い物になりそうにないな。錆がひどい。
これからのステップを考えてみよう。まず、教会跡を中心としたセーフゾーンの確保が最優先だ。オレは、どうやら瘴気を糧にしているようで、栄養補給も必要なさそうだ。瘴気の中にいるだけでエネルギーが補給されている事がわかる。
問題は、、戦士だ。この土地の食物、動物は瘴気に適応したのだろう。戦士が口にできるものはない。つまり、、、塩分も取れない環境なのだから、数日で死ぬだろう。それまでに活用方法を決める必要がある。
次いで、安全確保のためにはやはり使い魔の使役だろう。斥候・警戒網の構築には小動物を使えればいい。盾役として、戦士だな。そして、、、ここは教会だ、近くに墓地などの跡地があるのではないだろうか?
所謂、スケルトンを作れないかと考えている。骨だけで動くってのが現実味ないんだけど、、、異世界ならなんとかなるか??
そもそも、死体に瘴気を入れることで使い魔になるとして、肉体は腐らないのだろうか??ベースは有機物になるのだから、可能性は高い気がするんだよな。。
戦士、、できれば腐らないで欲しい。。。小鬼はまだ見た事がないが、瘴気が濃いだけに、近くにいる可能性が高いと考えると、小鬼を見つけるのを優先してもいいな。
斥候役の小動物を確保できたら、周辺探索だ。魔都に入りたい気持ちもあるが、教会跡地は人が近づくにはギリギリのエリアだと思われる。
つまり、国軍との接触リスクがあると考えて動いた方がいいだろう。備えあれば憂いなしだ。着実に手駒を増やし、安全を確保しよう。
瘴気に当てられて休んでいる戦士を見るとかなり憔悴しているのだろう。壁を背に座る姿には力がない。時間がない、、、。オレは戦士にしばらくここで休むように伝えると外へ出た。
さて、、生命探知が扱えるだろうか?
身体の内部にある瘴気に意識を向けると血液のように循環しているのがわかる。
探索魔法か。精神力を飛ばすことで探知を発動していると考えると、自分の身体を無視して間隔が拡がるイメジだろう。
まずは循環する瘴気の流れを意識し全体を掴むように集中する。循環する瘴気の一部が身体の外で漏れ拡がるように流れの一部を操作する。
すると僅かに知覚できる境界線が拡がっているのがわかる。よし!このまま、、、さらに速く、均一に範囲を拡げていく。かなりの集中力を要するが、、これならいけるだろう。
集中して瘴気を拡げ続ける。教会跡地内に自分の瘴気がうっすらと満ちている。生き物を探知する、というよりも動くものの気配を感じる事ができるようだ。
完全に停止しているような存在や、命無き存在はこれには引っ掛からないな、、、生きていれば鼓動でさえ感じ取れるだろう。
オレは目標を定めて意識を集中する。
、、鼠だろうか?物陰に隠れている。
数は、、大きいものが1体、小さな反応が6体感じられる。母と子と行ったところだろう。数としても申し分ない。オレは素早く狙いを定め物陰に隠れていた生き物(やはり鼠のようだ)の大きな反応を視認すると手早く掴みとった。
オスかメスかはわからないが大人の個体で間違いない。子供の個体はまだ逃げる事もできないようで、小さく固まっている。全て回収すると地下牢へと戻ることにした。
捕まえた6体で行う実験は以下の通りだ。
5匹の子供達の内、4匹で以下の実験を行う。
・生体の状態:大量の瘴気を馴染ませ生きたまま使い魔になるかを実験
・生体の状態:大量の瘴気でまず脳を調整し、身体面に影響がない範囲で脳を破壊し、使い魔に変わるか実験
・死体:死亡後に使い魔になるかを実験
・死体:死後、ある程度身体を破損させた状態で実験
親鼠と子供1体は、今回は使わない。まず、生死の違いでどうなるかを確認したいのと、状態によりどの程度のものが出来るのかを確認する必要がある。
休んでいる戦士は既に意識を消失しつつあるように見える。人型の使い魔は貴重になるだろう。この実験は速く終わらして、どの状態が最適か答えを見つけなければいけない。
オレは、まず生体に大量の瘴気を注ぐことで、生きたまま使い魔になるかを実験することにした。このエリアで生きていた生き物だ。瘴気に対する耐性を持っているようで一定以上の瘴気が身体に溜まるのを防ぐようにできているようだ。何か特定の臓器なりが発達したのだろうか?この辺りはまた別の機会に調べてみよう。
逃げられないように身体を拘束すると、一定量の瘴気を馴染ませ始める。成否に関わるかわからないが、目的意識を明確に持って注いだ方がいいだろう。
生きたまま使い魔になった姿を想像する。オレの意思を読み指示された通りに動く姿をイメージしながら注ぎ続ける。
身体が小さい分、影響が出るのも早かった。まず瘴気自体が毒になると考えて問題なさそうだ。濃度を増していく瘴気に侵され、小さな身体の小さな細胞が破壊されていくのが伝わってくる。
心臓が悲鳴をあげている。血管は腐ったゴムだ、弾力を失い、それでも瘴気に動かされた血圧に耐えられず小さなものから裂けていくのがわかる。実験は失敗するだろう。それでも瘴気を注ぐ。
・・・今や完全に肉体は死んでしまった。生体のまま、、少くともこのサイズの生き物が使い魔になることはなさそうだ。
失敗した場合は、瘴気により破損した死体、を前提に使い魔化を進めることに決めていた。攻撃していた瘴気は死体になってからむしろ回復を促すように細胞に弾力を与え始めた。
裂けた血管の傷を覆い修復していくのがわかる。傷を完全に癒した瘴気は更なる変質を促すようだ。細胞が異質に変化していくのがわかる。通常の細胞から、瘴気を物質化したものに置き換わっていく。
元々の性質を取り込んだ後、溜まった瘴気が喰うようにして侵食し、その側から物質となった瘴気が取り変わっていく。
侵食し侵略する動きは加速度的に進んでいく。ここまでくれば、瘴気を注ぐ必要もなさそうだ。観察を続けると全ての細胞が入れ替わり、鼠の形をした瘴気の塊、、使い魔が出来上がっていた。どの程度自由に動かせるかはわかあらないが、、、次の実験に取り掛かろう。
次は、まず脳を破壊する。使い魔の知能が脳の欠損とどの程度リンクするのかを知るための実験だ。生命活動に関係しないと思われる脳の領域に意識を集中する。
そして、破壊する意思を持った瘴気を一気に浸透させた。鼠はビクンッと動いた後、狙い通り植物状態になったようだ。さて、、ここからは先ほどと同じだ。瘴気を浸透させ殺した後、そのまま使い魔へ変換してく。特に問題も起きず全ての細胞が瘴気に入れ替わり、2代目の実験も終わった。能力テストは全部終わってからだな。
次は死体に対しての実験だ。無駄に苦しませる事はない。2匹を掴むと1匹は綺麗な状態にするため、窒息させて終わらせた。1匹は破損させる必要がある。使い魔が瘴気でできていることを考えると臓器の破損はあまり意味がないかもしれないが、、、オレは仰向けにした後、腹部へ内臓が損傷し絶命するに十分な衝撃を与えた。ついで、片足を潰し、片手は千切って捨てた。念の為、脳も物理的に欠損させる。
用意した2つの死体に対して、瘴気を注いでいく。綺麗な死体はなんの抵抗もないかのように注いだ側から瘴気にいれ変わるのがわかる。瘴気は生きる意思に対して攻撃し、死に対しては物質的な恩理を持って応える、といったところか。
破損した死体も同様に抵抗なく瘴気に変わるようだ。破損箇所はその過程で修復され傷のない状態の使い魔へと変貌させていた。完全に材料をなくしていた脳の一部と片腕は、まるで細胞の記憶でも読み取って再現したかのように綺麗に修復されている。
死体に適応した場合は、生前の姿にまで修復した上で使い魔になる事がわかった。、、、骨だけの場合はどうなるんだろう?まぁ、それは次の実験で良い。
一通り使い魔化の実験は終わり、死体であればある程度の損壊は無視して使い魔になることはわかった。次は状態による能力の差異を検証する。
4体の使い魔は、見た目は全て一緒だ。そして、意識を向けるてわかったのだが、具体的な命令を下す(声にする必要はない)ことで、想定した通りの動きをさせる事ができた。これは、全ての使い魔に共通で個々の違いはないように思われる。
次に抽象的な命令に対する反応だが、これは非常に興味深い結果となった。脳を破壊されている2体は、抽象的な命令は理解できていないようで、反応を示さなかったのだ。
対して、脳が破損していなかった2体は“それれぞれが考えたように異なる反応を示しながら”動いているのがわかる。
知能は低いから、高度なことはできないがこれは大きな発見だったといっていい。人に行う場合、これで“思考力”を持った使い魔になるのは間違いないだろう。
さて、、、気になる点が1つある。脳を破壊していない場合、能動的に命令を実行してくれるだろう。それは意識や感情があると言う事だろうか?思考力がある、というだけだろうか?
イメージ的には使い魔なら裏切りはない、と思うが、、、、。意識がある場合、どこまで積極的に行動するのかは本体の資質に依ることにならないだろうか?
趣味趣向まで再現される可能性もある。変に個性を持った使い魔というのは使いにくいし、好みで協調性まで変わる可能性がある。求めているのは自己犠牲を厭わない完璧に制御された存在だ。脳の状態に依存する以上は、新鮮な状態が望ましい訳で、、、今は検証する時間がない。
オレはイラつきながら戦士に目をやる。地下とはいえ、ここは瘴気に満ちている。残り時間はどの程度だろうか?衰弱死を待った場合、瘴気による脳へのダメージも影響してくるだろうか?今やれることをやるしかない。
戦士に近づくと無言で頭に手をやる。今からやる洗脳の目的は、絶対的な忠誠をもたせる事が目的だ。オレはいつもの手順で瘴気を注ぎながら、戦士の人格、性格の矯正(従順で余計なことを考えない)を試みる。
次いで、生まれた時からオレに仕える事を定められ、今までその為だけに生きてきた。主人の利益こそが自分の求める全てであり、人でありながら、人に仇なす異教の徒。不死者の殉教者、そう深く深く刻み込むように暗示をかけていく。
生きている状態で暗示の効果を確認する必要がある。オレは瘴気に当てられて虚な戦士の意識が回復するのを待つ間、残っていた2匹を使い魔にした。
ただ、、、実質的に使えるのは1体だけだ。子供の使い魔は、筋力などが強化されているとは言え、運動能力は乏しいように感じられた。幼すぎたのだ。
親鼠の使い魔に命令して、周囲の警戒にあたらせる事にした。といっても余り期待はできないだろうな、、、まぁいい。外へ解き放し、1時間おきに報告するように指示を出す。報告はオレに向けて意識を向けるだけでいい。使い魔の記憶を読み取り見る事ができる。逆にいうと報告がなければ、外敵にやられたということだ。
さて、、、戦士は思った以上に役立ってくれている。この世界の常識も含めてわからない事だらけのオレに今後も尽してくれるだろう。そんなことを考えながら、意識を取り戻した戦士といくつかのやりとりを行った。
洗脳効果は期待通りだ。既に何度も洗脳しているせいで、脳に障害が起きていたら困るが、、、まぁ、今更だな。瘴気で心臓を締め上げる。血液の流れを止める。
この魔都の片隅、辺境の教会で不幸な冒険者は人知れず生まれ変わろうとしていた。
□□後書き□□
ちらっと出てきたフランクルはウィーン第三学派と言われるロゴセラピーの提唱者でユダヤ人です。第二次世界大戦のアウシュビッツの生き残りで、自身の体験をもとにし「生きる意味」を見つめた医師で著書はとても前向きで人生賛歌ともいえる素晴らしい内容ですので、興味ある方は調べてみてください。
今作は善悪に囚われず、残酷な世界をテーマにした作品なので次回作を、書く時は暖かさ全開の作品を書くかもしれません。清濁併せ呑むような深い物語がそのうち書けるといいな、、。
これから、少しずつ物語が進み始めます。これまで、読んでくださりありがとうございます!
次の話が気になって読みたい!と思っていただけるような作品作りができるように頑張りますので、ぜひ応援よろしくお願いします!
ブクマや評価いただけると、モチベーション爆上がりで作品作りが楽しくなるので、ぜひ!!!
引き続き、不死者転生(ふしてん)を宜しくお願いします!
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