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第五話
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無理矢理ことに及ばれ、最後には気絶したウィードは、目を覚ますと綺麗に身体を拭かれ、服を着せられた状態だった。
既に起床していたハルサックは、ウィードが起きたことに気づくと、熱は無いか、体調は悪くないか、と聞きながら、身体をペタペタと触った。
そして、特に問題ないことを確認すると、
「絶対、パーティー解消だけはしないからな」
と、だけ言って部屋を出て行ってしまった。
あれから一週間前。
僕は、ハルサックと一度も話していなかった。
冒険者の仕事斡旋所であるギルドには、顔を出しているらしい。しかし僕とは、一度バッタリ出くわしたきり、顔を合わせていない。
その一度も、ハルサックが走って逃げてしまったので、何も起きることはなかった。
まあ僕も、あの時のことにどう反応したらいいのか分からないから、正直今の状態が楽だ。
好き勝手した挙句、消えるのかよとは思ったけど。
「ああ、でもどうしよう。流石に仕事したいなぁ。でも、一人だと危ないし」
とりあえず冒険者ギルドの前まで足を運んだはいいが、僕と一緒に依頼を受けてくれる人なんていないよなぁと、頭を抱え、右往左往していた。
するとーー
「ウィードさん、良かったら僕と依頼受けませんか?」
後ろから声がかかった。
振り返ればそこには、端正な顔立ちをした男がいた。腰にはロングソードを刺している。
彼の名は、ジン。ここら辺の街では結構有名なAランク冒険者パーティーのリーダーをしている。
ランクとは、冒険者の死亡率をなるべく下げるための制度である。それぞれ魔物と冒険者、そしてそのパーティー。それらが強さを基準にしてE~Sのランクに分けられている。AはSの次に強いランクだ。
そのAランクパーティーのリーダーを勤めているということは、彼はそれなりの実力者であるということだ。
「ジンさん、パーティーの方はどうされたんですか?」
「ああ、この間大きい依頼をこなしてね、皆休暇中だよ」
「そうなんですか。でも、僕なんかといいんですか?」
何故ジンさんが、僕に声をかけてくれたのか分からない。
ジンさんなら僕を誘わなくったって引く手数多だろう。
「いいに決まってるじゃないですか! あのウィードさんと依頼を受けられるなんて土下座しても足りないくらいですよ!」
ジンは膝を地面に着けようとする。
ウィードはそれを辞めさせようとジンの肩を掴んだ。
「ま、待って。ど、土下座なんて辞めて下さい! 僕の方こそ困っていてお願いしたいくらいなんですから」
「あー、ハルサックさんがまた何か暴走してるんでしたっけ?」
「あ、はい。お恥ずかしながら………」
「じゃあ、僕とウィードさんの利害は一致しているわけで、なので今日は一日お願いします」
ウィードは差し出されたその手を握った。
既に起床していたハルサックは、ウィードが起きたことに気づくと、熱は無いか、体調は悪くないか、と聞きながら、身体をペタペタと触った。
そして、特に問題ないことを確認すると、
「絶対、パーティー解消だけはしないからな」
と、だけ言って部屋を出て行ってしまった。
あれから一週間前。
僕は、ハルサックと一度も話していなかった。
冒険者の仕事斡旋所であるギルドには、顔を出しているらしい。しかし僕とは、一度バッタリ出くわしたきり、顔を合わせていない。
その一度も、ハルサックが走って逃げてしまったので、何も起きることはなかった。
まあ僕も、あの時のことにどう反応したらいいのか分からないから、正直今の状態が楽だ。
好き勝手した挙句、消えるのかよとは思ったけど。
「ああ、でもどうしよう。流石に仕事したいなぁ。でも、一人だと危ないし」
とりあえず冒険者ギルドの前まで足を運んだはいいが、僕と一緒に依頼を受けてくれる人なんていないよなぁと、頭を抱え、右往左往していた。
するとーー
「ウィードさん、良かったら僕と依頼受けませんか?」
後ろから声がかかった。
振り返ればそこには、端正な顔立ちをした男がいた。腰にはロングソードを刺している。
彼の名は、ジン。ここら辺の街では結構有名なAランク冒険者パーティーのリーダーをしている。
ランクとは、冒険者の死亡率をなるべく下げるための制度である。それぞれ魔物と冒険者、そしてそのパーティー。それらが強さを基準にしてE~Sのランクに分けられている。AはSの次に強いランクだ。
そのAランクパーティーのリーダーを勤めているということは、彼はそれなりの実力者であるということだ。
「ジンさん、パーティーの方はどうされたんですか?」
「ああ、この間大きい依頼をこなしてね、皆休暇中だよ」
「そうなんですか。でも、僕なんかといいんですか?」
何故ジンさんが、僕に声をかけてくれたのか分からない。
ジンさんなら僕を誘わなくったって引く手数多だろう。
「いいに決まってるじゃないですか! あのウィードさんと依頼を受けられるなんて土下座しても足りないくらいですよ!」
ジンは膝を地面に着けようとする。
ウィードはそれを辞めさせようとジンの肩を掴んだ。
「ま、待って。ど、土下座なんて辞めて下さい! 僕の方こそ困っていてお願いしたいくらいなんですから」
「あー、ハルサックさんがまた何か暴走してるんでしたっけ?」
「あ、はい。お恥ずかしながら………」
「じゃあ、僕とウィードさんの利害は一致しているわけで、なので今日は一日お願いします」
ウィードは差し出されたその手を握った。
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