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ペガサスの少女
そのじゅうよん
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翌朝、ペガサス族と和解したボンゴ族たちは族長のボボンゴら数名を残してペガサス族の村を去っていきました。
彼らはクラーケンのいなくなった故郷の海に戻り自分達の村を再建するのです。
そして村を出る事を決めたシュナン一行にも出立の時がやって来ました。
荷物をまとめて村の出口までやって来たシュナンとメデューサを大勢のペガサス族の少女たちが見送りのために待ち構えています。
少数ですがボンゴ族の姿もありました。
「シュナン君、行っちゃうの?淋しいなー」
「絶対また戻って来てねー」
「それまで童貞捨てちゃ駄目だよー」
なんだか不謹慎な別れの言葉も混ざっていましたがメデューサはこれが最後だと思い旅人の杖を握りしめてなんとか我慢しました。
一方、その隣に立つシュナンは見送りのために集まってくれた人々の中に村の長レダとボンゴ族の族長ボボンゴの姿が見えない事に気づきます。
彼らに挨拶をしようと思っていたシュナンは近くにいるペガサス族の少女に聞きました。
「レダとボボンゴの顔が見えないけど・・・」
その時でした。
シュナンとメデューサの背後からレダの明るい声が響いて来たのです。
「あたし達ならここにいますよ。シュナン、メデューサ様」
シュナンとメデューサは後ろを振り向くとびっくり仰天しました。
なんとそこには旅支度を整えたレダとボボンゴの姿がありました。
紐のついた荷物入れを肩に下げたレダが高らかに宣言します。
「あたし達もあなた方の旅に同行します!よろしくお願いしますね!!」
彼女はいつも通り革製の黒色のビキニを身に付け足には同じく革製のロングブーツを履いていました。
そして両肩には大きな肩パッドを装着しており腰には長剣を下げていました。
首筋には族長の印である宝石の付いた装飾具を巻いています。
一方、ボボンゴはすごく大きな荷物を背負っていてその巨体にギリシャ風の腰巻きと肩掛け布をまとい足には丈夫な麻で編んだ靴を履いています。
2人は唖然となっているシュナンとメデューサに歩み寄ります。
そして今度はボボンゴがびっくりしているシュナンとメデューサに言いました。
「俺たち、2人に借りある。受けた恩ちゃんと返す。これボンゴ族の掟」
思わず顔を見合わせるシュナンとメデューサ。
絶句している2人の代わりにシュナンの持つ師匠の杖がレダとボボンゴに話しかけます。
「いいのかね、二人とも。命懸けの危険な旅になるぞ。特にこの先に最大の難所が待っている」
レダとボボンゴは真剣な表情で頷きます。
「わかってるわ。厳しい旅になる事は。でもやっぱりわたしは2人をお助けしたい」
「ボボンゴ危険は恐れない。必ず恩返す」
彼らの真摯な思いを聞いたシュナンはその目隠しをした顔を横に立つメデューサの方へ向けて言いました。
「どうするメデューサ?僕は有り難い話だと思うけど。道案内もしてくれるだろうし」
メデューサはその蛇で覆われた顔を少しうつむかせて答えます。
「わかった・・・。まぁ、いいんじゃない」
メデューサは基本的にぼっち体質で人見知りなので旅のメンバーが増える事に少し抵抗がありました。
でもこの2人がそろって部族の長に選ばれるほど智勇に秀で人格も優れているのはメデューサにもここ数日の出来事でよくわかっていました。
きっと両者の参加は今回の旅において大きな力になるに違いありません。
だからメデューサは少し戸惑いながらも彼らの同行を了承したのでした。
レダがシュナンに少しべったりなのは気になりましたがー。
メデューサの同意の言葉を聞いたボボンゴは嬉しそうに笑顔を浮かべてメデューサとシュナンの肩をポンポンと順番に叩きます。
「よろしくな、シュナン、メデューサ。いい旅にする。ボンゴ頑張る」
レダもメデューサに手を差し出して言いました。
「よろしくお願いします。メデューサ様」
その手を取ってメデューサが答えました。
「メデューサでいいわ。わたしもレダと呼ぶから」
レダがにっこりと微笑みます。
「わかったわ、メデューサ。これからわたしたちは旅の仲間ね」
レダはメデューサと握手したその手を更に強く握ります。
メデューサも頷きながら手を握り返しました。
その様子をシュナンやボボンゴそして周囲にいるペガサス族やボンゴ族の人々が暖かい目で見守っていました。
こうしてシュナンとメデューサは新たに力強い仲間達を加えて旅を再開する事になりました。
4人の出発をペガサス族の少女たちと村に残った少数のボンゴ族が名残惜しそうに見送ります。
出発の前、レダは信頼できる友人でありまた村のアイドルグループ「UMA」の一人、通称スペちゃんの手をしっかりと握り後の事を託しました。
それからシュナンたち4人は村を囲む柵の門を出ていよいよ旅へと出発しました。
村を囲む柵の門を出て山道を歩き旅へと出発した4人の後ろ姿を残された者たちは柵の中から懸命に手を振って別れを告げます。
やがて彼らの姿は豆粒のようになり山道のその先にある峠の向こう側へと消えていきました。
村の中にいる誰かが言いました。
「良き旅でありますようにー」
[続く]
彼らはクラーケンのいなくなった故郷の海に戻り自分達の村を再建するのです。
そして村を出る事を決めたシュナン一行にも出立の時がやって来ました。
荷物をまとめて村の出口までやって来たシュナンとメデューサを大勢のペガサス族の少女たちが見送りのために待ち構えています。
少数ですがボンゴ族の姿もありました。
「シュナン君、行っちゃうの?淋しいなー」
「絶対また戻って来てねー」
「それまで童貞捨てちゃ駄目だよー」
なんだか不謹慎な別れの言葉も混ざっていましたがメデューサはこれが最後だと思い旅人の杖を握りしめてなんとか我慢しました。
一方、その隣に立つシュナンは見送りのために集まってくれた人々の中に村の長レダとボンゴ族の族長ボボンゴの姿が見えない事に気づきます。
彼らに挨拶をしようと思っていたシュナンは近くにいるペガサス族の少女に聞きました。
「レダとボボンゴの顔が見えないけど・・・」
その時でした。
シュナンとメデューサの背後からレダの明るい声が響いて来たのです。
「あたし達ならここにいますよ。シュナン、メデューサ様」
シュナンとメデューサは後ろを振り向くとびっくり仰天しました。
なんとそこには旅支度を整えたレダとボボンゴの姿がありました。
紐のついた荷物入れを肩に下げたレダが高らかに宣言します。
「あたし達もあなた方の旅に同行します!よろしくお願いしますね!!」
彼女はいつも通り革製の黒色のビキニを身に付け足には同じく革製のロングブーツを履いていました。
そして両肩には大きな肩パッドを装着しており腰には長剣を下げていました。
首筋には族長の印である宝石の付いた装飾具を巻いています。
一方、ボボンゴはすごく大きな荷物を背負っていてその巨体にギリシャ風の腰巻きと肩掛け布をまとい足には丈夫な麻で編んだ靴を履いています。
2人は唖然となっているシュナンとメデューサに歩み寄ります。
そして今度はボボンゴがびっくりしているシュナンとメデューサに言いました。
「俺たち、2人に借りある。受けた恩ちゃんと返す。これボンゴ族の掟」
思わず顔を見合わせるシュナンとメデューサ。
絶句している2人の代わりにシュナンの持つ師匠の杖がレダとボボンゴに話しかけます。
「いいのかね、二人とも。命懸けの危険な旅になるぞ。特にこの先に最大の難所が待っている」
レダとボボンゴは真剣な表情で頷きます。
「わかってるわ。厳しい旅になる事は。でもやっぱりわたしは2人をお助けしたい」
「ボボンゴ危険は恐れない。必ず恩返す」
彼らの真摯な思いを聞いたシュナンはその目隠しをした顔を横に立つメデューサの方へ向けて言いました。
「どうするメデューサ?僕は有り難い話だと思うけど。道案内もしてくれるだろうし」
メデューサはその蛇で覆われた顔を少しうつむかせて答えます。
「わかった・・・。まぁ、いいんじゃない」
メデューサは基本的にぼっち体質で人見知りなので旅のメンバーが増える事に少し抵抗がありました。
でもこの2人がそろって部族の長に選ばれるほど智勇に秀で人格も優れているのはメデューサにもここ数日の出来事でよくわかっていました。
きっと両者の参加は今回の旅において大きな力になるに違いありません。
だからメデューサは少し戸惑いながらも彼らの同行を了承したのでした。
レダがシュナンに少しべったりなのは気になりましたがー。
メデューサの同意の言葉を聞いたボボンゴは嬉しそうに笑顔を浮かべてメデューサとシュナンの肩をポンポンと順番に叩きます。
「よろしくな、シュナン、メデューサ。いい旅にする。ボンゴ頑張る」
レダもメデューサに手を差し出して言いました。
「よろしくお願いします。メデューサ様」
その手を取ってメデューサが答えました。
「メデューサでいいわ。わたしもレダと呼ぶから」
レダがにっこりと微笑みます。
「わかったわ、メデューサ。これからわたしたちは旅の仲間ね」
レダはメデューサと握手したその手を更に強く握ります。
メデューサも頷きながら手を握り返しました。
その様子をシュナンやボボンゴそして周囲にいるペガサス族やボンゴ族の人々が暖かい目で見守っていました。
こうしてシュナンとメデューサは新たに力強い仲間達を加えて旅を再開する事になりました。
4人の出発をペガサス族の少女たちと村に残った少数のボンゴ族が名残惜しそうに見送ります。
出発の前、レダは信頼できる友人でありまた村のアイドルグループ「UMA」の一人、通称スペちゃんの手をしっかりと握り後の事を託しました。
それからシュナンたち4人は村を囲む柵の門を出ていよいよ旅へと出発しました。
村を囲む柵の門を出て山道を歩き旅へと出発した4人の後ろ姿を残された者たちは柵の中から懸命に手を振って別れを告げます。
やがて彼らの姿は豆粒のようになり山道のその先にある峠の向こう側へと消えていきました。
村の中にいる誰かが言いました。
「良き旅でありますようにー」
[続く]
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