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謎の貴族、現る

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 私は犯人の腕を取り押さえていると、青年は盗られていたらしき麻袋を手に取る。
 そこから出てくるのはかなりの数の大金貨だ!

「危うく、盗まれるところだったよ」

 大金貨は一枚で金貨十枚分の価値がある!
 それが数枚……こんなもの、日常的に持ち歩いてはいけないシロモノだ!

「あ、あなたは一体……」

 私の疑問に、その青年は微笑む。
 金色の髪に、宝石のような紺碧の瞳。
 育ちは確かに良さそうで、大金貨を持つに相応しい……お坊ちゃんという所だろう。

「僕はアルヴィ……アルだ。世間知らずのボンボンの息子って奴さ」
「私はレイア・マルテルです。こんな最中の自己紹介で申し訳ありませんが……」

 チラリ。私は犯人を見てから、視線をアルへと移す。
 貴族の息子……なのだろか。

「それなりの血筋であれば、付き人の一人や二人は必要なハズです。だというのに……」
「出歩くなってワケか。ううん、君の言うことはもっともだ。でも付き人はまだ決まっていなくてね……」

 付き人が“決まらない”?
 そんなものお金があるのだから、普通に雇えばいいものを。
 なんだか、シャクゼンとしないモノ言いに、私は疑問を抱かざるを得ない。

「ところで、君は……帯剣なんてしているけれど、何か特別な職業なのかい?」
「あ、これは……」
「何かあったみたいだね。お礼もしたいところだし、ゼヒ僕の屋敷へ」

 捕えた男を憲兵に連れて行って貰って。
 私はアルに連れられるまま、屋敷へと案内される。
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