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第55話 妙に可愛いんだから困っちゃうよね、この悪魔

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「というわけで、奏汰。俺様はキモチイイ技を大量に学んでいるぞ」
「いやいや。なに、BL本で見た技を試そうとしてんだよ!?」
 奏汰、やべぇと白衣しか着ていない状況にぞっとしてしまう。
 このままだととんでもないことをされる!
「でもさ、それのおかげで人間相手にはちゃんと慣らして広げなきゃってのが解ったんだぞ。そのままやっても入らないって」
 馬鹿にするなよとルシファーは大真面目だ。
「いや、まあ、そこは学んどいてもらわないとな」
 無理やりあんなデカブツ突っ込もうとされた日には、奏汰は舌を噛んで死ぬ。
 というか、そこは普通に考えて解らないか。悪魔は身体の作りが違うのか?
「てなわけで、今日もキモチイイ、本番抜きをやってあげるよん♪」
 奏汰が悩みつつもルシファーの努力に納得したところで、いただきますと白衣の隙間から手を入れるのだった。




 翌朝。
「これ、絶対に再利用出来ねえな」
 ベッドから抜けだし、シャワーを浴びた後、ぐちゃぐちゃになった白衣を見て奏汰は溜め息。
 あれこれ学んだ技を試したいというルシファーは、それはもうしつこいくらいの技を仕掛けてきて、奏汰は息絶え絶えにさせられた。この白衣には、そんな痕跡がたっぷりついている。
 やばっ、顔が赤くなる。
 しかも二日連続でそんな調子だから、奏汰は疲労困憊である。
「ああ、怠い。気持ち悪いからお風呂に入ったけど怠い」
 よろよろと、ルシファーチョイスの普段着――奏汰だったら絶対に普段着とは言わない、高級感あるロンTとジーンズ――に着替えたものの、再びベッドにダイブしてしまう。
「ううん、奏汰。まだ足りないのかぁ」
 そこに寝ぼけているルシファーが、奏汰の頭を撫でながらそんなことを言ってくる。
「そんなわけあるかボケ! 今日はもう駄目だからな」
「ええっ!?」
 そこで跳ね起きるってどういうことだよ。
 がばっと布団を跳ね飛ばして起きたルシファーに、奏汰は呆れた眼差し。
「ええっ、じゃない。俺をイき過ぎで死なせたいのか」
「そ、そんなことはないよ。でも、あのくらいで」
「俺は人間なの。毎日連続で大量になんて出ないの。枯渇する」
 奏汰は大真面目に説教。何も出なくなっていいのかと、懇々と諭す。
「それは困る。奏汰が喜んでいるかどうか解らないっ!」
 で、ルシファー、めっちゃショックを受けた顔でそう言うんだから・・・・・・張っ倒すぞ!
「というわけだから、今日は余計なことしないでくれ。っていうか、怠い。今日こそ実験しようと思っていたのに」
 奏汰は腰が重怠いんだよと、再びベッドに顔を沈める。
「ええっと、ごめん。嬉しくって」
 その様子で、やり過ぎたと気づいたルシファーがオロオロする。
 まったく、そういう顔をされると許しちゃうだろ。
 妙に可愛いんだから困っちゃうよね、この悪魔。
「解ったから。ベヘモスに栄養ドリンクないか聞いてきて」
 奏汰はちょっと寝たいと、にやにや笑顔を隠すように布団を被ったのだった。
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