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ウィル編 02章:あの空にもう一度虹を架けて
14-[虹の滝]
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宴から一夜明け、ウィル達が外に出てみるとそこには昨夜の雨を蓄えて潤っている地面があった。そして昨夜の雨とは対照的に、作物を育てるには水の次に陽の光が必要だろうと言わんばかりに空からは日差しが指していた。
「おー、おー!本当に地面が濡れているよー!」
メルトはまるで小さい子供の頃に戻ったかのように昨夜の雨でできた水溜まりでぱしゃぱしゃと足を踏んではしゃいでいた。メルトの楽しそうな様子を見て、村の子供達もそれに混じって一緒に遊び始めた。メルトは子供たちにそれー!と水をかけると子供達はきゃっきゃっと言って喜び、そしてメルトに水をかけ返した。
「やったなー!がおー!」
メルトが冗談っぽく威嚇するポーズを取ってみせるとそこから今度は追いかけっこが始まった。その後村の子供が濡れた地面で滑って擦りむいてしまい、ラスに手当てをされていることは容易に想像できた。そんなことをしていると遠くから歩いてきたコルネがこちらを見つけ、小走りしてきた。
「皆さんおはようございます!昨日はよく眠れましたか?見てください、みなさんのおかげで乾いていた土地に潤いが戻りました。本当にありがとうございました!」
そう言うとコルネは深々と頭を下げてきた。
「コルネさん、よかったですね。もしこの村の果物が取れたら食べに来てもいいですか?」
「ええ、もちろんです!ウィルさん達に喜んでもらえるよう、これからまた皆で頑張って畑を作ってきます!」
「この村の果物は本当に美味しいって評判だったから一度食べてみたかったのよ!」
「フェルナさんも是非いらしてください!」
今のコルネは最初にギルドに入って来た時とは違って素敵な笑顔に溢れていた。ウィル達はそんなコルネに付いて回り、再興に励む村の様子を見ながら話していた。その途中で裏の森の方から村の子供が数人ウィル達の方へと走ってきた。
「メルトお姉ちゃん、ラスお姉ちゃん、コルネお姉ちゃんも!ちょっとこっち来て!」
そう言うと子供達はメルトとラスの手をぐいぐい引っ張った。
「ちょっとちょっと、どうしたの?」
その子供達はメルト達をどこかに案内したがっているようだった。子供達に引っ張られるメルトとラスの後ろにコルネとウィル達も付いていった。子供達はメルトやラスの手を引きながら森の中を急いで走っていく。
「そんなに走ると危ないよ?」
「わっわっ、待って、そんなに急ぐと転んじゃうって!」
そして子供達に付いていき森の奥へ行くと、そこには昨日遺跡に行く途中に通った滝があった。しかし、そこにあった滝は昨日見たものと全く様子が違ってまるで別の場所に来たかのように錯覚した。
「うわあ、綺麗!」
「でしょでしょー!これをお姉ちゃん達に見せたかったんだー!」
「すっごく綺麗なの!」
「本当に綺麗・・・」
そこに広がっていたのは滝に架かる七色に輝く大きな虹だった。
「おー、おー!本当に地面が濡れているよー!」
メルトはまるで小さい子供の頃に戻ったかのように昨夜の雨でできた水溜まりでぱしゃぱしゃと足を踏んではしゃいでいた。メルトの楽しそうな様子を見て、村の子供達もそれに混じって一緒に遊び始めた。メルトは子供たちにそれー!と水をかけると子供達はきゃっきゃっと言って喜び、そしてメルトに水をかけ返した。
「やったなー!がおー!」
メルトが冗談っぽく威嚇するポーズを取ってみせるとそこから今度は追いかけっこが始まった。その後村の子供が濡れた地面で滑って擦りむいてしまい、ラスに手当てをされていることは容易に想像できた。そんなことをしていると遠くから歩いてきたコルネがこちらを見つけ、小走りしてきた。
「皆さんおはようございます!昨日はよく眠れましたか?見てください、みなさんのおかげで乾いていた土地に潤いが戻りました。本当にありがとうございました!」
そう言うとコルネは深々と頭を下げてきた。
「コルネさん、よかったですね。もしこの村の果物が取れたら食べに来てもいいですか?」
「ええ、もちろんです!ウィルさん達に喜んでもらえるよう、これからまた皆で頑張って畑を作ってきます!」
「この村の果物は本当に美味しいって評判だったから一度食べてみたかったのよ!」
「フェルナさんも是非いらしてください!」
今のコルネは最初にギルドに入って来た時とは違って素敵な笑顔に溢れていた。ウィル達はそんなコルネに付いて回り、再興に励む村の様子を見ながら話していた。その途中で裏の森の方から村の子供が数人ウィル達の方へと走ってきた。
「メルトお姉ちゃん、ラスお姉ちゃん、コルネお姉ちゃんも!ちょっとこっち来て!」
そう言うと子供達はメルトとラスの手をぐいぐい引っ張った。
「ちょっとちょっと、どうしたの?」
その子供達はメルト達をどこかに案内したがっているようだった。子供達に引っ張られるメルトとラスの後ろにコルネとウィル達も付いていった。子供達はメルトやラスの手を引きながら森の中を急いで走っていく。
「そんなに走ると危ないよ?」
「わっわっ、待って、そんなに急ぐと転んじゃうって!」
そして子供達に付いていき森の奥へ行くと、そこには昨日遺跡に行く途中に通った滝があった。しかし、そこにあった滝は昨日見たものと全く様子が違ってまるで別の場所に来たかのように錯覚した。
「うわあ、綺麗!」
「でしょでしょー!これをお姉ちゃん達に見せたかったんだー!」
「すっごく綺麗なの!」
「本当に綺麗・・・」
そこに広がっていたのは滝に架かる七色に輝く大きな虹だった。
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