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本編
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教室へと戻ると事情を知っているのか先生は何も言わずに授業を続けている。
私は自分の席に戻り教科書とノートを開こうとした…のだが、教科書が無い。ちゃんと持ってきていたはず。はぁ、これは典型的な嫌がらせか。ノートだけはあったので黒板に書かれていることや先生の言っていることを書き写していく。今回の授業は指されたりするものでは無かったから良かったものの、これ以上ひどくなるのならば手を打つしかないんだよなぁ。だっる。
(白ちゃん、誰がやったかとか分かる?)
『現段階ではなんとも言えません。どなたかに聞いてみて貰えれば嘘かどうか位は分かりますが…。』
(そっか。やっぱり聞くしかないんだね。)
『力不足で申し訳ありません。』
(ううん、そんな事ないよ。ありがとう。 )
次の授業は体育だし特に何も無いはず。体操着はまだ被害にあって無くて助かった。急いで着替えて体育館へと向かう。
何事も無く体育館へ着いた。ホッとしたけれど油断は出来ない。誰が何をしようとしてるのかが全くわからないし、はぁ、お嬢様の相手は面倒くさいものだ。
そんな事を思いつつ先生が来るのを待っていると橘さんとその他一同が話しかけてきた。
「貴方が庶民の桜坂神無さん?」
明らかに庶民って二文字を強調してきたな。
「ええ、まあ、そうですけど。何か御用ですか?」
「ええ、そんなに用は無いんですけれど、少しお話してみたくて…。この前橘様とお話していらしたでしょう?私達もお話したいと言ったら紹介してくださると言ってくださって…」
「ああ、そうなんですね。」
どう見ても紹介してあげます。なんて橘さんがいったわけじゃなさそうなんだけれど…。
「神無さん突然ごめんなさい…。」
「いいえ、大丈夫ですよ。橘さんは謝ることなんて無いじゃないですか。」
まあ、社交辞令だよね。こんなのたかが知れてる。
「こちらは宮小路家のご令嬢で同級生の菜々様でこちらが高橋家の花枝様です。」
「よろしくお願いします。宮小路さん、高橋さん。」
一応挨拶はしよう。ナメられるのも困るし。
「ええ、よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いしますわ。あの、少し気になる事がありますの。」
嫌な予感しかしない。
「何ですか?」
「生徒会長の榊様に生徒会役員になって欲しいとか迫られたと言う噂がたっているのですがそれは事実ですの?」
やっぱりか…。
「そうそう!教室にまで押しかけてきたとか。大丈夫でしたの?」
「ええ、まあ、別に平気でしたよ。」
心配している訳では無いよね。目がどす黒いですから、庶民の癖に生意気ですわね!みたいな感じなの丸見えですよ。
「それでは生徒会役員になるおつもりですの?」
「いえ、私生徒会役員なるつもりなんて無いですし、勉強で手一杯ですから。」
「そうですわよね!貴女みたいな庶民が生徒会なんて入りませんわよね!」
「そうですわよね!良かったですわ!」
満面の笑み。お嬢様ってコワーイ。しかも心の声がだだ漏れですよ。
「それじゃそろそろ先生も来そうですし、またお話しましょうね。」
ええ。と笑顔で2人を見送り、橘さんは申し訳なさそうに一礼して少し逃げるように去っていった。
私は自分の席に戻り教科書とノートを開こうとした…のだが、教科書が無い。ちゃんと持ってきていたはず。はぁ、これは典型的な嫌がらせか。ノートだけはあったので黒板に書かれていることや先生の言っていることを書き写していく。今回の授業は指されたりするものでは無かったから良かったものの、これ以上ひどくなるのならば手を打つしかないんだよなぁ。だっる。
(白ちゃん、誰がやったかとか分かる?)
『現段階ではなんとも言えません。どなたかに聞いてみて貰えれば嘘かどうか位は分かりますが…。』
(そっか。やっぱり聞くしかないんだね。)
『力不足で申し訳ありません。』
(ううん、そんな事ないよ。ありがとう。 )
次の授業は体育だし特に何も無いはず。体操着はまだ被害にあって無くて助かった。急いで着替えて体育館へと向かう。
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そんな事を思いつつ先生が来るのを待っていると橘さんとその他一同が話しかけてきた。
「貴方が庶民の桜坂神無さん?」
明らかに庶民って二文字を強調してきたな。
「ええ、まあ、そうですけど。何か御用ですか?」
「ええ、そんなに用は無いんですけれど、少しお話してみたくて…。この前橘様とお話していらしたでしょう?私達もお話したいと言ったら紹介してくださると言ってくださって…」
「ああ、そうなんですね。」
どう見ても紹介してあげます。なんて橘さんがいったわけじゃなさそうなんだけれど…。
「神無さん突然ごめんなさい…。」
「いいえ、大丈夫ですよ。橘さんは謝ることなんて無いじゃないですか。」
まあ、社交辞令だよね。こんなのたかが知れてる。
「こちらは宮小路家のご令嬢で同級生の菜々様でこちらが高橋家の花枝様です。」
「よろしくお願いします。宮小路さん、高橋さん。」
一応挨拶はしよう。ナメられるのも困るし。
「ええ、よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いしますわ。あの、少し気になる事がありますの。」
嫌な予感しかしない。
「何ですか?」
「生徒会長の榊様に生徒会役員になって欲しいとか迫られたと言う噂がたっているのですがそれは事実ですの?」
やっぱりか…。
「そうそう!教室にまで押しかけてきたとか。大丈夫でしたの?」
「ええ、まあ、別に平気でしたよ。」
心配している訳では無いよね。目がどす黒いですから、庶民の癖に生意気ですわね!みたいな感じなの丸見えですよ。
「それでは生徒会役員になるおつもりですの?」
「いえ、私生徒会役員なるつもりなんて無いですし、勉強で手一杯ですから。」
「そうですわよね!貴女みたいな庶民が生徒会なんて入りませんわよね!」
「そうですわよね!良かったですわ!」
満面の笑み。お嬢様ってコワーイ。しかも心の声がだだ漏れですよ。
「それじゃそろそろ先生も来そうですし、またお話しましょうね。」
ええ。と笑顔で2人を見送り、橘さんは申し訳なさそうに一礼して少し逃げるように去っていった。
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