15 / 26
レイア・マルテルとクラレント
しおりを挟む
私は腰に差した剣……クラレントの柄をギュッと握り込む。
きっと、私はこれから大変な戦いをしていくことになるだろう。
だから、母から貰った剣を握りしめ、勇気を分け与えて貰う。
「では俺はこれで失礼する。後ほど騎士団のものと同じ試験がある。心して掛かるがよい」
ハールは背を向けて去って行く。
呼び出しは以上……のようだけど。
アル様は少し疲れた表情を笑顔で隠した。
「とりあえず、今日は君の能力を測る模擬戦を経て、騎士団から認めて貰うことだけど……」
当然、騎士団から認めて貰うということは即ち、騎士団の現団長であるテュール将軍に認めて貰うということ。
ううん……厳しそうだ……。
「それはそうとして。君のその剣……クラレントだね?」
「えっ!? あ、はい……そうなのですが……」
クラレント。
母から譲って貰ったその剣の名をどうしてアル様が……。
「クラレントは、我が国に伝わる宝剣だ」
私はその言葉にドキッと反応してしまった。
その一瞬、母に対して良からぬ疑いがよぎったからだ。
「クラレントはある時を境に、国庫から失われたと聞いたが……まさか、君が持っていたとは」
「あ、あの……これはお母さんから譲っていただいたもので、その……」
返します。そう伝えようとした私を、アル様は首を横に振る。
「いいや、いいさ。君が持っているということは何か、理由があるハズだ」
理由、なんて言われても。
「それに、クラレントは紛失して、父上……国王陛下自ら、捜索を禁じた。きっと、そこには何か、理由がある。だから、まだ君が持っていると良い」
お言葉に甘えていいの?
国の物なら、返さないのも問題な気がするけど……。
とりあえず、クラレントをしっかりと腰にさして、アル様と共に演習場へ向かう。
演習場は物々しい雰囲気で包まれていた。
「レイア・マルテル! このワシがキサマを騎士団から! 殿下から引き離してくれる!」
槍を構えたテュール将軍が待ち構えていた。
きっと、私はこれから大変な戦いをしていくことになるだろう。
だから、母から貰った剣を握りしめ、勇気を分け与えて貰う。
「では俺はこれで失礼する。後ほど騎士団のものと同じ試験がある。心して掛かるがよい」
ハールは背を向けて去って行く。
呼び出しは以上……のようだけど。
アル様は少し疲れた表情を笑顔で隠した。
「とりあえず、今日は君の能力を測る模擬戦を経て、騎士団から認めて貰うことだけど……」
当然、騎士団から認めて貰うということは即ち、騎士団の現団長であるテュール将軍に認めて貰うということ。
ううん……厳しそうだ……。
「それはそうとして。君のその剣……クラレントだね?」
「えっ!? あ、はい……そうなのですが……」
クラレント。
母から譲って貰ったその剣の名をどうしてアル様が……。
「クラレントは、我が国に伝わる宝剣だ」
私はその言葉にドキッと反応してしまった。
その一瞬、母に対して良からぬ疑いがよぎったからだ。
「クラレントはある時を境に、国庫から失われたと聞いたが……まさか、君が持っていたとは」
「あ、あの……これはお母さんから譲っていただいたもので、その……」
返します。そう伝えようとした私を、アル様は首を横に振る。
「いいや、いいさ。君が持っているということは何か、理由があるハズだ」
理由、なんて言われても。
「それに、クラレントは紛失して、父上……国王陛下自ら、捜索を禁じた。きっと、そこには何か、理由がある。だから、まだ君が持っていると良い」
お言葉に甘えていいの?
国の物なら、返さないのも問題な気がするけど……。
とりあえず、クラレントをしっかりと腰にさして、アル様と共に演習場へ向かう。
演習場は物々しい雰囲気で包まれていた。
「レイア・マルテル! このワシがキサマを騎士団から! 殿下から引き離してくれる!」
槍を構えたテュール将軍が待ち構えていた。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
その聖女は身分を捨てた
メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
魔王復活!
大好き丸
ファンタジー
世界を恐怖に陥れた最悪の魔王ヴァルタゼア。
勇者一行は魔王城ヘルキャッスルの罠を掻い潜り、
遂に魔王との戦いの火蓋が切って落とされた。
長き戦いの末、辛くも勝利した勇者一行に魔王は言い放つ。
「この体が滅びようと我が魂は不滅!」
魔王は復活を誓い、人類に恐怖を与え消滅したのだった。
それから時は流れ―。
ユニークスキル『ゲーム化』で異世界ドロップの旅!
AZ
ファンタジー
生まれながらにして『霊能力』を持った青年『高坂拓真』はある日、近所の神社で出会った『着物の美女』によって『神界』に飛ばされてしまう。
神界で出会った女神『アマランティ』によって彼女の創った『世界』に転移することになった拓真はその際、スキルを与えてもらえたのだが……。
恩恵で貰えたスキルはとんでもないだった。
自由気ままに異世界を旅する拓真の新たな人生が始まる。
貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。
その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。
ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。
それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。
そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。
※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ@10シリーズ書籍化
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
【追放29回からの最強宣言!!】ギルドで『便利屋』と呼ばれている私。~嫌われ者同士パーティーを組んだら、なぜか最強無敵になれました~
夕姫
ファンタジー
【私は『最強無敵』のギルド冒険者の超絶美少女だから!】
「エルン。悪いがこれ以上お前とは一緒にいることはできない。今日限りでこのパーティーから抜けてもらう。」
またか…… ギルドに所属しているパーティーからいきなり追放されてしまったエルン=アクセルロッドは、何の優れた能力も持たず、ただ何でもできるという事から、ギルドのランクのブロンズからシルバーへパーティーを昇格させるための【便利屋】と呼ばれ、周りからは無能の底辺扱いの嫌われ者だった。
そして今日も当たり前のようにパーティーを追放される。エルンは今まで29回の追放を受けており次にパーティーを追放されるか、シルバーランクに昇格するまでに依頼の失敗をするとギルドをクビになることに。
ギルドの受付嬢ルナレットからの提案で同じギルドに所属する、パーティーを組めば必ず不幸になると言われている【死神】と呼ばれているギルドで嫌われている男ブレイドとパーティーを組むことになるのだが……。
そしてそんな【便利屋】と呼ばれていた、エルンには本人も知らない、ある意味無敵で最強のスキルがあったのだ!
この物語は29回の追放から這い上がり『最強無敵』になった少女の最強の物語である。
魔法使いと彼女を慕う3匹の黒竜~魔法は最強だけど溺愛してくる竜には勝てる気がしません~
村雨 妖
恋愛
森で1人のんびり自由気ままな生活をしながら、たまに王都の冒険者のギルドで依頼を受け、魔物討伐をして過ごしていた”最強の魔法使い”の女の子、リーシャ。
ある依頼の際に彼女は3匹の小さな黒竜と出会い、一緒に生活するようになった。黒竜の名前は、ノア、ルシア、エリアル。毎日可愛がっていたのに、ある日突然黒竜たちは姿を消してしまった。代わりに3人の人間の男が家に現れ、彼らは自分たちがその黒竜だと言い張り、リーシャに自分たちの”番”にするとか言ってきて。
半信半疑で彼らを受け入れたリーシャだが、一緒に過ごすうちにそれが本当の事だと思い始めた。彼らはリーシャの気持ちなど関係なく自分たちの好きにふるまってくる。リーシャは彼らの好意に鈍感ではあるけど、ちょっとした言動にドキッとしたり、モヤモヤしてみたりて……お互いに振り回し、振り回されの毎日に。のんびり自由気ままな生活をしていたはずなのに、急に慌ただしい生活になってしまって⁉ 3人との出会いを境にいろんな竜とも出会うことになり、関わりたくない竜と人間のいざこざにも巻き込まれていくことに!※”小説家になろう”でも公開しています。※表紙絵自作の作品です。
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる