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第4話 あれ? 何かある?
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「い、異能力者。王宮にも凄い力持ちの奴とか、水を操れる奴がいるという話を聞いたことがあったけど、そういう奴らだよな」
俺は魔法同様に見たことがないよと肩を竦める。しかし、シュリもキキもくすくすと笑ったままだ。
な、何か、嫌な予感。
思わず後退る俺に、アンドレはやれやれと溜め息だ。
「王子様、呑気すぎ。この村にいる人、基本、異能力者だよ」
「えっ」
「みんながここで隠れて住みたい理由はただ一つ、他の場所だと魔女だとか人外の生き物扱いされるからだよ」
「・・・・・・」
マジですか。
俺は目をひん剥いてシュリとキキを見てしまう。
「レオが見たことないのも仕方ないわ。戦時中じゃなきゃ要らない存在。いえ、いちゃ困る存在なのよ。この国でも五十年前の戦争以降、異能力者狩りが行われたもの。魔女裁判って形を取ることもあるけど、ほぼ容赦なしの殺戮だったらしいから」
シュリは王宮にいたのは見世物にされている人たちねと付け加える。
「そ、そんな」
「レオは知らないの? 王太子だったのに」
戸惑う俺に、キキがぐさっと刺さる一言をくれる。
そう、王太子だったのに、この国の闇の部分を知らないってことだ。
これはどういうことだ。
「ふうん。そういうところに、王子様が追放された理由がありそうだね」
「えっ」
「ははっ、やっぱりこっちに残って正解だったわけだ」
「ええっ」
俺を置いてけぼりにして、アンドレは勝手に何かを理解して納得している。しかし、俺は大混乱だ。
「お、俺って一体。ええっ」
俺は助けを求めるようにシュリとキキを見たが、こちらも意味深に笑うのみだ。
一体何を知らないのだろう。一体何があって追放されたんだ。
追放されたショックからまだ立ち直れない俺に、さらに何かがあるらしいという衝撃が襲いかかる。
「一体何が」
シャルルはただ俺が気に入らなくて追放しただけじゃないのか。
混乱する俺の気持ちを表すかのように、大きな雷鳴が轟いたのだった。
とはいえ、そんなことばかり悩んでいられないのが今の俺だ。
「レオ、そっちに行ったぞ」
「よっしゃああ」
翌日の昼。雨が降った後は川で漁をするんだと、ピーターとシモンに誘われ、俺は追い込み漁の手伝いをしている。
もう、ずぶ濡れ。でも、楽しい。
取り敢えず、身体を動かしていると余計なことを考えなくていいからな。
それに異能力者だろうと何だろうと、俺には関係ないし。
一緒にここに暮らす仲間ってことでいいじゃん。
たまに意味深な発言をするアンドレだって、今、川縁に座ってのんびり釣りをしてるし。
って、川の中で大騒ぎしているのに釣れるのか。
「捕れた!」
大きい魚が網に掛かって、俺は大声を上げる。
「よっしゃあ。その調子で行け」
俺より少し年下、弟と同い年くらいのピーターが親指を立ててよくやったと褒めてくれる。俺も親指を立てて挨拶を返し、次の魚を待ち構える。
何はともあれ、俺は今、快適に暮らしているのだ。
不便だろうと快適だ。
「今晩は山盛り魚料理だな」
王宮とは違う、ワイルドだが美味しい料理が待っているぞ。
「余計なことは考えない。考えないぞ」
俺は呪文のようにそう繰り返し、追放された理由から目を背けていたのだった。
俺は魔法同様に見たことがないよと肩を竦める。しかし、シュリもキキもくすくすと笑ったままだ。
な、何か、嫌な予感。
思わず後退る俺に、アンドレはやれやれと溜め息だ。
「王子様、呑気すぎ。この村にいる人、基本、異能力者だよ」
「えっ」
「みんながここで隠れて住みたい理由はただ一つ、他の場所だと魔女だとか人外の生き物扱いされるからだよ」
「・・・・・・」
マジですか。
俺は目をひん剥いてシュリとキキを見てしまう。
「レオが見たことないのも仕方ないわ。戦時中じゃなきゃ要らない存在。いえ、いちゃ困る存在なのよ。この国でも五十年前の戦争以降、異能力者狩りが行われたもの。魔女裁判って形を取ることもあるけど、ほぼ容赦なしの殺戮だったらしいから」
シュリは王宮にいたのは見世物にされている人たちねと付け加える。
「そ、そんな」
「レオは知らないの? 王太子だったのに」
戸惑う俺に、キキがぐさっと刺さる一言をくれる。
そう、王太子だったのに、この国の闇の部分を知らないってことだ。
これはどういうことだ。
「ふうん。そういうところに、王子様が追放された理由がありそうだね」
「えっ」
「ははっ、やっぱりこっちに残って正解だったわけだ」
「ええっ」
俺を置いてけぼりにして、アンドレは勝手に何かを理解して納得している。しかし、俺は大混乱だ。
「お、俺って一体。ええっ」
俺は助けを求めるようにシュリとキキを見たが、こちらも意味深に笑うのみだ。
一体何を知らないのだろう。一体何があって追放されたんだ。
追放されたショックからまだ立ち直れない俺に、さらに何かがあるらしいという衝撃が襲いかかる。
「一体何が」
シャルルはただ俺が気に入らなくて追放しただけじゃないのか。
混乱する俺の気持ちを表すかのように、大きな雷鳴が轟いたのだった。
とはいえ、そんなことばかり悩んでいられないのが今の俺だ。
「レオ、そっちに行ったぞ」
「よっしゃああ」
翌日の昼。雨が降った後は川で漁をするんだと、ピーターとシモンに誘われ、俺は追い込み漁の手伝いをしている。
もう、ずぶ濡れ。でも、楽しい。
取り敢えず、身体を動かしていると余計なことを考えなくていいからな。
それに異能力者だろうと何だろうと、俺には関係ないし。
一緒にここに暮らす仲間ってことでいいじゃん。
たまに意味深な発言をするアンドレだって、今、川縁に座ってのんびり釣りをしてるし。
って、川の中で大騒ぎしているのに釣れるのか。
「捕れた!」
大きい魚が網に掛かって、俺は大声を上げる。
「よっしゃあ。その調子で行け」
俺より少し年下、弟と同い年くらいのピーターが親指を立ててよくやったと褒めてくれる。俺も親指を立てて挨拶を返し、次の魚を待ち構える。
何はともあれ、俺は今、快適に暮らしているのだ。
不便だろうと快適だ。
「今晩は山盛り魚料理だな」
王宮とは違う、ワイルドだが美味しい料理が待っているぞ。
「余計なことは考えない。考えないぞ」
俺は呪文のようにそう繰り返し、追放された理由から目を背けていたのだった。
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