おっぱい刑事(デカ)

きーぼー

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おっぱい刑事(デカ)暁に吠える

その1

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 その少女は、あるアパートの前でウロウロしていた。
察するに彼女は、そのアパートの一室を訪ねるつもりらしいのだが、どうやらここに来て、それを逡巡し、ためらっているらしかった。
彼女の片手には、大きなビニール袋がぶら下がっており、どうやら、スーパーで食材を買い込んできた様子であった。
少女のまだ幼さの残る顔には、期待と不安が交錯しており、しばらくの間、アパートの前で右往左往していたが、やがて意を決したのか、いよいよ、その大きな建物の方へと歩き始める。
その古いアパートは、単身者用に作られた、二階建てのアパートであり、一階と二階には、それぞれ五つの、部屋番号がついた扉が、ズラリと並んでいた。
少女は、その建物の敷地内に入ると、迷う事なく真っ直ぐに歩き、やがて、件のアパートの一階部分に居並ぶ幾つかの号室の内、一つの部屋の扉の前でピタリと立ち止まる。
どうやら、少女は、そのアパートの一室を訪ねる為に、わざわざここまでやって来た様であった。
少女の目的とは一体ー。
アパートの一室の前で立ち止まった少女は、その部屋のドアの上に掲げられた表札を見上げる。
その表札には「白銀」と記されていた。
アパートの一室の扉の前に立つ少女は、ゴクリと息を飲むと、ビニール袋を持っていない方の手で、その部屋のチャイムを鳴らす。

ピンポーン!

少女がその前に立つ、閉まったドアの向こうから、微かに響くチャイム音が聞こえてきたが、中にいる住人が、それに反応して玄関口にやって来る気配は無く、どうやら室内には誰もいない様であった。

(やっぱり、留守か。まぁ、当然よね。先生は今、学校で授業をしてるんだから。フフッ、予定通りだわ)

どうやら、この部屋の住人である白銀鉄人先生が留守である事は、彼女には想定済みであるらしかった。
お目当ての部屋の住人が留守であるにも関わらず、そのアパートの一室の前に立つ少女には、落胆した様子はなく、やがて彼女は懐から、何やら銀色に光る物体を取り出すと、それを見てニヤリと口角を上げた。
そして、それは一本の鍵であった。

(合鍵を作っておいて良かった。これで、中に入れるわ)

なんと、彼女が手にしている鍵は、この部屋の住人である白銀先生に与えられた物ではなく、彼に内緒で勝手に作った、侵入用の合鍵であった。
彼女は、その鍵をドアノブの鍵穴に差し込むと、部屋の扉を開けて中へと入っていった。
合鍵を使って、部屋の中に侵入した彼女は、玄関口でいったん立ち止まると、そこで靴を脱いでから室内へと上がった。
玄関に脱ぎ捨てた靴をきれいに揃えると、意を決して、室内の奥の方へと歩き出す少女。
彼女の片手には、スーパーで買った食材が入ったビニール袋がぶら下がっており、初めて入る手狭なアパートの部屋の中を、おどおどと歩くその姿には、緊張感が漂っていた。

(えっちな本とか、DVDがあっても、気にしないわ。先生、男だし独身だもんね。でも、これからは、わたしがいるから大丈夫ー。キャッ、わたしって大胆っ!)

少女は、そんな事を考えながら、部屋の奥へと進んでいく。
彼女が今いるアパートの部屋は、単身者向けなだけあって、非常な簡素な造りになっており、バスルームとトイレの他には、キッチンを兼ねたダイイングルームと、後は寝室に使われている小さな部屋が、一つあるだけであった。
少女は、玄関口から延びる狭い通路を抜けると、まず、二つしかない部屋の手前側である、台所がついたダイイングルームに入ると、そこで立ち止まり、室内をぐるりと見回した。

(へぇ、割と片付いてるのね。男の人の一人暮らしって、もっと乱雑なのかと思ってたけど。えっちな本やDVDも落ちてないしー」

彼女が立っているのは、手狭なアパートの室内の中央に位置するダイイングルームであり、様々な台所器具が付属する水場が、部屋の角の方に設けられていて、更にフローリングの床上の真ん中には、普段はそこで食事をしていると思われる、大きな木製テーブルが置かれていた。
彼女は、手にしていた食材の入ったビニール袋を、その部屋の真ん中にある、大きなテーブルの上に置くと、ふうっとため息をついた。

(よし、この食材で料理を作って、先生を待とう。台所を借りなきゃね。先生、学校から帰ってきたらきっとびっくりするわね。でもわたしの作った、美味しそうな料理がテーブルに並んでるのを見たら、絶対に感激してくれるわ。もしかしたら、その場でプロポーズされちゃうかも。そうなったら、どうしようー)

そう、彼女は、聖タコス学園に籍を置く女学生であり、某学園のイケメン教師、白銀先生のクラスに所属する、彼の教え子の一人であった。
彼女は以前から、担任教師である白銀教諭に恋心を抱いており、時間が経つとともに、それは徐々にエスカレートし、遂には無断で彼の部屋の合鍵を造るなど、ストーカー行為をする迄になっていたのであった。
そして、思いを募らせた彼女は、とうとう今日学校を中退すると、白銀先生が不在の間に密かに造っていた合鍵を使い、彼の部屋に不法侵入してしまったのであった。
彼女は、自慢料理を作って、担任教師が帰宅するのを待ち構え、彼が帰って来た時に、自分の切なる思いを相手に告げるつもりであった。
そして、あわよくば、白銀先生の恋人になろうと目論んでいたのである。

(先生、早く帰って来ないかな。おっと、その前に、料理、料理)

そうして、持ってきた食材を使い、調理を始めようとした彼女であったが、ふと周りを見回した時に、一つの開けっぱなしの扉口が目に入る。
それは、二部屋しかないこのアパートの間取りの内、彼女が今いるダイニングルームからは、更に奥まった位置にある、寝室として使われている部屋へと通じる扉であった。
カーテンが引かれているのか、昼なお暗きその部屋の事が、何故か気になってしまったのであろうか。
件の少女は、調理に取り掛かろうとしていたその手を止めると、踵を返し、ゆっくりとした歩調で、奥の部屋へと通じるまるで暗い穴の様な扉口へと歩いて行く。
そして、引き戸が開けっぱなしとなっているその部屋の中を、手前にあるリビングルームの床上に立つ彼女が、扉越しに覗き込むとそこにはー。

「ーっ!!!」

リビングルームの床上に立つ少女が、そこから更に奥まった場所にある、寝室の中を覗き込むと、その部屋の中には、信じられないものが存在していた。
少女の息が、思わず止まる。
かといって、先ほど彼女が危惧した様に、えっちな本やDVDがあった訳ではない。
その部屋は、彼女がいる手狭なリビングルームより更に狭い、こじんまりとした部屋であった。
机と書棚と衣服タンス、そして寝るためのシングルベッドが置かれており、一つしかない窓には、カーテンが引かれている。
床には塵一つ無く、部屋の中は清潔に保たれており、住む人の人柄をうかがわせた。
そして、窓枠近くの壁には、ハンガーに掛けられた一着の衣服が吊るされていた。
その衣服は、昔の武士が着ていたような古風な形状をした着物であり、おまけに上の方には、ハンガーを覆うみたいに大きな編笠も引っ掛けられていた。
そうー。
それは、キター侍が身につけていた衣装、そのものだったのだ。

「あ、あれは、キター侍のー」

隣の部屋を覗く少女の瞳が、恐怖で大きく見開かれる。

「そ、そんなーっ!まさか、先生がっ!?いやあぁぁーっ!!!!!」

少女の発した絶望の叫びが、暗い部屋の中に響く。
彼女が放った甲高い悲鳴は、壁越しに、隣の部屋にも聞こえる程であった。

[続く]



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