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第17話 一体どこへ?

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「そう、馬鹿だよね。でも、静嵐は人間になりたいと思っても、神様になりたいと思ったことはないんじゃないかな。自分が神であるのが間違い。そう考え続けていた。だからこそ、自分が人間でも神でもないとなった時、こうしていなくなったんだろうし」
「ああ」
 もう、ものすごいジレンマと、愛佳は頭を抱えてしまう。
 どこまでも人間でありたいと願う静嵐。でも、それではこのまま消えてしまう。だからといって静嵐が神になるとすると、それはそれで問題なのだ。
 愛佳たちは神になるための手助けする事が出来る。そしてしっかり神様になってしまえば、消えることそのものを止められるだろう。
 しかし、そうすれば静嵐は愛佳を選ぶことが出来なくなる。自分が同じ罪を犯してしまうからと、拒絶するだろう。好きだと自覚した相手を永遠と遠ざけることになる。
 それは多分、愛佳だって納得出来ない。
 だが、このまま人間であると認めてしまえば、静嵐は跡形も無く消えてしまうのだ。人間になりたいと願っても、それを叶える方法はない。
 唯一出来ることは消えるまでの時間をどう過ごすか。それって、結局はどこにも救いはない。静嵐は愛佳を好きになったことを後悔してしまうだろう。
「静嵐は、消えることを止める方法を知っているんでしょうか?」
「さあ。解らないのかもね。神様になろうと、自分で願ったことがないんだから」
「――」
 本人にも解決法が解らないとなると、どうすればいいのだろう。愛佳は必死に考えるが、神様になることを回避して今のままでいる方法なんて、それこそ何も思い浮かばない。
 それは寺本も同じで、京都市内を適当に車を走らせながら、何か手段はないかと必死に考えていた。しかし、本人を見つけることを優先する以外に、出来ることはなさそうだった。
 そう、今までがあり得ない状況だったのだ。曖昧なまま存在し続ける。そんなこと、普通ならば不可能だ。だが、静嵐は神と自覚しないまま生きてきた。ということは、何か彼を縛るものがあったはず。
「静嵐は、どこに行ったんでしょう」
「さあ。見当も付かないな。彼は大学が出来てから、あそこを離れたことがないはずだ。そして大学が出来る前からあそこにいたということは、ルーツはあそこにあるはずなんだけど、そこで見つからないとなると、いよいよ消えてしまったのかと疑ってしまうね。とはいえ、曲がりなりにも人間に知覚できるほどの存在だ。そんなにすぐに消えてしまうはずはないんだが」
「ううん」
 そうだ。あそこから離れて生きていく手段がないと、そう言っていたではないか。では、図書館を離れてどこへ。
「まさか、両親に関係するところ」
「ああ、それはあるかも。でも、どこだろう」
 ぐるっと回って大学に戻ってきたところで、何も解らないんだと二人して絶望してしまう。そう、愛佳にしても寺本にしても、彼が神と人間のハーフだという事実しか解らない。
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