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アルテミスの森の魔女
その40
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さて、メデューサとデイスをその背に乗せた天翔けるレダのペガサスそしてただ一人空中を飛行するシュナン少年の両者はやがてボボンゴが地面にうずくまる家獣と共に待つ湖のほとりの上空へとたどり着きました。
家獣の巨体の前にぼぉっと立っていたボボンゴは上空からシュナンたちが飛来し近くの地面に降り立とうとしているのに気付くと家獣の前から駆け出し戻ってきた仲間たちの元に駆け寄ろうとします。
レダのペガサスが湖のほとりの青々とした草地の上に降り立つとメデューサとデイスはその天馬の背中から転げ落ち二人して地面に尻餅をつきます。
「痛ーっ!!」
「もうちょっと、お手柔らかにお願いしますぜっ!!」
<< うっさいわね。贅沢言うんじゃないわよ >>
着地時のショックでペガサスの背からずり落ちて地面に腰を打ちつけブツブツ文句を言うメデューサとデイス。
そんな二人を軽くたしなめる草地にすくっと立つレダのペガサス。
そしてシュナンは彼らとは少し離れた場所に杖を片手にフワリと着地し地面にうずくまるメデューサたちの方にその目隠しをした顔を向けています。
そんなシュナンに物凄い勢いで駆け寄ってくる大きな人影がありました。
それはシュナンの仲間である緑色の肌を持つ巨人ボボンゴでした。
巨人ボボンゴは他の仲間たちが村に行っている間、この湖に近い草地のような場所に留まりそこでうずくまる「家獣」の番をしながら待機し仲間たちの帰りをひたすら待っていたのです。
そして本日、シュナンたちが空を飛びながら近づく姿を見たボボンゴは自分がいた家獣の巨体の前から駆け出し戻って来た仲間たちが着地したここまでやって来たのでした。
「シュナン、よく、戻った!!!」
絶叫しながらシュナン少年に抱きつく巨人ボボンゴ。
空中から着地したばかりのシュナン少年はいきなりボボンゴの丸太のような腕で抱きすくめられ困惑した表情をその目隠しをした顔に浮かべています。
身体の大きなボボンゴに抱きすくめられたシュナンの姿はまるで父親に抱かれた幼児の様でした。
「ボボンゴ・・・。苦しいよ」
思わず声を出す腕の中のシュナン少年をさらに強く抱きしめる巨人ボボンゴ。
どうやら彼は涙ぐんでいるみたいでした。
「良かった、病気、治った・・・。シュナン、良かった、本当に」
ボボンゴの言葉を聞いたシュナン少年は巨人の腕の中で息苦しさを覚えながらも心の中に暖かな気持ちが満ちてくるのを感じました。
「ボボンゴ・・・」
シュナンは思わず自分もボボンゴの巨大な背中に両腕を回し抱きしめようとします。
しかし杖を片手に懸命に伸ばした彼の両腕は巨人の背中まで届かずただそのその広い胸元にしがみつく事しか出来ません。
そんな風に湖のほとりで重なり合う二人に少し離れた場所に着地した他の仲間たちが次々と駆け寄ります。
蛇娘メデューサに吟遊詩人デイスそしてレダの変身した白いペガサスがー。
こうしてシュナンの旅の仲間たちは久々に全員が揃い無事再会する事が出来たのでした。
その後、全員で地面にうずくまる家獣の元に戻りその背中に立つ家の中に入ったシュナン一行は再び移動を開始します。
背中に立つ家の中に入ったシュナンの命令を受けてその巨獣は折りたたんでいた細長い脚をピンと伸ばし久しぶりに立ち上がるとゆっくりと歩き始めました。
周囲の木々より頭一つ高いその長い長い脚を持つ象のような姿の巨獣は湖のほとりの草地を離れるとアルテミスの森の方へと歩みを進めやがて鬱蒼とした森の中に再び足を踏み入れたのでした。
[続く]
家獣の巨体の前にぼぉっと立っていたボボンゴは上空からシュナンたちが飛来し近くの地面に降り立とうとしているのに気付くと家獣の前から駆け出し戻ってきた仲間たちの元に駆け寄ろうとします。
レダのペガサスが湖のほとりの青々とした草地の上に降り立つとメデューサとデイスはその天馬の背中から転げ落ち二人して地面に尻餅をつきます。
「痛ーっ!!」
「もうちょっと、お手柔らかにお願いしますぜっ!!」
<< うっさいわね。贅沢言うんじゃないわよ >>
着地時のショックでペガサスの背からずり落ちて地面に腰を打ちつけブツブツ文句を言うメデューサとデイス。
そんな二人を軽くたしなめる草地にすくっと立つレダのペガサス。
そしてシュナンは彼らとは少し離れた場所に杖を片手にフワリと着地し地面にうずくまるメデューサたちの方にその目隠しをした顔を向けています。
そんなシュナンに物凄い勢いで駆け寄ってくる大きな人影がありました。
それはシュナンの仲間である緑色の肌を持つ巨人ボボンゴでした。
巨人ボボンゴは他の仲間たちが村に行っている間、この湖に近い草地のような場所に留まりそこでうずくまる「家獣」の番をしながら待機し仲間たちの帰りをひたすら待っていたのです。
そして本日、シュナンたちが空を飛びながら近づく姿を見たボボンゴは自分がいた家獣の巨体の前から駆け出し戻って来た仲間たちが着地したここまでやって来たのでした。
「シュナン、よく、戻った!!!」
絶叫しながらシュナン少年に抱きつく巨人ボボンゴ。
空中から着地したばかりのシュナン少年はいきなりボボンゴの丸太のような腕で抱きすくめられ困惑した表情をその目隠しをした顔に浮かべています。
身体の大きなボボンゴに抱きすくめられたシュナンの姿はまるで父親に抱かれた幼児の様でした。
「ボボンゴ・・・。苦しいよ」
思わず声を出す腕の中のシュナン少年をさらに強く抱きしめる巨人ボボンゴ。
どうやら彼は涙ぐんでいるみたいでした。
「良かった、病気、治った・・・。シュナン、良かった、本当に」
ボボンゴの言葉を聞いたシュナン少年は巨人の腕の中で息苦しさを覚えながらも心の中に暖かな気持ちが満ちてくるのを感じました。
「ボボンゴ・・・」
シュナンは思わず自分もボボンゴの巨大な背中に両腕を回し抱きしめようとします。
しかし杖を片手に懸命に伸ばした彼の両腕は巨人の背中まで届かずただそのその広い胸元にしがみつく事しか出来ません。
そんな風に湖のほとりで重なり合う二人に少し離れた場所に着地した他の仲間たちが次々と駆け寄ります。
蛇娘メデューサに吟遊詩人デイスそしてレダの変身した白いペガサスがー。
こうしてシュナンの旅の仲間たちは久々に全員が揃い無事再会する事が出来たのでした。
その後、全員で地面にうずくまる家獣の元に戻りその背中に立つ家の中に入ったシュナン一行は再び移動を開始します。
背中に立つ家の中に入ったシュナンの命令を受けてその巨獣は折りたたんでいた細長い脚をピンと伸ばし久しぶりに立ち上がるとゆっくりと歩き始めました。
周囲の木々より頭一つ高いその長い長い脚を持つ象のような姿の巨獣は湖のほとりの草地を離れるとアルテミスの森の方へと歩みを進めやがて鬱蒼とした森の中に再び足を踏み入れたのでした。
[続く]
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