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学費からの解放
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母さんたちのお墓を有栖に見られてしまったことから始まり、僕のやらかしのせいで学費まで払ってもらうことになってしまった。
正直に言うとものすごく助かるのだけど、有栖は本当に良いのだろうか。彼は僕と住んでいてメリットがたくさんあると言った。僕とだから、とも。嘘を吐いているようには見えなかったけれど、にわかには信じがたい。
僕に取り柄なんてほとんどないし、探せばもっと良い人いっぱいいると思うけどなあ。
まあいいか。
もし他に良い人見つかったらその時出て行けば良いし、今は好意に甘えよう。
そう結論づけて、僕はバイトをやめた。
学費を払ってもらう条件として提示した、できる限りの有栖の要求を呑むという内容に従って、彼から「大好きな職場で絶対辞めたくないとかじゃなかったら、出来ればやめてもらえると安心できる」と言われたのでそうしたのだ。
思い入れがないわけじゃないけれど、僕だって楽が出来るならそれがいいし、有栖の要求は願ってもないことだった。
ただ、問題が一つあって、それは何かというと、本当に暇だということだ。御園たちと遊ぼうかな、とも思ったのだけど、そういう話をすると有栖は若干嫌そうというか、出来れば遊んで欲しくないというような感じだったので、何となく躊躇ってしまっている。
有栖は御園がチャラい見た目をしているのと、この前の一悶着のせいで危ない人だと思っているのかもしれない。彼はファンのことも苦手に思っているみたいだから、それも原因の可能性がある。
いつか誤解が解けると良いけど。
学費という大きな荷物がなくなったので、僕が稼いだほとんどのお金は自由に使えるようになった。急に大金持ちになった気分だ。実際は大金持ちのヒモだが。
それと暇なのも合わさって、今日は買い物に行くことにした。
念願のゲームを大人買いだ。まだ未成年だけど。
販売当時は品切れ続出の人気ゲーム媒体だが、今は発売から数年経っているので容易に手に入る。人気は衰えておらず、今買っても全然安くはなかったが。
有栖とやりたいので、本体を二台買って、それから『スポラトゥーン2』のカセットを二つ、『ゼルラの伝説・ブレスオブザマイルド』を一つ、『炎の紋章・花鳥風月』を一つ買った。ブレスオブザマイルドは映像美がとにかく凄いのと、僕はストーリーを知っているので有栖にやってもらってたまにやらせてもらおうかなと思っている。花鳥風月は一人用のRPGで、軍師になって将棋やチェスみたいに味方を動かして戦わせる戦略ゲームだ。物語も複雑なので、自分でちょこちょことやろうと思って買った。
他はまあ今度でいいや。
紙袋がめちゃめちゃ重いので苦労したが、何事もなく家まで帰れた。
有栖は最近仕事を休業しているが、今は自動車教習所に行っていていなかった。冴木さんはこたつでぐっすりだ。
いつもピシッとしているから、こたつに潜って爆睡しているのが凄く新鮮だった。大人びて見える外見も、今はどこか幼く見える。眼鏡をしていないのも原因かもしれない。
僕はゲームを開けたいのを我慢して、冴木さんを起こさないように、ちょっと遅めのお昼を作り始めた。有栖ももうすぐ帰ってくるだろうし、帰ってきたら丁度ご飯が出来ているのが理想だ。でももし帰ってくるのが遅かった時にも美味しく食べられるように、冷めても美味しい炒飯を作ることにした。
有栖とゲーム、楽しみだな。
――――――――――――†
(端書き)
昨日か一昨日くらいに書き上げた『嘘の理由』を公開したつもりが、公開されてなかったみたいなので今日書いたこれと合わせて2本公開します。やっぱ寝ぼけてるとダメですね。
正直に言うとものすごく助かるのだけど、有栖は本当に良いのだろうか。彼は僕と住んでいてメリットがたくさんあると言った。僕とだから、とも。嘘を吐いているようには見えなかったけれど、にわかには信じがたい。
僕に取り柄なんてほとんどないし、探せばもっと良い人いっぱいいると思うけどなあ。
まあいいか。
もし他に良い人見つかったらその時出て行けば良いし、今は好意に甘えよう。
そう結論づけて、僕はバイトをやめた。
学費を払ってもらう条件として提示した、できる限りの有栖の要求を呑むという内容に従って、彼から「大好きな職場で絶対辞めたくないとかじゃなかったら、出来ればやめてもらえると安心できる」と言われたのでそうしたのだ。
思い入れがないわけじゃないけれど、僕だって楽が出来るならそれがいいし、有栖の要求は願ってもないことだった。
ただ、問題が一つあって、それは何かというと、本当に暇だということだ。御園たちと遊ぼうかな、とも思ったのだけど、そういう話をすると有栖は若干嫌そうというか、出来れば遊んで欲しくないというような感じだったので、何となく躊躇ってしまっている。
有栖は御園がチャラい見た目をしているのと、この前の一悶着のせいで危ない人だと思っているのかもしれない。彼はファンのことも苦手に思っているみたいだから、それも原因の可能性がある。
いつか誤解が解けると良いけど。
学費という大きな荷物がなくなったので、僕が稼いだほとんどのお金は自由に使えるようになった。急に大金持ちになった気分だ。実際は大金持ちのヒモだが。
それと暇なのも合わさって、今日は買い物に行くことにした。
念願のゲームを大人買いだ。まだ未成年だけど。
販売当時は品切れ続出の人気ゲーム媒体だが、今は発売から数年経っているので容易に手に入る。人気は衰えておらず、今買っても全然安くはなかったが。
有栖とやりたいので、本体を二台買って、それから『スポラトゥーン2』のカセットを二つ、『ゼルラの伝説・ブレスオブザマイルド』を一つ、『炎の紋章・花鳥風月』を一つ買った。ブレスオブザマイルドは映像美がとにかく凄いのと、僕はストーリーを知っているので有栖にやってもらってたまにやらせてもらおうかなと思っている。花鳥風月は一人用のRPGで、軍師になって将棋やチェスみたいに味方を動かして戦わせる戦略ゲームだ。物語も複雑なので、自分でちょこちょことやろうと思って買った。
他はまあ今度でいいや。
紙袋がめちゃめちゃ重いので苦労したが、何事もなく家まで帰れた。
有栖は最近仕事を休業しているが、今は自動車教習所に行っていていなかった。冴木さんはこたつでぐっすりだ。
いつもピシッとしているから、こたつに潜って爆睡しているのが凄く新鮮だった。大人びて見える外見も、今はどこか幼く見える。眼鏡をしていないのも原因かもしれない。
僕はゲームを開けたいのを我慢して、冴木さんを起こさないように、ちょっと遅めのお昼を作り始めた。有栖ももうすぐ帰ってくるだろうし、帰ってきたら丁度ご飯が出来ているのが理想だ。でももし帰ってくるのが遅かった時にも美味しく食べられるように、冷めても美味しい炒飯を作ることにした。
有栖とゲーム、楽しみだな。
――――――――――――†
(端書き)
昨日か一昨日くらいに書き上げた『嘘の理由』を公開したつもりが、公開されてなかったみたいなので今日書いたこれと合わせて2本公開します。やっぱ寝ぼけてるとダメですね。
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