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最終章
第51話 そして次の冒険へ……?
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さて、俺がパーティから追放されて始まったこの物語もそろそろ終わりが近づいてきた。
和彦、春樹、美香子ちゃんの三人は俺たちに敗北したあと、麗奈さんに殺されて首を刈られた。その首は家族に返されることもなく、ほのかさんや久美子さんのパーティメンバーの墓前にさらされた。
その後、万が一にも復活しないようにと、被害者遺族の手によって念入りに焼かれて灰にされたそうだ。
美香子ちゃんと春樹のこどもたちは今も元気にダンジョンを這いまわっている。
あいかわらず、侵入してきた人間たちと戯れて狩ったり狩られたりしているみたい。
ご先祖様。
今は、ダンジョンを出て世界を飛び回っている。
世界を股にかけたい、っていってたもんな。
うまいこと国をちょろまかしてパスポートを取得したみたい。
それで、ご先祖様をリーダーとして、麗奈さん、久美子さんでパーティを組んで、全世界あちこちの難関といわれるダンジョン探索にはげんでいる。
これ、幽霊の久美子さんはパスポートとかビザとかどうしてるんだろう……。幽霊も飛行機に乗るのかな?
聞きそびれてたから、今度帰国したら聞いてみる。
さてご先祖様たちの目的はもちろん、マゼグロンクリスタル。
この世界に数個しかないという貴重なアイテム、そのうちの二つを消費したけど、あといくつかくらいは残っていてもおかしくない。
そいつを見つけ出して、いまだ幽霊のままの久美子さんを人間に戻すのが目的だそうだ。
チームワークは最悪だそうだけど、素の実力がやばいからなんとかやっていけてるらしい。
だいたい国内からもちだしたせんべい類がなくなると日本に帰ってきて、俺たちにみやげ話を聞かせたあと、再びせんべい類を大人買いして海外のダンジョン探索に向かう、というのを繰り返している。
まあまあ楽しそうでなによりだ。
ほのかさんはまだ高校生なので、学校に通うことに。
でも手続きの問題とか、家庭の事情とかで今の高校には通うことができなくなって、母親の実家があるという隣県に引っ越してそこの高校に通うそうだ。
まあ、隣県だから、その気になればすぐに会いにいけるだろう。
実際、ほのかさんがピンチのときに俺たちが駆けつける物語もあるんだけど、それはまだ先の話だ。
こんなところかな。
あとだれか説明しないといけない人、いたっけか?
「私のこと、忘れてないでしょうね」
俺の腕にからまっている桜子が俺をにらみつけてそう言った。
「あー忘れてたわ」
「ひどくない?」
「ほら、例えば毎朝起きたときとかさ、今このときもそうだけど。あー、右手があるなあ、左手もあるなあ、とか確認なんかしないだろ? 桜子なんて生まれたころから俺の隣にいるのが当然で、いちいち、今日は桜子がいるなあ、なんて考えたことないよ。だって、いつも俺の隣にいるじゃん」
「……まあそうなんだけど……あの……じゃあ、さ、ね、あの……」
桜子は真っ赤になってうつむく。
冗談抜き、ギャグ抜きで、お互いの性器を見せっこしてたくらいの年齢からずーっと一緒なんだ。
俺は、桜子と一緒にいたいんだ。
「桜子、今度一緒にどっか知らない町のダンジョンにでも潜らないか?」
「えー。ダンジョンかー」
「またなにか面白いことがあるかもしれないだろ」
「そだね。じゃ、どこか行こうか。一つだけ、約束してね」
「なんだよ」
「私を追放しちゃ、やだよ?」
「お前も俺を追放するなよ?」
二人で笑いあって、それから、初めて二人で手をつないだ。
こんな甘酸っぱい終わり方でも、いいだろう?
「……よく考えたら手をつなぐ前におっぱい揉まれてるなあ。甘酸っぱい思い出にするためにも、最後まで責任とりなさいよ?」
そういって、桜子は俺に身体をよせてくる。
桜子の体温と柔らかさを感じながら、俺は強くやさしく桜子の手を握った。
〈第一部完〉
和彦、春樹、美香子ちゃんの三人は俺たちに敗北したあと、麗奈さんに殺されて首を刈られた。その首は家族に返されることもなく、ほのかさんや久美子さんのパーティメンバーの墓前にさらされた。
その後、万が一にも復活しないようにと、被害者遺族の手によって念入りに焼かれて灰にされたそうだ。
美香子ちゃんと春樹のこどもたちは今も元気にダンジョンを這いまわっている。
あいかわらず、侵入してきた人間たちと戯れて狩ったり狩られたりしているみたい。
ご先祖様。
今は、ダンジョンを出て世界を飛び回っている。
世界を股にかけたい、っていってたもんな。
うまいこと国をちょろまかしてパスポートを取得したみたい。
それで、ご先祖様をリーダーとして、麗奈さん、久美子さんでパーティを組んで、全世界あちこちの難関といわれるダンジョン探索にはげんでいる。
これ、幽霊の久美子さんはパスポートとかビザとかどうしてるんだろう……。幽霊も飛行機に乗るのかな?
聞きそびれてたから、今度帰国したら聞いてみる。
さてご先祖様たちの目的はもちろん、マゼグロンクリスタル。
この世界に数個しかないという貴重なアイテム、そのうちの二つを消費したけど、あといくつかくらいは残っていてもおかしくない。
そいつを見つけ出して、いまだ幽霊のままの久美子さんを人間に戻すのが目的だそうだ。
チームワークは最悪だそうだけど、素の実力がやばいからなんとかやっていけてるらしい。
だいたい国内からもちだしたせんべい類がなくなると日本に帰ってきて、俺たちにみやげ話を聞かせたあと、再びせんべい類を大人買いして海外のダンジョン探索に向かう、というのを繰り返している。
まあまあ楽しそうでなによりだ。
ほのかさんはまだ高校生なので、学校に通うことに。
でも手続きの問題とか、家庭の事情とかで今の高校には通うことができなくなって、母親の実家があるという隣県に引っ越してそこの高校に通うそうだ。
まあ、隣県だから、その気になればすぐに会いにいけるだろう。
実際、ほのかさんがピンチのときに俺たちが駆けつける物語もあるんだけど、それはまだ先の話だ。
こんなところかな。
あとだれか説明しないといけない人、いたっけか?
「私のこと、忘れてないでしょうね」
俺の腕にからまっている桜子が俺をにらみつけてそう言った。
「あー忘れてたわ」
「ひどくない?」
「ほら、例えば毎朝起きたときとかさ、今このときもそうだけど。あー、右手があるなあ、左手もあるなあ、とか確認なんかしないだろ? 桜子なんて生まれたころから俺の隣にいるのが当然で、いちいち、今日は桜子がいるなあ、なんて考えたことないよ。だって、いつも俺の隣にいるじゃん」
「……まあそうなんだけど……あの……じゃあ、さ、ね、あの……」
桜子は真っ赤になってうつむく。
冗談抜き、ギャグ抜きで、お互いの性器を見せっこしてたくらいの年齢からずーっと一緒なんだ。
俺は、桜子と一緒にいたいんだ。
「桜子、今度一緒にどっか知らない町のダンジョンにでも潜らないか?」
「えー。ダンジョンかー」
「またなにか面白いことがあるかもしれないだろ」
「そだね。じゃ、どこか行こうか。一つだけ、約束してね」
「なんだよ」
「私を追放しちゃ、やだよ?」
「お前も俺を追放するなよ?」
二人で笑いあって、それから、初めて二人で手をつないだ。
こんな甘酸っぱい終わり方でも、いいだろう?
「……よく考えたら手をつなぐ前におっぱい揉まれてるなあ。甘酸っぱい思い出にするためにも、最後まで責任とりなさいよ?」
そういって、桜子は俺に身体をよせてくる。
桜子の体温と柔らかさを感じながら、俺は強くやさしく桜子の手を握った。
〈第一部完〉
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