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第11話 快適キャンプ生活
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俺ってひょっとしてキャンプ生活に向いているのかな。
二週間ほど経ったある日、狩りをしながらそんなことを考えてしまう。
いきなりレンジャー部隊に暗殺されそうになり、あれよあれよと森の中を彷徨うことになったのだが、慣れた人たちが周囲にいるおかげで快適生活。しかも、俺もそれほど困ることがなかった。
「ハンモックが気持ちいいんだよなあ。寝袋はちょっと辛いけど、でも、困るってほどじゃないか」
ぶつぶつとそんな独り言を言いつつ、今日の晩飯を考える俺。
一ヶ月半前には考えられなかった生活だが、意外なほど文句は出て来ない。
その理由は、まあ、たぶん、仕事から解放されたというのが一番大きな理由だからじゃないかな。
さすがに王の代理の仕事は大変だった。
父が落馬し大怪我を負って以来、俺はいきなり王太子なんていう余裕綽々の身分から、政治を司る存在になってしまったのだ。
そりゃあもう、今の生活より大変だった。
晩飯を自分で捕まえて調達するなんて、それに比べれば楽なものである。
なんせ、その時の自分の肩には国民三千万人の命が乗っているようなものだったのだから。
父上は毎日こんなことをやっているのかと、目が回りそうになったのを覚えている。
「王様に向いてないとは思ってたんだよねえ」
毎日毎日、夜遅くまで書類仕事。謁見に視察にコネ作りのパーティー。
本当に嫌になる毎日だった。
実際は宰相・ラオドールのせいで多忙だったのだが、そんなことを知るはずのない俺は、王様って大変だよねえで終わっている。
それでも、必死にやって、みんなから評価されていたのに、いきなり廃嫡されたことは、ちょっと傷ついていた。
駄目なことって、何だったんだろう。
何が宰相の気に障ったのやら。
そしていつから、シャルルは不満を溜め込んでいたのだろうか。
「ううん」
「レオ、イノシシがそっちに行ったぞ!」
しかし、考え事を遮るようにピーターの大声が響いた。おかげで俺はすぐに弓を構える。
「イノシシ。ふふっ、今日は鍋だな!」
俺はこちらに向って突進してくるイノシシの姿を捉えると、きらんっと目を輝かせていたのだった。
「何、レンジャー部隊が全滅していただと!?」
さて、俺がキャンプ生活を満喫している頃。
心穏やかでないのが問題の宰相様だ。
暗殺のために向わせたレンジャー部隊が戻って来ないと思ったら、全員が殺されていたとあっては驚くしかない。しかもレオナールは逃げた後だという。
「ふざけるな。瀕死の小僧を相手に何をやっている!」
どんっと執務机を叩き、驚きから脱出して怒りを露わにするラオドールに、報告に来た騎士団長はびくっと肩を震わせる。
騎士団長だって、レンジャー部隊十五人が死んだと聞かされて驚いたものだ。そして失敗に青ざめた。次は何を言われるのかとビクビクしてしまう。
「お、おそらくですが、レオナールを護衛していた騎士の一人が寝返ったためかと」
一応の言い訳をするが、それは宰相の怒りに油を注ぐようなものだった。
「寝返った奴がいるだと」
「は、はい。とはいっても、そいつは下っ端の下っ端。護衛として行かせても問題ないような弱い男で」
「じゃあ、どうやってレンジャーを全滅させた?」
「うぐっ」
言い訳が続かなくなって騎士団長は唸る。
一方、怒鳴っていたラオドールも、何故全滅できたのだと首を捻ってしまう。
「まあいい。理由を探るのは後だ。味方がいるかもしれないとなると、ますます放置出来ん。レオナールの足取りを追え。今すぐに!」
「はっ」
騎士団長は敬礼すると、すぐに次の部隊を編成すべく走り去っていった。
二週間ほど経ったある日、狩りをしながらそんなことを考えてしまう。
いきなりレンジャー部隊に暗殺されそうになり、あれよあれよと森の中を彷徨うことになったのだが、慣れた人たちが周囲にいるおかげで快適生活。しかも、俺もそれほど困ることがなかった。
「ハンモックが気持ちいいんだよなあ。寝袋はちょっと辛いけど、でも、困るってほどじゃないか」
ぶつぶつとそんな独り言を言いつつ、今日の晩飯を考える俺。
一ヶ月半前には考えられなかった生活だが、意外なほど文句は出て来ない。
その理由は、まあ、たぶん、仕事から解放されたというのが一番大きな理由だからじゃないかな。
さすがに王の代理の仕事は大変だった。
父が落馬し大怪我を負って以来、俺はいきなり王太子なんていう余裕綽々の身分から、政治を司る存在になってしまったのだ。
そりゃあもう、今の生活より大変だった。
晩飯を自分で捕まえて調達するなんて、それに比べれば楽なものである。
なんせ、その時の自分の肩には国民三千万人の命が乗っているようなものだったのだから。
父上は毎日こんなことをやっているのかと、目が回りそうになったのを覚えている。
「王様に向いてないとは思ってたんだよねえ」
毎日毎日、夜遅くまで書類仕事。謁見に視察にコネ作りのパーティー。
本当に嫌になる毎日だった。
実際は宰相・ラオドールのせいで多忙だったのだが、そんなことを知るはずのない俺は、王様って大変だよねえで終わっている。
それでも、必死にやって、みんなから評価されていたのに、いきなり廃嫡されたことは、ちょっと傷ついていた。
駄目なことって、何だったんだろう。
何が宰相の気に障ったのやら。
そしていつから、シャルルは不満を溜め込んでいたのだろうか。
「ううん」
「レオ、イノシシがそっちに行ったぞ!」
しかし、考え事を遮るようにピーターの大声が響いた。おかげで俺はすぐに弓を構える。
「イノシシ。ふふっ、今日は鍋だな!」
俺はこちらに向って突進してくるイノシシの姿を捉えると、きらんっと目を輝かせていたのだった。
「何、レンジャー部隊が全滅していただと!?」
さて、俺がキャンプ生活を満喫している頃。
心穏やかでないのが問題の宰相様だ。
暗殺のために向わせたレンジャー部隊が戻って来ないと思ったら、全員が殺されていたとあっては驚くしかない。しかもレオナールは逃げた後だという。
「ふざけるな。瀕死の小僧を相手に何をやっている!」
どんっと執務机を叩き、驚きから脱出して怒りを露わにするラオドールに、報告に来た騎士団長はびくっと肩を震わせる。
騎士団長だって、レンジャー部隊十五人が死んだと聞かされて驚いたものだ。そして失敗に青ざめた。次は何を言われるのかとビクビクしてしまう。
「お、おそらくですが、レオナールを護衛していた騎士の一人が寝返ったためかと」
一応の言い訳をするが、それは宰相の怒りに油を注ぐようなものだった。
「寝返った奴がいるだと」
「は、はい。とはいっても、そいつは下っ端の下っ端。護衛として行かせても問題ないような弱い男で」
「じゃあ、どうやってレンジャーを全滅させた?」
「うぐっ」
言い訳が続かなくなって騎士団長は唸る。
一方、怒鳴っていたラオドールも、何故全滅できたのだと首を捻ってしまう。
「まあいい。理由を探るのは後だ。味方がいるかもしれないとなると、ますます放置出来ん。レオナールの足取りを追え。今すぐに!」
「はっ」
騎士団長は敬礼すると、すぐに次の部隊を編成すべく走り去っていった。
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