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併用療法
追加リフォーム
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トイレのリフォームが終わってもいないのに、リフォーム熱に火が付いちゃいました。
お風呂と洗面所もリフォームしたい!
築年数的には、そろそろリフォームしていい時期なのです。もっと前にやっててもよかったくらい。なのにこれまで手をつけなかったのには、理由があります。
その理由とは、実家に移り住む可能性があったから。
いつか夫が退職したら、という条件付きではあるけれども、親とそんな約束をしていました。もし実家に移り住むなら、今の住居にお金をかけるのは無駄でしょう。リフォームにお金をかけるなら、移り住んだ先でかけたほうがいいもんね。
だけど状況が変わっちゃった。
今後、わたしは病院から離れることができません。生きてる限りは化学療法を続けることになります。転院はできるでしょうけど、したくない。せっかく最先端の医療を受けられる大学病院にかかっているのに、わざわざ別の病院に転院したいとは思わないんですよね。
となると、現在の住居のリフォームに全力をつぎ込んでもよい、ということになります。
夫にも相談してみました。
「ねえ、浴室と洗面所もリフォームしていい?」
「いいよ」
これを相談と呼べるのか異論もありましょうが、言質はとった。
さっそく各メーカーからカタログを取り寄せて、検討開始。でも洗面所は間取りの都合で、選択の余地があまりありませんでした。あまりというか、消去法でメーカーとモデルが決まっちゃう。
だってカウンターの間口を1センチ単位で指定できるものって、TOTOの最上位モデルしかないんだもの。洗面所がTOTOなら、浴室もTOTOにしちゃおうっと。高いけど。
カタログを開いて、あれにしよう、これにしようと、夢いっぱい。夢が広がれば、当然、それに応じて予算も発散します。幸か不幸か、我が家の浴室はトイレと違って広いのです。1620タイプ。これといって制約なく、何でも好きなものを選べちゃう。
ご機嫌でオプションをあれこれ選ぶわたしの横で、夫は膨れゆく見積額の予想を立て、静かに頭の中で予算枠の拡張をしていた模様。「好きなもの選んでいいよ」と、大変に太っ腹な言葉をいただきました。うふふ。それでは、遠慮なく。
今回も、トイレのリフォームを頼んだのと同じところにお願いすることにしました。営業担当のT氏が、とても有能で頼りになる人だったから。
ただし連絡したところ、今回のリフォームは別の部署が担当するということでした。今回の担当者は、ベテランっぽいA氏です。見るからに安心そう。よかった。
現地調査に来たとき、A氏にはこんなアドバイスをいただきました。
「見積もりには、入れる可能性が少しでもあるものはすべて入れておいたほうがいいですよ。後で追加するより、削るほうが楽です」
なるほど。でも大丈夫。TOTOの見積もりなんて、すでにオプション盛り盛りだもん。そう言ったら、A氏は「確かに盛り盛りですね」と、TOTOのプラン見積もりを見ながら笑ってました。
こうしたアドバイスを受けた上でも、後から後から追加の依頼が出てきます。ちまちまといくつも、出てくる出てくる。TOTOのキャンペーンとか、国のリフォーム支援の都合で、年内に工事したくて急いでいるくせにね。Aさん、ごめんなさい。
こんなふうにトイレに続いて浴室と洗面所までリフォームを思い立っちゃったのは、抗がん剤のおかげで元気になったからです。半年か、はたまた1年か2年か、どれくらいの期間かはわからないけど、リフォームしたお風呂を楽しむ時間的余裕がありそうだもんね。
それにわたしがいなくなっても夫が新しいお風呂を使うかと思うと、ちょっといい気分。
そう考えたところで、ふと思い出しました。入院中に看護師さんから「生きがいは何ですか?」と尋ねられたことを。あのときは答えられなかったけど、自分の生きがいが何なのか、やっとわかりました。
それは『夫と一緒に楽しく過ごすこと』。
面白おかしく暮らしたい。『夫を笑顔にすること』とか『夫を幸せにすること』とか、言い換えることもできると言えばできます。でも、それだけだとちょっと足りないんだな。
なぜなら夫は、妻がご機嫌でいるときに幸せを感じる人だから。夫を幸せにするには、まず自分のご機嫌が必須条件なのです。
いつかわたしがいなくなっても、お風呂に入ったら思い出してほしい。リフォームの準備は大変だったけど、楽しかったなあって。あなたの奥さんはカタログを眺めたり、ショールームに突撃したりしてご機嫌だったことを、覚えていてほしい。そうしたら本人がいなくても、ちょっぴり幸せになれるでしょう?
内装材メーカーのサイトを開き、壁紙やフロアタイルのサンプル請求をしていると、横から夫が画面をのぞき込みました。
「ご機嫌だね」
「ご機嫌だよ!」
届いた壁紙サンプルをじっくり検分し、候補を絞り込みます。絞り込んだ候補は、壁や天井にマスキングテープを使って夫に仮止めしてもらいました。朝と昼など時間帯によって見え方が変わるし、壁の向きによっても変わります。
仮止めした壁紙サンプルをためつすがめつしていると、通り過ぎざま、夫が声をかけていきました。
「楽しそうだねえ」
「楽しいよ!」
カタログを開いて、オプションをどれにしようか夢中になって選んでいると、夫が笑います。
「お金を気にせず何でも選んでいいって、幸せ?」
「幸せだよ!」
あなたの奥さんは、あなたのおかげでいつでもご機嫌だった。
あなたのおかげで、毎日楽しく暮らしてた。
とても、とても幸せだった。
それを覚えていてほしい。
お風呂と洗面所もリフォームしたい!
築年数的には、そろそろリフォームしていい時期なのです。もっと前にやっててもよかったくらい。なのにこれまで手をつけなかったのには、理由があります。
その理由とは、実家に移り住む可能性があったから。
いつか夫が退職したら、という条件付きではあるけれども、親とそんな約束をしていました。もし実家に移り住むなら、今の住居にお金をかけるのは無駄でしょう。リフォームにお金をかけるなら、移り住んだ先でかけたほうがいいもんね。
だけど状況が変わっちゃった。
今後、わたしは病院から離れることができません。生きてる限りは化学療法を続けることになります。転院はできるでしょうけど、したくない。せっかく最先端の医療を受けられる大学病院にかかっているのに、わざわざ別の病院に転院したいとは思わないんですよね。
となると、現在の住居のリフォームに全力をつぎ込んでもよい、ということになります。
夫にも相談してみました。
「ねえ、浴室と洗面所もリフォームしていい?」
「いいよ」
これを相談と呼べるのか異論もありましょうが、言質はとった。
さっそく各メーカーからカタログを取り寄せて、検討開始。でも洗面所は間取りの都合で、選択の余地があまりありませんでした。あまりというか、消去法でメーカーとモデルが決まっちゃう。
だってカウンターの間口を1センチ単位で指定できるものって、TOTOの最上位モデルしかないんだもの。洗面所がTOTOなら、浴室もTOTOにしちゃおうっと。高いけど。
カタログを開いて、あれにしよう、これにしようと、夢いっぱい。夢が広がれば、当然、それに応じて予算も発散します。幸か不幸か、我が家の浴室はトイレと違って広いのです。1620タイプ。これといって制約なく、何でも好きなものを選べちゃう。
ご機嫌でオプションをあれこれ選ぶわたしの横で、夫は膨れゆく見積額の予想を立て、静かに頭の中で予算枠の拡張をしていた模様。「好きなもの選んでいいよ」と、大変に太っ腹な言葉をいただきました。うふふ。それでは、遠慮なく。
今回も、トイレのリフォームを頼んだのと同じところにお願いすることにしました。営業担当のT氏が、とても有能で頼りになる人だったから。
ただし連絡したところ、今回のリフォームは別の部署が担当するということでした。今回の担当者は、ベテランっぽいA氏です。見るからに安心そう。よかった。
現地調査に来たとき、A氏にはこんなアドバイスをいただきました。
「見積もりには、入れる可能性が少しでもあるものはすべて入れておいたほうがいいですよ。後で追加するより、削るほうが楽です」
なるほど。でも大丈夫。TOTOの見積もりなんて、すでにオプション盛り盛りだもん。そう言ったら、A氏は「確かに盛り盛りですね」と、TOTOのプラン見積もりを見ながら笑ってました。
こうしたアドバイスを受けた上でも、後から後から追加の依頼が出てきます。ちまちまといくつも、出てくる出てくる。TOTOのキャンペーンとか、国のリフォーム支援の都合で、年内に工事したくて急いでいるくせにね。Aさん、ごめんなさい。
こんなふうにトイレに続いて浴室と洗面所までリフォームを思い立っちゃったのは、抗がん剤のおかげで元気になったからです。半年か、はたまた1年か2年か、どれくらいの期間かはわからないけど、リフォームしたお風呂を楽しむ時間的余裕がありそうだもんね。
それにわたしがいなくなっても夫が新しいお風呂を使うかと思うと、ちょっといい気分。
そう考えたところで、ふと思い出しました。入院中に看護師さんから「生きがいは何ですか?」と尋ねられたことを。あのときは答えられなかったけど、自分の生きがいが何なのか、やっとわかりました。
それは『夫と一緒に楽しく過ごすこと』。
面白おかしく暮らしたい。『夫を笑顔にすること』とか『夫を幸せにすること』とか、言い換えることもできると言えばできます。でも、それだけだとちょっと足りないんだな。
なぜなら夫は、妻がご機嫌でいるときに幸せを感じる人だから。夫を幸せにするには、まず自分のご機嫌が必須条件なのです。
いつかわたしがいなくなっても、お風呂に入ったら思い出してほしい。リフォームの準備は大変だったけど、楽しかったなあって。あなたの奥さんはカタログを眺めたり、ショールームに突撃したりしてご機嫌だったことを、覚えていてほしい。そうしたら本人がいなくても、ちょっぴり幸せになれるでしょう?
内装材メーカーのサイトを開き、壁紙やフロアタイルのサンプル請求をしていると、横から夫が画面をのぞき込みました。
「ご機嫌だね」
「ご機嫌だよ!」
届いた壁紙サンプルをじっくり検分し、候補を絞り込みます。絞り込んだ候補は、壁や天井にマスキングテープを使って夫に仮止めしてもらいました。朝と昼など時間帯によって見え方が変わるし、壁の向きによっても変わります。
仮止めした壁紙サンプルをためつすがめつしていると、通り過ぎざま、夫が声をかけていきました。
「楽しそうだねえ」
「楽しいよ!」
カタログを開いて、オプションをどれにしようか夢中になって選んでいると、夫が笑います。
「お金を気にせず何でも選んでいいって、幸せ?」
「幸せだよ!」
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とても、とても幸せだった。
それを覚えていてほしい。
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