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???視点
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ある日のユング公爵邸この家の子息ではないが、見慣れた顔の少年がドタドタ足音をたてながら廊下を走る姿。
何も知らない者がこの光景を目撃したらとても伯爵令息とは思わないだろう。
「叔父上!お願いがあります」
部屋に入る時はノックぐらいしろ、何度も注意をしているが言うことを聞かない甥っ子が執務室ドアをバーンと開けながら叫ぶ。
「お前という奴は、何度も何度も…いやもういい今度は何だ?」
眉間に皺を寄せながらも、この甥には何を言っても無駄であると判断したのはこの家の当主『ユング公爵』彼はこの少年の父親『ユング伯爵』の兄でもある。
公爵の弟『ティアゴ』は彼の妻である『マドレーナ』と結婚後、父である前公爵から複数持っていた爵位のひとつの『伯爵』を継いだ。
マドレーナの学園卒業後2人はすぐに結婚をし翌年には第1子が生まれ、その後も毎年子どもを授かり弟夫婦には6人もの子がいる。
本当はこの倍の人数が欲しかったようだが、それは親族全員で止めた。
子ども達の祖父でもある前公爵が優秀な家庭教師をつけたので、両親には似ず賢い子に育った…目の前にいる次男坊を除けば。
ちなみに前公爵は公爵位を譲った後、ティアゴが当主を務める伯爵家の実務を引き受けた。
ティアゴに領地経営は不可能であると判断したからだ…当然と言えば当然だが。
この次男坊は父親に似て、行く先々で女性関係の問題を起こしていた。
「ブランケンハイム公爵家から苦情がきたそうだな、何でもお前はご令嬢のストーカーをしていたとか?」
そう『ティアゴ』と『マドレーナ』の次男は『アリスティア』と『リリー』の娘をつけまわしていたのだ。
親子2代にわたって何て迷惑をかけているのか。
ブランケンハイム公爵夫妻は器が大きいが、流石に娘のストーカーには黙ってはいられなかったのだ。
「そんな叔父上!彼女は俺の運命の女性なんですよ」
「ろくに会話をした事もないのに何が運命だ…そしてお前の運命の女性は62人目なのだが?」
「今度こそ本当です!」
その言葉を聞くのは59回目だな、こいつの運命程当てにならない言葉はない。
「叔父上、相手は公爵令嬢なので今の俺には釣り合わない…お願いします力を貸して下さい!」
「断る」
「そんな!」
こんな話になる事は想像出来ていた、なら用意していた答えを返すだけだ。
「お願いしますよ叔父上、協力して下さらないのなら人妻をひっかけて不義の子をつくってやる!」
「何て脅しだ!!」
この苛烈な性格は誰に似た…言うまでもない母親だな。
もうこの甥っ子が落ち着くまで何処かの寺にでも入れるか?
女性のいない空間で厳しい修行をすれば少しは性格が矯正されるだろう。
ユング公爵は甥っ子を騙して寺に修行に出すのだが、今度は檀家の女性に対して『運命の相手』だと騒ぐ事をまだ知らない。
「うきゃー!!!」
「マドレーナお嬢様!?どうなさいましたか?」
「…大丈夫何でもないわ」
とてつもない悪夢を見た…内容はよく覚えていないけれど、誰か他の人の目で私の将来を見ていた気がする。
「マドレーナお嬢様、本日から高等部の2年生ですねご立派になられて感慨深いです」
では何かございましたらお呼び下さいと言ってメイドは退出した。
「2年生?大変!タイムリミットまで2年を切ったわ」
その日モーリア伯爵邸では『私は結婚はしない御仏に仕えるの!』とか『尼寺に行きますわ!』などと叫ぶ声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
何も知らない者がこの光景を目撃したらとても伯爵令息とは思わないだろう。
「叔父上!お願いがあります」
部屋に入る時はノックぐらいしろ、何度も注意をしているが言うことを聞かない甥っ子が執務室ドアをバーンと開けながら叫ぶ。
「お前という奴は、何度も何度も…いやもういい今度は何だ?」
眉間に皺を寄せながらも、この甥には何を言っても無駄であると判断したのはこの家の当主『ユング公爵』彼はこの少年の父親『ユング伯爵』の兄でもある。
公爵の弟『ティアゴ』は彼の妻である『マドレーナ』と結婚後、父である前公爵から複数持っていた爵位のひとつの『伯爵』を継いだ。
マドレーナの学園卒業後2人はすぐに結婚をし翌年には第1子が生まれ、その後も毎年子どもを授かり弟夫婦には6人もの子がいる。
本当はこの倍の人数が欲しかったようだが、それは親族全員で止めた。
子ども達の祖父でもある前公爵が優秀な家庭教師をつけたので、両親には似ず賢い子に育った…目の前にいる次男坊を除けば。
ちなみに前公爵は公爵位を譲った後、ティアゴが当主を務める伯爵家の実務を引き受けた。
ティアゴに領地経営は不可能であると判断したからだ…当然と言えば当然だが。
この次男坊は父親に似て、行く先々で女性関係の問題を起こしていた。
「ブランケンハイム公爵家から苦情がきたそうだな、何でもお前はご令嬢のストーカーをしていたとか?」
そう『ティアゴ』と『マドレーナ』の次男は『アリスティア』と『リリー』の娘をつけまわしていたのだ。
親子2代にわたって何て迷惑をかけているのか。
ブランケンハイム公爵夫妻は器が大きいが、流石に娘のストーカーには黙ってはいられなかったのだ。
「そんな叔父上!彼女は俺の運命の女性なんですよ」
「ろくに会話をした事もないのに何が運命だ…そしてお前の運命の女性は62人目なのだが?」
「今度こそ本当です!」
その言葉を聞くのは59回目だな、こいつの運命程当てにならない言葉はない。
「叔父上、相手は公爵令嬢なので今の俺には釣り合わない…お願いします力を貸して下さい!」
「断る」
「そんな!」
こんな話になる事は想像出来ていた、なら用意していた答えを返すだけだ。
「お願いしますよ叔父上、協力して下さらないのなら人妻をひっかけて不義の子をつくってやる!」
「何て脅しだ!!」
この苛烈な性格は誰に似た…言うまでもない母親だな。
もうこの甥っ子が落ち着くまで何処かの寺にでも入れるか?
女性のいない空間で厳しい修行をすれば少しは性格が矯正されるだろう。
ユング公爵は甥っ子を騙して寺に修行に出すのだが、今度は檀家の女性に対して『運命の相手』だと騒ぐ事をまだ知らない。
「うきゃー!!!」
「マドレーナお嬢様!?どうなさいましたか?」
「…大丈夫何でもないわ」
とてつもない悪夢を見た…内容はよく覚えていないけれど、誰か他の人の目で私の将来を見ていた気がする。
「マドレーナお嬢様、本日から高等部の2年生ですねご立派になられて感慨深いです」
では何かございましたらお呼び下さいと言ってメイドは退出した。
「2年生?大変!タイムリミットまで2年を切ったわ」
その日モーリア伯爵邸では『私は結婚はしない御仏に仕えるの!』とか『尼寺に行きますわ!』などと叫ぶ声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
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ティアゴ公爵令息とマドレーナのその後が気になる!!
感想有り難うございます
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そうなのですよ大人しくしていればそのままアリスティアとの縁談がまとまっていました、そういう意味ではティアゴとリリーの婚約の噂話をしていた令嬢達も恋のキューピッドですね
貴族はおろか一般常識でさえ欠如している為嫁ぎ先で苦労しそうなマドレーナですが、恋愛脳なのでアリスティアさえ側にいてくれれば幸せなのでしょう(笑)