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第13話 紅蓮のメイド騎士クリムゾンエリシア卿
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というわけでまた俺の早朝特訓が始まったのだった。
とはいっても今度は俺一人じゃない。
エリシアとメロもいる。
「メロもついてきちゃったな」
「くっくっく……我が叔父よ、正直言って昨日のジャイアントインプ討伐は……かっこよかった」
「だろだろ? いやあ、お前も俺のかっこよさがわかるようになったか」
「うむ。さすが我が叔父。男前であったぞ。我もああなりたくて訓練したい」
いやあ、それはちょっとなあ。
本人の意思を尊重してやりたいが、世界存亡の危機だからうまいことメロを平和主義者に育てたいなあ。
「とにかく我が叔父はかっこよかった! さすが我がダークネスドラゴンファイヤーデストロイヤー騎士団副団長!」
目をキラキラさせて言う。
まあかわいい姪っ子に尊敬のまなざしを受けるってのは悪い気分じゃないな。
「うんうん。そうだろそうだろ、かっこよかっただろ? ふふふ、エリシアもそうなんだろ?」
いやー参ったな俺ってばちょこちょこっと強いモンスターを倒しただけじゃないかー、えっへっへ。
「はあ?」
いやそうな顔でいうエリシア。
「え、だってお前も昨日かっこよかったって……」
「あれは剣を振るう男がわたくしの好みといっただけで、カルート様が好みとは申し上げておりませんわ、けっ。そもそも一匹はわたくしが倒したわけですし、最後の一匹もわたくしの手助けで倒せたのです。戦闘能力ではまだまだわたくしのが上。カルート様をそのような目ではみておりませんわ、けっ」
「そうなん……?」
なーんだ、せっかく人生で初めてモテたと思ったのに……。
がっくりと肩を落とす。
「すまなかったよ、もう二度と勘違いしてエリシアにそういうこと言わないよ、二度と……」
「え、いや、二度とって……」
「一生言わない……ごめんな、主人筋の男にこんなこと言われたら迷惑だもんな……今後一切におわせもしないよ……すまなかった、一生言わない……」
「いや、でも、一生……一生? いやまあそこまでは? 言って? ないですけど?」
その言い回しで何かにきづいたのか、メロは嬉しそうに言う。
「じゃー暗黒メイド騎士ダークエリシア卿よ、やっぱり我が叔父を好きなのか? 我は好きだぞ!?」
「いや、ちが、そういう、あれじゃなくて、まあ、好きとかではないですよでもまあほらあれですわ、一生とは言ってもこれから長い人生なにがあるかわからないわけですし、それに備えて今からそういうことを断言するのもあれなので、あれなわけですわ、こういう感じ、わかりますわよね?」
あれとかこういうとか代名詞が多すぎて全然わからんぞ。
「我が部下、暗黒メイド騎士ダークエリシア卿よ、耳が赤いぞ……くっくっく、紅蓮のメイド騎士クリムゾンエリシア卿に改名するか? 実は最初どちらかで迷ったのである」
「お嬢様、わたくしのことは純白で純潔の美少女メイドとお呼びください。さ、いいですから訓練ですわ!」
そうだった、そのために来たんだったな。
「よし、じゃあエリシア。お前、こないだスライムを召喚してたよな?」
「ええ」
「召喚魔法を使えるなんてすごいじゃないか。さすがA級メイドだな」
いきなり褒められたのでびっくりしたのか、エリシアは顔を赤くしてうろたえた様子で言う。
「ええ。召喚の魔法は高難易度ですし覚えるのにも高価な魔導書が必要なんですが、とは言ってもわたくしのはしょせんスライムですわ」
確かに、スライムなんてのは子供でも倒せる最弱モンスターである。
「あまりに弱すぎて実戦にも訓練にも使えないので逆に流通していなかったんですが、たまたま前の勤め先でダンジョンを攻略したときに手に入りましたの」
エリシアはまだ17歳だ。その年でダンジョン攻略してるなんて、将来のエース候補というのは嘘じゃないな。
ってか、将来的には世界最強のSSS級メイドになることを俺は元から知っているから疑いもしていなかったけどさ。
ゲームの中でもスライム召喚は弱くて誰も使っていなかったしな。
「実戦では使えないって……昨日は使ってたじゃないか」
「いろいろ試してみたのです。最弱のモンスターであるスライムは召喚するのにも魔力をほとんど消費しないので、ああやって数で勝負すると結構実戦でも使えるのです」
「それだっ!」
俺は叫んだ。
「え? どれ?」
エリシアはポカーンとしている。
「あのな、スライム召喚って魔力をほとんど消費しないんだろ? ってことはもうほとんどずっと永遠に召喚し続けることができる?」
「まあ、後片付けが大変なのでやったことはありませんが、100や200は余裕でできますわね」
ふふふ。
それこそが朝の自主練にエリシアを参加させた狙い。
ゲームシステム上、自分の召喚したモンスターは自分で攻撃できない。
乱戦の中近接戦闘モンスターを召喚したときに自分の攻撃もダメージ入るんじゃ邪魔になるだけで役に立たないしな。
で、召喚の魔法はMPをかなり使うので普通はそうそう連発できない。
そしてこの世界の住人は強くなるには強いモンスターを倒さなければならないと思い込んでいる。
ま、普通のRPGゲームとかだと実際そうだしな。
だけど。
俺はこのゲームのシステムをすべて理解しているのだ!
前にも説明したが、このゲームでは倒した経験値で剣スキルのレベルアップするのではなく、剣でヒットさせた回数でレベルアップするのだ。
つまり。
「よし、エリシア、俺と練習試合をしよう。ただし、縛りルール付きだ。お前はスライム召喚だけ、俺はこのボロボロのぼうっきれだけで戦う」
「はぁ? それで試合になりますの?」
「もちろんだ。……目的は、試合そのものじゃないからな」
とはいっても今度は俺一人じゃない。
エリシアとメロもいる。
「メロもついてきちゃったな」
「くっくっく……我が叔父よ、正直言って昨日のジャイアントインプ討伐は……かっこよかった」
「だろだろ? いやあ、お前も俺のかっこよさがわかるようになったか」
「うむ。さすが我が叔父。男前であったぞ。我もああなりたくて訓練したい」
いやあ、それはちょっとなあ。
本人の意思を尊重してやりたいが、世界存亡の危機だからうまいことメロを平和主義者に育てたいなあ。
「とにかく我が叔父はかっこよかった! さすが我がダークネスドラゴンファイヤーデストロイヤー騎士団副団長!」
目をキラキラさせて言う。
まあかわいい姪っ子に尊敬のまなざしを受けるってのは悪い気分じゃないな。
「うんうん。そうだろそうだろ、かっこよかっただろ? ふふふ、エリシアもそうなんだろ?」
いやー参ったな俺ってばちょこちょこっと強いモンスターを倒しただけじゃないかー、えっへっへ。
「はあ?」
いやそうな顔でいうエリシア。
「え、だってお前も昨日かっこよかったって……」
「あれは剣を振るう男がわたくしの好みといっただけで、カルート様が好みとは申し上げておりませんわ、けっ。そもそも一匹はわたくしが倒したわけですし、最後の一匹もわたくしの手助けで倒せたのです。戦闘能力ではまだまだわたくしのが上。カルート様をそのような目ではみておりませんわ、けっ」
「そうなん……?」
なーんだ、せっかく人生で初めてモテたと思ったのに……。
がっくりと肩を落とす。
「すまなかったよ、もう二度と勘違いしてエリシアにそういうこと言わないよ、二度と……」
「え、いや、二度とって……」
「一生言わない……ごめんな、主人筋の男にこんなこと言われたら迷惑だもんな……今後一切におわせもしないよ……すまなかった、一生言わない……」
「いや、でも、一生……一生? いやまあそこまでは? 言って? ないですけど?」
その言い回しで何かにきづいたのか、メロは嬉しそうに言う。
「じゃー暗黒メイド騎士ダークエリシア卿よ、やっぱり我が叔父を好きなのか? 我は好きだぞ!?」
「いや、ちが、そういう、あれじゃなくて、まあ、好きとかではないですよでもまあほらあれですわ、一生とは言ってもこれから長い人生なにがあるかわからないわけですし、それに備えて今からそういうことを断言するのもあれなので、あれなわけですわ、こういう感じ、わかりますわよね?」
あれとかこういうとか代名詞が多すぎて全然わからんぞ。
「我が部下、暗黒メイド騎士ダークエリシア卿よ、耳が赤いぞ……くっくっく、紅蓮のメイド騎士クリムゾンエリシア卿に改名するか? 実は最初どちらかで迷ったのである」
「お嬢様、わたくしのことは純白で純潔の美少女メイドとお呼びください。さ、いいですから訓練ですわ!」
そうだった、そのために来たんだったな。
「よし、じゃあエリシア。お前、こないだスライムを召喚してたよな?」
「ええ」
「召喚魔法を使えるなんてすごいじゃないか。さすがA級メイドだな」
いきなり褒められたのでびっくりしたのか、エリシアは顔を赤くしてうろたえた様子で言う。
「ええ。召喚の魔法は高難易度ですし覚えるのにも高価な魔導書が必要なんですが、とは言ってもわたくしのはしょせんスライムですわ」
確かに、スライムなんてのは子供でも倒せる最弱モンスターである。
「あまりに弱すぎて実戦にも訓練にも使えないので逆に流通していなかったんですが、たまたま前の勤め先でダンジョンを攻略したときに手に入りましたの」
エリシアはまだ17歳だ。その年でダンジョン攻略してるなんて、将来のエース候補というのは嘘じゃないな。
ってか、将来的には世界最強のSSS級メイドになることを俺は元から知っているから疑いもしていなかったけどさ。
ゲームの中でもスライム召喚は弱くて誰も使っていなかったしな。
「実戦では使えないって……昨日は使ってたじゃないか」
「いろいろ試してみたのです。最弱のモンスターであるスライムは召喚するのにも魔力をほとんど消費しないので、ああやって数で勝負すると結構実戦でも使えるのです」
「それだっ!」
俺は叫んだ。
「え? どれ?」
エリシアはポカーンとしている。
「あのな、スライム召喚って魔力をほとんど消費しないんだろ? ってことはもうほとんどずっと永遠に召喚し続けることができる?」
「まあ、後片付けが大変なのでやったことはありませんが、100や200は余裕でできますわね」
ふふふ。
それこそが朝の自主練にエリシアを参加させた狙い。
ゲームシステム上、自分の召喚したモンスターは自分で攻撃できない。
乱戦の中近接戦闘モンスターを召喚したときに自分の攻撃もダメージ入るんじゃ邪魔になるだけで役に立たないしな。
で、召喚の魔法はMPをかなり使うので普通はそうそう連発できない。
そしてこの世界の住人は強くなるには強いモンスターを倒さなければならないと思い込んでいる。
ま、普通のRPGゲームとかだと実際そうだしな。
だけど。
俺はこのゲームのシステムをすべて理解しているのだ!
前にも説明したが、このゲームでは倒した経験値で剣スキルのレベルアップするのではなく、剣でヒットさせた回数でレベルアップするのだ。
つまり。
「よし、エリシア、俺と練習試合をしよう。ただし、縛りルール付きだ。お前はスライム召喚だけ、俺はこのボロボロのぼうっきれだけで戦う」
「はぁ? それで試合になりますの?」
「もちろんだ。……目的は、試合そのものじゃないからな」
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