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第63話 息吸っちゃダメ
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「ぶひゃっ!」
変な声を出して、いきなりアニエスさんが起き上がった。
「おわっ」
俺もびびって声をあげる。
一瞬のことだった。
石化していたアニエスさんの身体が、瞬時にもとに戻ったのだ。
ちょうど俺たちはアニエスさんの身体を中心に円を描いて座り込み、これからの方針を話し合っていたところだった。
「あれ? 身体、動く……」
「アニエスちゃん! よかった、戻った!」
ローラさんがアニエスさんに抱き着く。
まあ、とにかく、なにがなんだかわからないが、よかった。
これで、俺たちは5人パーティになったし、メンバー構成もSSS級が二人、SS級が一人、S級が一人、A級が一人。
まあ万全ではないけどSSS級ダンジョン攻略も現実的になってきたか。
「おい、ローラ、離せ……」
「えーいいじゃん!」
アニエスさんにほっぺたすりすりするローラさん。
アニエスさんの真っ白で綺麗な肌と、ローラさんの褐色の綺麗な肌が、ぷにぷにとこすりあわされる光景はなんというか、平和でほっこりするな。
「さすが私のアニエスちゃん、石化も自力で治しちゃったね! おなかすいていない? 大丈夫?」
「すいてる……でも、その前に……トイレしたい……」
「あ、じゃ、一緒に行こう!」
アニエスさんとローラさんが連れだって俺の見えない角のところまで行く。
「あ、あたしも……」
「じゃあ私も……」
ついでに紗哩とみっしーもついていった。
女って連れション好きだよなー。
でも、ダンジョン探索という極限状態にいると、女性のその習性の意味も分かってきた。
男はまだ立ちションで立ったままできるけどさー。
女のその瞬間はまじで無防備で、だからこそ実際に今回の探索でもそこを狙ってヴァンパイアに襲われたりもしたしさ。
やっぱり、無防備な瞬間を守るためには集団行動が一番いいよな。
……うーん、でもさすがにあのメンバーがそろってたら大丈夫だろ、音が聞こえないところまで離れてようかな。
っつーか、俺もちょっとおしっこしたい……。
「配信見てるみんな、すまんな、2~3分カメラとめるぞ」
そういってカメラを止め、俺も端っこの方で用を足すことにする。
あ、そうだ、音声も止めておかなきゃな。
ミュートボタンを押そうと思ったその瞬間。
突然!
「ピーーーーーーッ!!」
鳴り響くホイッスルの音、ええ!? 嘘だろ、まじかよ、嘘だろ、またかよ!?
〈敵襲か!?〉
〈またか?〉
〈お兄ちゃん、急いで!〉
〈走れ!〉
〈もうお兄ちゃんのそばでおしっこしろよ……〉
〈年頃の女の子だからこればっかりはしょうがない〉
〈くそ、次から次へとトラブルだな!〉
とりあえず刀を抜いてダッシュする。
今度はなんのモンスターに襲われたってんだ!?
俺が駆けつけると目に飛び込んできた光景は。
えっと。
おしっこするためにしゃがみこんだ状態の、アニエスさんのうしろ姿だった。
マントと下半身の風呂敷は取っちゃってるから、まあなんというか、胸に風呂敷を巻いただけの、半裸だ。
おしりがまん丸くてきれい。
で、その下半身裸でしゃがみこんでいるアニエスさんが、俺の方向にむかって、そのままの体勢でごろんと転がってきた。
……石化してる……。
あの、なんというか、石化した本人だから当たり前だけど、なんというか、すべてがこうリアルで、リアルな感じでさ、お股のあたりとか、ええと、あのー。
「お兄ちゃんのエッチ!!!」
紗哩がホイッスルを咥えたまま、俺の顔に風呂敷をかぶせた。
……この風呂敷、なんかいい匂いがするなあ……。
「紗哩ちゃん! それ、さっきまでアニエスさんが腰に巻いてたやつ……!」
みっしーの声。
あ、そうなのか、これアニエスさんがふんどしにしてたやつか。
なんかこれにも顎のとがってるキャラが描いてあるな。
胸だけじゃなくて下半身に巻いている奴もこのキャラだったか。
あれ、じゃあ今の俺の状態って、ほとんど脱ぎたてのパンツかぶってるようなもんで……。
これは、なんか、こう、頭がクラクラするような魅惑的な香り……?
ど、どうなんだこれ、不快な匂いではないけど、これをいい匂いって言っちゃってもいいんだろうか?
どうなの?
みんな、どうなんだ?
でもこういつまでもこうしていたいような……?
こ、これがフェロモンってやつか……?
確かめるためにもう少し深呼吸してみるか……?
「基樹さんのエッチ! あ、息吸っちゃダメ、息を止めて! 止めなさい!」
そのまま紗哩とみっしー二人に肩をつかまれて後ろを向かされた。
当然風呂敷は没収。
「もう、お兄ちゃんのばかっ!」
ペチンと軽く頭をはたかれる。
……理不尽な。
お前がホイッスルで俺を呼んだんだろ!
風呂敷をかぶせたのもお前だし!
っていうかさー、これ、いったいどういう状況なんだ?
変な声を出して、いきなりアニエスさんが起き上がった。
「おわっ」
俺もびびって声をあげる。
一瞬のことだった。
石化していたアニエスさんの身体が、瞬時にもとに戻ったのだ。
ちょうど俺たちはアニエスさんの身体を中心に円を描いて座り込み、これからの方針を話し合っていたところだった。
「あれ? 身体、動く……」
「アニエスちゃん! よかった、戻った!」
ローラさんがアニエスさんに抱き着く。
まあ、とにかく、なにがなんだかわからないが、よかった。
これで、俺たちは5人パーティになったし、メンバー構成もSSS級が二人、SS級が一人、S級が一人、A級が一人。
まあ万全ではないけどSSS級ダンジョン攻略も現実的になってきたか。
「おい、ローラ、離せ……」
「えーいいじゃん!」
アニエスさんにほっぺたすりすりするローラさん。
アニエスさんの真っ白で綺麗な肌と、ローラさんの褐色の綺麗な肌が、ぷにぷにとこすりあわされる光景はなんというか、平和でほっこりするな。
「さすが私のアニエスちゃん、石化も自力で治しちゃったね! おなかすいていない? 大丈夫?」
「すいてる……でも、その前に……トイレしたい……」
「あ、じゃ、一緒に行こう!」
アニエスさんとローラさんが連れだって俺の見えない角のところまで行く。
「あ、あたしも……」
「じゃあ私も……」
ついでに紗哩とみっしーもついていった。
女って連れション好きだよなー。
でも、ダンジョン探索という極限状態にいると、女性のその習性の意味も分かってきた。
男はまだ立ちションで立ったままできるけどさー。
女のその瞬間はまじで無防備で、だからこそ実際に今回の探索でもそこを狙ってヴァンパイアに襲われたりもしたしさ。
やっぱり、無防備な瞬間を守るためには集団行動が一番いいよな。
……うーん、でもさすがにあのメンバーがそろってたら大丈夫だろ、音が聞こえないところまで離れてようかな。
っつーか、俺もちょっとおしっこしたい……。
「配信見てるみんな、すまんな、2~3分カメラとめるぞ」
そういってカメラを止め、俺も端っこの方で用を足すことにする。
あ、そうだ、音声も止めておかなきゃな。
ミュートボタンを押そうと思ったその瞬間。
突然!
「ピーーーーーーッ!!」
鳴り響くホイッスルの音、ええ!? 嘘だろ、まじかよ、嘘だろ、またかよ!?
〈敵襲か!?〉
〈またか?〉
〈お兄ちゃん、急いで!〉
〈走れ!〉
〈もうお兄ちゃんのそばでおしっこしろよ……〉
〈年頃の女の子だからこればっかりはしょうがない〉
〈くそ、次から次へとトラブルだな!〉
とりあえず刀を抜いてダッシュする。
今度はなんのモンスターに襲われたってんだ!?
俺が駆けつけると目に飛び込んできた光景は。
えっと。
おしっこするためにしゃがみこんだ状態の、アニエスさんのうしろ姿だった。
マントと下半身の風呂敷は取っちゃってるから、まあなんというか、胸に風呂敷を巻いただけの、半裸だ。
おしりがまん丸くてきれい。
で、その下半身裸でしゃがみこんでいるアニエスさんが、俺の方向にむかって、そのままの体勢でごろんと転がってきた。
……石化してる……。
あの、なんというか、石化した本人だから当たり前だけど、なんというか、すべてがこうリアルで、リアルな感じでさ、お股のあたりとか、ええと、あのー。
「お兄ちゃんのエッチ!!!」
紗哩がホイッスルを咥えたまま、俺の顔に風呂敷をかぶせた。
……この風呂敷、なんかいい匂いがするなあ……。
「紗哩ちゃん! それ、さっきまでアニエスさんが腰に巻いてたやつ……!」
みっしーの声。
あ、そうなのか、これアニエスさんがふんどしにしてたやつか。
なんかこれにも顎のとがってるキャラが描いてあるな。
胸だけじゃなくて下半身に巻いている奴もこのキャラだったか。
あれ、じゃあ今の俺の状態って、ほとんど脱ぎたてのパンツかぶってるようなもんで……。
これは、なんか、こう、頭がクラクラするような魅惑的な香り……?
ど、どうなんだこれ、不快な匂いではないけど、これをいい匂いって言っちゃってもいいんだろうか?
どうなの?
みんな、どうなんだ?
でもこういつまでもこうしていたいような……?
こ、これがフェロモンってやつか……?
確かめるためにもう少し深呼吸してみるか……?
「基樹さんのエッチ! あ、息吸っちゃダメ、息を止めて! 止めなさい!」
そのまま紗哩とみっしー二人に肩をつかまれて後ろを向かされた。
当然風呂敷は没収。
「もう、お兄ちゃんのばかっ!」
ペチンと軽く頭をはたかれる。
……理不尽な。
お前がホイッスルで俺を呼んだんだろ!
風呂敷をかぶせたのもお前だし!
っていうかさー、これ、いったいどういう状況なんだ?
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