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2部・行方不明者の謎

その女は復讐する

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――side マリオン――

 ソフィー・ド・セイリグの婚約破棄。そして、ジュリアン王子と結婚まで。
 平民で、ただの一般家庭で産まれたマリオンには、その玉の輿だけは険しい道のりだった。
 しかし、彼女にはそれを可能とするだけの力があった。

「カネも権力も。全ては私が手に入れるハズだった」

 マリオンはその街よりも、少し離れた地で見守る。

「聖女だか、錬金術師だか、知らないけれど。私の邪魔ばかり」

 お陰で、安泰と思われていたジュリアン王子との結婚が――頓挫した。

「お前が私の邪魔をするならば。滅ぼすのみ」

 マリオンには闇魔法が扱える。
 もうただの平民ではない。
 そして、ジュリアン王子が残したカネなら、闇魔法による認識阻害で、くすねた王族の金銭が大量に。

「マリオン様。申し訳ございませぬ、このアイザック。上手く行くハズで――」
「工房の契約書も。ポーションの強奪も。何もかも上手く行っていないのに? 役立たずめ」
「も、申し訳ございませぬ! 次こそわしの汚名を返上いたしますのじゃ!」

 マリオンはもとより、アイザックと名乗る男など信用していなかった。
 所詮はカネで言うことを聞くような人間だ。

「なら、奴の息の根を止めて来てちょうだい」
「ソフィー嬢ですか。しかし、なぜそこまで躍起に?」
「奴を殺した所で、私のカネにはならない――けれども」

 マリオンが手を握りしめると、周囲にいる闇の精霊達がざわめき、闇が溢れ出す。

「私の手に入れるハズだったものを奪った、奴を許さない」

 だから、じわじわとなぶり殺すように。
 冒険者たちを魔物に変えて、周りにいる人間たちを全て魔物にする。
 そして、魔物に殺されれば喜ばしいこと。
 たとえ、ソフィーが魔物にした人間たちを倒せば、罪悪感を抱かせることが出来る、と。

「もっと。もっと、嫌がらせしてあげる」
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