2 / 2
02
しおりを挟む
ドラゴンを倒す数時間前
「ようこそ!ギルドへ。御用は何でしょうか?」
ギルド受付のお姉さんは優しく老人二人に挨拶した。
そんな親切なお姉さんにババアは臭い口臭をぶちまけた。何の恨みがあるというのか!?お姉さんは涙目になる。しかし、ババアはそんなこと気にせず、致死量の毒ガスもどきを口から発しながら、用を話す。
「私たちは、ギルドへ登録しに来たんだよ」
「ギ、ギルド登録ですか?」
ババアとジジイは頷く。それを見てお姉さんは冗談だろ、と思っているはずだ。しかし、ガチだった。
周りの冒険者もやめとけコールが殺到するも、二人の老人の耳には入らなかった。何せ二人は、かなり耳が遠いので、周りのガヤが聞こえていなかった。
「で、では、ギルド登録にはいくつかの書類が必要になってきます。まず、身分証のご提示をお願いします」
そう言われたが、さっばり分からないジジイは
「身分証?」
と首をかしげる。すると、ババアが
「住民票が必要なんだよ、じいさん」
「あぁ、成る程。住民票のことか。で、その住民票発行には、何処に行けばいいんじゃ?」
「お姉さん、市役所はどこかい?」
「住民票?し、市役所?私には何のことか分かりませんが、身分証は名前と年齢が分かれば構いません。別に口頭でおっしゃっても構いませんが」
そう言われ、ジジイはポンと手を叩く。
「なんじゃ、そうなのか。ならそう言って欲しかったのう。わしはガイン、歳は104じゃ」
「104っ!?」
「ワハハハ、生きた化石と言われてるわい。因みに、婆さんはわしと同い年じゃ」
「104が二人!?」
「わしも婆さんも、年金だけじゃ生活するのも苦しくてな、だから出稼ぎに来たら、誰でも登録可能で仕事がもらえるこのギルドを見つけたってわけよ」
「はぁ・・・・」
「じゃから、婆さんと一緒にギルド登録しに来たわけよ。聞くところによると、なんいど?とか言うやつによっては高い報酬があるとか。きゅうきょく?とか言うのは、報酬が100万貰えるんだろ?年寄りが100万手にするなんて、今更必要もないんだが、どうせなら稼ぎまくって婆さんと旅行にでも行こうかと思ったんだけど、わしは海外の言葉が分からんでな、どうしたらええか、ぐーぐる?とかで調べたわけよ。そしたら、英語教室なんてのがあるらしいんだが、知ってるか?昔は無かったが、今じゃ色々な習い事があってよ、ばれりーなやろっくくらいみんぐとか、あとーー」
話し長いよ、何の話しだったか分かんないじゃん!
「じいさん、もういいだろ。お姉さん困ってるじゃないか」
そして、あんたの口臭くさいよ。喋るなババア・・・・と、心の中で思うお姉さん。
「で、では、登録がすみましたので、あちらの掲示板から御依頼を選んで、こちら受付にもって来てくだされば、今日からでも依頼を受けることは可能になります。
因みに、依頼の難易度についての説明はギルド登録カードの裏に記載されておりますので、必ず御確認下さい」
そう言って、お姉さんは二人に登録書(兼、登録カード)を渡した。
「おぉ、これでわしらもはれてギルドメンバーか」
「じいさんや、早速掲示板とやらの所へ行こうや」
「おぅ、そうだな。姉ちゃんや、あんがとな。あと、おっぱいが大きくてえぇのぉ」
「じいさんや、エッチな目をしてないで、はよう行かんか」
「はいはい、婆さんはせっかちだな」
そう言いながら、二人は掲示板に向かった。
一言いうなら、最悪な客だった。 しかし、更に最悪がおきる。
さっきまで掲示板にいた二人だったが、目を離した隙に消えていた。少し気にはなったので辺りを見回そうとした時、
ムニュ
両胸に違和感が・・・・、恐る恐る振り向くと、さっきまでの男の老人が、受付嬢の両胸を両手いっぱいに揉んでいた。
「きゃああぁぁーーーーーー!」
思いっきり、スケベジジイの頬に平手打ちをくらわした。
「ぶへっ」
今ので歯が一本抜けたが、入れ歯だったので気にしなかった。
「じいさんや、変態もほどほどにしな。それより、お姉さんや、この依頼を受けようと思う」
依頼の紙を受付嬢に出した。それを受け取り見ると、そこには『ドラゴン討伐・報酬140万・難易度【究極】』と書かれていた。
「あ、あの・・・これは?」
「いや、報酬の一番高いのを選んだだけだが」
「いや、お婆さん。この依頼は流石にお婆さんでは無理かと」
「なに?依頼を受けるのに、制限やルールがあったかのう?」
「いえ、ありませんが。この依頼、ドラゴン討伐ですよ」
「知っておるが。そこに書いてあろう。わしだって、字くらい読める」
「いえ、そういう意味では・・・・」
「なに、任せなさい。この魔法老女の魔法にかかれば、世界を滅ぼすのも簡単じゃ」
「そうですか・・・・、では依頼を受けるということで受理します。ご武運を」
本来は止めるべき依頼だが、この老人がしつこいので、仕方がなかったということにしとこう。
「では、行ってらっしゃいませ」
二度と帰って来るなと念じる受付嬢を背後に、老人二人はドラゴン討伐に向かった。
誰もが帰って来るはずがないと、誰もが思った。勿論、受付嬢含めて。
しかし、戻って来た。無傷で、しかもドラゴンの一部を切り落とし、見せてきた。
「嘘っ・・・・・」
続く
「ようこそ!ギルドへ。御用は何でしょうか?」
ギルド受付のお姉さんは優しく老人二人に挨拶した。
そんな親切なお姉さんにババアは臭い口臭をぶちまけた。何の恨みがあるというのか!?お姉さんは涙目になる。しかし、ババアはそんなこと気にせず、致死量の毒ガスもどきを口から発しながら、用を話す。
「私たちは、ギルドへ登録しに来たんだよ」
「ギ、ギルド登録ですか?」
ババアとジジイは頷く。それを見てお姉さんは冗談だろ、と思っているはずだ。しかし、ガチだった。
周りの冒険者もやめとけコールが殺到するも、二人の老人の耳には入らなかった。何せ二人は、かなり耳が遠いので、周りのガヤが聞こえていなかった。
「で、では、ギルド登録にはいくつかの書類が必要になってきます。まず、身分証のご提示をお願いします」
そう言われたが、さっばり分からないジジイは
「身分証?」
と首をかしげる。すると、ババアが
「住民票が必要なんだよ、じいさん」
「あぁ、成る程。住民票のことか。で、その住民票発行には、何処に行けばいいんじゃ?」
「お姉さん、市役所はどこかい?」
「住民票?し、市役所?私には何のことか分かりませんが、身分証は名前と年齢が分かれば構いません。別に口頭でおっしゃっても構いませんが」
そう言われ、ジジイはポンと手を叩く。
「なんじゃ、そうなのか。ならそう言って欲しかったのう。わしはガイン、歳は104じゃ」
「104っ!?」
「ワハハハ、生きた化石と言われてるわい。因みに、婆さんはわしと同い年じゃ」
「104が二人!?」
「わしも婆さんも、年金だけじゃ生活するのも苦しくてな、だから出稼ぎに来たら、誰でも登録可能で仕事がもらえるこのギルドを見つけたってわけよ」
「はぁ・・・・」
「じゃから、婆さんと一緒にギルド登録しに来たわけよ。聞くところによると、なんいど?とか言うやつによっては高い報酬があるとか。きゅうきょく?とか言うのは、報酬が100万貰えるんだろ?年寄りが100万手にするなんて、今更必要もないんだが、どうせなら稼ぎまくって婆さんと旅行にでも行こうかと思ったんだけど、わしは海外の言葉が分からんでな、どうしたらええか、ぐーぐる?とかで調べたわけよ。そしたら、英語教室なんてのがあるらしいんだが、知ってるか?昔は無かったが、今じゃ色々な習い事があってよ、ばれりーなやろっくくらいみんぐとか、あとーー」
話し長いよ、何の話しだったか分かんないじゃん!
「じいさん、もういいだろ。お姉さん困ってるじゃないか」
そして、あんたの口臭くさいよ。喋るなババア・・・・と、心の中で思うお姉さん。
「で、では、登録がすみましたので、あちらの掲示板から御依頼を選んで、こちら受付にもって来てくだされば、今日からでも依頼を受けることは可能になります。
因みに、依頼の難易度についての説明はギルド登録カードの裏に記載されておりますので、必ず御確認下さい」
そう言って、お姉さんは二人に登録書(兼、登録カード)を渡した。
「おぉ、これでわしらもはれてギルドメンバーか」
「じいさんや、早速掲示板とやらの所へ行こうや」
「おぅ、そうだな。姉ちゃんや、あんがとな。あと、おっぱいが大きくてえぇのぉ」
「じいさんや、エッチな目をしてないで、はよう行かんか」
「はいはい、婆さんはせっかちだな」
そう言いながら、二人は掲示板に向かった。
一言いうなら、最悪な客だった。 しかし、更に最悪がおきる。
さっきまで掲示板にいた二人だったが、目を離した隙に消えていた。少し気にはなったので辺りを見回そうとした時、
ムニュ
両胸に違和感が・・・・、恐る恐る振り向くと、さっきまでの男の老人が、受付嬢の両胸を両手いっぱいに揉んでいた。
「きゃああぁぁーーーーーー!」
思いっきり、スケベジジイの頬に平手打ちをくらわした。
「ぶへっ」
今ので歯が一本抜けたが、入れ歯だったので気にしなかった。
「じいさんや、変態もほどほどにしな。それより、お姉さんや、この依頼を受けようと思う」
依頼の紙を受付嬢に出した。それを受け取り見ると、そこには『ドラゴン討伐・報酬140万・難易度【究極】』と書かれていた。
「あ、あの・・・これは?」
「いや、報酬の一番高いのを選んだだけだが」
「いや、お婆さん。この依頼は流石にお婆さんでは無理かと」
「なに?依頼を受けるのに、制限やルールがあったかのう?」
「いえ、ありませんが。この依頼、ドラゴン討伐ですよ」
「知っておるが。そこに書いてあろう。わしだって、字くらい読める」
「いえ、そういう意味では・・・・」
「なに、任せなさい。この魔法老女の魔法にかかれば、世界を滅ぼすのも簡単じゃ」
「そうですか・・・・、では依頼を受けるということで受理します。ご武運を」
本来は止めるべき依頼だが、この老人がしつこいので、仕方がなかったということにしとこう。
「では、行ってらっしゃいませ」
二度と帰って来るなと念じる受付嬢を背後に、老人二人はドラゴン討伐に向かった。
誰もが帰って来るはずがないと、誰もが思った。勿論、受付嬢含めて。
しかし、戻って来た。無傷で、しかもドラゴンの一部を切り落とし、見せてきた。
「嘘っ・・・・・」
続く
0
お気に入りに追加
1
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる