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第1章
第1話 現世
しおりを挟む今日は〇月×日
私ははっとなり時計を見上げる
もう夕方だ。
「優理~?ご飯よ~?」
あ、お母さんに呼ばれてる
「ごめん、先食べてていいよ。私ちょっと本屋さん行かないと!」
そう、今日は私のお気に入りの本の発売日だったのだ。どうして忘れていたのだろう
帽子をかぶり急いで財布とジャケットを取るとドアを開ける
「そう?じゃあ待ってるわ、急いでね~!」
とお母さんが言う。
「はーい、行ってきまーす!」
そう言うと私は家を出て走る
急げ急げ
私だってお腹はすいている。
ちょっと暗いけど早道しちゃえ
私は人の少ない道へと入る
この道は街頭もなく人通りも少ないが本屋へ向かうならこの道が一番早い
あまり速く走るとおなかがすいてしまうので速度を落とし走っていると後ろから足音がする
この道に、しかもこんな時間に人がいるなんてとても珍しい
人?この人も本屋に行くのかな?
振り返ってみると赤いジャケットにジーパンとスニーカーの男が走っている。かなり高身長だ。顔は見えない
するとその人は異様に急いでいるみたいでかなりの速度で走ってくる。
私は怖くなり走る速度を上げようとすると
その人もついてくる
足音がすぐ後ろに来ると
ドスッ
「え...?」
痛みを感じ足を止める
後ろをみるとさっきの男が立っていた
自分の腰のあたりを見ると大きめのナイフが刺さっている
「どう...して...」
私は力が出ず倒れ込む
まさかこんな事になるなんて思ってもみなかった
しかし動けないので助けを求める事もできない
何とか呼吸を整えようとするが背中の腰辺りからじわじわと血が流れ出ているのがわかる
痛い、痛いよ...
だんだんと意識が遠のいていく
私、死ぬのかな...
もう少し親孝行しておけば良かったな...
「お母さん...ごめんなさい...」
そう言って私はまぶたを閉じた
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