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第19話 惚れ薬ってあるのかな
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一騒動終わって教室に戻ると、アンデッドに抱きつかれて悲惨な目に遭った旅人が、風呂上がりモードでコーヒー牛乳を飲んでいた。しかし、歴戦の戦士のような須藤がエロかっこよかったと言うと
「うおおっ、エロい須藤先生を見逃したなんて」
旅人は俺だけ不幸だと嘆く。
「いや、しっかり綺麗になってんじゃん」
俺は医学科に連行されたんだってと訊くと
「ああ。アンデッドたちと仲良くシャワーを浴びる羽目になったぜ」
旅人は少し遠い目をして教えてくれる。
「マジで」
「うん。まあそれは死臭を取る間だけで、後は医学研究科の学生が入る風呂に入れてもらえたけどね。しかし、アンデッドの萎んだアソコを見る機会なんてのは、二度と要らない」
「・・・・・・アソコ、萎むんだ」
思わず股間を押える俺だ。すると旅人はうんうんと頷き
「死体だからな。もう作るもんがないんだよ」
萎むのは玉なと付け加えてくれる。俺は余計にうげっという顔をしてしまった。
「はあ。毎日のように刺激が強すぎるぜ」
無事に五時間目の授業が終わり、俺はさっさと帰ろうとキャンパス内を早足で歩いていた。ちなみに旅人は近くに出来たラーメン屋に行くと先に帰り、胡桃と佳希は午後に逃げた朝顔が大人しくしているか確認してから帰るという話だった。
「よくまあ元気なもんだ」
俺はもう家に帰って寝たいぜと思いながら歩いていたのだが
「よっ」
久々に背中に激突してくる奴がいる。こんなことをする奴は一人しかいない。友葉だ。
「おう、元気か」
俺は振り向き、友葉だけでなくもう一人女子がいて驚いた。友葉と同じくローブを纏っているから、魔法科の女子である。ちょこんとしたリスみたいな子で、友葉と似たような雰囲気がある。まあ、ざっくばらんに言えば可愛い子だ。
「ええっと」
「あっ、こっちは同級生の松本紬《まつもとつむぎ》ちゃん。紬ちゃん、これが薬学科の真央よ」
「おい。さらっと下の名前だけ教えるんじゃねえ」
俺が速攻でツッコむと、紬はくすっと笑った。それから
「松本です。よろしくね」
と挨拶をしてくれる。
「藤城だ。ええっと」
それで、なんで呼び止めたんだと俺は首を傾げてしまう。すると
「相談があるのよ。ねえ、どっかのカフェに入りましょう」
友葉がそう言い出したので、俺たちはそのまま三人揃ってキャンパス近くにあるカフェに向うこととなった。そこは色んな種類の飲み物が飲めるチェーン展開しているカフェで、魔法学院の学生が沢山利用している。
今日も店内に入ると、あちこちから騒がしく喋る声が聞こえてくる。利用客の半分以上が女子で、華やかな雰囲気が満点だ。
「混んでるな」
「話せればいいから。あ、あそこの席が空いてる」
友葉がぐいぐいと俺の袖を引っ張ってくれるので、俺はずるずると店の奥に入ることになった。丁度良く三つ空いていた窓際のカウンター席に陣取り、三人は一先ず思念伝達で注文をする。するとすぐにテーブルに予め施されていた転移魔法により、注文の品がやって来た。
俺は無難にアイスカフェオレ、二人は最初からここで飲もうと決めていたのか、期間限定のアイス抹茶ラテを頼んでいた。
「で、何だよ。この間の時みたいに落ち込んでいるわけじゃなさそうだけど」
俺はストローを噛みつつ、立ち直りが早いなと友葉を睨んだ。へこんでいる次の日に事故に遭ったというのに、今日はばりばりに元気そうだ。
「うん。事故のおかげで、なんか吹っ切れたよ。それに真央や医学科の人たちがテキパキと動いているのを見ていると、私も頑張らなきゃって思えたし」
「そ、そっか」
あの時は無我夢中で、しかもほぼ大狼の指示に従っていたようなものだが、友葉にそう思ってもらえたのは嬉しい。
「うん。で、薬学科って色んな薬を作っているのよね」
「あ、おう」
急な話題転換じゃねえかと思いつつ、俺は頷いた。俺はまだまだ製薬過程には携われていないが、二年以降は様々な薬を作ることになっている。
とはいえ、俺は基礎の魔法変異という試薬品を魔法で変化させるので失敗している。正直、二年になってすぐに薬作りが上手くいくとは思えず、そこが悩ましいところだ。
「でね。ちょっと訊きたいんだけど」
友葉はそこで自分の横に座っている紬を見る。言っていいと確認しているようだ。すると紬はこくっと頷いた。
ふむ、友葉と違って粗雑さがないから、ますます小動物っぽいな。俺は紬の可愛い仕草に釘付けだ。
「いでっ」
と、それに気づいてすぐに友葉が足を踏んでくる。
くそ、こいつを真ん中にして座るんじゃなかったぜ。
「惚れ薬って出来ると思う? っていうかある?」
そんな俺にさらなるダメージを負わせるように、友葉がそんなことを訊いてきた。
惚れ薬。それはまさにそのままの意味。誰かを自分に惚れさせる薬だ。
「えっ?」
だから、俺が友葉と紬を交互に見比べ、最終的に紬をガン見してしまったのも無理はない。
「惚れさせたい相手、というか、憧れの人がいるのよね、紬」
友葉はガン見する俺の頭をばしっと叩いて、ちゃんと聞いてと注意してくる。だが、それとこれと惚れ薬が繋がらない。
「ええっと?」
俺が戸惑っていると
「あの、その。魔法科科長の増田先生に、小さい頃から憧れていて、ほんのちょっともでいいんです。好きに、ううん、独占できる時間があれば」
紬はなかなか過激なことを言ってくれるのだった。
「うおおっ、エロい須藤先生を見逃したなんて」
旅人は俺だけ不幸だと嘆く。
「いや、しっかり綺麗になってんじゃん」
俺は医学科に連行されたんだってと訊くと
「ああ。アンデッドたちと仲良くシャワーを浴びる羽目になったぜ」
旅人は少し遠い目をして教えてくれる。
「マジで」
「うん。まあそれは死臭を取る間だけで、後は医学研究科の学生が入る風呂に入れてもらえたけどね。しかし、アンデッドの萎んだアソコを見る機会なんてのは、二度と要らない」
「・・・・・・アソコ、萎むんだ」
思わず股間を押える俺だ。すると旅人はうんうんと頷き
「死体だからな。もう作るもんがないんだよ」
萎むのは玉なと付け加えてくれる。俺は余計にうげっという顔をしてしまった。
「はあ。毎日のように刺激が強すぎるぜ」
無事に五時間目の授業が終わり、俺はさっさと帰ろうとキャンパス内を早足で歩いていた。ちなみに旅人は近くに出来たラーメン屋に行くと先に帰り、胡桃と佳希は午後に逃げた朝顔が大人しくしているか確認してから帰るという話だった。
「よくまあ元気なもんだ」
俺はもう家に帰って寝たいぜと思いながら歩いていたのだが
「よっ」
久々に背中に激突してくる奴がいる。こんなことをする奴は一人しかいない。友葉だ。
「おう、元気か」
俺は振り向き、友葉だけでなくもう一人女子がいて驚いた。友葉と同じくローブを纏っているから、魔法科の女子である。ちょこんとしたリスみたいな子で、友葉と似たような雰囲気がある。まあ、ざっくばらんに言えば可愛い子だ。
「ええっと」
「あっ、こっちは同級生の松本紬《まつもとつむぎ》ちゃん。紬ちゃん、これが薬学科の真央よ」
「おい。さらっと下の名前だけ教えるんじゃねえ」
俺が速攻でツッコむと、紬はくすっと笑った。それから
「松本です。よろしくね」
と挨拶をしてくれる。
「藤城だ。ええっと」
それで、なんで呼び止めたんだと俺は首を傾げてしまう。すると
「相談があるのよ。ねえ、どっかのカフェに入りましょう」
友葉がそう言い出したので、俺たちはそのまま三人揃ってキャンパス近くにあるカフェに向うこととなった。そこは色んな種類の飲み物が飲めるチェーン展開しているカフェで、魔法学院の学生が沢山利用している。
今日も店内に入ると、あちこちから騒がしく喋る声が聞こえてくる。利用客の半分以上が女子で、華やかな雰囲気が満点だ。
「混んでるな」
「話せればいいから。あ、あそこの席が空いてる」
友葉がぐいぐいと俺の袖を引っ張ってくれるので、俺はずるずると店の奥に入ることになった。丁度良く三つ空いていた窓際のカウンター席に陣取り、三人は一先ず思念伝達で注文をする。するとすぐにテーブルに予め施されていた転移魔法により、注文の品がやって来た。
俺は無難にアイスカフェオレ、二人は最初からここで飲もうと決めていたのか、期間限定のアイス抹茶ラテを頼んでいた。
「で、何だよ。この間の時みたいに落ち込んでいるわけじゃなさそうだけど」
俺はストローを噛みつつ、立ち直りが早いなと友葉を睨んだ。へこんでいる次の日に事故に遭ったというのに、今日はばりばりに元気そうだ。
「うん。事故のおかげで、なんか吹っ切れたよ。それに真央や医学科の人たちがテキパキと動いているのを見ていると、私も頑張らなきゃって思えたし」
「そ、そっか」
あの時は無我夢中で、しかもほぼ大狼の指示に従っていたようなものだが、友葉にそう思ってもらえたのは嬉しい。
「うん。で、薬学科って色んな薬を作っているのよね」
「あ、おう」
急な話題転換じゃねえかと思いつつ、俺は頷いた。俺はまだまだ製薬過程には携われていないが、二年以降は様々な薬を作ることになっている。
とはいえ、俺は基礎の魔法変異という試薬品を魔法で変化させるので失敗している。正直、二年になってすぐに薬作りが上手くいくとは思えず、そこが悩ましいところだ。
「でね。ちょっと訊きたいんだけど」
友葉はそこで自分の横に座っている紬を見る。言っていいと確認しているようだ。すると紬はこくっと頷いた。
ふむ、友葉と違って粗雑さがないから、ますます小動物っぽいな。俺は紬の可愛い仕草に釘付けだ。
「いでっ」
と、それに気づいてすぐに友葉が足を踏んでくる。
くそ、こいつを真ん中にして座るんじゃなかったぜ。
「惚れ薬って出来ると思う? っていうかある?」
そんな俺にさらなるダメージを負わせるように、友葉がそんなことを訊いてきた。
惚れ薬。それはまさにそのままの意味。誰かを自分に惚れさせる薬だ。
「えっ?」
だから、俺が友葉と紬を交互に見比べ、最終的に紬をガン見してしまったのも無理はない。
「惚れさせたい相手、というか、憧れの人がいるのよね、紬」
友葉はガン見する俺の頭をばしっと叩いて、ちゃんと聞いてと注意してくる。だが、それとこれと惚れ薬が繋がらない。
「ええっと?」
俺が戸惑っていると
「あの、その。魔法科科長の増田先生に、小さい頃から憧れていて、ほんのちょっともでいいんです。好きに、ううん、独占できる時間があれば」
紬はなかなか過激なことを言ってくれるのだった。
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