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第20話 これか

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 とっさに唱えた防護の魔法のおかげでなんとか助かりはした。
 だけど……ここは、どこだ?
 崩れた床とともに落ちてきたこの場所。
 真っ暗で何も見えない。、
 マジカルランタンが設置されていない場所か?
 ということは、まだ前人未到の地か?
 幸い、俺は明かりをともす魔法が使える。
 呪文の詠唱を行い、

「灯火《マジカルライト》!」

 俺の半径十メートルくらいを照らす魔法の照明のできあがりだ。
 さて。
 あたりはもともとは床だったのだろうか、がれきの山となっている。
 すぐそばにはミャロがいる。この衝撃のせいなのか、猫の姿に戻っている。

「おい、大丈夫か……?」
「みゃお~~」

 うん、ちゃんと俺の防護魔法の範囲内にいてくれたんだな擦り傷ですんでいる。
 ミャロを抱えると、俺は改めて周りを見渡す。
 じゅんさい池ダンジョンに通い続けた俺も来たことがない。
 広い広い玄室。
 四方、照明の届かないところまで床は続いている。
 西村たちは……いない。
 あいつらも熟練の探索者だ、今のに巻き込まれて死んでるってことはないと思うが……。
 とにかく、さしあたってどうするか、だが……。
 まずはミャロだ。
 見た感じ大けがはしてない、一番軽い治癒魔法をかけてやる。

「小治癒《ヒール》!」

 あっというまにミャロの傷口はふさがった。

「ニャニャニャァ!」

 元気にその辺を跳ねまわってから、
 ポムッ!
 というポップな音ともに少女の姿へと変わる。

「うひゃ!? 裸にゃです!?」

 しょうがない、一度猫になると人間の時に着ていたものはサイズ的に脱げちゃうからなあ。

「うーん、あきらめてもらうしか……もともと半分スライムのせいで溶けていたし」
「そんにゃあ……なにか、なにかないかにゃです?」
「うーん、あったかなあ」

 俺は背負っていたリュックをあさる。
 探索者は戦闘だけしていたらいいってもんではないので、それなりの装備品をリュックでかついでいるのが常識だ。
 ま、登山に似てるとかよくいわれるな。
 モンスターに襲われることのある厳しめの登山、が一番ダンジョン探索を指す表現としてぴったりだろう。
 で、リュックの中に、あった、ちょっと大きめのさらし。
 ケガしたときに包帯や三角巾かわりにもなるし、持っていると便利なのだ。

「これ巻いとけ」

〈さらしをまいてる全裸少女……〉
〈逆にエロいよな〉
〈っていうかミャロちゃんお尻プリプリだなあ〉
〈じゅるり〉
〈……ふぅ……〉
〈こんな女の子をテイムしてるなんて羨ましい〉
〈俺も女の子を飼育したい〉
〈ん? テロのニュースだぞ?〉
〈テロだ〉
〈オオカミの空がたてこもりだってよ〉

 オオカミの空って、小針浜さんの所属していた反社会的過激派組織か。
 まあでも地上の話だろうが……。

〈オオカミの空がじゅんさい池ダンジョン内に大掛かりな装置を持ち込んでいたそうだ。そして人質をとってじゅんさい池ダンジョンに立てこもっているらしい〉

 これか、五千万円の案件ってのは!
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