猫獣人を守る為なら僕は、悪役になったって構わない

人生2929回血迷った人

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第六話

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 そして僕は猫獣人を村に呼び込み、村はだんだんと人が住めるところになった。

 しかし、食べ物は自給自足をするにしても生活に定期的に必要なものや、塩といったものは外で買うしかない。それに、余った分の作物は売らなければもったいない。
 まあ、余るほど作物が育つようになったのは最近のことだけど。

 そこで必要になるのがその作物や商品を運んだり売ったりする行商人。
 そして見つけたのがライトブルク領北部で活動をしていたホンドンさんだった。腕が立つ猫獣人。そして行商人。まさに欲しい人材だった。

 子供が出来て、オルナ街に定住しようか悩んでいるところ僕が口説き落としたのだ。






「……んんっ……あれ? ファイアさん」
「目覚めましたか? ホンドンさん」
「ああ。怪我を治してくれたみたいだな。ありがとっと、おととっ……」

 起き上がろうとして、目眩がしたようだ。ホンドンさんは後ろに手を着いた。

「血を大量に失ってしまっているので数日は安静にしていてください」
「ああ……いや、でも……あっ、そうだ! リフがッ……」
「あなた、リフならファイアさんが助けてくださったみたいよ。だから心配しないで」
「そ、そうか。ファイアさん、何から何まで本当にありがとな」
「いえ、ホンドンさんが村の行商人を引き受けてくださった時にできる限りのサポートはすると約束しましたから」

 僕がそう言うと、ホンドンさんは黙ってしまった。何かまずいことでも言っただろうか?

「ホンドンさん?」
「あっ……いや、えーと……」

 何かを言いにくそうに瞳を左右に動かしている。すると、ホンドンさんの手を心配そうに握っていたザレアさんがその手を離し、土下座した。

「えっ……?」
「申し訳ございません! 村から預かった大切な作物は、襲ってきた盗賊に持っていかれてしまいましたッ」

 そういえばと、辺りを見渡せば荷馬車がない。

「夫を助けてもらうために今まで黙ってたんです。本当にすみませんでしたッ!」
「ザレア……ファイアさん。俺は行商人として仕事をする代わりにファイアさんのサポートを受けてきた。俺たちの身が危険にさらされたときに助けてもらうってのもその対価だ。それは分かってる。だからッ、本当に申し訳ないと思ってる。この通りだ」

 ホンドンさんもそう言って力が上手く入らないであろう身体にムチを打って土下座をしてしまった。

「おっ、お二人とも顔を上げてください」

 困惑した僕は二人の近くに行き、頭を挙げさせる。

「確かに村の人が頑張って作った作物がなくなってしまったのは残念です」

 二人の顔が暗くなるのが分かった。

「でも、お二人が責任を感じる必要はありません。これは僕の責任です。盗賊の存在に気づけなかった僕の怠慢です」
「ファイアさん……」
「確か明日も村に行く予定でしたよね」
「ああ」
「では、それは僕が行きます」

 これは僕の注意不足が招いたことだ。なんでもっと、村までの道を気にかけなかったんだろう?
 グレイ達が街に来て、そっちに気を取られていたなんて言い訳にもならない。

 今回はまだよかった。
 荷物が取られただけだから。
 でも、次は?

 何度でも言う。その甘ちゃんの自分の頭に刻み込め。
 この国は、いや、世界はーー

 猫獣人が生活するには危険すぎる。

 次は、怪我をするだけじゃきっと済まないだろう。三人ともさらわれてしまうかもしれない。いや、もしかしたら村の人までもが……。

 もっと、ちゃんとしないと。皆の生活がかかってるんだから。

「盗賊が片付くまではホンドンさんは休んでいてください」
「いや、だが……」
「お願いします」

 僕は頭を下げた。

「やめろよっ、顔を上げろ。俺だってそう言って貰えるのは有難いんだ。だけどファイアさん。お前は一人で抱え込みすぎだ」

 何を急に言い出すんだろうか?
 言ってる意味がわからない。

「色々やってくれるのはありがてぇ。でも、俺たちはお前が心配なんだよ。村にはファイアさんに助けられた奴らがいっぱいいる。それは感謝してる。でも俺らのこと、もっと頼ってくれよ」

 何を言って……るの?
 僕は、皆を助けないと。
 だって僕はそっち側の人間じゃないから。頑張らないと皆と仲間になれないから。

 だってーー

 僕の猫耳は片方しかないから。
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