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第23話 訊きたいことが山のようにある
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佑弥のスマホから路人がメールを送って来たことに驚いた礼詞だが、すぐに動き出していた。どういう思惑で自分を呼び出したのか、そして今まで姿をくらますようなことをしていたのは何故か。本人の口から説明してもらいたいことは山ほどある。そう、求めているのは釈明であり、今までと同じようにいることなのだ。
「俺が今の路人を理解しろだって。冗談じゃない」
ふと脳裏に暁良から言われた言葉が思い浮かび、礼詞は反射的に反論してしまう。なぜ今の腑抜けた路人を受け入れなければならないのか。礼詞にとって、路人は人生最初の敗北を喫した相手であり、ずっとライバルなのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
「あいつは本当に天才なんだ。俺のような努力を必要としないほどの」
小さい頃からずっと切磋琢磨してきた仲だ。昔から、路人はどこか違うところにいるように感じる奴だった。
興味がないかのように振舞っている時ですら知識を吸収していた。それだけでなく、与えられた課題にどう答えるか。それがいつも単純なものではなく自分の一歩上をいくものだったことをよく覚えている。そう、ずっと負けていたのは礼詞なのだ。
それが、勝手に自分はもう用済みの存在と思ったことが許せない。礼詞に負けたと思ったことなど絶対にないはずだ。これからますます人口減少に伴ってロボットが重要になってくる中、路人の能力はどんどん重要のいなってくる。昔から今まで、そして将来に亘っても、重要なのは路人のはずだ。
「きっちり話し合わないとな」
添付されていた地図を基にやって来た礼詞は、路人が現在隠れ家として使っている研究室のあるビルが話し合いの場であったことに少し安堵する。
「帰る覚悟は出来たんだな」
ビルを見つめ、礼詞は久々に会う路人とどう話し合っていくか。それに緊張していることに気づく。
どんな話になろうと、俺は今のお前は認めない」
緊張の理由が路人が変化していることにあると気付き、礼詞は忌々しそうに吐き捨てていた。
そんな礼詞を待ち構える路人は翔摩と一緒にビルの屋上にいた。いつの間にかどっぷりと日の暮れた街並みを見ながら、路人は今の社会は合っているのかとふと悩んでしまう。
もちろん、労働人口の減少はもう止められない。どんな業種においても絶対数が足りない中だ。そんな社会の要請に応えるように自分は研究してきた。しかし、紀章が仕掛けたらしい科学者狩りが流行の一途を辿ったことに、少し無理があるのではとの思いがあった。
結局、労働がロボットや人工知能に置き換わることにすぐに納得が出来る人は少なかったのだ。急激な発達とともに社会に進出したはいいが、そこで今まで働いていた人たちの感情を大きく無視してしまっている。
今、目の前に広がる都会の街並みは今までとは何も変わっていない。しかし労働の多数がロボットに置き換わっている。それを、人々はあまり受け入れていない。
「急速な発展は、歪みを生むものだよね。どんな仕事でも愛着があるものなんだよ。まあ、俺はあまりに小さい時に進む道が決まってしまって、愛着はないけどさ」
横にいる翔摩に向けてそう言うと、路人の顔に悲しげな笑みが浮かぶ。
「それは、俺も同じなので。でも、いずれ受け入れられると思います。ロボットや人工知能に置き換えることが可能だったということは、そこに人の力が要らないということの証明です。まだまだ、人にしか出来ないことは数多くありますし」
そう答える翔摩はまだ声が出ないのでスマホに打ち込んで、その読み上げ機能を利用して路人に伝えている。こういうちょっとした技術も、いざ自分が不便な状況に陥れば利用したくなるのだ。まだ、必要だとの理解が少ないだけであろう。
「まあねえ。でも、どんどん置き換えればいいってものでもないよね。って、こんな話は赤松が来てからでいいか。翔摩。君はもう少しゆっくりしてから戻ってもいいんだぞ。君の声は治療すればいいってものでもない。自分の中で、ちゃんと答えを出さないと」
路人は自分のことが心配だからと戻る決断をした翔摩を気遣う。今もまだ、声が戻らないままなのだ。それはまだ翔摩の中で研究に費やした日々がいいものに変わっていない証拠だ。
「大丈夫です。それに暁良がどうなるのか気になります。わざわざ捕まえたということは、山名先生は暁良を開放しないつもりでしょう。それは諦めろと説得しないと。でも、一つだけ路人さんに訊きたいことがあるんですが」
翔摩はそこでスマホから路人へと目を向ける。路人はずっとこちらを見たままだった。
「何?」
「どうして、赤松に負けたと思ったんですか?いや、研究室を放り出して今の生活をしようと決断した理由は何だったんですか?今まで、やりたいことをやるためだと思っていましたが、路人さんの口からその理由が出たことはありません。それにずっと、あそこで研究の続きをやっていましたよね。それって、やっぱり赤松に勝ちたいってことですか?」
矢継ぎ早にそう打ち込んで、翔摩はふと不安になる。そう、紀章がここにいられたのは暗黙の了解があったからだと言っていたが、それに路人がまったく気づかずにいたはずがないということに気づいてしまったのだ。それに、瑛真が提案したとはいえ、相談依頼を受けることも路人はあっさりと受け入れていた。路人の行動は、さきほど佑弥に矛盾があると指摘していたのと同じくらいに矛盾を孕んでいる。
「そうだな。いつも俺の研究は中途半端なんだよ。それに比べて赤松のやっていることは堅実だ。その差を、知りたくなったのかもしれない」
「?」
よく解らず、翔摩は首を傾げていた。すると路人は僅かに笑う。
「つまりさ、俺の研究は一人では完結しないものばかりなんだよ。それって、どうなんだろうって悩んでしまう。しかもこれって周囲の期待と合っていないよね。たぶん。俺って何だろうって悩み出したら、あそこにはいれなかったんだ。総てが嫌になっていた。今まで、自分は何を追い駆けていたんだろうって。何も追い駆けていなかったんだって気づいてしまったし。ただあそこに連れて行かれて大学での勉強が始まって、そこから流されるままでさ。自分でこうしたいってのが、なかったんだよね」
「それは単なる言い訳だろ?お前の研究があるから周りはそれを指針として次に進んで来れた。お前は多くの科学者にこれから解決すべきは何かを示してきたんだ。俺にもな。お前はただ周りをちゃんと見ていないだけだ」
急に割って入って来た声に路人と翔摩が振り向くと、礼詞が怖い顔をして立っていた。
「赤松」
「お前はいつからか俺のことをそう呼ぶようになったな。それはどうしてだ?俺は、お前に訊きたいことが山のようにある。どうして、あんな高校生と仲良くしたのかもな。お前はずっと誰かに干渉されるのが嫌だったはずだろ。だから無理難題に近い我儘を言うこともあった」
俺の方がお前をよく理解している。そんな態度の礼詞に路人は頭を掻いて困惑してしまう。
「暁良と馬が合ったのはたまたまだよ。君たちは、俺をどう見ているんだ?」
逆に問いかけた時、やっぱり礼詞や紀章がいる場所は自分が素直にいられる場所じゃないんだと思っていた。
「へえ。大学の研究室ってこんな感じなんですね」
その頃。瑛真と一緒に情報収集のために大学を訪れた哲彰と優斗は物珍しく周囲を見渡してしまう。
「きょろきょろしないの。普通にしていたら大学生と高校生なんて見分けがつかないんだから」
そんな二人を瑛真は注意しつつ、紀章に出会ったらどうしようかと不安だ。そう、今いるのは紀章の研究室のすぐ傍なのだ。
「あっ」
急に哲彰が間の抜けた声を出すので、優斗と瑛真は静かにと同時に哲彰の口を押えてしまう。すると、二つ先の部屋から紀章と暁良が出てくるところだった。おかげで三人は慌てて近くの研究室に身を隠すことになる。
「まさかここにいるなんて」
二人だけでなく瑛真も驚いてしまう展開だ。もう拘束はしていないだろうと踏んでいたが、紀章と一緒にいるのは予想外だ。
「どうします?科学技術省の場所を把握する前に暁良の場所が解りましたが」
優斗もこんな展開アリかと悩みつつ瑛真を見る。
「何にしても、路人もここに戻ってくる。ばれないように後を尾行しましょう」
瑛真はそう言うと、急に入って来た三人組にきょとんとする研究室にいた人々を無視したまま、暁良の後をゆっくりと追いかけ始めたのだった。
「俺が今の路人を理解しろだって。冗談じゃない」
ふと脳裏に暁良から言われた言葉が思い浮かび、礼詞は反射的に反論してしまう。なぜ今の腑抜けた路人を受け入れなければならないのか。礼詞にとって、路人は人生最初の敗北を喫した相手であり、ずっとライバルなのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
「あいつは本当に天才なんだ。俺のような努力を必要としないほどの」
小さい頃からずっと切磋琢磨してきた仲だ。昔から、路人はどこか違うところにいるように感じる奴だった。
興味がないかのように振舞っている時ですら知識を吸収していた。それだけでなく、与えられた課題にどう答えるか。それがいつも単純なものではなく自分の一歩上をいくものだったことをよく覚えている。そう、ずっと負けていたのは礼詞なのだ。
それが、勝手に自分はもう用済みの存在と思ったことが許せない。礼詞に負けたと思ったことなど絶対にないはずだ。これからますます人口減少に伴ってロボットが重要になってくる中、路人の能力はどんどん重要のいなってくる。昔から今まで、そして将来に亘っても、重要なのは路人のはずだ。
「きっちり話し合わないとな」
添付されていた地図を基にやって来た礼詞は、路人が現在隠れ家として使っている研究室のあるビルが話し合いの場であったことに少し安堵する。
「帰る覚悟は出来たんだな」
ビルを見つめ、礼詞は久々に会う路人とどう話し合っていくか。それに緊張していることに気づく。
どんな話になろうと、俺は今のお前は認めない」
緊張の理由が路人が変化していることにあると気付き、礼詞は忌々しそうに吐き捨てていた。
そんな礼詞を待ち構える路人は翔摩と一緒にビルの屋上にいた。いつの間にかどっぷりと日の暮れた街並みを見ながら、路人は今の社会は合っているのかとふと悩んでしまう。
もちろん、労働人口の減少はもう止められない。どんな業種においても絶対数が足りない中だ。そんな社会の要請に応えるように自分は研究してきた。しかし、紀章が仕掛けたらしい科学者狩りが流行の一途を辿ったことに、少し無理があるのではとの思いがあった。
結局、労働がロボットや人工知能に置き換わることにすぐに納得が出来る人は少なかったのだ。急激な発達とともに社会に進出したはいいが、そこで今まで働いていた人たちの感情を大きく無視してしまっている。
今、目の前に広がる都会の街並みは今までとは何も変わっていない。しかし労働の多数がロボットに置き換わっている。それを、人々はあまり受け入れていない。
「急速な発展は、歪みを生むものだよね。どんな仕事でも愛着があるものなんだよ。まあ、俺はあまりに小さい時に進む道が決まってしまって、愛着はないけどさ」
横にいる翔摩に向けてそう言うと、路人の顔に悲しげな笑みが浮かぶ。
「それは、俺も同じなので。でも、いずれ受け入れられると思います。ロボットや人工知能に置き換えることが可能だったということは、そこに人の力が要らないということの証明です。まだまだ、人にしか出来ないことは数多くありますし」
そう答える翔摩はまだ声が出ないのでスマホに打ち込んで、その読み上げ機能を利用して路人に伝えている。こういうちょっとした技術も、いざ自分が不便な状況に陥れば利用したくなるのだ。まだ、必要だとの理解が少ないだけであろう。
「まあねえ。でも、どんどん置き換えればいいってものでもないよね。って、こんな話は赤松が来てからでいいか。翔摩。君はもう少しゆっくりしてから戻ってもいいんだぞ。君の声は治療すればいいってものでもない。自分の中で、ちゃんと答えを出さないと」
路人は自分のことが心配だからと戻る決断をした翔摩を気遣う。今もまだ、声が戻らないままなのだ。それはまだ翔摩の中で研究に費やした日々がいいものに変わっていない証拠だ。
「大丈夫です。それに暁良がどうなるのか気になります。わざわざ捕まえたということは、山名先生は暁良を開放しないつもりでしょう。それは諦めろと説得しないと。でも、一つだけ路人さんに訊きたいことがあるんですが」
翔摩はそこでスマホから路人へと目を向ける。路人はずっとこちらを見たままだった。
「何?」
「どうして、赤松に負けたと思ったんですか?いや、研究室を放り出して今の生活をしようと決断した理由は何だったんですか?今まで、やりたいことをやるためだと思っていましたが、路人さんの口からその理由が出たことはありません。それにずっと、あそこで研究の続きをやっていましたよね。それって、やっぱり赤松に勝ちたいってことですか?」
矢継ぎ早にそう打ち込んで、翔摩はふと不安になる。そう、紀章がここにいられたのは暗黙の了解があったからだと言っていたが、それに路人がまったく気づかずにいたはずがないということに気づいてしまったのだ。それに、瑛真が提案したとはいえ、相談依頼を受けることも路人はあっさりと受け入れていた。路人の行動は、さきほど佑弥に矛盾があると指摘していたのと同じくらいに矛盾を孕んでいる。
「そうだな。いつも俺の研究は中途半端なんだよ。それに比べて赤松のやっていることは堅実だ。その差を、知りたくなったのかもしれない」
「?」
よく解らず、翔摩は首を傾げていた。すると路人は僅かに笑う。
「つまりさ、俺の研究は一人では完結しないものばかりなんだよ。それって、どうなんだろうって悩んでしまう。しかもこれって周囲の期待と合っていないよね。たぶん。俺って何だろうって悩み出したら、あそこにはいれなかったんだ。総てが嫌になっていた。今まで、自分は何を追い駆けていたんだろうって。何も追い駆けていなかったんだって気づいてしまったし。ただあそこに連れて行かれて大学での勉強が始まって、そこから流されるままでさ。自分でこうしたいってのが、なかったんだよね」
「それは単なる言い訳だろ?お前の研究があるから周りはそれを指針として次に進んで来れた。お前は多くの科学者にこれから解決すべきは何かを示してきたんだ。俺にもな。お前はただ周りをちゃんと見ていないだけだ」
急に割って入って来た声に路人と翔摩が振り向くと、礼詞が怖い顔をして立っていた。
「赤松」
「お前はいつからか俺のことをそう呼ぶようになったな。それはどうしてだ?俺は、お前に訊きたいことが山のようにある。どうして、あんな高校生と仲良くしたのかもな。お前はずっと誰かに干渉されるのが嫌だったはずだろ。だから無理難題に近い我儘を言うこともあった」
俺の方がお前をよく理解している。そんな態度の礼詞に路人は頭を掻いて困惑してしまう。
「暁良と馬が合ったのはたまたまだよ。君たちは、俺をどう見ているんだ?」
逆に問いかけた時、やっぱり礼詞や紀章がいる場所は自分が素直にいられる場所じゃないんだと思っていた。
「へえ。大学の研究室ってこんな感じなんですね」
その頃。瑛真と一緒に情報収集のために大学を訪れた哲彰と優斗は物珍しく周囲を見渡してしまう。
「きょろきょろしないの。普通にしていたら大学生と高校生なんて見分けがつかないんだから」
そんな二人を瑛真は注意しつつ、紀章に出会ったらどうしようかと不安だ。そう、今いるのは紀章の研究室のすぐ傍なのだ。
「あっ」
急に哲彰が間の抜けた声を出すので、優斗と瑛真は静かにと同時に哲彰の口を押えてしまう。すると、二つ先の部屋から紀章と暁良が出てくるところだった。おかげで三人は慌てて近くの研究室に身を隠すことになる。
「まさかここにいるなんて」
二人だけでなく瑛真も驚いてしまう展開だ。もう拘束はしていないだろうと踏んでいたが、紀章と一緒にいるのは予想外だ。
「どうします?科学技術省の場所を把握する前に暁良の場所が解りましたが」
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