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第2話 謎の少女
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「滋賀と言えばこれかあ」
午後七時。大津市での観光を終えた文人は無事に安宿に腰を落ち着けていた。午後の間に部屋だけ確保して、大津市を観光したから荷物も少なくて済んだのでラッキー。そして現在、晩飯のために買った鮒寿司と相対していた。
鮒寿司は滋賀県の名産品で、鮒のなれ寿司だ。が、こいつは強烈な匂いを発することでも有名。その独特の味わいは好き嫌いをはっきり分けることでも有名な代物。
さて、文人はどちらなのか。現地で食べれば大して臭くないという噂を信じ、勇気を振り絞って買ったわけだが、ううむ。しかし、名産品を食べずして滋賀の歴史に触れたといえるのか。それが覚悟を決めさせる。
「いざ」
駄目だった時の対策として買った牛乳を片手に、文人は鮒寿司を一切れ、口に放り込む。じわっと広がる発酵した魚の味わい。うん、意外と好きな味だ。
「まあ、我が家って代々酒飲みだからなあ」
もしょもしょと食べつつ、美味いじゃんと名産品であることに納得。牛乳は風呂上がり用に回し、普通にお茶で頂くことにした。きっと、お酒とのコラボは最高だろう。しかし、まだ文人は十九歳。酒を飲んだことがないとは言わないが、本格的に飲むのは誕生日を越えてからと決めている。それに、今は体力勝負の旅の途中だ。酒で体力を奪われている場合ではない。
「特に明日は体力がいるからな」
そうそうと、文人は関西地方の地図を取り出した。そして比叡山に関して詳細に書かれている部分を広げる。
「ううん。近くまでは移動しているんだよな」
鮒寿司を摘まみつつ、地図で現在地を確認。今いるのは雄琴温泉の近くだ。そこから南に下って行って、ケーブルカーのある坂本へと向かうのが第一だ。しかし、どこから山に入るべきか。その前に日吉大社にも寄らなければならないしと、指でとんとんと地図を叩く。
「さすがにチャリで山越えは無理っぽいな。一度紀貫之の墓に行って、そこからケーブルカーに乗るしかなさそう。ということは、行きの新幹線の中のように自転車を一度ばらす必要があるなあ」
意外にも一日じゃ無理だ。と、そういうのはよくあるので大丈夫だが、文人はううむと唸る。
「林道を通るのが早いのかな」
近くを林道が通っていることに気づき、アクセスに使うべきはこれかと悩む。
「これはホームページで」
と、今度は滋賀県の観光情報を開いた。すると、有名な墓とあってすぐに情報が出てくる。すると、意外にもJR湖西線比叡山坂本駅から徒歩十五分とある。
「なるほど。これは下手に自転車で移動しない方がいいのか」
ということは、この比叡山坂本駅まで自転車で移動。そこでばらして、一度はコインロッカーへ。その後、戻って自転車を担いでケーブルカーに乗る。
「まあ、自転車では無理だろうとは思ってたからね」
修行の場だし、何より険しい山だからと、文人は納得。おそらく比叡山でも自転車はコインロッカーに預けることになるだろう。大型のコインロッカーは高いが、背に腹は代えられない。
「名物が堪能できるのはこれが最後かも」
そんなことを思いつつ、残りの鮒寿司を堪能したのだった。
翌朝。今日も快晴だ。文人は自転車を快調に飛ばしながら地図を反芻する。雄琴温泉から比叡山坂本までは湖西線の駅にして一つ分。米原駅に降り立ってから彦根に寄り、そこから先は琵琶湖を北へと進んで回ってきた文人にとって、それは難所ではない。
「来年は安土方面に行きたいなあ。まあ、長浜もいい場所だったけど」
滋賀県だけでもどれだけ歴史の魅力に溢れた場所か。それを思うとぞくぞくしてしまう。特に戦国武将たちはここを拠点としていた。それだけでもう鳥肌が立ってくる。かつて彼らが馬で移動していたかもしれない場所を、こうやって自転車で移動できる快感。ううむ、何物にも代えがたい。
さらには古代からもここは要所だった。やはり琵琶湖の存在が大きいのだろう。淡水だから飲み水として利用できるだけでなく、田畑の水も確保できる。さらには川から船を使って関西各地へと移動することも可能だ。
「琵琶湖は偉大だなあ。今や鳥人間コンテストのメッカだけど」
きこきこと自転車を漕ぎながら、そろそろ鳥人間コンテストのシーズンなのかなとも思うが、文人には関係ない。まずは日吉大社だ。そして紀貫之の墓。『土佐日記』の作者にして『古今和歌集』の選者。この御方に会わなければ。
しかも紀貫之は何かと謎の多い人物でもあるのだ。文人みたいな歴史馬鹿にとって、それはロマンですらある。ひょっとしたらあれこれ裏があるのでは。そう考えるのはとても楽しい。
そうやって順調に自転車を飛ばし、比叡山坂本駅が見えてくる。そこから横へとずれると、目的の日吉大社だ。周囲は多くのお寺が連なり、そちらも非常に魅力的だが、ここで多くの時間を使うわけにはいかない。それに日吉大社も十分に大きな神社だ。それもそのはずで、日吉大社は山王権現の総本山。比叡山の守護神を祀る神社で、比叡山に行くのにここに寄らないなんて、あり得ないと文人は思う。
日吉大社。ああ、ついにやって来たと文人は感慨もひとしお。大きな鳥居を前に、自然と頭も下がろうというもの。
「ああ、いい」
そんなことを思いながら境内を散策。広大な敷地を擁する日吉大社の中は涼しく、疲れた身体にも優しい。
「ん?」
しかし、ふと前を歩く女の子が気になった。あれ、どっかで見たことあるなと思うと、そう、昨日の市松人形みたいな女の子だ。今日は制服ではなくスカートにTシャツと普通。それなのに、どういうわけか彼女は目を引いてしまう。
「――」
また、こちらに気付いたかのようにその少女は振り向いた。そして目をすっと細める。まるで何かを見定めるかのような視線に、文人は足を止めた。しらばく、そうやって見つめ合っていただろうか。少女は首を振ると、さっさと歩き出してしまった。一体何なんだ。
「受験のお守りでも買いに来たのかな。でも」
どうして、じっと自分を見ていたのだろう。何だか怖い。ひょっとして、あちこち寄っている間に良からぬものを引き寄せて憑かれているとか。いやいや、ないない。幽霊なんて信じないぞ。いや、半分くらいは信じているし、いてくれるとそれはそれで面白いけど。
思わず自分の肩に触れ、いやいやいないいないと首を振る。きっと向こうも昨日見た自転車男とでも思ったのだろう。そうに違いない。
「気をつけて」
しかし、昨日の言葉がふと蘇る。一体何に。やっぱり怖い。
「て、丁寧にお参りしよう」
そう決意して、ついに東本宮へと辿り着く。その大きさに圧倒されつつ、ようやくお参り。
「そうだ」
ここは神猿がいるんじゃなかったっけと、思わず猿を探す。しばらく歩いていると、いたいた。猿。
「どうか旅が無事に終わりますように」
猿にもそう願掛けをするが、当然のように無視される。まあ、お猿だからねと、文人は猿も堪能してようやく日吉大社を後にした。
「さて」
問題はここからだと、文人は気合いを入れ直す。多くの人がケーブル坂本駅へと吸い込まれていくのを見ながら、文人はマウンテンバイクを手近なコインロッカーに押し込み――解体できるやつを買って正解とこの時に思う――いざ、登山道。
緩やかな山道を登ることしばし。夏の暑さは生い茂った木々で遮られるが、やっぱり暑いなと思いながら登っていると、ようやく目的の紀貫之の墓に辿り着いた。
きっちりと手入れされたその墓にお参りし、今後の歴史学者人生が上手くいくよう、しっかりと線香も上げておく。
「さて」
さすがにここまで来る人は少ないかと、誰とも会わなかったことに苦笑。さて、戻ってケーブルカーで楽に比叡山を登るぞと思っていた時。
「――」
不意に刺すような視線に気づき、文人は立ち止まる。なんだ、これ。変だと視線を探すと、驚くことに女の子がいた。それも、二度も出会った少女にどこか似た、しかしあの少女よりも年下の女の子だ。その子は中学の制服なのか、爽やかな白いワンピースに赤いリボンが胸にあしらわれた服を着ていた。
午後七時。大津市での観光を終えた文人は無事に安宿に腰を落ち着けていた。午後の間に部屋だけ確保して、大津市を観光したから荷物も少なくて済んだのでラッキー。そして現在、晩飯のために買った鮒寿司と相対していた。
鮒寿司は滋賀県の名産品で、鮒のなれ寿司だ。が、こいつは強烈な匂いを発することでも有名。その独特の味わいは好き嫌いをはっきり分けることでも有名な代物。
さて、文人はどちらなのか。現地で食べれば大して臭くないという噂を信じ、勇気を振り絞って買ったわけだが、ううむ。しかし、名産品を食べずして滋賀の歴史に触れたといえるのか。それが覚悟を決めさせる。
「いざ」
駄目だった時の対策として買った牛乳を片手に、文人は鮒寿司を一切れ、口に放り込む。じわっと広がる発酵した魚の味わい。うん、意外と好きな味だ。
「まあ、我が家って代々酒飲みだからなあ」
もしょもしょと食べつつ、美味いじゃんと名産品であることに納得。牛乳は風呂上がり用に回し、普通にお茶で頂くことにした。きっと、お酒とのコラボは最高だろう。しかし、まだ文人は十九歳。酒を飲んだことがないとは言わないが、本格的に飲むのは誕生日を越えてからと決めている。それに、今は体力勝負の旅の途中だ。酒で体力を奪われている場合ではない。
「特に明日は体力がいるからな」
そうそうと、文人は関西地方の地図を取り出した。そして比叡山に関して詳細に書かれている部分を広げる。
「ううん。近くまでは移動しているんだよな」
鮒寿司を摘まみつつ、地図で現在地を確認。今いるのは雄琴温泉の近くだ。そこから南に下って行って、ケーブルカーのある坂本へと向かうのが第一だ。しかし、どこから山に入るべきか。その前に日吉大社にも寄らなければならないしと、指でとんとんと地図を叩く。
「さすがにチャリで山越えは無理っぽいな。一度紀貫之の墓に行って、そこからケーブルカーに乗るしかなさそう。ということは、行きの新幹線の中のように自転車を一度ばらす必要があるなあ」
意外にも一日じゃ無理だ。と、そういうのはよくあるので大丈夫だが、文人はううむと唸る。
「林道を通るのが早いのかな」
近くを林道が通っていることに気づき、アクセスに使うべきはこれかと悩む。
「これはホームページで」
と、今度は滋賀県の観光情報を開いた。すると、有名な墓とあってすぐに情報が出てくる。すると、意外にもJR湖西線比叡山坂本駅から徒歩十五分とある。
「なるほど。これは下手に自転車で移動しない方がいいのか」
ということは、この比叡山坂本駅まで自転車で移動。そこでばらして、一度はコインロッカーへ。その後、戻って自転車を担いでケーブルカーに乗る。
「まあ、自転車では無理だろうとは思ってたからね」
修行の場だし、何より険しい山だからと、文人は納得。おそらく比叡山でも自転車はコインロッカーに預けることになるだろう。大型のコインロッカーは高いが、背に腹は代えられない。
「名物が堪能できるのはこれが最後かも」
そんなことを思いつつ、残りの鮒寿司を堪能したのだった。
翌朝。今日も快晴だ。文人は自転車を快調に飛ばしながら地図を反芻する。雄琴温泉から比叡山坂本までは湖西線の駅にして一つ分。米原駅に降り立ってから彦根に寄り、そこから先は琵琶湖を北へと進んで回ってきた文人にとって、それは難所ではない。
「来年は安土方面に行きたいなあ。まあ、長浜もいい場所だったけど」
滋賀県だけでもどれだけ歴史の魅力に溢れた場所か。それを思うとぞくぞくしてしまう。特に戦国武将たちはここを拠点としていた。それだけでもう鳥肌が立ってくる。かつて彼らが馬で移動していたかもしれない場所を、こうやって自転車で移動できる快感。ううむ、何物にも代えがたい。
さらには古代からもここは要所だった。やはり琵琶湖の存在が大きいのだろう。淡水だから飲み水として利用できるだけでなく、田畑の水も確保できる。さらには川から船を使って関西各地へと移動することも可能だ。
「琵琶湖は偉大だなあ。今や鳥人間コンテストのメッカだけど」
きこきこと自転車を漕ぎながら、そろそろ鳥人間コンテストのシーズンなのかなとも思うが、文人には関係ない。まずは日吉大社だ。そして紀貫之の墓。『土佐日記』の作者にして『古今和歌集』の選者。この御方に会わなければ。
しかも紀貫之は何かと謎の多い人物でもあるのだ。文人みたいな歴史馬鹿にとって、それはロマンですらある。ひょっとしたらあれこれ裏があるのでは。そう考えるのはとても楽しい。
そうやって順調に自転車を飛ばし、比叡山坂本駅が見えてくる。そこから横へとずれると、目的の日吉大社だ。周囲は多くのお寺が連なり、そちらも非常に魅力的だが、ここで多くの時間を使うわけにはいかない。それに日吉大社も十分に大きな神社だ。それもそのはずで、日吉大社は山王権現の総本山。比叡山の守護神を祀る神社で、比叡山に行くのにここに寄らないなんて、あり得ないと文人は思う。
日吉大社。ああ、ついにやって来たと文人は感慨もひとしお。大きな鳥居を前に、自然と頭も下がろうというもの。
「ああ、いい」
そんなことを思いながら境内を散策。広大な敷地を擁する日吉大社の中は涼しく、疲れた身体にも優しい。
「ん?」
しかし、ふと前を歩く女の子が気になった。あれ、どっかで見たことあるなと思うと、そう、昨日の市松人形みたいな女の子だ。今日は制服ではなくスカートにTシャツと普通。それなのに、どういうわけか彼女は目を引いてしまう。
「――」
また、こちらに気付いたかのようにその少女は振り向いた。そして目をすっと細める。まるで何かを見定めるかのような視線に、文人は足を止めた。しらばく、そうやって見つめ合っていただろうか。少女は首を振ると、さっさと歩き出してしまった。一体何なんだ。
「受験のお守りでも買いに来たのかな。でも」
どうして、じっと自分を見ていたのだろう。何だか怖い。ひょっとして、あちこち寄っている間に良からぬものを引き寄せて憑かれているとか。いやいや、ないない。幽霊なんて信じないぞ。いや、半分くらいは信じているし、いてくれるとそれはそれで面白いけど。
思わず自分の肩に触れ、いやいやいないいないと首を振る。きっと向こうも昨日見た自転車男とでも思ったのだろう。そうに違いない。
「気をつけて」
しかし、昨日の言葉がふと蘇る。一体何に。やっぱり怖い。
「て、丁寧にお参りしよう」
そう決意して、ついに東本宮へと辿り着く。その大きさに圧倒されつつ、ようやくお参り。
「そうだ」
ここは神猿がいるんじゃなかったっけと、思わず猿を探す。しばらく歩いていると、いたいた。猿。
「どうか旅が無事に終わりますように」
猿にもそう願掛けをするが、当然のように無視される。まあ、お猿だからねと、文人は猿も堪能してようやく日吉大社を後にした。
「さて」
問題はここからだと、文人は気合いを入れ直す。多くの人がケーブル坂本駅へと吸い込まれていくのを見ながら、文人はマウンテンバイクを手近なコインロッカーに押し込み――解体できるやつを買って正解とこの時に思う――いざ、登山道。
緩やかな山道を登ることしばし。夏の暑さは生い茂った木々で遮られるが、やっぱり暑いなと思いながら登っていると、ようやく目的の紀貫之の墓に辿り着いた。
きっちりと手入れされたその墓にお参りし、今後の歴史学者人生が上手くいくよう、しっかりと線香も上げておく。
「さて」
さすがにここまで来る人は少ないかと、誰とも会わなかったことに苦笑。さて、戻ってケーブルカーで楽に比叡山を登るぞと思っていた時。
「――」
不意に刺すような視線に気づき、文人は立ち止まる。なんだ、これ。変だと視線を探すと、驚くことに女の子がいた。それも、二度も出会った少女にどこか似た、しかしあの少女よりも年下の女の子だ。その子は中学の制服なのか、爽やかな白いワンピースに赤いリボンが胸にあしらわれた服を着ていた。
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