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婚約破棄編

第六話

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 国王の言葉にいち早く反応したのはやはり彼女だった
「そうですわ!何をしたのか説明なさって!これは元に戻るのでしょうね?」
 顔に関しては元に戻った結果がそれなのだがその話は置いておこう

 「クロエ様は先程私の言葉を復唱して何を言われたか覚えておられますか?」
「復唱した事?確かアリシア様からの私に対する嫌がらせの話が事実無根だった場合…ってまさか」
 そこまで言ってハッとするまあここまで説明をすれば普通分かるよな
「私自身は言霊は一切使用しておりませんよ、ただ一時的にクロエ様の発言に言霊使いの力を付与させていただきましたが」
 そう私の能力の特殊なところは自分の言霊が使えない状況でも他者の発言に一時的に言霊の力を持たせる事が出来るというところだ、この力を使っている時にたとえ冗談でも『君のためなら死ねる』とか言おうものなら大変な事になる
 
「今日お帰りになる際は階段にお気をつけ下さいね?」
 ニッコリとそう告げると彼女の表情は死刑宣告をされた罪人のように絶望に染まる
「…なんて事なの今すぐ止めなさいよ!」
「私ではなくクロエ様の言葉に反応していますのでそれは不可能ですわ」
「解除する方法が無いのに何でそんな力を使ったのよ!?」
「クロエ様がとても自信ありげに私に嫌がらせをされていたと訴えられるので…貴女の発言が本当の事だったら何も起こらなかったのですよ?」
「こうなると分かっていてやったと言う事じゃない!私の言葉が真実かどうかなんて嫌がらせした覚えがある筈もないアリシア様が一番知っている事でしょう!?」

「クロエ…今までの話は全部嘘だったのか?」
いくらアホの王子でもここまできたら誰が虚偽の発言をしていたのか理解するしかないのであろう
「じゃあ突然垂れチチになったのも濃い産毛が生えてきたのも、アリシアからイジメられていたと今まで散々泣きついてきたことが嘘の話だったからか?」
まあ事実無根だったらそうなるという内容の言霊だったからな
「シャンパンを浴びたせいでメイクが落ちて糸目でシミだらけの唇薄い鼻の穴が空を向いた騎士団長を女にしたような顔になったのも…」
いや、それは偶然だよ…と言うか目と鼻の穴に関しては触れていないし騎士団長にそっくりと言うのは完全にアンタの感想だろ

「今はそれどころじゃないのよ後にして!ねえ本当にこのままなの!?」
「現時点で変化したものを元に戻す方法は知りませんが、今からでも真実を話されるならこれ以上の進行は止められると思います」
「ぐっ!」
「急がれないと次はたるみとジジイかババアか分からない姿に…」
「嘘でした!アリシア様から嫌がらせを受けていたどころか会ったのは今日が初めてです」

「グレイ様に近寄ったのは3人の王子の中で一番バカそうで騙しやすいと思ったからです!そうでもなければこんなイケメンでもなければ話をしていて疲れる男に関わったりしません!」
 別に言う必要も無い事まで口走っているが殿下への印象は同感だよ
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