異世界召喚とおぼしきもの。

第５話 召喚された。

俺は一歩ずつワームホールに近寄った。

何度も言うが飛び込むなんて勇気は微塵もない!!

当たり前だが、まず手からだな。

左手をワームホールに差し込んだ所でワームホールが光った。

俺は目をつむり召喚に備えた。

背中には、この日の為に異世界で役に立ちそうな雑貨が入ったリュックを背負っている。

瞼の向こうの光が消えたのを確認してゆっくりと目を開けた。

目の前には、どう見ても魔女っぽい茶髪の白人美女が立っていた。

スタイル抜群!!オッパイ星人には満点な美女だ。

勇者として惚れてくれていいんだぜ!!

テンションはMAXだが、ここは落ち着いてあちらの言葉を待とう。

さぁ言え…よく来てくれました勇者よ!!と！


その美人さんはふと辺りを見回して残念そうに首を振る。

なんだよ!!呼んでおいてそれは無いだろ!!

もちろん…抗議する勇気なんて無いがな!!

「大失敗じゃん!!」

日本語だ!!異世界言語翻訳が働いたのかな？ともかく言葉が通じるならそれで良い。

「呼んでおいてなんだよ!!」 

俺が抗議すると美女はジト目で此方を見る。そして目をそらしてひどいことを口にする。

「しかもバカだし…やっぱり異世界召喚なんて考えちゃ駄目なんだょ!!」

「バカとはなんだよ。バカって言った方がバカなんだぞ!!」 

「バカにバカって言って何が悪いのょ!!周りをよく見ろ!!」 


そこは…俺の部屋だった。

「な、なんだこれ!!異世界召喚じゃなくて異世界からの侵略か!!」 

「侵略するのに一人で来るかバカ！」

美女は彼女の足元のゲーム機を蹴った。

俺の脛に当たった。

「ぐあ!!いてー!!なんでこれも戻って来てるんだよ。」

「その箱のせいで儀式が失敗して召喚陣の暴走を止めるために結界を張ろうとしたらこっちに連れて来られたの!!私が被害者なんだょ!!分かれバカ！」

俺の異世界チート大活躍は、俺の臆病のせいではじまりもしなかった。