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第8章 神気
第75話 配慮
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===リル視点========================
「あなた、本当にマスターの弟子?」
『………え?』
全く表情の無い顔で言われた言葉に一瞬、訳が分からず戸惑ってしまいました。
「もし、マスターの弟子なら周りを配慮しながら戦うはず」
イアさんがそう言って指指したところには目を回して倒れているティフィラさん達が。
『あ………』
「……………私が4人を担いで動き回わらなかったら死んでいた」
イアさんが突きつけた現実はその通りで、私はいつの間にかティフィラさん達の事が頭に無くて、『戦神』を殺す事に必死になりすぎていた。…………確かにお師匠なら私達の事を考えて戦うと思う。お師匠は私達が傷付かないようにいつも配慮していた。どんな厳しい修行でも本当に危ない時は守ってくれたし、神々が襲って来た時も真っ先に私達の事を優先していた。
『……………………』
「……取り敢えず、ここから離れよう。じきに野次馬やら騎士が来る」
イアさんは軽々と4人を片腕二人ずつ抱えるともの凄いスピードで特に被害を受けなかった《アブェル》の方へ駆けて行った。私もイアさんの後を追うけど、言われた言葉がずっと私の頭から離れなかった………。
===???視点========================
「《デットラス》には後どれぐらいだ?」
「あと…………2日ってところです」
「脱落者は?」
「5名です」
「そうか………。そいつらは所詮、その程度の奴らだという事。我らの計画には何ら支障は無い」
「おっしゃる通りで。………しかし、自分は思うのですが、我らの計画にとって"特異点"はそんなに大きな障害でしょうか?自分にはそうとは思えないのですが………」
「ふっ、ならば聞こう。何故、奴を"特異点"と呼ぶか知っているか?」
「え………?それは勿論、我らの計画を破綻させる恐れのある存在だからだと……」
「それもそうだが、奴を"特異点"を呼んだのはーー」
===リリ視点========================
「「「「「「「「「ようこそいらっしゃいました!!リリ様!ルル様!」」」」」」」」」
現在、日が昇り始めた頃。住民達は崩れた家で寝る事は出来るはずも無く、避難所らしき所に行っていて誰も居ない街中を歩き、教会の扉を開けた途端、初めて訪れた時と同じように多くの神官達に出迎えられました。
実はこの街に着いた後、私はルルとの『共神化』を解き、ティフィラさん達を崩れているけどましな家に置いてイアさんと共に教会に訪れました。その道中でイアさんが何故、私達の所に現れた経緯を聞きました。
===1日前のイア視点========================
「ヒャッハー!今年の大会も俺が優勝だぜぇーー!!」
「………そんな訳ねぇだろ」
「ぐべらっ!!」
ある街の武闘大会の準決勝。私は勿論決勝進出が決定しており、次に戦う相手の試合を見に来たら、どうやら前回の優勝者だった奴がフードを深く被った男に殴り飛ばされていた。男からはマスターには及ばなくても中々強い魔力を感じた。これまで武闘大会に出続けているけど、一番強い魔力だ。
そして、決勝戦。小さい規模の大会ながらも街中の人達や旅人や冒険者といった多くの観客が私と男の試合を今か今かと待ちわびていた。
私はただ突っ立って試合のゴングが鳴るのを待っていたけど、男はフードから僅かに見える口元を不気味に歪ませ、拳をポキポキと鳴らしている。よく見ると、準決勝の時より筋肉量が服の上からでも見えるほど多くなっている。………これは普通の人ではなさそうだ。
「レディー………、ファイトっ!!」
審判の男の掛け声と共にゴングが鳴った瞬間、男は走って距離を詰めて来た。ただ、それは普通に遅くて十分対応出来る。私も構えようとした時、とんでもない事を男が口にした。
「なぁ………、イアさんよ~?お前が慕っているマスターは大丈夫なのか~~?」
「……っ!?」
私は驚きのあまり、腕を『昇華』する事が出来ず、男の拳を普通の腕をクロスした状態で受けてしまい、吹き飛ばされた。この大会はリングとかいうものが無いので、吹き飛ばされても問題は無いけど、両腕が折れた。
「はっ、やっぱり情報通りだったな。動揺させれば大した事は無いっ!!」
男は更に距離を詰め、拳を全身目掛けて打ち込んできた。それは大したスピードでは無かったけど、私の冷静さをかき乱すには充分だった。
次第に掠る事が多くなってきて、最終的には腹を殴られ、近くの屋台まで吹き飛び、屋台が崩壊した。屋台の瓦礫が追い打ちをかけるかのように私の体に鈍い感覚を与える。
私は痛覚が無い。そんなものはとうに失った。けど、血は出るし、体はダメージを蓄積する。まして『昇華』を使っていない私の体は普通の女の子と大して変わらない。
体が動かない。恐らく瓦礫によって行動を制限されているんだろう。思考だけが通常通り。……普通の人なら混乱するだろうけど、私は違う。思考さえ整えればいい。
「あ~あ、つまらない任務だったな。こんな事なら"特異点"かその弟子に関する任務についた方が良かったかもな」
「…………安心するがいい。私はお前を退屈させない」
「…………ほう」
私は瓦礫の中から無傷で出てくる。勿論、腕も無傷。瓦礫によって出来た打撲痕も無い。
「一体どういうカラクリなんだ?」
「そんな事より私はあなたから情報をとらせてもらう。色々とマスターの身の回りに何か起こってるみたいだし」
「………やれるもんならやってみなっ!」
===リリ視点========================
という事があったみたいで、イアさんは勿論軽々勝利。その男が『神の強欲』の構成員で、師匠の事や私の事をとある手段で聞き出して、私達の所に駆けつけたという事みたいです。
「あのー、何かリアクションしてくれません?」
「あ………、神官の皆さんは色々と大変なんですねー(棒)」
「何ですかその感情のこもってない言葉は!?」
朝からテンションの高いメイラさんをスルーして、アギラさんを探す。そして、そのアギラさんはこちらをニヤニヤとしながら少し離れた所で見ていました。私は神官達を掻き分けてアギラさんの所に来ました。
「何かおかしい事でもありましたか?ア ギ ラ さ ん?」
「いやー、流石俺が仕える神だ。あんたらがここに来るのをしっかり当てた。まぁ、お友達を連れて来るとは思わなかったが」
そう言って、アギラさんはイアさんを見る。そう、イアさんと私とルルは背がほぼ同じ。お友達と思われても仕方ないのかもしれません。
「そんな事より、アルナ様に合わせて下さい!」
「おっ、これもアルナ様が言っていた通りだな。もっとも……、俺もそうだと思っていたが。…………夜中の事だろ?」
「ええ、やっぱり知っていましたか」
「当たり前だ、あんな凄まじい神気のぶつかり合いを感じたのは初めてだからな」
そう言って、アギラさんはまた神官達とイアさんを神殿から追い出しました。やっぱり私とルルしか入れないのは変わらないみたい。
「じゃあ、開くぞ」
二度目になるアルナ様との会話。一度目よりもリラックスした状態で神界へと入りました…………。
===============================
昨日は諸事情により、投稿出来ませんでした。本当に申し訳ありません!!
「あなた、本当にマスターの弟子?」
『………え?』
全く表情の無い顔で言われた言葉に一瞬、訳が分からず戸惑ってしまいました。
「もし、マスターの弟子なら周りを配慮しながら戦うはず」
イアさんがそう言って指指したところには目を回して倒れているティフィラさん達が。
『あ………』
「……………私が4人を担いで動き回わらなかったら死んでいた」
イアさんが突きつけた現実はその通りで、私はいつの間にかティフィラさん達の事が頭に無くて、『戦神』を殺す事に必死になりすぎていた。…………確かにお師匠なら私達の事を考えて戦うと思う。お師匠は私達が傷付かないようにいつも配慮していた。どんな厳しい修行でも本当に危ない時は守ってくれたし、神々が襲って来た時も真っ先に私達の事を優先していた。
『……………………』
「……取り敢えず、ここから離れよう。じきに野次馬やら騎士が来る」
イアさんは軽々と4人を片腕二人ずつ抱えるともの凄いスピードで特に被害を受けなかった《アブェル》の方へ駆けて行った。私もイアさんの後を追うけど、言われた言葉がずっと私の頭から離れなかった………。
===???視点========================
「《デットラス》には後どれぐらいだ?」
「あと…………2日ってところです」
「脱落者は?」
「5名です」
「そうか………。そいつらは所詮、その程度の奴らだという事。我らの計画には何ら支障は無い」
「おっしゃる通りで。………しかし、自分は思うのですが、我らの計画にとって"特異点"はそんなに大きな障害でしょうか?自分にはそうとは思えないのですが………」
「ふっ、ならば聞こう。何故、奴を"特異点"と呼ぶか知っているか?」
「え………?それは勿論、我らの計画を破綻させる恐れのある存在だからだと……」
「それもそうだが、奴を"特異点"を呼んだのはーー」
===リリ視点========================
「「「「「「「「「ようこそいらっしゃいました!!リリ様!ルル様!」」」」」」」」」
現在、日が昇り始めた頃。住民達は崩れた家で寝る事は出来るはずも無く、避難所らしき所に行っていて誰も居ない街中を歩き、教会の扉を開けた途端、初めて訪れた時と同じように多くの神官達に出迎えられました。
実はこの街に着いた後、私はルルとの『共神化』を解き、ティフィラさん達を崩れているけどましな家に置いてイアさんと共に教会に訪れました。その道中でイアさんが何故、私達の所に現れた経緯を聞きました。
===1日前のイア視点========================
「ヒャッハー!今年の大会も俺が優勝だぜぇーー!!」
「………そんな訳ねぇだろ」
「ぐべらっ!!」
ある街の武闘大会の準決勝。私は勿論決勝進出が決定しており、次に戦う相手の試合を見に来たら、どうやら前回の優勝者だった奴がフードを深く被った男に殴り飛ばされていた。男からはマスターには及ばなくても中々強い魔力を感じた。これまで武闘大会に出続けているけど、一番強い魔力だ。
そして、決勝戦。小さい規模の大会ながらも街中の人達や旅人や冒険者といった多くの観客が私と男の試合を今か今かと待ちわびていた。
私はただ突っ立って試合のゴングが鳴るのを待っていたけど、男はフードから僅かに見える口元を不気味に歪ませ、拳をポキポキと鳴らしている。よく見ると、準決勝の時より筋肉量が服の上からでも見えるほど多くなっている。………これは普通の人ではなさそうだ。
「レディー………、ファイトっ!!」
審判の男の掛け声と共にゴングが鳴った瞬間、男は走って距離を詰めて来た。ただ、それは普通に遅くて十分対応出来る。私も構えようとした時、とんでもない事を男が口にした。
「なぁ………、イアさんよ~?お前が慕っているマスターは大丈夫なのか~~?」
「……っ!?」
私は驚きのあまり、腕を『昇華』する事が出来ず、男の拳を普通の腕をクロスした状態で受けてしまい、吹き飛ばされた。この大会はリングとかいうものが無いので、吹き飛ばされても問題は無いけど、両腕が折れた。
「はっ、やっぱり情報通りだったな。動揺させれば大した事は無いっ!!」
男は更に距離を詰め、拳を全身目掛けて打ち込んできた。それは大したスピードでは無かったけど、私の冷静さをかき乱すには充分だった。
次第に掠る事が多くなってきて、最終的には腹を殴られ、近くの屋台まで吹き飛び、屋台が崩壊した。屋台の瓦礫が追い打ちをかけるかのように私の体に鈍い感覚を与える。
私は痛覚が無い。そんなものはとうに失った。けど、血は出るし、体はダメージを蓄積する。まして『昇華』を使っていない私の体は普通の女の子と大して変わらない。
体が動かない。恐らく瓦礫によって行動を制限されているんだろう。思考だけが通常通り。……普通の人なら混乱するだろうけど、私は違う。思考さえ整えればいい。
「あ~あ、つまらない任務だったな。こんな事なら"特異点"かその弟子に関する任務についた方が良かったかもな」
「…………安心するがいい。私はお前を退屈させない」
「…………ほう」
私は瓦礫の中から無傷で出てくる。勿論、腕も無傷。瓦礫によって出来た打撲痕も無い。
「一体どういうカラクリなんだ?」
「そんな事より私はあなたから情報をとらせてもらう。色々とマスターの身の回りに何か起こってるみたいだし」
「………やれるもんならやってみなっ!」
===リリ視点========================
という事があったみたいで、イアさんは勿論軽々勝利。その男が『神の強欲』の構成員で、師匠の事や私の事をとある手段で聞き出して、私達の所に駆けつけたという事みたいです。
「あのー、何かリアクションしてくれません?」
「あ………、神官の皆さんは色々と大変なんですねー(棒)」
「何ですかその感情のこもってない言葉は!?」
朝からテンションの高いメイラさんをスルーして、アギラさんを探す。そして、そのアギラさんはこちらをニヤニヤとしながら少し離れた所で見ていました。私は神官達を掻き分けてアギラさんの所に来ました。
「何かおかしい事でもありましたか?ア ギ ラ さ ん?」
「いやー、流石俺が仕える神だ。あんたらがここに来るのをしっかり当てた。まぁ、お友達を連れて来るとは思わなかったが」
そう言って、アギラさんはイアさんを見る。そう、イアさんと私とルルは背がほぼ同じ。お友達と思われても仕方ないのかもしれません。
「そんな事より、アルナ様に合わせて下さい!」
「おっ、これもアルナ様が言っていた通りだな。もっとも……、俺もそうだと思っていたが。…………夜中の事だろ?」
「ええ、やっぱり知っていましたか」
「当たり前だ、あんな凄まじい神気のぶつかり合いを感じたのは初めてだからな」
そう言って、アギラさんはまた神官達とイアさんを神殿から追い出しました。やっぱり私とルルしか入れないのは変わらないみたい。
「じゃあ、開くぞ」
二度目になるアルナ様との会話。一度目よりもリラックスした状態で神界へと入りました…………。
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昨日は諸事情により、投稿出来ませんでした。本当に申し訳ありません!!
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