狙撃銃は女神の懐

荒井文法

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第三章 組立

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 黒光りする重厚な机が縦列し、猫のように柔らかいカーペットが床一面に敷かれている会議室で、仕立ての良いスーツを着た男達が声を荒げている。
 「少子対策法の裏知ってる奴の数なんてたかがしれてるだろ! 何してんだテメーは!」
 「お前らに何億かけてると思ってんだ!」
 「申し訳ありません」
 末席で立っているヨコウラが頭を深く下げる。
 「頭下げんじゃなくて、犯人連れて来い!」
 「ヨコウラ」
 上座に座っている国王が、落ち着いた声で話しかけた。
 「はい」
 「本当に見つからないのか?」
 「はい」
 「生誕祭までには見つかるか?」
 「発見できない可能性が高いです」
 ヨコウラを睨んでいた国王は、視線を下げると、眉間を親指の先で押し始める。
 「……どうしようもないな」独り言のように国王が呟く。「生誕祭は予定通り行う。難民救済法も予定通り公布する」
 「危険過ぎます! 何か起こったらどうするのですか!」
 「何か起こらないようにするしかない。生誕祭も救済法も、どれだけの人間が関わっているか知っているはずだ。中止すれば、死ぬようなものだ」
 国王の言葉に反論する人間は誰もいない。部屋の中が凍りついたように誰も動かない。そんな状況と裏腹に、仕立ての良いスーツを着た男たちの顔色は赤みを帯び、汗が滲んでいる。
 「クーラーは……」
 誰かが呟いた。
 今は十月だよ。
 ヨコウラは思った。
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