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アルテミスの森の魔女
その42
しおりを挟むあれ?あそこに居るのって、リーナ?ずいぶん前に避難したはずじゃ……。それに何で1人で?
「リーナ!」
「あっ!フランツ!もう探したんだからね!あれだけお父さんが離れるなって言ってたのに、離れちゃうんだから。」
もしかして、僕を探すために?
「リーナ、みんなは?」
「さぁ?私も離れちゃったから。」
「今すぐ避難所に行こう。ここは危険なんだ。すぐそこまで魔物が来てる。」
「魔物って、もしかしてあれ?」
「え?」
リーナが指さした方を見ると、シルバーウルフがこちらを狙っていた。
「これって……。私死んじゃうの?」
相当驚いているみたいだ。まずは落ち着かせないと。
「大丈夫。僕が守るよ。必ず。」
「でも、魔物……。」
リーナは少し震えていた。
「リーナ。リーナ。僕を見て。大丈夫だから。あっ先に謝っておくね。」
「えっどういう……きゃっ。」
僕はリーナを抱きかかえ、家の屋根まで飛び、避難所をめがけ屋根伝えに思いっきり走った。
地上より上に居た方が襲われにくいからだ。
「ちょっとどういうことー!」
「落ちないようにちゃんと捕まってね!」
「分かってるわよ!絶対落とさないでよ!」
やっぱリーナはこうでなきゃ!
あそこが避難所に指定されている場所だ。
僕らはいくつかある避難所の内、この避難所に避難する事になっていた。
「リーナ着いたよ。」
避難所は地下にあり、僕らは階段を降りていく。
「リーナ!」
「お母さん。」
階段付近でハンナさんとヘラーが待っていた。ハンナさんはリーナをぎゅっと抱きしめる。
「心配したんだから。ほんと。よかった。」
「ごめんなさい。」
避難所はそこそこの広さがあり、人も多かった。100人くらいは居るだろうか。
「じゃぁ僕は戻るね。」
「ちょっと!待ちなさいよ!フランツもここに居たらいいじゃない。」
「リーナ。」
「僕も一緒が良いなぁ。」
「ヘラーも。」
「えぇ。外は危ないわ。大人に任せておけば大丈夫よ。騎士団や自警団の方も居るし。」
「ハンナさん。ありがとうございます。でも僕は大丈夫です。自分に出来ることをやってきます。」
僕は逃げるように避難所を立ち去った。
聖女様が来ていない今、ゲームの展開と全く変わらない。
唯一違うのは、僕がいるって事だけ。
ゲームと同じ展開になるのは嫌だ。みんなが来るまで僕がなんとかして耐える。
少しでも犠牲者を減らすんだ。
町がカオスになってきた。
シルバーウルフや、ゴブリンなどの様々な魔物がそこかしろに迫ってきていて、町人を襲っている。
やっぱり、全員の避難は間に合わなかったか。
「君!」
避難所から出て、町で出会う魔物を片っ端から倒しているとき、誰かに呼ばれた。
振り向くと、見たことのあるおじさんがいた。町長だ。
町長もみんなに避難を呼びかけているみたいだった。
「君は、王都から来た子だよね?お父さんはどうした?それに騎士団は来てくれるのか?」
「まだいつ来るかは分かりません。でもこの事は連絡済みだと思うので、必ず来ます。今はとにかくみなさんの安全を確保しつつ耐えるしか。」
「そうか。私は昔騎士団に入っていたからなんとか戦えているが、見ての通り、町民は魔物と戦った事なんてないんだ。みんな逃げることしか出来ない。」
「はい。」
「でも今の状況では、避難所まで移動するにもリスクがありすぎる。なんとかみんなを守る方法はないのか?」
僕みたいな子供にすら解決策を求めてくるって事は相当切羽詰まっているって事だよね。
「えっと……。」
どうしたら良いんだろう。確かに僕は魔物を倒し続けられるけど、一気には倒せない。
今も刻一刻と町民は襲われているんだよな。
「君たちはこの事態を想定していたんだろ?ならなぜもっと早く騎士団を送ってくれないんだ!私たち町民の命はどうだっていいと思ってるのか?!」
僕が答えられないでいると町長は声を荒げ、態度が一変した。
「どうだって良いだなんて思ってません。」
「知ってるか?今日の襲撃で何人が犠牲になったか。」
「……僕もここまでの間に何人も見てきました。」
「これは防ぎようのない事だったのか?」
返す言葉が見つからない。
「そもそも君たちが魔物を呼んだんじゃないのか?」
「え?」
「だっておかしいと思わないか?そもそもなんで魔物が襲ってくるって推測できるんだ?魔物が襲ってくるメカニズムすら判明されていないというのに。王都は何か隠しているんじゃないか?」
「そんなことありません!」
「ほら、必死で弁解しようとしてるじゃないか。この町に恨みでもあるのか?私たちが何をした?」
「僕たちはだだ――」
「ただなんだ?」
ゲームで知った情報だなんて言えない……。
「僕たちは、皆さんのことを守りたくて。」
「それで?この状況、守れていると言えるのか?」
「1人で出来ることは少ないけど、僕の目の前で困っている人がいれば全力で守ります。」
「そんなのたかが知れているだろ。」
「分かってます。でも1人でも多くの人を守るために、今僕に出来ることを最大限やります。なので、もう行きます。失礼します。」
僕は全力で走った。
町長に言われたことなんて気にするな。
僕はみんなを守りたいんだ。
みんなのことを助けたくてここまで来たんだ。
なのに……。
”知ってるか?今日の襲撃で何人が犠牲になったか。”
”これは防ぎようのない事だったのか?”
町長の言葉が頭から離れない。
そんなの僕自身が一番分かってる。
いや、今は考えるな。全力で自分に出来ることをするんだ。
僕はその後も、手当たり次第に魔法で魔物を倒していく。
これくらいの魔物なら魔法でも十分倒せる。
ただ、もっと強い魔物が現れる事を想定すると、剣も欲しい。
僕は、騎士団の拠点に向かうことにした。
「リーナ!」
「あっ!フランツ!もう探したんだからね!あれだけお父さんが離れるなって言ってたのに、離れちゃうんだから。」
もしかして、僕を探すために?
「リーナ、みんなは?」
「さぁ?私も離れちゃったから。」
「今すぐ避難所に行こう。ここは危険なんだ。すぐそこまで魔物が来てる。」
「魔物って、もしかしてあれ?」
「え?」
リーナが指さした方を見ると、シルバーウルフがこちらを狙っていた。
「これって……。私死んじゃうの?」
相当驚いているみたいだ。まずは落ち着かせないと。
「大丈夫。僕が守るよ。必ず。」
「でも、魔物……。」
リーナは少し震えていた。
「リーナ。リーナ。僕を見て。大丈夫だから。あっ先に謝っておくね。」
「えっどういう……きゃっ。」
僕はリーナを抱きかかえ、家の屋根まで飛び、避難所をめがけ屋根伝えに思いっきり走った。
地上より上に居た方が襲われにくいからだ。
「ちょっとどういうことー!」
「落ちないようにちゃんと捕まってね!」
「分かってるわよ!絶対落とさないでよ!」
やっぱリーナはこうでなきゃ!
あそこが避難所に指定されている場所だ。
僕らはいくつかある避難所の内、この避難所に避難する事になっていた。
「リーナ着いたよ。」
避難所は地下にあり、僕らは階段を降りていく。
「リーナ!」
「お母さん。」
階段付近でハンナさんとヘラーが待っていた。ハンナさんはリーナをぎゅっと抱きしめる。
「心配したんだから。ほんと。よかった。」
「ごめんなさい。」
避難所はそこそこの広さがあり、人も多かった。100人くらいは居るだろうか。
「じゃぁ僕は戻るね。」
「ちょっと!待ちなさいよ!フランツもここに居たらいいじゃない。」
「リーナ。」
「僕も一緒が良いなぁ。」
「ヘラーも。」
「えぇ。外は危ないわ。大人に任せておけば大丈夫よ。騎士団や自警団の方も居るし。」
「ハンナさん。ありがとうございます。でも僕は大丈夫です。自分に出来ることをやってきます。」
僕は逃げるように避難所を立ち去った。
聖女様が来ていない今、ゲームの展開と全く変わらない。
唯一違うのは、僕がいるって事だけ。
ゲームと同じ展開になるのは嫌だ。みんなが来るまで僕がなんとかして耐える。
少しでも犠牲者を減らすんだ。
町がカオスになってきた。
シルバーウルフや、ゴブリンなどの様々な魔物がそこかしろに迫ってきていて、町人を襲っている。
やっぱり、全員の避難は間に合わなかったか。
「君!」
避難所から出て、町で出会う魔物を片っ端から倒しているとき、誰かに呼ばれた。
振り向くと、見たことのあるおじさんがいた。町長だ。
町長もみんなに避難を呼びかけているみたいだった。
「君は、王都から来た子だよね?お父さんはどうした?それに騎士団は来てくれるのか?」
「まだいつ来るかは分かりません。でもこの事は連絡済みだと思うので、必ず来ます。今はとにかくみなさんの安全を確保しつつ耐えるしか。」
「そうか。私は昔騎士団に入っていたからなんとか戦えているが、見ての通り、町民は魔物と戦った事なんてないんだ。みんな逃げることしか出来ない。」
「はい。」
「でも今の状況では、避難所まで移動するにもリスクがありすぎる。なんとかみんなを守る方法はないのか?」
僕みたいな子供にすら解決策を求めてくるって事は相当切羽詰まっているって事だよね。
「えっと……。」
どうしたら良いんだろう。確かに僕は魔物を倒し続けられるけど、一気には倒せない。
今も刻一刻と町民は襲われているんだよな。
「君たちはこの事態を想定していたんだろ?ならなぜもっと早く騎士団を送ってくれないんだ!私たち町民の命はどうだっていいと思ってるのか?!」
僕が答えられないでいると町長は声を荒げ、態度が一変した。
「どうだって良いだなんて思ってません。」
「知ってるか?今日の襲撃で何人が犠牲になったか。」
「……僕もここまでの間に何人も見てきました。」
「これは防ぎようのない事だったのか?」
返す言葉が見つからない。
「そもそも君たちが魔物を呼んだんじゃないのか?」
「え?」
「だっておかしいと思わないか?そもそもなんで魔物が襲ってくるって推測できるんだ?魔物が襲ってくるメカニズムすら判明されていないというのに。王都は何か隠しているんじゃないか?」
「そんなことありません!」
「ほら、必死で弁解しようとしてるじゃないか。この町に恨みでもあるのか?私たちが何をした?」
「僕たちはだだ――」
「ただなんだ?」
ゲームで知った情報だなんて言えない……。
「僕たちは、皆さんのことを守りたくて。」
「それで?この状況、守れていると言えるのか?」
「1人で出来ることは少ないけど、僕の目の前で困っている人がいれば全力で守ります。」
「そんなのたかが知れているだろ。」
「分かってます。でも1人でも多くの人を守るために、今僕に出来ることを最大限やります。なので、もう行きます。失礼します。」
僕は全力で走った。
町長に言われたことなんて気にするな。
僕はみんなを守りたいんだ。
みんなのことを助けたくてここまで来たんだ。
なのに……。
”知ってるか?今日の襲撃で何人が犠牲になったか。”
”これは防ぎようのない事だったのか?”
町長の言葉が頭から離れない。
そんなの僕自身が一番分かってる。
いや、今は考えるな。全力で自分に出来ることをするんだ。
僕はその後も、手当たり次第に魔法で魔物を倒していく。
これくらいの魔物なら魔法でも十分倒せる。
ただ、もっと強い魔物が現れる事を想定すると、剣も欲しい。
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