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婚約破棄編

第一話

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 「アリシア・ローズデール!貴様との婚約を破棄をする!」
 絢爛豪華な調度品、一流シェフが腕を奮った高級な料理の数々、最上級の衣装を身に纏う紳士淑女、国内外の有力者達…

そんな中場違いな大声を上げ声高らかに宣言するアホ…じゃなかったこの国の第二王子で私アリシア・ローズデールの婚約者グレイ・キャンベルは傍らにムチムチお色気ムンムンのお姉ちゃんを侍らせ得意気な顔をした。

 うん…ここまでテンプレだよね?と言うよりオーケストラの指揮者がバカの奇声に驚いて指揮棒を明後日な方向に動かしたせいで一瞬何とも言えない間抜けな音が鳴り響いたよ…まあ何となく展開は予想出来るけれど一応最後まで聞いておこうか?
 「貴様が侯爵令嬢である事と俺の婚約者である事を悪用し行った悪逆非道の数々…俺と親しいクロエに対する陰湿な嫌がらせ」
 うわぁ想像以上のお決まりな流れ何かもう耳を傾けるの面倒臭くなってきたな
…と言うよりそのお姉ちゃんのドレス何?もう衣装と呼んで良いのかただの布と言ったら良いのか分からない物体だよ?本当に大事な部分しか隠れていないのでは?もしかしてこれ殿下がプレゼントしたの?だとしたら公衆の面前でこんな服(と言って良いのか分からないボロキレ)着させるなんてそれこそ物凄い嫌がらせだわ…

「よって貴様との婚約を破棄して新たにここにいるクロエ・カーター男爵令嬢と婚約する事をここに宣言する!」
「…」
「…何だ?己の所業を白日の下に晒されて言葉も出ないか?」
うとうと…
「…んあ?話は終わりましたか?」
あー、あまりにお約束過ぎて途中から聞いていなかったわ…
「きっ貴様っまさか寝ていたのか!?」
「そんな滅相もない、いかに殿下のお話が稚拙で論点がずれて支離滅裂でも一国の王子…何の実りも無い罵詈雑言であろうと最後まで話を聞くように心掛けておりますわ…ただ殿下のお言葉の内容があまりにも幼稚過ぎて途中で睡魔が…」
「やはり寝ているのではないかー!!」

「殿下、いくら殿下が決して不細工では無いけれど男前でもなく脳ミソが入っていないわけでは無くても有能ではなく王子である事以外に取り柄が無いボンクラで…」
「おい!」
「女にだらしがなく学業を疎かにして進級すら危うい素敵な成績を叩き出しているどこに出しても恥ずかしい残念なお方とは言ってもそのような大切な事は正式な手続きをしないと勝手には決められない事もご存知でないとは思いませんでしたわ…まあ婚約破棄は私にとっても大変喜ばしい事なのですが」
「きっ貴様が何と言おうとも王族の権力は絶対だ!不敬だ!不敬罪だー!!」

えーこれまだ続くの?もうこれ以上は本当に眠いんだって…仕方がないもう一人の当事者に証言してもらってさっさと終わらせましょう
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