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エピローグ
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小春日和をすっかり超えて、日差しも暖かな春うらら。
網戸の向こうから吹き込む風は熱を孕んで生温く、窓の奥には家々のお庭の可愛い花霞が一望できる。
どこまでも晴れ渡る空。
私は全身で風を浴びつつ、両手でうんと伸びをした。東北はあっちの方向かなと軽く思いを馳せてみたりして、でもすぐに私の心は今の居場所へと戻ってくる。
――由希子。
私の差し出した鞄を掴み、背を向けながら卓弥は言った。
――今まで、悪かった。
……言葉ひとつで何もかもが清算されるとは思わない。でも、言葉がなければ想っていても伝わらないことがたくさんある。
二度と重ならない道の先を見据え、自分の夢のために歩き始めた。卓弥も今までのしがらみから離れ、思うように生きていけば良いと思う。
そして、私も。
「あっ」
ふわとお腹へ回る腕。
背中からほのかな微熱が重なるようにくっついて、それから細く柔らかな髪が私の首筋に擦りついてくる。
漂う爽やかな紅茶の香り。ただそれだけで私の身体はぽかぽかと熱を持ち始めて、ああ、私って単純だなと自虐でもなく笑ってしまう。
「桂さん」
私が軽く髪を撫でると、耳元からくすぐったそうな微笑が漏れた。顔を上げた桂さんはとろけるように甘い眼差しで、
「何を見ていたんですか」
と、囁き声で問いかける。
「空と……お花です。もう桜が散り始めていると思って」
「そうですね。お花見に行こうと言っていたのに、結局行けずじまいでした」
色鮮やかな葉桜からは、見ている間にもまた花弁がはらり。一瞬のうちに春は通り過ぎ、きっとすぐそこには夏がもう出番を待ち構えているはずだ。
「来年、いきましょう」
桂さんの髪をそっと撫でながら、私は吐息のような声で言う。
彼はその色白の頬にぽっと明るい色を浮かべ、
「はい」
と、天使のように微笑んだ。
桂さんは一階でスカイくんのブラッシング。私は今日もいつものように意気揚々と家事に励む。
どうやら例の編集者さん――新倉さんと言ったっけ――とのやり取りを聞きかじった感じ、件のわんちゃん雑誌の他にもいくつか写真の依頼が来ているようだ。
今度のテーマはずばり『海』。海中の写真をたくさん撮るため、混み合う前に江の島まで撮影旅行に行くつもりなのだという。
桂さんの撮った写真は、どれもこれも素敵なものばかり。彼がカメラで切り取った風景は多くの人の心を揺さぶり、その名前は止める間もなく広まっていくに違いない。
(桂さんに負けないように、私も頑張らないと)
称賛を浴びる彼の姿を頭に思い描きながら、この胸に湧き上がってくるのはもはや不安や恐怖ではない。もっと温かで、優しくて……そしてちょっぴり誇らしい。
(どう? 私の彼氏、素敵でしょ? ……なんてね)
浮かれた妄想に自分でもちょっとおかしい気持ちになりながら、片手で掃除機を抱えつつ二階の桂さんの部屋へ入った。窓を開けて換気をしながらあちこちに掃除機をかけて回る。相変わらず物が少なくて、掃除のしやすい良い部屋だ。
ああでも、机の上だけは整理途中のたくさんの写真でごちゃごちゃしている。その傍には例のわんちゃん雑誌の見本が無造作に置かれていて、私はちょっとした好奇心からぱらぱらとそのページをめくった。
――と。
ページを片手で開いたまま、掃除機を抱えてしばしフリーズ。
やがて我に返った私は、雑誌をひったくるように掴むとわき目も振らず階段を駆け下りた。
みっともなく足音を踏み鳴らして、一目散にリビングへ駆け込む。ばんと音を立てて扉を開くと、彼はソファにゆったり腰掛け、スカイくんを撫でながら本を読んでいる最中だった。
「由希子さん、どうしたんですか? そんな真っ赤な顔をして」
「あ、あの、桂さん!」
桂さんは目をぱちくりして私の顔を凝視していたけど、やがてその手に持つ雑誌に気づくと、
「ああ」
と言ってくすくす笑った。
「それ、読んだんですか?」
「読みました! 桂さんの写真が載ったところだけ、ちらっと見ようと思ったんですけど……」
おかしがるような柔い微笑み。これはたぶん……全部わかっている顔だ。
手のひらで弄ばれている感覚に若干むずむずしながらも、私は桂さんの前で雑誌のページを広げてみせる。わんちゃんとのオススメのお出かけスポット。夏場に散歩をするときの注意点。そして特集コーナーの中にある今月のテーマのスナップ集……。
「こ、これ、……私の写真ですよね!?」
凛々しいスカイくんの写真がたくさん載せられている片隅に、落ち葉を振り撒いて一緒に遊ぶ見覚えのある女の顔。いやもう、もはや見覚えとかそういうレベルの話じゃない。
これは私だ。思いっきり私だ。近所の公園でスカイくんと遊ぶ、あの日の私の写真そのものだ。
季節外れの冬の風景だからか、他と比べてサイズは小さめ。でも、はっきりと私にピントが合ったその写真のすぐ側には、ともすれば見落としてしまいそうなほど小さな字でコメントが書かれている。
――世界でいちばん大切なもの。
「すみません。綺麗だったから、つい」
「ついって、もう……」
「これはまだ初校ですから、訂正が効きますよ。でも、僕はこのまま出したいと思っています」
ソファにゆったり寄りかかりながら、桂さんは笑みを深くする。あまりにも綺麗なアルカイックスマイル。優しい言葉遣いの裏には、揺るぎない意思が見え隠れしている。
「あの……編集者さんは……」
「もちろんOK出てますよ。むしろ新倉の方から勧めてくれたほどですから。この写真、すごく良いねって」
「で、でも、わんちゃんの雑誌なのに……」
「一緒に写っているスカイもとても楽しそうな顔をしていますし、他の写真はみんなスカイ単独のものばかりですからね。一枚くらい人と遊ぶ姿があってもいいと思うんです。それに」
桂さんの長い指が、雑誌のページをすぅっとなぞる。
その指先を眼で追う形でページのタイトルを読んだ私は、結局ぐっと唇を噛んで赤面するしかできなかった。
「今月のテーマは『大切な存在』ですから。……僕としては、由希子さんを載せないわけにはいかないんです」
ほんの少しだけ困った風に形の良い眉を軽く寄せて、桂さんは甘えるようにこてんと小首を傾げて見せる。
ねえ、だめなの? これでもだめ? と、聞こえるはずのない心の声が、瞳から瞳へダイレクトに語り掛ける。……ああもう、この人って本当に!
「ず」
「ず?」
「ずるい……!」
雑誌を抱きかかえながら桂さんの胸に倒れ込むと、彼は声を上げて笑いながら私を両手で抱き留めてくれた。折り重なるようにソファの上で横たわりながら、私たちはどちらともなく視線を交わして微笑みあう。
ずるい人だと思う。こんなに素敵で、こんなに魅力的で、そのくせ少しの労力も惜しまず私にすべてを伝えてくれる。
とても柔らかで、きらきらしていて、あまりにも心地よい愛の雫を、私の心に絶え間なく、惜しみなく注いでくれる。
「そうだ。僕、さっき調べたんですけど、近くに遅咲きの桜を楽しめる場所があるみたいなんです」
「えっ、そうなんですか? まだ桜って咲いているんですね」
「行くだけ行ってみませんか。散り始めでも綺麗ですし、スカイもちょうど散歩に行きたくてうずうずしているみたいですし」
傍らで少し呆れた様子で寝そべっていたスカイくんが、散歩の三文字を聞きとめてゆらりとその場に立ち上がった。長いしっぽをふわふわ揺らしてソファの傍までやってきた彼は、まず桂さんの顔をぺろり。それから私の頬も――ん?
「だめ」
私の頬を覆う桂さんの手の甲を、ぺろんと舐めるスカイくん。
桂さんはスカイくんに向かって小さく笑いながら、
「それは僕の」
と言って、私の唇にキスをした。
……スカイくんにやきもち焼いてどうするの、とか。
誰が相手でも嫌なものは嫌なんです、とか。
他愛ない話と笑い声が、穏やかな風に溶けていく。私は鞄を、彼はリードとカメラを持って、私たちは三人揃って陽だまりへと続く扉を開ける。
玄関の白い写真立てには、スカイくんと、私と、そして桂さん自身が写った写真が、まるで色とりどりのステンドグラスのように鮮やかに飾られている。
『それでも僕らは夢を見る』 おわり
網戸の向こうから吹き込む風は熱を孕んで生温く、窓の奥には家々のお庭の可愛い花霞が一望できる。
どこまでも晴れ渡る空。
私は全身で風を浴びつつ、両手でうんと伸びをした。東北はあっちの方向かなと軽く思いを馳せてみたりして、でもすぐに私の心は今の居場所へと戻ってくる。
――由希子。
私の差し出した鞄を掴み、背を向けながら卓弥は言った。
――今まで、悪かった。
……言葉ひとつで何もかもが清算されるとは思わない。でも、言葉がなければ想っていても伝わらないことがたくさんある。
二度と重ならない道の先を見据え、自分の夢のために歩き始めた。卓弥も今までのしがらみから離れ、思うように生きていけば良いと思う。
そして、私も。
「あっ」
ふわとお腹へ回る腕。
背中からほのかな微熱が重なるようにくっついて、それから細く柔らかな髪が私の首筋に擦りついてくる。
漂う爽やかな紅茶の香り。ただそれだけで私の身体はぽかぽかと熱を持ち始めて、ああ、私って単純だなと自虐でもなく笑ってしまう。
「桂さん」
私が軽く髪を撫でると、耳元からくすぐったそうな微笑が漏れた。顔を上げた桂さんはとろけるように甘い眼差しで、
「何を見ていたんですか」
と、囁き声で問いかける。
「空と……お花です。もう桜が散り始めていると思って」
「そうですね。お花見に行こうと言っていたのに、結局行けずじまいでした」
色鮮やかな葉桜からは、見ている間にもまた花弁がはらり。一瞬のうちに春は通り過ぎ、きっとすぐそこには夏がもう出番を待ち構えているはずだ。
「来年、いきましょう」
桂さんの髪をそっと撫でながら、私は吐息のような声で言う。
彼はその色白の頬にぽっと明るい色を浮かべ、
「はい」
と、天使のように微笑んだ。
桂さんは一階でスカイくんのブラッシング。私は今日もいつものように意気揚々と家事に励む。
どうやら例の編集者さん――新倉さんと言ったっけ――とのやり取りを聞きかじった感じ、件のわんちゃん雑誌の他にもいくつか写真の依頼が来ているようだ。
今度のテーマはずばり『海』。海中の写真をたくさん撮るため、混み合う前に江の島まで撮影旅行に行くつもりなのだという。
桂さんの撮った写真は、どれもこれも素敵なものばかり。彼がカメラで切り取った風景は多くの人の心を揺さぶり、その名前は止める間もなく広まっていくに違いない。
(桂さんに負けないように、私も頑張らないと)
称賛を浴びる彼の姿を頭に思い描きながら、この胸に湧き上がってくるのはもはや不安や恐怖ではない。もっと温かで、優しくて……そしてちょっぴり誇らしい。
(どう? 私の彼氏、素敵でしょ? ……なんてね)
浮かれた妄想に自分でもちょっとおかしい気持ちになりながら、片手で掃除機を抱えつつ二階の桂さんの部屋へ入った。窓を開けて換気をしながらあちこちに掃除機をかけて回る。相変わらず物が少なくて、掃除のしやすい良い部屋だ。
ああでも、机の上だけは整理途中のたくさんの写真でごちゃごちゃしている。その傍には例のわんちゃん雑誌の見本が無造作に置かれていて、私はちょっとした好奇心からぱらぱらとそのページをめくった。
――と。
ページを片手で開いたまま、掃除機を抱えてしばしフリーズ。
やがて我に返った私は、雑誌をひったくるように掴むとわき目も振らず階段を駆け下りた。
みっともなく足音を踏み鳴らして、一目散にリビングへ駆け込む。ばんと音を立てて扉を開くと、彼はソファにゆったり腰掛け、スカイくんを撫でながら本を読んでいる最中だった。
「由希子さん、どうしたんですか? そんな真っ赤な顔をして」
「あ、あの、桂さん!」
桂さんは目をぱちくりして私の顔を凝視していたけど、やがてその手に持つ雑誌に気づくと、
「ああ」
と言ってくすくす笑った。
「それ、読んだんですか?」
「読みました! 桂さんの写真が載ったところだけ、ちらっと見ようと思ったんですけど……」
おかしがるような柔い微笑み。これはたぶん……全部わかっている顔だ。
手のひらで弄ばれている感覚に若干むずむずしながらも、私は桂さんの前で雑誌のページを広げてみせる。わんちゃんとのオススメのお出かけスポット。夏場に散歩をするときの注意点。そして特集コーナーの中にある今月のテーマのスナップ集……。
「こ、これ、……私の写真ですよね!?」
凛々しいスカイくんの写真がたくさん載せられている片隅に、落ち葉を振り撒いて一緒に遊ぶ見覚えのある女の顔。いやもう、もはや見覚えとかそういうレベルの話じゃない。
これは私だ。思いっきり私だ。近所の公園でスカイくんと遊ぶ、あの日の私の写真そのものだ。
季節外れの冬の風景だからか、他と比べてサイズは小さめ。でも、はっきりと私にピントが合ったその写真のすぐ側には、ともすれば見落としてしまいそうなほど小さな字でコメントが書かれている。
――世界でいちばん大切なもの。
「すみません。綺麗だったから、つい」
「ついって、もう……」
「これはまだ初校ですから、訂正が効きますよ。でも、僕はこのまま出したいと思っています」
ソファにゆったり寄りかかりながら、桂さんは笑みを深くする。あまりにも綺麗なアルカイックスマイル。優しい言葉遣いの裏には、揺るぎない意思が見え隠れしている。
「あの……編集者さんは……」
「もちろんOK出てますよ。むしろ新倉の方から勧めてくれたほどですから。この写真、すごく良いねって」
「で、でも、わんちゃんの雑誌なのに……」
「一緒に写っているスカイもとても楽しそうな顔をしていますし、他の写真はみんなスカイ単独のものばかりですからね。一枚くらい人と遊ぶ姿があってもいいと思うんです。それに」
桂さんの長い指が、雑誌のページをすぅっとなぞる。
その指先を眼で追う形でページのタイトルを読んだ私は、結局ぐっと唇を噛んで赤面するしかできなかった。
「今月のテーマは『大切な存在』ですから。……僕としては、由希子さんを載せないわけにはいかないんです」
ほんの少しだけ困った風に形の良い眉を軽く寄せて、桂さんは甘えるようにこてんと小首を傾げて見せる。
ねえ、だめなの? これでもだめ? と、聞こえるはずのない心の声が、瞳から瞳へダイレクトに語り掛ける。……ああもう、この人って本当に!
「ず」
「ず?」
「ずるい……!」
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ずるい人だと思う。こんなに素敵で、こんなに魅力的で、そのくせ少しの労力も惜しまず私にすべてを伝えてくれる。
とても柔らかで、きらきらしていて、あまりにも心地よい愛の雫を、私の心に絶え間なく、惜しみなく注いでくれる。
「そうだ。僕、さっき調べたんですけど、近くに遅咲きの桜を楽しめる場所があるみたいなんです」
「えっ、そうなんですか? まだ桜って咲いているんですね」
「行くだけ行ってみませんか。散り始めでも綺麗ですし、スカイもちょうど散歩に行きたくてうずうずしているみたいですし」
傍らで少し呆れた様子で寝そべっていたスカイくんが、散歩の三文字を聞きとめてゆらりとその場に立ち上がった。長いしっぽをふわふわ揺らしてソファの傍までやってきた彼は、まず桂さんの顔をぺろり。それから私の頬も――ん?
「だめ」
私の頬を覆う桂さんの手の甲を、ぺろんと舐めるスカイくん。
桂さんはスカイくんに向かって小さく笑いながら、
「それは僕の」
と言って、私の唇にキスをした。
……スカイくんにやきもち焼いてどうするの、とか。
誰が相手でも嫌なものは嫌なんです、とか。
他愛ない話と笑い声が、穏やかな風に溶けていく。私は鞄を、彼はリードとカメラを持って、私たちは三人揃って陽だまりへと続く扉を開ける。
玄関の白い写真立てには、スカイくんと、私と、そして桂さん自身が写った写真が、まるで色とりどりのステンドグラスのように鮮やかに飾られている。
『それでも僕らは夢を見る』 おわり
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