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診断まで
検査月間
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先生が手配してくださったのは、次の検査。
・胸部CTスキャン(造影剤使用)
・頭部MRI(造影剤使用)
・気管支内視鏡検査
・核医学検査
だいたい一週間にひとつずつ、たまに二つ、くらいのペースでした。こうして6月は怒濤の検査月間となったわけです。
この頃から、咳をすると血痰が出るようになりました。痰といっても無色透明で、唾液みたいな痰です。出血してると咳が悪化する感じ。
とにかく咳で眠れなくて困っている、と訴えたところ、次の薬が処方されました。
・カルバゾクラムスルホン酸Na錠30mg
・トラネキサム酸カプセル250mg
・コデインリン酸塩散1%
最初の二つが止血剤。出血で咳が悪化するなら止血しよう、というわけ。
最後のものが咳止めです。咳止めの薬は一日三回まで処方できるけど、なるべく副作用を抑えるため、寝る前に一回だけの処方でした。三回飲んじゃうと、便秘になりやすいのだそうです。
薬のおかげか、夜はまあまあ眠れるようになりました。とはいえ、咳がとまっても痰が出なくなるわけではないわけで。眠ってる間に、気道に溜まるんだよなあ。夜中に目が覚めて咳をすると、ゴボゴボッと血のかたまりが出てきたりする。
なんだろう、終末感がすごい。
とにかく咳がひどくて、5月末には咳が原因で、胸が激しく痛むようになりました。で、整形外科を受診しました。すると、肋骨の疲労骨折の疑いありとのこと。疑いでしかないのは、疲労骨折というものはすぐには診断が確定できないからなのだそうです。しばらく経ってから、周囲の状態から判断がつくようになるのだとか。
骨折でもそうじゃなくても、処方は変わらないそうなんですけども。湿布と痛み止めを処方されました。湿布を数日貼ったら、よくなりました。でも、次は反対側の胸が痛くなって、もう一度整形外科を受診する羽目になりました。
それも湿布でよくなったから、たぶん骨折ではなかったのだと思います。
そして止血剤のおかげなのか、少しずつ出血が減っていきました。6月中旬に受けた気管支鏡検査の頃には、ほぼ出血しなくなっていたほどです。咳は止まらなかったけど。
気管支鏡検査は、きつかったなあ。
咳をしないよう要請されるんだけど、咳なんて自分でとめられるものじゃないんですよ。だって生理的な反射だもん。なるべく気管支を刺激しないよう、浅く呼吸するくらいしか、やりようがないわけです。
なのに、検査中に看護師さんからこんな指示が出ました。
「深呼吸してみましょうか」
えっ。
そんなことしたら、間違いなく咳が出まくるけど。いいの? 迷ってると、重ねて指示されました。
「深呼吸してください」
うーん。指示がおかしいと思っても、こちらはファイバースコープを挿入されてて、しゃべることができません。仕方ないので、言われたとおりに深呼吸。
当然、激しく咳き込むよね。そのとたん、先生が悲鳴を上げました。
「ああああ! 咳しないで‼」
そんなこと言われても……。無理! ────という、ドタバタ系のコントみたいな状態で検査してました。咳しないでって言う前に、無茶振りをとめてほしかったなー。
ただ、この気管支鏡検査では、ちょっとした成果がありました。
「ちょっとまって。いま、何か見えた」
「ありましたね」
「黒い何かが……」
気管支内に、謎の黒い異物が発見されたのです。
1ミリ角ほどの大きさだった、と教えていただきました。「咳しないで」「お願いだから咳しないで」と無茶な注文を出しつつ、先生方が奮闘した結果、無事に除去できた模様。
「とれましたからね!」
満面の笑顔で報告されました。
これだけ大騒ぎして取り除いたんだから、きっとこいつが出血の原因だったんじゃないか、とこのときは思いました。────全然違ったけど。
こいつの正体が判明するのは、まだしばらく後のことです。
そして気管支鏡検査のときの生検のせいで、また出血するようになってしまいました。出血量はたいしたことないけど、咳は増えます。その後の検査で、咳を我慢しなくてはならないのがちょっと大変でした。撮影時に咳が出ると、画像がピンボケちゃうからね……。
でも事情を説明したら咳の合間に撮影できるよう、検査技師さんが上手に誘導してくれました。おかげで無事にすべての検査終了。
・胸部CTスキャン(造影剤使用)
・頭部MRI(造影剤使用)
・気管支内視鏡検査
・核医学検査
だいたい一週間にひとつずつ、たまに二つ、くらいのペースでした。こうして6月は怒濤の検査月間となったわけです。
この頃から、咳をすると血痰が出るようになりました。痰といっても無色透明で、唾液みたいな痰です。出血してると咳が悪化する感じ。
とにかく咳で眠れなくて困っている、と訴えたところ、次の薬が処方されました。
・カルバゾクラムスルホン酸Na錠30mg
・トラネキサム酸カプセル250mg
・コデインリン酸塩散1%
最初の二つが止血剤。出血で咳が悪化するなら止血しよう、というわけ。
最後のものが咳止めです。咳止めの薬は一日三回まで処方できるけど、なるべく副作用を抑えるため、寝る前に一回だけの処方でした。三回飲んじゃうと、便秘になりやすいのだそうです。
薬のおかげか、夜はまあまあ眠れるようになりました。とはいえ、咳がとまっても痰が出なくなるわけではないわけで。眠ってる間に、気道に溜まるんだよなあ。夜中に目が覚めて咳をすると、ゴボゴボッと血のかたまりが出てきたりする。
なんだろう、終末感がすごい。
とにかく咳がひどくて、5月末には咳が原因で、胸が激しく痛むようになりました。で、整形外科を受診しました。すると、肋骨の疲労骨折の疑いありとのこと。疑いでしかないのは、疲労骨折というものはすぐには診断が確定できないからなのだそうです。しばらく経ってから、周囲の状態から判断がつくようになるのだとか。
骨折でもそうじゃなくても、処方は変わらないそうなんですけども。湿布と痛み止めを処方されました。湿布を数日貼ったら、よくなりました。でも、次は反対側の胸が痛くなって、もう一度整形外科を受診する羽目になりました。
それも湿布でよくなったから、たぶん骨折ではなかったのだと思います。
そして止血剤のおかげなのか、少しずつ出血が減っていきました。6月中旬に受けた気管支鏡検査の頃には、ほぼ出血しなくなっていたほどです。咳は止まらなかったけど。
気管支鏡検査は、きつかったなあ。
咳をしないよう要請されるんだけど、咳なんて自分でとめられるものじゃないんですよ。だって生理的な反射だもん。なるべく気管支を刺激しないよう、浅く呼吸するくらいしか、やりようがないわけです。
なのに、検査中に看護師さんからこんな指示が出ました。
「深呼吸してみましょうか」
えっ。
そんなことしたら、間違いなく咳が出まくるけど。いいの? 迷ってると、重ねて指示されました。
「深呼吸してください」
うーん。指示がおかしいと思っても、こちらはファイバースコープを挿入されてて、しゃべることができません。仕方ないので、言われたとおりに深呼吸。
当然、激しく咳き込むよね。そのとたん、先生が悲鳴を上げました。
「ああああ! 咳しないで‼」
そんなこと言われても……。無理! ────という、ドタバタ系のコントみたいな状態で検査してました。咳しないでって言う前に、無茶振りをとめてほしかったなー。
ただ、この気管支鏡検査では、ちょっとした成果がありました。
「ちょっとまって。いま、何か見えた」
「ありましたね」
「黒い何かが……」
気管支内に、謎の黒い異物が発見されたのです。
1ミリ角ほどの大きさだった、と教えていただきました。「咳しないで」「お願いだから咳しないで」と無茶な注文を出しつつ、先生方が奮闘した結果、無事に除去できた模様。
「とれましたからね!」
満面の笑顔で報告されました。
これだけ大騒ぎして取り除いたんだから、きっとこいつが出血の原因だったんじゃないか、とこのときは思いました。────全然違ったけど。
こいつの正体が判明するのは、まだしばらく後のことです。
そして気管支鏡検査のときの生検のせいで、また出血するようになってしまいました。出血量はたいしたことないけど、咳は増えます。その後の検査で、咳を我慢しなくてはならないのがちょっと大変でした。撮影時に咳が出ると、画像がピンボケちゃうからね……。
でも事情を説明したら咳の合間に撮影できるよう、検査技師さんが上手に誘導してくれました。おかげで無事にすべての検査終了。
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