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きゅう
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次の日、足腰が立たずにベッドに寝たきりになった。翌日がオフの日を選んで辞める話を切り出していた為助かった。嶺二は甲斐甲斐しく世話をしてくれてこんな生活も悪く無いなと思ってしまった。
「僕さ、嶺二のことが好きでそれが辛くて逃げようとしてたのもあるんだけどさ、作曲家としても活動したくてさ……。だからアイドル辞めようかなって思ってたんだよね。でも嶺二が僕にやめて欲しくないって言ってくれたのめちゃくちゃ嬉しかったからさ、僕アイドル頑張るよ。自分で作った曲を自分で歌えたらそれが一番良かったんだけどね……。」
僕の話を聞き終わった嶺二は立ち上がり「彩季、そーゆーことはもっと早く言えよ。」と真剣な声で告げた。
それからはなんかもう凄かった。嶺二が色んなものすっ飛ばして社長に直談判して僕の曲が歌えないなら嶺二も辞めるだなんだ言い出して結局僕は自分で作った歌を歌えることになった。
まあでも条件付きで、ある程度CDが売れなかった場合はこの話はなかったことになるし、全部が全部僕が作るというわけにもいかなかった。
なので僕はこのチャンスを掴むためにも死に物狂いで曲を作ることになった。仕事もいつも通りにこなし、作曲に行き詰まったりなんかして忙しい日々が続いた。
そんなある日、久しぶりに嶺二と2人でゆっくりする時間が取れてテレビでも一緒に見ようということになった。
「彩季が出てるやつ見よう、俺まだこれ見てないんだよね。」
と、最近放送されている僕が出演しているドラマを見ることになった。自分の演技を嶺二の前で見ることは気恥しいが、今に始まったことじゃないので頷く。ここで変に抵抗すれば嶺二の興味をさらに引くことになることは体験済みだ。
「このドラマの撮影現場、主演の人が本当に親切で雰囲気良かったんだよねー。」
僕は再生されたドラマを見ながら気恥しさを隠すためにペラペラと裏話的なものを話す。
「僕の役って主人公の親友ポジションだからちょくちょく話す機会があってさ、少し仲良くなれて楽しかったなーって。」
その時ちょうど僕とその主演の俳優が仲良さそうに肩を組んでじゃれ合うシーンが映った。
その数瞬後、僕は天井を見ていた。
「……え?」
少し視線をずらせば僕を見下ろす嶺二の顔がある。どうやら押し倒されてるようだった。
「彩季、覚悟は出来てる?」
嶺二はテレビを消すと僕の顔の横に両手を置き、ニコリと笑った。
「え、えーっと、お手柔らかに?」
部屋にはいやらしい水音と嬌声が響く。
僕達はこうしてまた似たようなことを繰り返す。仕事と作曲で疲れていた僕がすぐに気を失ってしまうのも、それに気づいた嶺二が謝りながら僕の介抱をするのも、もう特筆するようなことではないようだ。
END
「僕さ、嶺二のことが好きでそれが辛くて逃げようとしてたのもあるんだけどさ、作曲家としても活動したくてさ……。だからアイドル辞めようかなって思ってたんだよね。でも嶺二が僕にやめて欲しくないって言ってくれたのめちゃくちゃ嬉しかったからさ、僕アイドル頑張るよ。自分で作った曲を自分で歌えたらそれが一番良かったんだけどね……。」
僕の話を聞き終わった嶺二は立ち上がり「彩季、そーゆーことはもっと早く言えよ。」と真剣な声で告げた。
それからはなんかもう凄かった。嶺二が色んなものすっ飛ばして社長に直談判して僕の曲が歌えないなら嶺二も辞めるだなんだ言い出して結局僕は自分で作った歌を歌えることになった。
まあでも条件付きで、ある程度CDが売れなかった場合はこの話はなかったことになるし、全部が全部僕が作るというわけにもいかなかった。
なので僕はこのチャンスを掴むためにも死に物狂いで曲を作ることになった。仕事もいつも通りにこなし、作曲に行き詰まったりなんかして忙しい日々が続いた。
そんなある日、久しぶりに嶺二と2人でゆっくりする時間が取れてテレビでも一緒に見ようということになった。
「彩季が出てるやつ見よう、俺まだこれ見てないんだよね。」
と、最近放送されている僕が出演しているドラマを見ることになった。自分の演技を嶺二の前で見ることは気恥しいが、今に始まったことじゃないので頷く。ここで変に抵抗すれば嶺二の興味をさらに引くことになることは体験済みだ。
「このドラマの撮影現場、主演の人が本当に親切で雰囲気良かったんだよねー。」
僕は再生されたドラマを見ながら気恥しさを隠すためにペラペラと裏話的なものを話す。
「僕の役って主人公の親友ポジションだからちょくちょく話す機会があってさ、少し仲良くなれて楽しかったなーって。」
その時ちょうど僕とその主演の俳優が仲良さそうに肩を組んでじゃれ合うシーンが映った。
その数瞬後、僕は天井を見ていた。
「……え?」
少し視線をずらせば僕を見下ろす嶺二の顔がある。どうやら押し倒されてるようだった。
「彩季、覚悟は出来てる?」
嶺二はテレビを消すと僕の顔の横に両手を置き、ニコリと笑った。
「え、えーっと、お手柔らかに?」
部屋にはいやらしい水音と嬌声が響く。
僕達はこうしてまた似たようなことを繰り返す。仕事と作曲で疲れていた僕がすぐに気を失ってしまうのも、それに気づいた嶺二が謝りながら僕の介抱をするのも、もう特筆するようなことではないようだ。
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