御庭番衆くの一、千代女の忠義

肆

城の拷問蔵へと連れ込まれた千代女は、天井より吊り下げられた横棒に両手首を縛められた。
足には鉄の枷がはめられ、身体が回らぬようになっている。
爪先はかろうじて床に触れているが、体重を支えるには至らない。
そんな千代女の前には、身なりの良い男が立っていた。

「貴様が忍び込んだくの一か？」

陰気な顔をした男が、千代女の顎を持ち上げる。
澄和藩の藩主、二階堂紀伊守だ。

（まさか藩主自らが尋問とはね）

拘束されたまま千代女はギリッと唇を噛む。
辺りを見回すと、腕の立ちそうな侍が十人ほど控えている。
その後ろには拷問器具の数々。
これから身に降り注ぐことを想像し、千代女は身震いした。

「幕府の隠密だな、我が藩の何を調べている？　どの調査はどの程度まで進んだ？　他の隠密の名は？　今後の作戦行動は？　貴様の知っていることを洗いざらい吐いてもらおう」

「さぁ、何のことだか、私はただの旅の者でして」

「ふっ、やはり話さぬようだな」

二階堂は付き添いの侍から箒尻を受け取った。
己の身に起こることを察した千代女が、ごくりと唾をのむ。

「もう一度聞く、貴様の知っていることを洗いざらい吐け。そうすればこの体が綺麗なままで済むぞ」

二階堂の手が千代女の豊かな乳房を鷲掴みにする。
だが千代女は気丈にも睨み返した。

「良い反応をするわ、これは楽しませてくれそうじゃ」

二階堂は笑いながら箒尻を振り上げた。

「あうっ！」

千代女は脇腹に激しい衝撃を感じた。

「あっ！　ひっ！　きゃぁっ！」

さらに３度、千代女の身体に箒尻が打ちつけられた。

「どうだ、言う気になったか」

千代女は無言で睨み付けた。
その瞬間、背中に回った侍から激しい打擲が千代女の背中に加えられた。

「うぐっ！　ひぎっ！　ああっ！」

前からは二階堂、後ろからは侍に打ち据えられ、千代女は悶え苦しむ。
身体をよじる度に束ねた長い黒髪が振り乱され、汗が飛び散った。
激しい打撃に忍び装束は裂け、背中には何本もの赤い線が走り、流れる汗で妖しく輝いていた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「ほほう、よい姿じゃ、ますます美しさに磨きがかかったぞ」

荒く息をつく千代女に、二階堂は法悦の笑みを浮かべる。
その目はまるで芸術品でも鑑賞するかのようだ。

「まだ吐く気にはならぬか？」

千代女が首を横に振ると、二階堂は不気味な笑みを浮かべながら箒尻を高く振り上げる。
そして千代女の豊かな胸に激しい一撃を加えた。

「いやああああっ！」

これまでとは全く違った、激しい打擲だった。
千代女の首筋、胸、腹、太股、あらゆる部分が二階堂の箒尻により責め立てられる。
特に胸の膨らみは激しく打たれた。
女の急所への激しい責めに千代女は何度も気を失いかけたが、その度に桶の水を浴びせかけられ、強引に覚醒させられる。

「吐けつ！　吐かぬかっ！」

「うぐっ！　ひいぃっ！　ああっ！」

肌を打つ音、悲鳴、水をかけられむせぶ声。
それでも千代女は己を鼓舞し、必死に責めに耐え続けた。

（吐くわけにはゆかぬ、これは私の失態が招いたこと。何としてでも耐え続けねば）

悲壮な決意をする千代女の背と胸が、交互に打たれ続ける。
時折、堪えきれぬ呻きが口から漏れ出た。

「有り体に吐いてしまえ、申さぬと責め殺されるぞ」

二階堂は箒尻の先で千代女の顎を持ち上げる。
それでも吐かぬと見ると、今度は箒尻を股の下へと入れた。
大きく脚を開いたまま固定され、無防備となった股間へ容赦のない箒尻が襲う。

「うぐッ！」

急所を打たれ、千代女は息を詰まらせる。
二階堂はすかさず、乳房へ箒尻を振り下ろした。

「うあぁ！　ひッ！」

息をすることもままならなかった。
滂沱として流れる涙が頬から顎先へ伝わり、遂に千代女は苦痛のあまり気を失った。