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第一章 異世界召喚編
6 侍女ユリカ
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「うわぁっ!? メラメラ、そんなことしちゃだめーっ!」
真那は慌ててメラメラに駆け寄ると、小さな体を抱き寄せて散らばったドレスに手を伸ばす。
「マナ様がお手を煩わせる必要はございません」
ユリカの声が少し大きくて、真那は硬直してしまった。
「ご、ごめんなさい……」
いきなり謝られて、ユリカは怪訝な面持ちになる。
「わたくし、悪いことをしてしまったようですね。マナ様を叱っている訳ではないのです。侍女として主に後片付けなどさせるわけにはいきませんので、少々声を荒げてしまいました。申し訳ありませんでした」
「そ、そんな……」
真那は声を詰まらせながら内心、言いようのない嬉しさが込み上げてきた。ユリカは真那が叱られたと勘違いした事を一瞬で悟ったのだ。元いた世界では、自分を分かってくれる人間など一人としていなかった。ユリカは会ったばかりの真那のことをもう理解しめていた。
ユリカが愛する姉妹でも見るように微笑んで言った。
「さあ、お召替えをいたしましょう。そのような姿では、妃殿下が驚かれてしまいますから」
侍女は散らばったドレスを片付けながらいった。
「さて、マナ様にはどのようなドレスがお似合いかしら?」
ユリカがドレスを物色し始めた頃に、真那は少し落ち着いた気持ちになって衣裳部屋を見ていく。壁に沿ってある衣裳棚に、見た事もない煌びやかなドレスが数えきれない程並んでいた。真那にはこれが現実とはどうしても思えず、この夢はいつか覚めるのだろうかと思う。そんな風に考え事をしていると、メラメラが真那の懐から抜け出して、またドレスを一着引っ張り出していた。
「あっ!? 駄目だってば!」
「マナ~、これ!」
メラメラが持ってきた薄ピンク色のドレスに、ユリカが目を止める。
「あら、そのドレスはマナ様に合いそうですわね」
真那を姿見の前にユリカがドレスを合わせて満足げに頷いた。
「この子はマナ様の事がよく分かっているのですね」
真那は自分と肩を並べるように浮かんでいるメラメラの頭を撫でてやった。
「メラメラ、ドレスを選んでくれて、ありがとうね」
「ニハハ」
メラメラは花咲くような笑みで答えた。
真那は鏡に映る自分を見て思わず疑ってしまった。目の前にいるのは薄桃色のドレス姿のお姫様のような少女だった。ポニーテールから髪を下ろしたので、余計に印象が変化していた。
「よくお似合いです」
普段着用なので飾り気のない薄ピンク色のドレスだが、それは真那の人生の中で最も煌びやかに着飾った姿であった。肩にはパフスリーブ、スカートは足首まで隠れる長さで、袖口と裾は白いフリルになっていた。さらにそのフリルには蔓草と花の意匠のカットワークが施されている。シンプルなドレスだが、作り手のこだわりの見える。
襟ぐりが大きく開いていて真那は少し恥ずかしかった。ドレスとしては一般的な意匠だが、真那はドレスなど一度も着た事はない。
真那がドレスの内側に隠していたネックレスのチェーンに後ろにいたユリカが手を伸ばし、生まれたばかりの子猫にでも触るような手つきで気を付けながら、真那の懐からペンダントを引き出した。
「このような美しい宝石をもっているのですから、見えるようにしておきませんと、もったいないですわ」
「い、いいのかな……」
良いも悪いもなく、ドレスに宝石を飾るなど貴族、王族なら当たり前の事だ。しかし真那は、母の形見のキャッツアイを人前に晒したことなど一度もなかった。だから真那にとって、その宝石を晒すことは禁忌に触れるような感覚があった。
「マナ様のように可愛らしいお方を飾る事ができるのなら、その宝石も本望でございましょう」
鏡の向こうで真那の後ろにいる侍女が微笑むと、真那は安心して胸の中央で輝く緑のキャッツアイに触れた。プラチナの枠に入った大粒のキャッツアイが、薄ピンク色のドレスの中で一際大きな存在感を持ち、絶妙なアクセントになっていた。ただ、彼女の頬に張り付いているガーゼが異質物になっていて少し残念だった。
その辺を飛び回っていたメラメラが、準備の整った真那の頭の上に乗っかった。フェアリーのキャッツアイと同じ輝きの眼が鏡の主を興味深そうに見つめる。その愛らしくもコミカルな様子にユリカと真那が微笑んだ。
「それにしても、マナ様の瞳は宝石のように美しいですわ」
それを言われると真那の胸が苦しくなる。
「わたしは嫌いです……」
「嫌なのですか?」
鏡の中で俯く真那を、ユリカが悲し気に見つめた。この世界にいきなり召喚されて訳の分からない事だらけで、今まで元いた世界の事など気にする余裕もなかったが、ユリカの優しさに触れて真那の心の底から色々なものが一気にあふれ出した。
「この目の色のせいで、たくさん苛められました。お父さんもお母さんも日本人で、二人とも目は黒かったんです。それなのに、わたしはこんな目の色で周りの人に気味が悪いって言われていました、友達も出来ませんでした」
「なんということでしょう……」
ユリカの瞳が潤み、今にも涙が零れそうになった。真那の上にいるメラメラも主の心を感じ取って心配そうな面持ちだ。
「わたくしはマナ様がいた世界のことは分かりません。けれど、これだけは分かります。あなたを虐げた人々はあなたの瞳を気味悪がっていたのではありません、あなたの神々しい姿に近づき難かったのでしょう。世の中には自分と違うものを受け入れられない人間がいるそうです、マナ様の世界にはそういう人間が多かったのでございましょう」
ユリカは、ご安心下さいと続けた。
「ここではわたくしが付いております。もしマナ様を苛めるような不届きな者がいるのであれば、それが何者であろうともわたくしは許しません、この身を呈してでもマナ様をお守りいたします」
ユリカの落ち着いた声の中に、強い決意と今まで真那を苛めた者たちへの怒りが込められていた。それを感じた真那は顔を上げ、ユリカの方に振り向いて瞳に涙を浮かべた。
「ありがとう……ございます……」
真那が実の母親以外の人間を受け入れた瞬間だった。
真那は慌ててメラメラに駆け寄ると、小さな体を抱き寄せて散らばったドレスに手を伸ばす。
「マナ様がお手を煩わせる必要はございません」
ユリカの声が少し大きくて、真那は硬直してしまった。
「ご、ごめんなさい……」
いきなり謝られて、ユリカは怪訝な面持ちになる。
「わたくし、悪いことをしてしまったようですね。マナ様を叱っている訳ではないのです。侍女として主に後片付けなどさせるわけにはいきませんので、少々声を荒げてしまいました。申し訳ありませんでした」
「そ、そんな……」
真那は声を詰まらせながら内心、言いようのない嬉しさが込み上げてきた。ユリカは真那が叱られたと勘違いした事を一瞬で悟ったのだ。元いた世界では、自分を分かってくれる人間など一人としていなかった。ユリカは会ったばかりの真那のことをもう理解しめていた。
ユリカが愛する姉妹でも見るように微笑んで言った。
「さあ、お召替えをいたしましょう。そのような姿では、妃殿下が驚かれてしまいますから」
侍女は散らばったドレスを片付けながらいった。
「さて、マナ様にはどのようなドレスがお似合いかしら?」
ユリカがドレスを物色し始めた頃に、真那は少し落ち着いた気持ちになって衣裳部屋を見ていく。壁に沿ってある衣裳棚に、見た事もない煌びやかなドレスが数えきれない程並んでいた。真那にはこれが現実とはどうしても思えず、この夢はいつか覚めるのだろうかと思う。そんな風に考え事をしていると、メラメラが真那の懐から抜け出して、またドレスを一着引っ張り出していた。
「あっ!? 駄目だってば!」
「マナ~、これ!」
メラメラが持ってきた薄ピンク色のドレスに、ユリカが目を止める。
「あら、そのドレスはマナ様に合いそうですわね」
真那を姿見の前にユリカがドレスを合わせて満足げに頷いた。
「この子はマナ様の事がよく分かっているのですね」
真那は自分と肩を並べるように浮かんでいるメラメラの頭を撫でてやった。
「メラメラ、ドレスを選んでくれて、ありがとうね」
「ニハハ」
メラメラは花咲くような笑みで答えた。
真那は鏡に映る自分を見て思わず疑ってしまった。目の前にいるのは薄桃色のドレス姿のお姫様のような少女だった。ポニーテールから髪を下ろしたので、余計に印象が変化していた。
「よくお似合いです」
普段着用なので飾り気のない薄ピンク色のドレスだが、それは真那の人生の中で最も煌びやかに着飾った姿であった。肩にはパフスリーブ、スカートは足首まで隠れる長さで、袖口と裾は白いフリルになっていた。さらにそのフリルには蔓草と花の意匠のカットワークが施されている。シンプルなドレスだが、作り手のこだわりの見える。
襟ぐりが大きく開いていて真那は少し恥ずかしかった。ドレスとしては一般的な意匠だが、真那はドレスなど一度も着た事はない。
真那がドレスの内側に隠していたネックレスのチェーンに後ろにいたユリカが手を伸ばし、生まれたばかりの子猫にでも触るような手つきで気を付けながら、真那の懐からペンダントを引き出した。
「このような美しい宝石をもっているのですから、見えるようにしておきませんと、もったいないですわ」
「い、いいのかな……」
良いも悪いもなく、ドレスに宝石を飾るなど貴族、王族なら当たり前の事だ。しかし真那は、母の形見のキャッツアイを人前に晒したことなど一度もなかった。だから真那にとって、その宝石を晒すことは禁忌に触れるような感覚があった。
「マナ様のように可愛らしいお方を飾る事ができるのなら、その宝石も本望でございましょう」
鏡の向こうで真那の後ろにいる侍女が微笑むと、真那は安心して胸の中央で輝く緑のキャッツアイに触れた。プラチナの枠に入った大粒のキャッツアイが、薄ピンク色のドレスの中で一際大きな存在感を持ち、絶妙なアクセントになっていた。ただ、彼女の頬に張り付いているガーゼが異質物になっていて少し残念だった。
その辺を飛び回っていたメラメラが、準備の整った真那の頭の上に乗っかった。フェアリーのキャッツアイと同じ輝きの眼が鏡の主を興味深そうに見つめる。その愛らしくもコミカルな様子にユリカと真那が微笑んだ。
「それにしても、マナ様の瞳は宝石のように美しいですわ」
それを言われると真那の胸が苦しくなる。
「わたしは嫌いです……」
「嫌なのですか?」
鏡の中で俯く真那を、ユリカが悲し気に見つめた。この世界にいきなり召喚されて訳の分からない事だらけで、今まで元いた世界の事など気にする余裕もなかったが、ユリカの優しさに触れて真那の心の底から色々なものが一気にあふれ出した。
「この目の色のせいで、たくさん苛められました。お父さんもお母さんも日本人で、二人とも目は黒かったんです。それなのに、わたしはこんな目の色で周りの人に気味が悪いって言われていました、友達も出来ませんでした」
「なんということでしょう……」
ユリカの瞳が潤み、今にも涙が零れそうになった。真那の上にいるメラメラも主の心を感じ取って心配そうな面持ちだ。
「わたくしはマナ様がいた世界のことは分かりません。けれど、これだけは分かります。あなたを虐げた人々はあなたの瞳を気味悪がっていたのではありません、あなたの神々しい姿に近づき難かったのでしょう。世の中には自分と違うものを受け入れられない人間がいるそうです、マナ様の世界にはそういう人間が多かったのでございましょう」
ユリカは、ご安心下さいと続けた。
「ここではわたくしが付いております。もしマナ様を苛めるような不届きな者がいるのであれば、それが何者であろうともわたくしは許しません、この身を呈してでもマナ様をお守りいたします」
ユリカの落ち着いた声の中に、強い決意と今まで真那を苛めた者たちへの怒りが込められていた。それを感じた真那は顔を上げ、ユリカの方に振り向いて瞳に涙を浮かべた。
「ありがとう……ございます……」
真那が実の母親以外の人間を受け入れた瞬間だった。
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