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闇魔法使いとの対峙

街中での脱出戦

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「ソフィーまずは街から脱出しよう」

 ロジェは剣を振るい、飛びついてきたグールを切り裂いた。
 しかし、真っ二つになったグールは、徐々に身体が再生している。

「え、ええ。このまま戦っていても埒が明かないわ」

 既に、外では街中の人たちが剣や武器を持って戦っていた。
 冒険者のほとんどは戦闘に駆り出されているのだろう。
 さながら、内紛が起きたような騒ぎだ。

「すごい技ね」
「伊達に近衛騎士をやってないからね」

 ロジェの振るう剣は、ソフィーが錬金術で強化したものだ。
 ソフィーが強化したものとは言え、元々の持ち主の技量が高いからこそ、こうして敵を圧倒出来る。
 エリートという言葉は偽りではない。

「近衛は、騎士の中でも特別実力をつけた人間だけが選ばれるからね」

 街中で、ロジェが剣を振るいながら、次々と魔物たちを斬り伏せる。
 人間がいても、真っ二つに斬るのではなく、手刀でたたき伏せて、気絶させていた。

「それにしても……厳しいな。敵味方が分からない……!」
「魔物と……人間が混じっているものね」
「それだけじゃない。冒険者たちはみんな制服を着ていないからね」

 魔物が敵。
 異形の怪物たちは見つけ次第斬ることは簡単だろう。
 しかし、人間が武器を持っていれば、全員敵に見えてしまうのは、騎士として戦っていた人間にしか分からない苦労なのだろう。

「なおさら、街中で戦っているわけにはいかないわね」

 本当を言えば、ハンナや冒険者たちと一緒に街の外にいるであろう黒幕を討伐しに行きたかった。
 しかし、こうも敵が押し寄せている状況ではそれも叶わない。

 オマケに、ソフィーたちの目の前に巨大なゴーレムが立ち塞がった。

「そこまでじゃ! 見つけたぞ……ソフィー・ド・セイリグ!」

 ゴーレムの上に人影が。
 その男は、何度か顔を合わせた男……。

「アイザック……!」
「何度も苦渋を味合わせてくれたのう……セイリグ令嬢!」

 ゴーレムの肩に乗るアイザックは、見下すように笑う。

「わしの雇用主はお前の命をお求めじゃ! もう失敗は許され――え?」

 ロジェがゴーレムの足を走り抜ける。

「すまないが、急いでいる」
「なっ……! この最強のゴーレムの足が……! 鉄をも砕くゴーレムの足が……! お、落ちる!」

 素早い。
 それこそ、ソフィーには、いつ剣を振るったか見えないくらいの、技。

「う、おおおおおおおおお!!!」

 アイザックが落ち、地面に顔から激突している。
 そんな姿を横目に、ロジェはソフィーの手を引いてきた。

「行こう、ソフィー」
「ええ」
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