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隣国編

第二十七話

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 この状態で賊に逆らうのは得策ではない、私とレオン様は要求通りに馬車から降りる事にした、すると首謀者と思われる眼帯ムキムキマッチョマンと目が合う
「ん…何だこの小娘は?」
「手を出すなっ彼女はテイラー公爵家の人間ではない!」
 レオン様は私を庇うように前に出たが同じ馬車に乗っている時点でその主張も通用しないだろう

「フンッ女連れで旅行とはガキが色気付きやがって…」
「…この娘はレオン・テイラー公爵令息の舞踏会のパートナーのアリシア・ローズデール侯爵令嬢ですね」
 マッチョマンが興味なさそうに私を横目で見て呟くと下っ端らしき男が何やら資料を見ながら説明をする

「すまないアリシア嬢、どうやら賊の狙いは私1人だったようだ」
「…いえ舞踏会に参加するという情報を知っているのなら彼等にとって私も無関係ではないでしょう」
  しかし私達がネクスト王国の舞踏会の招待客である事を知っている人間は限られてくる、衣装や貴金属は先に送っているので物取り目的なら商人の馬車を狙った方が確実だ

 舞踏会に出席されたら困るのか、それともネクスト王国に入国自体をさせたくないのか
「クククッ安心しな、大人しくしていれは一週間ちょいで解放してやるよ俺らはそれだけで金がガッポリ稼げるのだからな!」
 賊の雇い主はバカなのだろうか?聞いてもいない事をペラペラ話す口の軽い者を差し向けるとは…それさえも策の内なら大したものだが

「レオン様私彼等に依頼した容疑者が2人にまで絞り込めました」
「…ああ、奇遇だな私も今同じ事を考えていた」
 レオン様に舞踏会に参加されたら不都合だと考える誰かの命令で動いているとなると例の2人だ…
 とは言ってもこのような雑な手口の賊しか雇えないと考えると容疑者は実質1人だろう

「オラッお前らさっさとガキどもを連れて来い!」
「あっはい!直ちに…すまないこっちだ」
 マッチョマンに命令されレオン様を引っ張る下っ端の男…何だろう、この違和感は
「…おいどうするんだよ、この嬢ちゃんは変な所触ったら俺達痴漢扱いだぞ?」
「…しょうがないジュリアを呼んで来てくれ、解放するまでの間は彼女にこの娘の見張りをさせよう」
 痴漢以上に大それた事をしていると思うのだが、それよりも拘束した若い娘に気を遣い女性の見張りを付ける賊とかいるのだろうか?
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