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エビを食べさせたい男とエビを食べたい女
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一体何が起きた!どういうわけか俺は 篠山先輩と一緒に部屋へ向かっていた。
酔った勢いで先輩を誘ったのは確かだけど、その無謀な誘いに秒で返すなんて予想できたはずがない。しかもあんなに嬉しそうに。
目を大きく見開いて口角をきゅっと上げた、先輩のあんなに嬉しそうな顔は見たことない。クリスマスの朝、枕元にプレステが置いてあるのに気がついた、そんな子供のような無垢の笑顔だった。
その笑顔を見たせいで、思わず「じゃあ今から作ります」なんて、さらにわけのわからないことを秒で口走ってしまった。きっと、その笑顔をもっと、ずっと見ていたいと感じたんだ。それで思わず。
対する先輩も秒で返事を返してくれた。「やった!」そう言った先輩は本当に無邪気な笑顔を見せてくれた。
ただ、いまこうして酔いが覚めてきて冷静になるとなんだか気まずくて、何を話せばいいのかもよくわからない。
仕事のことなら何か話が出来るかもしれないけど、そんな空気じゃない。ここはやっぱりオーロラソースの隠し味か?
*
まだ23時前だけど、週末のせいか他に誰も歩いていない、やたらと暗い夜の道を後輩に連れられ歩いていく。
会社の飲み会帰りに男の人の部屋に行くなんて、そんなイベント私には今までなかったぞ。
っていうか、そういう俗に言う『お持ち帰り』とは違うんだよな。エビを食べさせたい男がエビを食べたい女を連れ帰る。この利害が一致した二人に対してお持ち帰りとは言わないだろう。
いや、所謂『お持ち帰り』だってカマトトぶらなきゃ利害の一致か。
でも、なんか違うんだよな。
私の食い意地が豊崎君を追い詰め、食べに来ないかと言わせたんじゃなかろうか。そうであれば、年上の私が後輩君を手玉にとったのか?
そう捉えると一気に悪女みたいだな、私も。
いや、それも違う。そんなに頭が働いていない。私は他人を意のままに操れるほど人心掌握に長けていないし、豊崎君だってそんな意志薄弱ではないだろう。
「オーロラソースの隠し味に紹興酒って使えると思いますか?」
私が年下の彼を手玉にとり誘惑したというんじゃなく、やはりただただエビを食べさせたいらしい。
ロマンチックに黒猫が横切り二人の行く末を何か予感させることもなく、オーロラソースの話をしながらたどり着いたのは私もよく知っているマンションだった!?だって、それは間違いなく私の住むマンションなんだから。
酔った勢いで先輩を誘ったのは確かだけど、その無謀な誘いに秒で返すなんて予想できたはずがない。しかもあんなに嬉しそうに。
目を大きく見開いて口角をきゅっと上げた、先輩のあんなに嬉しそうな顔は見たことない。クリスマスの朝、枕元にプレステが置いてあるのに気がついた、そんな子供のような無垢の笑顔だった。
その笑顔を見たせいで、思わず「じゃあ今から作ります」なんて、さらにわけのわからないことを秒で口走ってしまった。きっと、その笑顔をもっと、ずっと見ていたいと感じたんだ。それで思わず。
対する先輩も秒で返事を返してくれた。「やった!」そう言った先輩は本当に無邪気な笑顔を見せてくれた。
ただ、いまこうして酔いが覚めてきて冷静になるとなんだか気まずくて、何を話せばいいのかもよくわからない。
仕事のことなら何か話が出来るかもしれないけど、そんな空気じゃない。ここはやっぱりオーロラソースの隠し味か?
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まだ23時前だけど、週末のせいか他に誰も歩いていない、やたらと暗い夜の道を後輩に連れられ歩いていく。
会社の飲み会帰りに男の人の部屋に行くなんて、そんなイベント私には今までなかったぞ。
っていうか、そういう俗に言う『お持ち帰り』とは違うんだよな。エビを食べさせたい男がエビを食べたい女を連れ帰る。この利害が一致した二人に対してお持ち帰りとは言わないだろう。
いや、所謂『お持ち帰り』だってカマトトぶらなきゃ利害の一致か。
でも、なんか違うんだよな。
私の食い意地が豊崎君を追い詰め、食べに来ないかと言わせたんじゃなかろうか。そうであれば、年上の私が後輩君を手玉にとったのか?
そう捉えると一気に悪女みたいだな、私も。
いや、それも違う。そんなに頭が働いていない。私は他人を意のままに操れるほど人心掌握に長けていないし、豊崎君だってそんな意志薄弱ではないだろう。
「オーロラソースの隠し味に紹興酒って使えると思いますか?」
私が年下の彼を手玉にとり誘惑したというんじゃなく、やはりただただエビを食べさせたいらしい。
ロマンチックに黒猫が横切り二人の行く末を何か予感させることもなく、オーロラソースの話をしながらたどり着いたのは私もよく知っているマンションだった!?だって、それは間違いなく私の住むマンションなんだから。
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