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第6話 朝の通学なんすわ
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次の日、俺はぐるぐるの包帯を外して学校に行けるようになった。さすがに傷の酷いところはガーゼが必要なので、風呂あがりにいくつか貼りなおした。眼帯も再装着した。ぶっちゃけ目もガーゼだけでいいが、かっこいいからあと、2,3日はコイツを身につける予定だ。これで俺は中二病系美少女の王者として君臨する。あとは他ジャンルの美少女チャンピオンベルトをすべてかっさらい、17階級制覇を成し遂げるのだ。全ての美少女の頂点たる完璧超絶美少女になって、あとはなんかこう...人生上手くいけばいい!
「行ってきまーす」
「間違った電車に乗らないように、気を付けて行きなさいよ」
「30分に1本しか来ないような電車、間違える訳ねーって!」
母さんの忠告を俺は軽く受け流し、俺は足早に玄関を出る。イヌスケがこっちを見て尻尾を振り始めたんで、ちょっとだけ撫でてやる。よしよしよしよし。帰ったらいっぱい遊ぼうなー。ひとしきりモフモフした後、俺はガタガタの田舎道をピカピカのローファーで歩き始めた。空気がうめー。
「ついたついた」
歩いて10分ぐらいで電車の駅に着いた。駅といっても無人駅だ。なんなら木造だ。都会の人間が見たら、公園なんかにある屋根付きの休憩所だと思うだろうな。知らんけど。
黒ずんだ木のベンチに俺は腰かけると、駅に一つだけある時計が見える。午前6時50分くらいか。午前7時10分くらいに電車が来るからそれまで暇だ。たっくんもまだ来てねえみたいだし。昨日の帰りに、一緒に登校する約束したんだけどなー。
まーじでやることねーな。スマホで時間つぶそうにも、中学ん時の俺はスマホどころかガラケーすらも持ってないんよな。悲しすぎるぜ。だが、今の俺は美少女。スマホとか持ってない古風な清楚系お嬢様としての道が開かれたのだ。お手紙とか交換日記をするタイプの美少女は希少性が高く、高値で取引されるらしい。知らんけど。
「おはようはっちゃん。待った?」
「いや俺も...じゃなかった私も今来た所だよ、たっくん」
あぶねえあぶねえ。いつもの癖で俺っていうところだったぜ。セーフセーフ。
「...昨日からずっと思ってたんだけどさ、もしかして中学校かなり緊張してる?」
「あ...え?」
「だってはっちゃん、ずっと自分の事『俺』って言ってて小学校でも全然変える気無かったじゃん。なのに中学に入ったら急に『私』って言い始めて口調もそれっぽくなったから」
全然アウトだったわ。
「二人きりのときぐらい、前みたいな話し方でいいよ。なんか無理してるみたいに見える」
昔から妙に鋭い所があると思っていたが、今の指摘はだいぶクリティカルヒットかもしれん。中学校自体は前世で3年間きっちり通ったから別に今さら緊張とかはない。だけど、たっくんに『私』って言うのはなんというか、そう。嘘をついているようで、それが喉の奥に刺さった魚の骨みたいな感じがしてたんだ。それが今、取れた気がする。
「たっくん!俺、確かになんか無理してたみてえだわ。すまん!」
「あやまんないでいいって。小学校の時は1クラスしかなくて、ずっと同じメンバーだったから楽だったけど。中学は知らない人ばっかで僕もだいぶきついし」
「一緒に頑張ってこうな!!」
背中をバシバシ叩いて笑いながらたっくんの顔をのぞき込むと、たっくんは照れくさそうに眼をそらした。本当にありがとうたっくん。俺はこの経験から、「幼馴染の前だけ男口調になる美少女」にレベルアップすることができた。俺はさらに強くなるぜ。これが俺TUEEEってやつか。オレっ娘のパワー恐るべし。
そのあとちょうど電車が来たので二人で乗り込む。田舎とは言え、平日の朝なんでそこそこ乗車してるっぽいな。まあ席には余裕で座れるんでノープロブレム!
二人並んでふかふかの縦座席に座る。ふー。木のベンチとは大違いだぜ。座り心地が神すぎる。他の人の迷惑にならないのを確認してから、足をちょっとだけ広げる。そして首を後ろに倒して、頭を壁にくっつける。目を閉じる。ヤバイ。この態勢、悪魔的にラクだ。
「はっちゃん、人が少ないからってそのかっこうはまずいよ」
「すまんかった」
普通にたっくんに注意された。確かに朝だし、家じゃないんだからこの姿勢はやばいな。美少女的にも良くねえ。正論中のセイロンティーだったので、姿勢を紅茶をたしなむ紳士の如くピシッとさせる。たっくんの方を見ると、なぜか顔を赤らめていた。
「他の人にパンツ見えそうだったよ」
お?お~?おいおいおい。超絶美少女たる俺のパンツを気遣ってくれたってのかよ?これは相応のご褒美が必要のようだなあ~?!
「ほれほれほれ」
ニヤニヤしながらスカートのすそを左手の親指と人差し指で少し持ち上げ、ヒラヒラさせる。たっくんにパンツが見えるか見えないかを攻める。喰らえっ。これがからかい上手の犬山田さんだっ。
「まじでやめろ」
「すまんかった」
本気でにらまれてしまったので、スカートを持っていた手を離して、たっくん裁判長に手を合わせてごめんなさいした。
「次やったら怒るから」
「あざます」
執行猶予付きで無罪になった。うーん、異議なし!
「行ってきまーす」
「間違った電車に乗らないように、気を付けて行きなさいよ」
「30分に1本しか来ないような電車、間違える訳ねーって!」
母さんの忠告を俺は軽く受け流し、俺は足早に玄関を出る。イヌスケがこっちを見て尻尾を振り始めたんで、ちょっとだけ撫でてやる。よしよしよしよし。帰ったらいっぱい遊ぼうなー。ひとしきりモフモフした後、俺はガタガタの田舎道をピカピカのローファーで歩き始めた。空気がうめー。
「ついたついた」
歩いて10分ぐらいで電車の駅に着いた。駅といっても無人駅だ。なんなら木造だ。都会の人間が見たら、公園なんかにある屋根付きの休憩所だと思うだろうな。知らんけど。
黒ずんだ木のベンチに俺は腰かけると、駅に一つだけある時計が見える。午前6時50分くらいか。午前7時10分くらいに電車が来るからそれまで暇だ。たっくんもまだ来てねえみたいだし。昨日の帰りに、一緒に登校する約束したんだけどなー。
まーじでやることねーな。スマホで時間つぶそうにも、中学ん時の俺はスマホどころかガラケーすらも持ってないんよな。悲しすぎるぜ。だが、今の俺は美少女。スマホとか持ってない古風な清楚系お嬢様としての道が開かれたのだ。お手紙とか交換日記をするタイプの美少女は希少性が高く、高値で取引されるらしい。知らんけど。
「おはようはっちゃん。待った?」
「いや俺も...じゃなかった私も今来た所だよ、たっくん」
あぶねえあぶねえ。いつもの癖で俺っていうところだったぜ。セーフセーフ。
「...昨日からずっと思ってたんだけどさ、もしかして中学校かなり緊張してる?」
「あ...え?」
「だってはっちゃん、ずっと自分の事『俺』って言ってて小学校でも全然変える気無かったじゃん。なのに中学に入ったら急に『私』って言い始めて口調もそれっぽくなったから」
全然アウトだったわ。
「二人きりのときぐらい、前みたいな話し方でいいよ。なんか無理してるみたいに見える」
昔から妙に鋭い所があると思っていたが、今の指摘はだいぶクリティカルヒットかもしれん。中学校自体は前世で3年間きっちり通ったから別に今さら緊張とかはない。だけど、たっくんに『私』って言うのはなんというか、そう。嘘をついているようで、それが喉の奥に刺さった魚の骨みたいな感じがしてたんだ。それが今、取れた気がする。
「たっくん!俺、確かになんか無理してたみてえだわ。すまん!」
「あやまんないでいいって。小学校の時は1クラスしかなくて、ずっと同じメンバーだったから楽だったけど。中学は知らない人ばっかで僕もだいぶきついし」
「一緒に頑張ってこうな!!」
背中をバシバシ叩いて笑いながらたっくんの顔をのぞき込むと、たっくんは照れくさそうに眼をそらした。本当にありがとうたっくん。俺はこの経験から、「幼馴染の前だけ男口調になる美少女」にレベルアップすることができた。俺はさらに強くなるぜ。これが俺TUEEEってやつか。オレっ娘のパワー恐るべし。
そのあとちょうど電車が来たので二人で乗り込む。田舎とは言え、平日の朝なんでそこそこ乗車してるっぽいな。まあ席には余裕で座れるんでノープロブレム!
二人並んでふかふかの縦座席に座る。ふー。木のベンチとは大違いだぜ。座り心地が神すぎる。他の人の迷惑にならないのを確認してから、足をちょっとだけ広げる。そして首を後ろに倒して、頭を壁にくっつける。目を閉じる。ヤバイ。この態勢、悪魔的にラクだ。
「はっちゃん、人が少ないからってそのかっこうはまずいよ」
「すまんかった」
普通にたっくんに注意された。確かに朝だし、家じゃないんだからこの姿勢はやばいな。美少女的にも良くねえ。正論中のセイロンティーだったので、姿勢を紅茶をたしなむ紳士の如くピシッとさせる。たっくんの方を見ると、なぜか顔を赤らめていた。
「他の人にパンツ見えそうだったよ」
お?お~?おいおいおい。超絶美少女たる俺のパンツを気遣ってくれたってのかよ?これは相応のご褒美が必要のようだなあ~?!
「ほれほれほれ」
ニヤニヤしながらスカートのすそを左手の親指と人差し指で少し持ち上げ、ヒラヒラさせる。たっくんにパンツが見えるか見えないかを攻める。喰らえっ。これがからかい上手の犬山田さんだっ。
「まじでやめろ」
「すまんかった」
本気でにらまれてしまったので、スカートを持っていた手を離して、たっくん裁判長に手を合わせてごめんなさいした。
「次やったら怒るから」
「あざます」
執行猶予付きで無罪になった。うーん、異議なし!
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