未開の心根と僕

Nori

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1話 クソジジイ

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 僕は、おばあちゃんの古い遊びが好きだった。

 僕は、三人兄弟の末っ子。おもちゃは買ってもらえなくていつも何かに飢えていた。ある日、おばあちゃんとおじいちゃんの家に連れて行かれた。その家は、歩けば5歳の僕でも10分とかからないほど近かった。おばあちゃんは「花札で遊ぶ?」と聞いてきた。僕は、元々遊ぶものがなくて遊ぶという概念もなかったと思う。元々、頭が悪かったこともあったのか友達もできなかった。僕は、聞いたことのないものに少し興味が湧いた。

「うん」

「じゃあ、取ってくるね」
そういうとおばあちゃんは、タンスの上に置いてあった花札を見せてくれた。

「花札?」

「これが、花札」

「小さいね」

「確かに、小さいね」
とおばあちゃんは、言うと花札をケースから出した。

「これは、牡丹、これは、坊主…」
おばあちゃんは、絵がどう言う意味か教えてくれた。

だけど、何を言っているのか分からなかった。

僕は、一通り遊んで時間が5時を回る。
「ノリ、今日はもう帰るか」とお父さんが言った。

それから、僕は暇があればおばあちゃんに会いに行った。

おばあちゃんは、多くの遊びを教えてくれた。ある意味では、遊びは僕にとって初めての甘味料だったのかもしれない。別に、親が悪いわけじゃない。僕の兄弟は、遊びすぎで学生にも関わらずゲームばかりだったからそう言う類から切り離そうとしたのだろう。

もうすぐ、小学生になるらしい。頭が本当に悪く算数なんて全く意味が分からなかった。英語も先生を復唱するだけだったから全く理解なんてしていない。

いつも通り、遊びに行くとおばあちゃんがいなかった。どこかに行っているのだろうといつも遊んでいる部屋で待っていた。すると、おじいちゃんが入ってきた。

「ノリは、算数できるのか?」

算数というのが理解できなかった。

「わかんない」
どっちの意味でもあった。

すると、おじいちゃん目の前に問題集を出した。
「やってみろ」

そこから、おじいちゃんとのマンツーマン授業が始まった。

一通り、終わると僕の何かが重くなった気がした。頭をまともに使ったことがなかったのか分からないがおそらく疲れだろう。

なぜか、あの時からおじいちゃんが苦手になった。本能が作用したのか一通り終わると「うん!わかった!」と空元気を見せた。心根の中では2度としたくないと思いながら。
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